業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染が全世界に蔓延して2年が経過しましたが、未だ収束の見通しが立っておらず、多くの産業が大きな痛手を被るところとなっております。また、年度末からはロシアがウクライナに侵攻し、長く続いた「戦後」が終わり、世界は政治・経済・文化などあらゆる分野において非常に不安定な状況に遭遇しております。

当業界における市場規模は、外出不安などにより大きく落ち込んだ状況からは概ね回復しましたが、コロナ禍による家計収入の減少などの影響により、コロナ禍前には戻りきっておりません。

このような情勢のもと当社グループにおきましては、

① 個別部門における差別化戦略を確立すること

② 集団部門における新しい差別化戦略を確立すること

③ 「新iⅮ予備校」を校舎運営の標準モデルとすること

④ 高校部の新しいビジネスモデルを確立すること

⑤ FC部門においては、地域を限定したオーナー募集を行い、効率的なSV活動を行うこと

⑥ 経費節減を徹底し、営業費用を軽減すること

を経営の柱として取り組んでまいりました。

売上におきましては、より木目細やかな本部経営を行えるよう組織の再編成をいたしました。また、全社横断型の各種プロジェクトを立ち上げ、教育サービス全体のクオリティーの向上、募集活動の効率化、組織の活性化を図りました。

営業費用におきましては、前期末に閉鎖した校舎の地代家賃等が減少する一方、期中平均従業員数の増加に伴い人件費が増加いたしました。また、英語4技能対策アプリ導入に伴うライセンス使用料の発生、タブレット端末機購入・校舎無線LAN設備取得による事務用消耗品費の増加、校舎の大規模修繕発生に伴い保守修繕費が増加するところとなりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高営業利益率は4.0%(対前年同期比0.5%増)となりました。

営業外損益におきましては、有利子負債の減少に伴い、支払利息が減少しております。

特別損益におきましては、新型コロナウイルス感染症による業績の落ち込みから全体としては回復基調にあるものの、一部の校舎につきましては生徒数の回復には至っておらず、店舗閉鎖損失及び減損損失を計上いたしました。

また、退職給付に係る資産の計上に伴い、それに対応する繰延税金負債が63百万円増加したこと等により法人税等調整額が59百万円となりました。

その結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は10,906百万円(対前年同期比0.8%増)、営業利益は439百万円(対前年同期比16.0%増)、経常利益は435百万円(対前年同期比19.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は41百万円(対前年同期比72.1%減)となりました。

セグメントの業績を示すと次のとおりであります。

 

(小中学部)

小中学部におきましては、コロナ禍に伴い、十分な学習時間を確保できないという生徒・保護者の“学習の不安”に対応し、授業前後の換気を徹底するとともに、少人数クラスの設定、オンライン授業・保護者会の導入を行ってまいりました。結果として、前期に大きく落ち込んだ生徒数をほぼコロナ禍前の状況とすることができました。また、開発した学習支援ツールを駆使し、家庭における生徒・保護者との関係性も強化、年度途中での退塾者数をさらに減少させることができました。以上により、売上高は前期末で19校舎の閉鎖があったものの、既存校での売上増により、ほぼ横ばいとなりました。

その結果、小中学部の売上高は9,460百万円(対前年同期比0.2%減)、セグメント利益は1,190百万円(対前年同期比1.3%減)となりました。

(高校部)

高校部におきましては、知識と授業力を持った正社員教師による少人数での集団授業、難関大学・国公立医学部学生による質問対応「ASSIST」、正社員教師による「1:1個別指導」など、生徒個々のニーズに対応した教育サービスを提供してまいりました。また、校舎運営スタッフ・正社員教師による日常的な生徒とのコミュニケーションの実行などによって、年度途中での退塾者数も減少させることができました。今期におきましては、受講単価の高い高3受験学年の生徒数が多かったことにより業績向上に寄与しました。

その結果、高校部の売上高は1,366百万円(対前年同期比7.5%増)、セグメント利益は170百万円(対前年同期比49.4%増)となりました。

(その他の教育事業)

その他の教育事業におきましては、映像型のFC事業を中心に取り組んでまいりました。今期におきましては、1校舎当たりの生徒数増加にむけて、オンラインによるSV活動を積極的に行い、一定の成果をあげることができました。また、オンラインによるSV活動のため、交通費・宿泊費などの経費を大幅に抑えることができました。

その結果、その他の教育事業の売上高は79百万円(対前年同期比11.1%増)、セグメント利益は37百万円(対前年同期比34.9%増)となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

① 生産及び受注の実績

当社グループは、生徒に対しての授業を行うことを主たる業務としておりますので、生産、受注の実績は、該当事項はありません。

 

② 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(千円)

前年同期比増減(%)

小中学部

9,460,089

△0.2

高校部

1,366,868

7.5

その他の教育事業

79,180

11.1

合計

10,906,137

0.8

 

(注)  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2)財政状態

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べて31百万円増加し、2,479百万円となりました。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて410百万円減少し、8,212百万円となりました。これは主として、当社の確定給付企業年金制度において、年金資産が退職給付債務を超過した額を、当連結会計年度より退職給付に係る資産として計上したことによる資産増加があるものの、有形固定資産・無形固定資産の校舎閉鎖による減少および減価償却が進んだこと、建設協力金の回収により敷金及び保証金が減少したためであります。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて381百万円減少し、10,700百万円となりました。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べて585百万円減少し、2,932百万円となりました。これは主として、3月末在籍者の翌月分授業料の回収が、休日による入金時期の変動により契約負債(前期末は前受金)が増加したものの、短期借入金の返済および長期への振替により短期借入金が減少したためであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて231百万円増加し、3,150百万円となりました。これは主として、短期借入金からの振替により長期借入金が増加したこと、上記の確定給付企業年金制度における処理により、退職給付に係る負債が増加したためであります。

この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて353百万円減少し、6,082百万円となりました。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて28百万円減少し、4,618百万円となりました。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の41.9%から43.2%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ480百万円増加し、1,834百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは905百万円の収入(前年同期313百万円の収入)となりました。これは主として、非資金項目である減損損失の発生により税金等調整前当期純利益が減少したものの、3月末時点において翌月分授業料の回収が、休日による入金時期の変動により契約負債が増加したためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは410百万円の収入(前年同期123百万円の収入)となりました。これは主として、定期預金の満期による払戻があったこと、前期末にて閉鎖した校舎の差入敷金保証金の返還による収入があったためであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは835百万円の支出(前年同期98百万円の支出)となりました。これは主として、前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染拡大の懸念により、手元資金を確保するため短期借入金の調達を行いましたが、資金に一定の目途がついてきたことから、その一部を返済するとともに長期借入金の返済、社債の償還が進んだためであります。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループでは、小中学部において新しい差別化戦略を確立するとともに、高校部において新しいビジネスモデルを確立することを目指しております。これを実現するために、ノウハウ等の獲得やオンライン環境の整備を目的とした投資を行っております。また、重点エリアへの人材の選択と集中については引き続き検討しており、校舎の閉鎖を決定した場合には、一定の資金が必要となる場合があります。これらの資金につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入を実施することを基本方針としております。

一方、運転資金におきましては、毎月の授業料及び講習費用の入金による収入で賄っておりますが、年間を通して生徒数が少なく収益性の低い第1四半期は資金不足となるため、金融機関と当座貸越契約を締結しており、必要に応じて借入を実施しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響に対応して手元資金の確保のため増加させた短期借入金は、新型コロナウイルス感染症の影響が未だ収束の見通しは立っておりませんが、生徒数は回復基調にあるため返済を進めております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております

 

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