業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が強く表れました。感染拡大防止を心がけつつ段階的に経済活動水準を持ち直すという両立行動へのシフトが図られるなか、感染者数の急拡大以降は活動に制約を掛ける企業が少なからず発生しました。その反面、業種や業界によって違いはあるものの、業況判断を上方に修正する企業が増えはじめましたが、いまだ先行き不透明とする企業が少なからず存在します。

 当社の属するICT業界では、GIGAスクール構想(児童生徒1人1台のタブレット端末や学校の無線ネットワーク環境を整備する文部科学省による構想)が、当初計画のスケジュールであった2023年度中の完了予定から2020年度中の完了へと目標が変更され、当社においても当連結会計年度末までにネットワーク工事及びキッティングサービス等に係る案件の対応を完了しました。また民間市場では、テレワーク(在宅勤務、サテライトオフィス勤務及びモバイルワーク)の実施に見られるような働き方改革が行われており、こうした学び方や働き方に係るデジタル化の流れが、市場の違いに関わらずさらに加速されています。

 当社グループは、こうした新たなICT需要へ積極的に対応するとともに、当期が2年目となる第11次中期経営計画(2020年7月期~2022年7月期)において、14の重要成功要因とその中で特に重視する重点基本方針である「顧客体験価値の創造~心のこもったおもてなしの提供~」に基づく事業分野毎の目標達成に取り組んでおります。

 こうした中、当連結会計年度の業績については、主としてICTサービス事業におけるGIGAスクール構想案件への対応が大きく貢献し、売上高は211億5百万円、前連結会計年度比38億56百万円(22.4%)の増加、利益面では営業利益は28億55百万円、前連結会計年度比11億43百万円(66.8%)の増加、経常利益は28億62百万円、前連結会計年度比11億44百万円(66.6%)の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年2020年1月のESCO 船橋-BaySite設立に伴い遊休資産となっていた旧浦安テクニカルセンター跡地を当連結会計年度において売却したことによる特別利益等により、20億23百万円、前連結会計年度比8億31百万円(69.8%)の増加となりました。

 

 当連結会計年度における事業セグメント別の概況は以下のとおりです。

 

(ICTサービス事業)

 学校市場においては、GIGAスクール構想に係るネットワーク工事及びキッティングサービス等の受注案件を積極的に取り込みました。これら受注案件については、事前に緻密な作業計画と想定されるリスク対策に基づく着実な案件管理を徹底したことにより、大きな品質トラブルを発生させること無く期日までに完了させるとともに、当初見込んでいた諸対策コストの大幅な抑制にもつながりました。また、第4四半期連結会計期間においては、GIGAスクール構想で導入されたタブレット端末の運用支援サービスの提供を開始するとともに、お客さまの利活用ニーズに沿ったより良いICTサービス提供の準備に取り組みました。

 民間市場においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により新規案件の開拓が困難な状況の下で、顧客及びパートナー企業の状況にあわせた提案を継続的に実施した結果、お客さまの長期・大型プロジェクトに係るICTサービス案件の獲得につながりました。また、半導体不足の影響からIT関連機器納期の見通しがはっきりしないなか、お客さまニーズへ柔軟に対応し受注案件の作業完了に努めました。

 当社キッティングサービスの中核拠点となるESCO 船橋-BaySiteにおいては、GIGAスクール構想案件を中心とした集中的な高負荷需要へ対応するために、一層のサービス品質向上及び生産性向上施策並びに人員強化を実行しました。これに加え、主要外注先のキッティングセンターとの計画的な連携活動も推進した結果、当連結会計年度のキッティングサービス実績台数は、学校市場及び民間市場を合わせて約100万台となりました。

 当連結会計年度の業績は、GIGAスクール構想に係る案件の売上が好調であったことに加えて、その他の文教市場及び民間市場案件も堅調であったことにより、売上高は165億8百万円、前連結会計年度比45億92百万円(38.5%)の増加、セグメント利益は28億85百万円、前連結会計年度比13億53百万円(88.3%)の増加となりました。

 

(オフィスシステム事業)

 サプライビジネスにおいては、お客さまの業務効率化とコスト削減をテーマにクラウド型間接材調達支援サービス等による直接販売の拡大に取り組みました。オフィスビジネスにおいては企業の働き方改革をテーマとした販売促進活動を積極的に推進し、オフィス移転やリニューアル等の案件獲得に取り組みました。

 当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、特に大手企業においてテレワークが定着したことに伴いオフィスでのプリント量が減少し、トナーカートリッジの売上が低調だったことから、売上高は36億56百万円、前連結会計年度比5億76百万円(13.6%)の減少、セグメント利益は93百万円、前連結会計年度比45百万円(32.6%)の減少となりました。

 

(ソリューションサービス事業)

 民間企業、学校、公共機関の各市場のお客さまに対して、当社が得意とするアプリケーションソフトの導入及び運用支援サービスの提案を強化するとともに、業務プロセスの品質改善、お客さま満足度の向上及び生産性向上に継続的に取り組みました。

 当連結会計年度の業績は、前連結会計年度末における受注残高が低調であったことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、前事業年度に引き続き民間企業における業務アプリケーションシステム構築への投資先送り等があったことから、売上高は9億40百万円、前連結会計年度比1億59百万円(14.5%)の減少、セグメント損失は1億23百万円(前連結会計年度はセグメント利益40百万円)となりました。

 

 また、当連結会計年度の財政状態の分析は以下のとおりです。

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は172億26百万円となり、前連結会計年度末に比べて34億75百万円増加しました。

 流動資産は151億40百万円、前連結会計年度末比36億76百万円の増加となりました。

 固定資産は20億86百万円、前連結会計年度末比2億1百万円の減少となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は88億48百万円となり、前連結会計年度末に比べて15億89百万円増加しました。

