業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるなかで、持ち直しの動きが続いているものの、依然として厳しい状況にあります。

 当情報サービス業界においては、企業のデジタル変革(DX)への取り組みなどを背景に、企業の生産性向上や業務効率化を目的としたシステムの更新投資需要は引き続き高い状態にあるものの、先行き不透明な景況感の中で投資判断には慎重さが見られました。企業のニーズは「効率的でコストパフォーマンスの高い情報システム」にあり、さらなる顧客目線でのシステム提案が求められております。

 当社は、このような状況の中、自社開発・直接販売にこだわり続け、顧客企業の経営効果を実現するため、製販一体体制のもと顧客満足度を高めるべく努めてまいりました。当社の主力である統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」は、会計を中心に統合的に情報を管理するERPシステムとして、製造・流通・サービス・金融等、様々な業種・業界の大手・中堅企業からシステム構築の引き合いが強まりました。システムの早期稼働につながりやすく、グループ全体の最適化やビジネス環境の変化にもスピーディに対応できるクラウドサービスのニーズにも、自社運営のクラウドセンターで提供し対応しております。また、クラウド関連施設の設備増強やセキュリティ・サービス強化、従業員のテレワーク環境整備など、安定的な事業継続や当社の持続的成長につながる先行投資も継続して進めてまいりました。

 この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高894億76百万円(前期比 - )、営業利益541億35百万円(同12.6%増)、経常利益は601億74百万円(同14.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は435億円(同14.5%増)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、2022年3月期の売上高は28億79百万円減少しております。また、前連結会計年度において当該会計基準等を適用したと仮定して算定した売上高の前年同期比は10.1%増となります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

 新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、先行きは依然として不透明な状況が続くものと見込まれますが、今後も当社は、顧客第一主義のもと、よりコストパフォーマンスの高いシステム提案ビジネスに注力し業績の向上に努めてまいる所存であります。

 

セグメントの業績は次の通りであります。

 

 (A)システムインテグレーション事業

 主力の統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」は、統合的に情報を管理するERPシステムとして、様々な業界・業種の企業に求められました。主な傾向として、当社クラウドソリューションの採用増加に伴い、サーバー機器等のハードウェア仕入販売の売上が減少したものの、付加価値の高い「OBIC7シリーズ」のシステム構築売上については、大手・中堅企業への新規顧客開拓が進み、堅調に推移しております。

 この結果、外部顧客に対する売上高は402億38百万円(前期比5.7%増)、営業利益は225億59百万円(同7.4%増)となりました。

 (B)システムサポート事業

 主力のクラウドソリューションを中心に、ソフトウェア及びハードウェアの「運用支援・保守サービス等」が好調に推移いたしました。

 この結果、外部顧客に対する売上高は423億74百万円(前期比15.7%増)、営業利益は298億32百万円(同16.6%増)となりました。

 (C)オフィスオートメーション事業

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、中小企業を中心に印刷サプライやオフィス家具等の販売がやや減少したものの、主力の業務用パッケージソフトの販売については堅調に推移いたしました。

 この結果、外部顧客に対する売上高は68億63百万円(前期比 - )、営業利益は17億43百万円(同17.5%増)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、2022年3月期の外部顧客に対する売上高は28億79百万円減少しております。また、前連結会計年度において当該会計基準等を適用したと仮定して算定した外部顧客に対する売上高の前年同期比は4.7%増となります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,226億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ、280億46百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果増加した資金は、389億72百万円(前期比6.5%減)であります。これは主に税金等調整前当期純利益が597億93百万円計上されたほか、利息及び配当金の受取額が26億60百万円計上された一方で、法人税等の支払額が169億93百万円発生したこと及び未払消費税等の増減額が前連結会計年度では御堂筋ビルの建築に伴って一時的に39億90百万円の増加であったのに対し、当連結会計年度では例年通り21億77百万円の減少になったことで差額が大きくなったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は、440億53百万円(前期は54億22百万円の減少)であります。これは主に定期預金の預入により100億円減少したこと及び投資有価証券(国内の上場会社株式)の取得により321億59百万円減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は、229億65百万円(前期は151億21百万円の減少)であります。これは自己株式の取得により54億22百万円減少したこと及び配当金の支払額が175億42百万円発生したことによるものであります。

 

 なお、今後とも資金を企業の業績伸長のため有効に使用しつつ、「効率経営」に努力をしてまいる所存であります。

 

③受注及び販売の実績

(A)受注実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

システムインテグレーション事業(百万円)

40,128

105.4

システムサポート事業(百万円)

48,684

116.7

オフィスオートメーション事業(百万円)

6,985

合計(百万円)

