課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

〔経営方針〕

当社グループは、「世界をフィールドに先進のICTをもって新しい価値を創造する」を企業理念として掲げています。グローバリゼーションや多様化する価値観から生まれる市場のニーズを汲み取り、先進のICTで新しい価値を創造し続けることで、社会に貢献することを目指します。

 

〔目標とする経営指標〕

当社グループは、事業収益の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営の目標としており、営業利益、経常利益、当期純利益等の利益を経営の指標として認識しています。また、資本効率の指標としては、自己資本利益率(ROE)を重視しています。

 

〔中長期的な経営戦略〕

CACグループは、1966年の創業以来、お客様の業界や業務に関する知識・技術を蓄積してITサービスやヘルスケアサービスを提供しています。さらに海外展開も積極的に行い、グローバルで4,000名を超える従業員を有する企業グループに成長しました。

 

2018年度から2021年度まで推進した中期経営戦略では、コーポレートガバナンス強化や執行体制による機動的な事業遂行、資本効率改善と株主還元強化、株主との価値共有促進の基本方針のもと、2020年度からは重点施策として高収益モデルの確立、投資財務戦略の強化、DX対応の強力推進に取り組みました。

結果として、国内IT事業では収益力が回復し、DX対応の推進によりデジタル案件比率が増加しました。また、経営資源をIT事業に集中するためCRO事業会社を売却する等、選択と集中を図ってまいりました。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大等による経済状況の変化に伴い、投資戦略については保守的な対応に留まり、また、海外IT事業については、インド子会社の収益力向上は道半ばとなりました。新規事業創出についてもM&A等含め想定通りに進めることはできませんでした。定量的には、当初目標の売上高700億円には未達であったものの、営業利益は大幅に改善し当初目標の40億円に近づき、また、ROEは8.8%と、当初目標であった8%を達成しました。しかしながら、様々な経営環境の変化や再検討等に伴い、度重なる目標数値の変更を行ったことは反省すべき点と認識しています。

 

現在、CACグループが生業とするSIer市場は成熟しており、既存ビジネスの遂行のみで成長することは厳しい現実がある一方、新型コロナウイルス感染症等の影響によってデジタルトランスフォーメーション(DX)が急加速しており、大きな機会が広がる可能性もあると捉えています。

変化が激しく数年後の予測すら難しい状況の中で短期的な変動に左右されず、持続的な成長を実現させていくために、私たちはまず約10年後である2030年におけるCACグループの向かうべき方向性やありたい姿を議論し、あるべき姿としてCAC Vision 2030「テクノロジーとアイデアで、社会にポジティブなインパクトを与え続ける企業グループへ」を策定しました。CAC Vision 2030では、CACグループにおけるAIやIoT等のデジタル技術やデータを活用したソリューションにより人ならではの多様な想像力や創造力を発揮させ、社会課題の解決につなげていくことを想定しています。そして、このようなポジティブインパクトを与えるデジタルソリューションをいくつも生み出し成長させることで、高収益・高成長の企業グループとなることを目指していくものです。

 

CAC Vision 2030の実現に向けた期間を、2022年度~2025年度までの前半(以降、「フェーズ1」)と、2026年度~2030年度までの後半(以降、「フェーズ2」)とに分割します。フェーズ1は国内外における既存受託事業での安定した収益の確保とフェーズ2に向けて継続的にデジタルプロダクト&サービスを生み出す仕組みの構築を行う期間とし、フェーズ2ではフェーズ1での仕込みや努力の結果を得る期間と設定した上で、各フェーズにおいて中期経営計画を策定し、遂行していきます。

 

2022年度から始まるフェーズ1での中期経営計画では、主に既存受託事業の収益力強化とデジタルプロダクト&サービス創造のための準備を行うため、以下3つの戦略を中心に取り組みます。

 

1.成長基盤の醸成

既存事業の中心である受託事業を、内部資源の拡充を図りながら成長させることで収益基盤の礎としつつ、社会にポジティブなインパクトを与える当社独自の新規デジタルプロダクトやサービスを継続的に立ち上げる仕組みやビジネス基盤を構築していきます。また、AIやIoTの活用で人を察し、人を活かし、人を健やかにするシステムコンセプト「Human Centered Technology」に基づいたソリューションの開発にあたっては、様々なステークホルダーとの共創に力を入れます。あわせて、当社グループに不足している必要機能や人材を国内外を問わず外部から獲得するM&Aやアライアンス等についても進めていきます。

 

2.高収益化

不採算事業や成長性・親和性に乏しい事業の整理、固定費の見直し・削減や働き方改革によるオフィスの合理化等の経営効率化を行うことで営業利益の改善を図ります。

 

3.コーポレート機能の見直し、発展

グループガバナンス体制や運用方法を見直し、技術や資金、人材などのグループ内リソースを適切に再配分することで、事業のガバナンス強化と新規事業への理解や協力が生まれやすい仕組みの構築を目指します。また、新たな取り組みに対して社員自ら考え、動きやすい組織風土を醸成するため、組織風土改革施策に取り組みます。これらにより、CAC Vision 2030の達成を後押ししていきます。

 

上記戦略により、中期経営計画の最終年度となる2025年度の数値目標として、売上高580億円、営業利益50億円、営業利益率8%以上、ROE10%以上を目指します。

 

CAC Vision 2030では、経営層がCAC Vision 2030の実現にコミットし、サステナビリティを意識した経営に取り組み続けることが求められます。また、社員の自ら考え自ら生み出す工夫や、仕事の成果を社員自身の成長につなげる意志、顧客と自社グループ双方の成長につなげる行動等が積み重なって達成するものだと認識しています。CACグループ一丸となって取り組み、2030年には売上高800億円、営業利益120億円、営業利益率15%以上の企業グループとなっていることを目標として取り組んでいきます。

 

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