文中の将来に関する事項は、明記されている箇所を除き、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。
当社企業グループは、2021年度より10年間の長期グループビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートしております。また、当該ビジョンの具現化に向け、中期経営計画として、中期経営計画2023(変革:2021年度~2023年度)、中期経営計画2026(挑戦:2024年度~2026年度)、中期経営計画2030(飛躍:2027年度~2030年度)の3ステップを設定し、最初のステップとなる中期経営計画2023では、「連結売上高500億円」「連結営業利益額50億円」「ROE15%以上」を目標としております。
グループビジョン:「CRESCO Group Ambition 2030」
人が想い描く未来、その先へ
クレスコグループは最高のテクノロジーと絆で”わくわくする未来”を創造します
中期経営計画2023
「CRESCO Group Ambition 2030」の実現を通して売上高1,000億円を目指してまいります。その実現に向けて中期経営計画2023では、2023年度における連結売上高500億円の達成を目指しております。具体的には、ITサービス事業(エンタープライズ、金融、製造)とデジタルソリューション事業の4本柱により、ビジネスの成長戦略を推進してまいります。
中期経営計画2023では、「コアビジネス領域をより強固なものにするための3つの基本戦略」においてビジネスの土台を強化しつつ、「新たなビジネスの柱を生み出すための3つの重点戦略」に取り組んでおります。
当社企業グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)として売上高、営業利益額、ROEを設定しております。
(注) 1 2023年度の目標値については、当連結会計年度末現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
2 2022年度の売上高及び営業利益額の予想値は、2022年5月10日時点での公表値であります。
3 2022年度のROEの予想値は、当該年度における自己資本の変動が親会社株主に帰属する当期純利益及び剰余金の配当のみであると仮定して算定しております。
(3) 中期経営計画の進捗状況
重点戦略
① デジタルソリューションの強化
当連結会計年度において、当社のデジタルソリューション推進部門として、ビジネスイネーブルメントサービスユニットを設置し、当社のデジタルソリューションブランドの再整理を始めるとともに、主力クラウドサービスである「Creage」の機能向上や、RPAライセンスの販売強化を進めました。また、当社企業グループにおける協業体制を推進することで販路の拡大を図ってまいりました。
② 機動的経営の進化
当社は、2021年5月に経済産業省のDX認定制度である「DX認定事業者」に認定されました。また、同年11月には東京証券取引所の市場区分の見直しに伴ってプライム市場への上場を選択し、2022年2月にはコーポレートブランドロゴの変更を発表しております。当社企業グループの取り組みとして、2021年7月に㈱OECの全株式を取得し連結子会社化するとともに、当社企業グループ内における営業・案件情報の共有を強化し、事業ポートフォリオの多様化に向けて取り組んでまいりました。
③ 人間中心経営の深化
当社企業グループでは、前連結会計年度に引き続いて、テレワークやワークスペース整備等を推進するともに、ワクチン休暇制度を導入するなど、「ニューノーマル(新常態)」に対応した働き方改革を進めてまいりました。また、多様な人材の交流拠点として当社内に多目的スタジオを設置したほか、社員の外部講演等のエバンジェリスト活動を通して積極的な外部発信に力を注いでまいりました。さらに、2022年3月には、当社は「健康経営優良法人2022」に認定され、2,869社中801~850位の順位を獲得しております。
基本戦略
① ITサービスの拡大
当連結会計年度において、新規取引先の開拓に向けて営業人員の増強を行いました。また、当社の連結子会社であるCRESCO VIETNAM CO., LTD.の開発体制を増強し、不足する国内開発人員への対策を講じました。さらにソリューショニングプロセスの活用を進め、新規案件の獲得を進めてまいりました。
② 品質の強化
当連結会計年度において、品質戦略を見直し、「お客様に安心・感動の品質を」をスローガンにさらなる高品質を目指すための品質マネジメントプロセスの改善と実践に着手いたしました。その一環として、社員向け研修制度の内容を刷新しております。
③ 技術の強化
当連結会計年度において、AI技術、組込みセキュリティ等の研究に係る産学連携を進めました。また、当社は2021年8月に画像処理AI学習データ作成時のアノテーション作業負荷を軽減する手法の特許を取得しております。さらに、特定の技術領域に限定せず、幅広い顧客やニーズに対応できるよう技術研修制度の見直しを行いました。
