当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況及びその分析につきましては、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種の普及
に伴い緊急事態宣言等が解除され、経済社会活動には正常化に向けた動きが見られました。しかしながら、新たな
変異株による感染再拡大に加え、ウクライナ情勢の緊迫化による経済活動の停滞が懸念され、先行き不透明な状況
で推移いたしました。
学習塾業界におきましては、教育制度改革への対応に加え、コロナ禍を契機としたオンライン教育へのニーズの
高まりや、GIGAスクール構想で進められている教育環境のデジタル化といった大きな変化の中で、価値観の多様化
や社会環境の変化に応じた教育サービスの提供が求められております。
このような状況下、当社グループにおきましては、コロナ禍においても、子どもたちに安全・安心な“学びの
場”と、成績向上につながる“質の高い学習指導”を継続的に提供することに全力で取り組んでまいりました。
当社におきましては、顧客の皆様のご要望に応え、“対面授業”と“双方向Web授業”とを選択受講できるデュ
アル形式の授業「早稲アカDUAL」を継続するとともに、2021年4月には小学6年生・中学3年生を対象とした「オ
ンライン校」を開校するなど、コロナ禍で通塾が不安な方や、首都圏外にお住まいの皆様にも、対面授業と同品質
の難関志望校別対策授業を受講いただける体制を構築いたしました。また、生徒・保護者向けポータルサイト「早
稲田アカデミーOnline」のアプリ化や答案提出アプリ「早稲田アカデミーEAST」の機能拡充などICTを活用した学
習環境の向上と家庭学習支援ツールの充実に取り組んでまいりました。
教務面につきましては、中学受験コースにおいて、小学1・2年生向けの教材・テストの改善、小学3年生の理
科・社会の授業で使用する映像のメンテナンスを行い、受講生が実体験に近い印象を持つことにより理解度を高め
るための工夫を進めるなど、低学年戦略の拡充や教材・カリキュラムのメンテナンスに努めました。高校受験コー
スでは、海外と国内とをオンラインで結び、「聞く・話す」の技能を高める“オンライン英語”を10,000名近い生
徒に受講いただいており、英語技能の向上に着実な成果が出ているとの手応えを感じております。
更に、難関校合格に向けた指導体制の強化に取り組み、今春の入試においても堅調に合格実績を伸長させること
ができました。
又、中期経営計画(2021年3月期~2024年3月期)で定める重点施策の一つである「個別指導部門の拡充展開」
の一環として、2010年より株式会社明光ネットワークジャパンと共同開発・相互展開を行ってきた「早稲田アカデ
ミー個別進学館事業(以下「個別進学館事業」という。)」を当社グループ単独で運営していくこととし、株式会
社明光ネットワークジャパングループが営む「個別進学館事業」を承継するために、同社が簡易新設分割により設
立した“株式会社個別進学館”を2021年11月30日付で当社の完全子会社とした後、2022年3月1日付で当社に吸収
合併いたしました。今後は、高学力層向け個別指導におけるNo.1ブランドの確立に向け、グループ内における集団
指導と個別指導のシナジー効果をこれまで以上に強化させるとともに、フランチャイズシステムの活用により事業
展開を一層加速させることで、中長期目標として掲げる“首都圏での個別指導ブランド 100 校体制”の早期実現
を目指してまいります。
子会社各社におきましては、株式会社野田学園がコロナ禍の影響により高卒部門を中心に集客に苦戦したもの
の、他の子会社各社の業績は、海外子会社を含め、いずれも増収増益と順調に推移いたしました。
校舎展開につきましては、当社において、2021年7月に品川校・豊洲校・早稲田アカデミー個別進学館豊洲校、
2022年2月に早稲田アカデミー個別進学館戸越校、3月に流山おおたかの森校、又、子会社である株式会社集学舎
において2022年3月に鎌取校を新規開校するとともに、2021年11月に個別進学館12校を株式会社明光ネットワーク
ジャパングループより譲り受けた結果、当連結会計年度末の当社グループ直営校は180校となりました。
当連結会計年度における期中平均(4月~3月平均)塾生数は、小学部24,937人(前期比15.5%増)、中学部
16,268人(同9.9%増)、高校部2,423人(同6.2%減)、合計で43,628人(前期比12.0%増)となりました。各学
部とも、小学1~3年、中学1年、高校1年といった低学年層が大きく伸長しており、中長期的な収益拡大と合格
実績伸長に繋がる良好な学年構成となっております。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高28,551百万円(前期比12.2%増)、営業利益1,821百万円(前期比71.2%増)、経常利益1,841百万円(前期比70.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,108百万円(前期比109.4%増)となりました。
費用面では、業容拡大及び学習環境改善や顧客サービス向上のための設備・システム投資に伴い、人件費・校舎
の地代家賃・原材料費・減価償却費等が増加している一方、継続的に取り組んできた費用統制が奏功し、売上高経
常利益率につきましては6.4%と前期より2.2ポイント改善いたしました。