 流動負債は74億33百万円、前連結会計年度末比15億99百万円の増加となりました。

 固定負債は14億15百万円、前連結会計年度末比10百万円の減少となりました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は83億78百万円となり、前連結会計年度末に比べて18億85百万円増加しました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、69億46百万円となり、前連結会計年度末に比べて46百万円減少しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は57百万円となりました。これは主に売上債権の増加37億50百万円、並びに法人税等の支払額5億88百万円等に基づく資金の減少に対して、税金等調整前当期純利益29億21百万円、減価償却費1億55百万円、賞与引当金の増加1億0百万円、未払消費税等の増加65百万円、並びに前受金の増加10億19百万円等に基づき資金が増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の増加は1億52百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1億23百万円、並びに無形固定資産の取得による支出45百万円等に基づく資金の減少に対して、有形固定資産の売却による収入3億16百万円等に基づき資金が増加したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は2億56百万円となりました。これは主にリース債務の返済による支出94百万円、並びに配当金の支払額1億60百万円に基づき資金が減少したことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年7月21日

至 2021年7月20日)

前年同期比(%)

ソリューションサービス事業(千円)

1,093,159

98.2

合計(千円)

1,093,159

98.2

(注)1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 ICTサービス事業及びオフィスシステム事業は、生産実績の記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

ソリューションサービス事業

926,367

88.1

105,648

88.0

合計

926,367

88.1

105,648

88.0

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 ICTサービス事業及びオフィスシステム事業は、受注実績の記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年7月21日

至 2021年7月20日)

前年同期比(%)

ICTサービス事業

ネットワークサービス(千円)

9,810,688

158.3

ハードウェア保守サービス(千円)

1,698,868

104.2

メーカーリペアサービス(千円)

922,091

141.9

IT関連機器(千円)

3,418,442

116.4

ヘルプデスク(千円)

412,848

139.0

その他(千円)

245,191

120.9

小計(千円)

16,508,130

138.5

オフィスシステム事業

OAサプライ(千円)

2,016,516

85.3

オフィスシステム(千円)

793,421

85.7

IT関連機器(千円)

478,939

95.0

その他(千円)

367,699

83.7

小計(千円)

3,656,577

86.4

ソリューションサービス事業

ソフトウェアサポート(千円)

913,014

85.4

その他(千円)

27,751

91.0

小計(千円)

940,765

85.5

合計(千円)

21,105,473

122.4

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2019年7月21日

至 2020年7月20日)

当連結会計年度

(自 2020年7月21日

至 2021年7月20日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社内田洋行

6,205,707

36.0

11,443,685

54.2

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づいて作成しております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の連結貸借対照表計上金額並びに当連結会計年度における収益・費用の連結損益計算書計上金額に影響する判断、見積りを実施する必要があります。当社グループの重要な会計方針は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。また、繰延税金資産の回収可能性等につきましては、特に重要な見積りを伴うものと考えております。

 当社グループを取り巻く環境や状況の変化により、これらの見積りや仮定が実際と異なる可能性があります。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態についての分析

 当社は適切な流動性の維持、事業活動のための資金確保及び健全なバランスシートの維持を財務方針としております。

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比34億75百万円(25.3%)増加し、172億26百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末比36億76百万円(32.1%)増加し、151億40百万円となりました。これは

仕掛品の減少60百万円等があったものの、電子記録債権が主としてGIGAスクール構想案件により37億67百万円増加したこと等によるものです。

 固定資産は、前連結会計年度末比2億1百万円(△8.8%)減少し、20億86百万円となりました。これは主に投資有価証券の増加43百万円、並びに繰延税金資産が38百万円増加したこと等に対して、昨年2020年1月のESCO 船橋-BaySite設立に伴い遊休資産となっていた旧浦安テクニカルセンター跡地の売却により土地が2億58百万円減少したこと等によるものです。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末比15億89百万円(21.9%)増加し、88億48百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末比15億99百万円(27.4%)増加し、74億33百万円となりました。これは主に前受金の増加10億19百万円、未払法人税等の増加3億67百万円、並びに賞与引当金が1億0百万円増加したこと等によるものです。

 固定負債は、前連結会計年度末比10百万円(△0.7%)減少し、14億15百万円となりました。これは退職給付に係る負債が30百万円増加したことに対して、リース債務が40百万円減少したことによるものです。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末比18億85百万円(29.0%)増加し、83億78百万円となりました。これは主に配当金の支払1億61百万円と親会社株主に帰属する当期純利益20億23百万円の計上による利益剰余金の増加18億61百万円、並びにその他有価証券評価差額金が29百万円増加したこと等によるものです。

 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の47.2%から1.4ポイント増加し、48.6%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の1,805.83円から2,330.42円となりました。

 

b.経営成績についての分析

 当社グループは、安定的な収益確保の観点から売上高経常利益率を重視しており、第11次中期経営計画(2020年7月期~2022年7月期)においては、売上高経常利益率6%程度を継続的に実現することを目標としております。

 当連結会計年度においては、売上高経常利益率は13.6%となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照下さい。

 なお、当社グループの運転資金、設備投資資金については自己資金、借入金により調達しておりますが、現時点において重要な資本的支出の予定はありません。

 また、キャッシュ・フローの指標は以下のとおりであります。

 

2017年7月期

2018年7月期

2019年7月期

2020年7月期

2021年7月期

自己資本比率(%)

47.0

49.0

45.4

47.2

48.6

時価ベースの自己資本比率(%)

45.6

62.2

54.1

161.8

62.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

26.4

372.0

22.9

15.4

454.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

782.5

51.4

835.5

1,293.6

51.6

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

5.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

6.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

7.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。

 

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