95,798

(注)1.金額は販売価額によっております。

2.なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度のオフィスオートメーション事業の受注高は28億67百万円減少しております。また、前連結会計年度において当該会計基準等を適用したと仮定して算定したオフィスオートメーション事業の受注高の前年同期比は106.5%、連結受注高の前年同期比は110.9%となります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

(B)販売実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

システムインテグレーション事業(百万円)

40,238

105.7

システムサポート事業(百万円)

42,374

115.7

オフィスオートメーション事業(百万円)

6,863

合計(百万円)

89,476

(注)1.金額は販売価額によっております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

3.なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度のオフィスオートメーション事業の売上高は28億79百万円減少しております。また、前連結会計年度において当該会計基準等を適用したと仮定して算定したオフィスオートメーション事業の売上高の前年同期比は104.7%、連結売上高の前年同期比は110.1%となります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当連結会計年度の当社グループにおける財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。

①財政状態の分析

当連結会計年度末における資産合計残高については、前連結会計年度末比で256億69百万円増加し3,239億27百万円となりました。これは主に、投資有価証券が437億53百万円増加したことによるものであります。

負債合計残高は、18億72百万円減少し303億59百万円となりました。これは主に、未払法人税等が11億54百万円減少したこと及び流動負債のその他に含まれる未払消費税等が21億77百万円減少したことによるものであります。

純資産合計残高は、275億41百万円増加し2,935億67百万円となりました。これは主に、利益剰余金が259億57百万円増加したことによるものであります。結果、自己資本比率は90.6%となりました。

 

②経営成績の分析

 当連結会計年度の連結業績は、売上高894億76百万円(前期比 - )、営業利益541億35百万円(同12.6%増)、経常利益は601億74百万円(同14.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は435億円(同14.5%増)となりました。

 システムインテグレーション事業においては、長年のシステム構築の実績と製販一体での直接販売の営業力強化により、企業の幅広いニーズを捉える顧客満足度の高い提案活動を続けております。またシステムサポート事業においても、主力のクラウドソリューションを中心に、ソフトウェア及びハードウェアの「運用支援・保守サービス等」が好調に推移しております。オフィスオートメーション事業においては、付加価値の高い業務用パッケージソフトの提案に注力しております。

 全体として営業利益率は60.5%となり、依然として業界トップクラスの高い収益性を確保しております。

 なお、詳細な事業別の分析は、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況の項目をご参照ください。

 

③関連会社株式について

 グループ企業であります(株)オービックビジネスコンサルタントの株式は東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場価格のある関連会社株式に該当します。当社の持分としては貸借対照表計上額が80億61百万円であるのに対して、期末の時価で算出すると1,160億53百万円となり、1,079億92百万円の含み益を有しています。グループ全体の時価として高い評価を得ております。

 

④キャッシュ・フローの分析並びに資本の財源及び資金の流動性について

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況の項目をご参照ください。

 当社グループの資金需要については、営業活動については、商品等の購入費用、外注費、労務費、経費などであります。そして、投資活動については、主に当社グループ事業に必要な設備機器の購入及び大阪市中央区のビル建築に関する建設費用であります。これらの需要に対しては、借入金にて資金を調達することなく、すべての資金は内部資金及び営業活動による資金にてまかなっており、今後もその方針であります。

 当社グループの資金は、資金を安全性及び流動性を勘案して運用しているため、十分資金の流動性は確保されております。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績や状況等を勘案して、合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 また、新型コロナウイルス感染症は、経済、企業活動に広範な影響を与える事象であり、今後の広がり方や収束時期等を予測することは困難であります。そのため当社グループとしては、今後、2023年3月期の一定期間にわたり当該影響が継続すると仮定しております。しかし、この仮定は、不確実性が更に高くなる可能性があり、収束が遅延し、経済等への影響が長期化した場合には、将来において損失が発生する可能性があります。

 連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下の通りです。

 

1.退職給付債務及び退職給付費用

 当社は従業員の退職給付に係る負債及び費用の計算は、数理計算で設定される前提条件に基づいて原則法により算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率、死亡率等が含まれます。これらの仮定と実際の結果との差額は、即時に退職給付に係る負債として認識され、費用に関しては翌連結会計年度で一括費用処理しております。また、連結子会社の退職給付に係る負債の計算は、主に期末自己都合要支給額から計上する簡便法により算出しております。

 

2.投資有価証券の減損

 市場価格のない株式等については、個々の銘柄の1株当たり簿価純資産額が帳簿価額の50%以上下回っている場合については、当該会社の業績見通し等を斟酌したうえで減損処理の要否を決定しております。

 

3.固定資産の減損

 固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することになります。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。大阪御堂筋ビルについては、土地や建物などを一つとしてグルーピングし減損の要否を検討しております。2022年3月末時点では期末時価が帳簿価額を超過しており、減損は必要ないと判断しております。

 

 

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