2021年度の経営環境は、新型コロナウイルス禍が続く中、ワクチン接種も進んで「新しい生活様式」や「ニューノーマル(新常態)」が定着し、特に下期は好転の兆しが強く見られました。2022年度は、オミクロン株の感染状況や新たな変異株の発生に加え、ロシア・ウクライナ紛争に起因する景気の下振れが懸念されますが、その影響は限定的であり、経済活動の正常化に向けた動き自体は活発な状況が続くものと判断しております。なお、2022年3月の月例経済報告では「景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる」旨の判断が下されております。
国内外の企業動向も、業種によって濃淡はあるものの概ね改善傾向が続いております。当社企業グループにおきましても、引き合いは旺盛な状況にあり、コロナ禍で大きな打撃を受けた業界・業種も将来を見据え、IT投資は回復の兆しを見せております。オンライン商談のほか、対面での営業活動も従来の勢いに回復し、新規顧客の開拓にもほぼ支障はありません。
このような経営環境の中、「攻めのIT経営」を主眼とした「デジタル変革(DX)」に対するIT投資は、システム基盤の再整備や、業務のデジタル化、基幹システムの刷新など今後も着実に増加するものと考えております。特に、クラウドやAI、RPAなどのテクノロジーを織り込んだシステム開発やデジタルソリューションへのニーズは、業種業態を問わずさらに本格化するものと確信しております。
なお、需給状況に関わらず、「デジタル変革(DX)」を担う人材の不足感は依然否めず、人材の獲得・育成はもとより、生産性及びサービス品質の向上、オフショア(国外分散開発)を含む開発体制の強化は、継続的な課題となっております。
こうした経営環境に的確に対応し、ステークホルダーの期待にお応えするため、当社企業グループでは、以下の課題認識のもと、諸施策を速やかに実行し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。
①お客様とのリレーションシップの強化及び新規顧客の獲得
ニーズの多様化、複雑化に伴い、当社企業グループは、お客様の事業目標達成や未来構想に向けたイノベーションを実現する、まさに「ITパートナー」としての役割を期待されております。お客様の期待に応えるための、幅広いITサービス、デジタルソリューションを提供できるよう、営業体制の強化とマーケティング活動を継続的に実施し、お客様とのリレーションシップの強化及び新規顧客の獲得を図ってまいります。また、営業情報、顧客情報を共有できる仕組みを構築し、当社企業グループ間及び各事業部門の営業メンバーが連携し、戦略的、網羅的に幅広い提案型営業を展開してまいります。
②デジタルソリューションビジネスの拡大と新技術の研究・開発
「デジタル変革(DX)」が本格化する中、従来のITサービス(システムインテグレーションを含む。)のみならず、お客様のDXに直結するデジタルソリューションビジネスの拡大が競争優位性を担保するために必要であると考えております。当社企業グループが強みとするAIやクラウド分野を戦略技術に据え、これらの技術を活かした、幅広い産業向けのソリューション群を提供してまいります。また、市場ニーズに適時・的確に応えることができる技術力の保持と革新的なビジネスの組成に不可欠な知見・アイデアを募集、集約するため、他企業とのアライアンスや産学連携、お客様との共同研究、オープンイノベーション等を通じた新技術の研究・開発に努めてまいります。
③人材の獲得と開発体制の強化
人材は、企業の競争優位性を決定づける大切な経営資源と考えております。しかしながら、IT投資に関わる需要の増加に伴い、開発に従事する人材不足は否めず、人材の獲得と開発体制の強化は継続的な課題となっております。当社企業グループは、事業戦略に沿った継続的な採用活動(新卒、キャリア)を推進するとともに、ニアショア(子会社や協力会社との協業による国内分散開発)やクレスコベトナムを通じたオフショア(ベトナムの現地企業との協業による国外分散開発)を積極的に活用し、機会損失(案件の失注や縮小など)が発生しないよう取り組んでまいります。また、併せて人材の流出防止施策の実施や育成の強化に努めてまいります。
④M&Aの推進とブランディング強化
継続的な M&Aによる事業の拡大は、中期経営計画における成長戦略の重要テーマであり、加えて、グループ連携をはじめ、業務インフラの整備、人事交流等の施策を通じたシナジー効果による「稼ぐ力の最大化」は不可欠と考えております。また、ブランディングは、当社企業グループにとって市場での認知度を高め、優位性を強化する重要な事業戦略であり、企業の成長を大きく左右するものです。2022年4月1日をもって、創業以来掲げてまいりましたコーポレートブランドロゴを刷新いたしました。当社企業グループがこれまで培ってきたブランドイメージを最大限活用しつつ、新たなブランドイメージを創造し、当社企業グループ一丸となって企業価値の向上を目指してまいります。
⑤DX推進と機動的経営の実現