当社グループの事業は、単一セグメントのためセグメント別の記載は省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより5,128百万円となり、前連結会計年度末に比べ、104百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,841百万円、減価償却費1,093百万円、のれん償却額146百万円等が収入要因となり、他方、前受金の減少額83百万円、法人税等の支払額607百万円等が支出要因となりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローは、2,645百万円の収入となり、前連結会計年度末に比べ、745百万円収入が増加いたしました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出685百万円、有形固定資産の取得による支出605百万円、資産除去債務の履行による支出180百万円、差入保証金の差入による支出138百万円等が支出要因となりました。
この結果、投資活動によるキャッシュ・フローは、1,701百万円の支出となり、前連結会計年度末に比べ1,261百万円支出が増加いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出370百万円、リース債務の返済による支出256百万円、配当金の支払額417百万円が支出要因となりました。
この結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、1,044百万円の支出(前年同期は1,946百万円の収入)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産及び受注の状況
当社グループは、生徒に対して授業を行うことを主たる業務としておりますので、生産能力として表示すべき適当な指標はありません。また、受注実績につきましても、該当事項はありません。
ロ.販売実績
品目別の販売実績は次のとおりであります。
品目 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
比較増減 |
||
生徒数(人) |
金額(千円) |
生徒数(人) |
金額(千円) |
金額(千円) |
|
小学部 |
21,591 |
13,999,966 |
24,937 |
16,176,704 |
2,176,737 |
中学部 |
14,796 |
9,576,571 |
16,268 |
10,707,380 |
1,130,808 |
高校部 |
2,582 |
1,647,624 |
2,423 |
1,572,086 |
△75,537 |
その他 |
- |
229,695 |
- |
94,915 |
△134,780 |
合計 |
38,969 |
25,453,857 |
43,628 |
28,551,086 |
3,097,229 |
(注)1.生徒数は、期中平均(4~3月の平均)の在籍人数を記載しております。
2.収益認識会計基準等を適用したことに伴い、当連結会計年度の期首より、一部の品目別金額の集計区分を変更しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額および収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的に判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の分析
当社グループは、企業価値極限化を実現するための「最適資本構成を図る」を財務方針としております。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末比105百万円増加の7,904百万円となりました。これは、営業未収入金128百万円の増加が主な要因であります。
固定資産は、前連結会計年度末比971百万円増加の11,759百万円となりました。うち、有形固定資産は、前連結会計年度末比532百万円増加の5,583百万円、無形固定資産は、前連結会計年度末比411百万円増加の1,764百万円、投資その他の資産は、前連結会計年度末比27百万円増加の4,411百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末の資産総額は、前連結会計年度末比1,077百万円増加し、19,663百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末比420百万円増加の4,914百万円となりました。これは、未払法人税等154百万円、未払費用80百万円、前受金134百万円の増加が主な要因であります。
固定負債は、前連結会計年度末比229百万円増加の3,317百万円となりました。これは、資産除去債務563百万円の増加と長期借入金309百万円の減少が主な要因であります。
なお、有利子負債(1年内返済予定の長期借入金、1年内返済予定のリース債務、長期借入金、リース債務)は、前連結会計年度末比498百万円減少の609百万円であります。有利子負債の構成比率は3.1%となっております。