経営課題やビジネス課題への素早い対応を実現するためには、企業活動を加速する「仕組みづくり」と行動を促進する「マインドセットの醸成」が必要となります。『中期経営計画2023』をベースに、人材の確保・育成はもとより、組織改革や制度改革を含めた「デジタル変革(DX)」への取り組みを積極的に進め、経営の機動性を高める仕組みづくりに取り組んでまいります。また、データ経営基盤の構築を視野に入れた情報システムの全体最適化やオフィスワーク・リモートワークの環境整備、時代に即した働き方改革を通じて、”継続的に挑戦していこう”とするマインドセットを醸成してまいります。なお、当社は、2021年5月に経済産業省から「DX認定事業者」に認定されております。
⑥安心・感動を生み出す品質強化
お客様に提供する製品やサービスの品質強化は、「技術と品質のクレスコ」として、お客様からの信頼・信用を確固たるものとし、結果として、当社企業グループの持続的な成長と企業価値の向上につながります。当社企業グループは品質管理を経営の重要課題に位置付け、2021年10月に新たに「品質方針」を掲げ、お客様に安心・感動していただける高品質なITサービス、デジタルソリューションの提供を宣言いたしました。必要な力量を備えるために、充分な教育・訓練を実施するとともに、業務プロセスの評価・見直しを定期的に行い、品質マネジメントシステムの継続的な改善を図ってまいります。
⑦ESG経営の推進とサステナビリティに関する取り組み
E(環境:Environment)、S(社会:Social)、G(企業統治:Governance)は、国連が提唱する「社会的責任投資(SRI)」における企業が認識すべき「社会から企業への期待」であります。また、企業として持続的な成長を遂げ、自身の企業価値を高める際には、ESGに関して「企業から社会にできることは何か」を常に思考しそして行動し続けることが必要となります。当社は、「持続可能な社会」の成長に貢献するため、地球環境問題への配慮の他、危機管理、人権の尊重、社員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引や各種ガバナンス(監督・監視体制の構築、リスク管理、内部統制、コンプライアンス等)など、あらゆるステークホルダーとの協働を通じたESG経営に取り組んでおります。また、在宅勤務推進によるオフィススペース削減や電気使用量・紙使用量の削減、自社システムのクラウド化など、直面する様々な課題に真摯に向き合い、適宜適切な対応を行っております。なお、地球環境の中でも、とりわけ気候変動に関する問題は、「リスクと機会」の両面から喫緊の課題と認識しております。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言を参考に、積極的な活動と情報開示に努めてまいります。
⑧健康経営の推進
健康経営は、健康管理を経営的な観点から企業戦略として実践することであり、中長期的には、社員の活力や生産性のアップ、組織活性化をもたらし、企業価値や業績の向上につながります。社員の心身の健康を維持・増進し、社員一人ひとりが、安心・安全に、やりがいを持って働ける職場を実現するこの取り組みは、企業のレピュテーションや人材採用の面でも効果が期待できるものであり、併せて、企業のリスクマネジメントとしても重要なものであります。当社では「健康経営宣言」を掲げ、下図の健康経営推進体制を整備し、健康経営を推進しており、2022年3月には3年連続で「健康経営優良法人認定制度」に基づく「健康経営優良法人2022」に認定されております。
⑨働き方改革と健全な労働環境づくり
働き方改革は、生産性向上のみならず、個人生活の質的向上につながるテーマであり、社員のモチベーションや人材採用、離職防止の面でも効果が期待できるものと捉え、『働く人の立場・視点』で労働環境づくりや諸制度の導入に取り組んでおります。特に近年では2020年4月にテレワーク勤務制度を導入し70%以上の社員が利用しております。また、2021年4月にはコアタイムのないフルフレックスタイム制を導入し、柔軟で働きやすい職場を実現し、感染症流行時の業務継続や家庭と仕事の両立、業務効率化・時間の有効活用に役立てております。さらに、健全な労働環境を実現するため、長時間労働の抑制と年次有給休暇の取得促進にも注力しており、時間外労働は低い水準を、年次有給休暇は高い取得率を継続しております。これらの取り組みは、企業のレピュテーションや人材採用の面でも効果が期待できるものであり、リスクマネジメントの観点からも重要であります。今後も国の政策や法制度の動向を注視し、実効性の高い諸施策を推進してまいります。
⑩ダイバーシティへの取り組み
多様性の受け入れは、企業が変化する市場環境や技術構造の中で競争優位性を築くため、必要不可欠であります。当社企業グループは、個人の「違い」を尊重し、職務に関係のない性別、年齢、国籍等の属性を考慮せず、個人の成果や能力、貢献度に応じた評価を基本としております。女性の採用や女性管理職比率の増加にも注力する他、外国人や障がい者の採用にも積極的に取り組んでおります。2021年4月からは、LGBTに対する取り組みの一環として、パートナーシップ制度を導入いたしました。今後も、多様な人材が組織に平等に参画し、その能力を最大限発揮できる機会の提供を通じて様々なイノベーションを生み出し、価値創造につなげてまいります。
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