この結果、当連結会計年度末の負債総額は、前連結会計年度末比650百万円増加し、8,232百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末比426百万円増加の11,431百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益1,108百万円と配当金の支払418百万円、その他有価証券評価差額金137百万円の減少が主な要因であります。また、収益認識に関する会計基準等の適用に伴い、期首利益剰余金114百万円が減少しております。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の59.2%から58.1%となりました。また、1株当たり純資産額は、606円22銭となりました。
なお、当連結会計年度末の構成比率は、流動資産40.2%、固定資産59.8%、流動負債25.0%、固定負債16.9%(負債41.9%)、純資産58.1%となっております。
ロ.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度におきましては、前期に引き続き、生徒の皆様に安全・安心な“学びの場”と、より質の高い学習指導を継続的にご提供することに注力してまいりました。保護者の皆様からのご要望に応え、Zoomを活用した「双方向Web授業」と「対面授業」とを選択受講できる「デュアル形式」のサービスを継続するとともに、ICTを活用した家庭学習支援ツールやオンラインでのサービス拡充に取り組んできたことが生徒・保護者の皆様からのご支持に繋がり、収益の基礎となる塾生数は、期中平均で前期比12.0%増と順調に推移いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、前期比12.2%増の28,551百万円となりました。
(営業利益・経常利益)
売上原価につきましては、前期比10.2%増の20,684百万円、売上高構成比率としては、前期比1.3ポイント低下の72.4%となりました。
売上原価の中で最も大きなウエイトを占める労務費につきましては、サービス品質向上に向けて講師職を中心に校舎に配置する要員を増加させたことに加え、業績向上に伴い従業員賞与の支給率を引き上げたことにより、前期比8.4%増の10,183百万円となりました。
原材料費につきましては、塾生数増加に連動した教材・模試仕入の増加や、オンライン英語教育及びカリキュラムテスト必修化による外注費の増加等により前期比15.4%増の3,843百万円となりました。
校舎物件に係る地代家賃につきましては、前期比9.2%増の3,446百万円となりましたが、その主な要因は新校6校開校と既存校の塾生数増加に伴う増床です。
販売費及び一般管理費につきましては、前期比7.6%増の6,045百万円、売上高構成比率としては前期比0.9ポイント低下の21.2%となりました。
労務費につきましては、業績向上に伴う本社従業員の賞与支給率引き上げや本社機能強化に伴う要員増により、前期比8.9%増の2,149百万円となりました。広告宣伝費につきましては、集客のための広告宣伝及び人材採用に係る募集活動を強化したことにより、前期比8.5%増の1,180百万円となりましたが、Webを活用した費用対効果の高い宣伝活動に努めたこと等により、売上高構成比率は前期比0.2ポイント低下となる4.1%に抑制することができました。
以上の結果、営業利益は前期比71.2%増の1,821百万円、経常利益は前期比70.9%増の1,841百万円となりました。
なお、当社が「経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載)」としている連結売上高経常利益率につきましては、6.4%(前期比2.2ポイント改善)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度におきましては、特別利益・特別損失ともに計上すべき事項はなく、税金等調整前当期純利益に法人税等合計733百万円を反映した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比578百万円増加(109.4%増)の1,108百万円となり過去最高益を更新することとなりました。
ハ.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ニ.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、前受制度となっている売上債権と翌月支払となっている営業活動において必要な労務費、教材費等の仕入債務の支払とのギャップに対する支出によるもののほか、広告宣伝費等の販売費及び一般管理費であります。
投資を目的とした資金需要は、校舎施設関連及び情報システムに係る設備投資、並びに持続的な成長のための投資等があります。
今後の資金需要の内、設備投資につきましては、「第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
(資金管理)
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本としております。
運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
資金は、原則として当社で集中管理し、当社グループ内の余剰資金の有効活用を図っております。当社グループ内における新規の設備投資資金の調達については、諸条件を勘案し決定いたしますが、すべて当社の事前承認に基づいております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債の残高は609百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,128百万円となっております。
お知らせ