課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本有価証券報告書の提出日現在における経営方針は以下のとおりです。なお、将来に関する事項は別段の記載のない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 基本方針

当社は、ソフトバンクグループにおけるICTサービスの中核企業として、「情報革命で人々を幸せに~技術の力で、未来をつくる~」を企業理念に掲げ、常に最先端のICT技術取得に挑戦しております。高品質なITサービスをお客様に提供するため、自らDXを実践し業務効率化やコスト削減などの改革に取り組んでまいりました。これらの経験を活かし、お客様の本業の成長をともに実現していくビジネスパートナーを目指しております。当社は、国内のソフトバンクグループ企業のITシステムを支援するとともに、ソフトバンクグループ各社とシナジーを発揮しながらお客様が抱えるさまざまな課題をICTサービスで解決することで、豊かな情報化社会の実現に貢献してまいります。
 また、当社グループは持続可能な社会の実現に向け、事業・企業活動を通じてさまざまな社会課題に取り組んでおり、サステナビリティ活動を推進するためのテーマとして6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
 サステナビリティとマテリアリティの詳細については、当社ホームページをご参照ください。
 https://www.softbanktech.co.jp/corp/sustainability/

 

(2) 経営戦略

当社グループは、「大きく成長する」ことを経営方針に掲げております。2014年3月期から2016年3月期を第1次中期経営計画と位置づけ、「クラウド」「セキュリティ」「ビックデータ」の3つの領域に注力し、事業の拡大を推進しました。2017年3月期から2019年3月期を第2次中期経営計画と位置づけ、クラウド上にセキュリティ対策とビックデータ解析の付加価値を融合し、お客様に対する付加価値を拡大するとともに、これら注力領域のサービス化を強化することでストックビジネス拡大のための基盤を構築しました。2020年3月期から2022年3月期までを第3次中期経営計画と位置づけ、「サービスプロバイダーへの進化」と「コンサルティング&ビジネスITの創出」を重点テーマに掲げお客様のビジネスへの貢献を推進してきました。

 


 

 

また、第3次中期経営計画では、2022年3月期における経営指標として以下の3つを掲げておりました。

・連結営業利益43億円(2019年3月期を起算にCAGR20%成長)

・コーポレートITソリューション及びビジネスITソリューションの売上高構成比率を50%へ引き上げ

・株主資本利益率(ROE)13%

 

当期の連結営業利益は51億円、株主資本利益率(ROE)は18.5%となり、経営指標を達成することができました。コーポレートITソリューション及びビジネスITソリューションの売上高構成比率は経営指標にわずかに届かず、49.7%となりました。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

<経営環境の認識>

 当期は、新型コロナウイルス感染症の脅威が依然として継続したものの、ワクチン接種の拡大や非接触型の生活様式の定着などにより、緩やかながらも経済活動の回復に向けた動きが見られるようになりました。社会的に外出自粛や非接触が求められる中で、企業はセキュアなテレワーク環境の整備、働き方の変化に伴うクラウドの利活用促進、デジタル技術を用いた事業強化や創出といった取り組みを行ってきました。これにより国内企業におけるDX投資の需要は堅調に推移してきました。

 一方で、働き方の変化にあわせたセキュリティ対策の見直しが迫られる中で、セキュリティ対策の脆弱な部分を狙ったサイバー犯罪も増加傾向にありました。また企業のサプライチェーンが複雑化していく中でサプライヤーへのサイバー攻撃も増加しており、サプライチェーン全体でのセキュリティ対策の必要性も顕在化しています。当社を含めたICT関連企業は、DX推進とそれに伴うセキュリティ対策の支援を通じて、大きな社会の変化に対応することが求められています。

 このような経営環境の下、当社はお客様のニーズを満たし本業の成長に貢献することを通じて、お客様と共に事業成長及び企業価値の向上を目指すべく、2020年3月期より第3次中期経営計画として以下を重点テーマとし、事業を推進してきました。

 

 

<サービスプロバイダーへの進化>

 当社は「サービスプロバイダーへの進化」を実現することで、より多くのお客様のDX推進を支えてまいりました。

 当社はMicrosoft 365導入から事業部門向けのAzure環境でのシステム開発まで、大手企業及び官公庁を中心としたクラウドソリューションの導入実績は国内トップクラスです。これらの個別開発で得た知見やプロセス資産をもとにマイクロソフトのクラウドサービスの利活用を補完する認証サービスやワークフローサービス等を「clouXion(クラウジョン)」のブランドで展開しています。また、国内トップクラスのクラウド導入実績と知見を活かして、クラウドセキュリティにいち早く取り組んでいます。複雑化するサイバー攻撃の脅威への対策となるセキュリティ導入支援から、セキュリティ運用監視を提供するマネージドセキュリティサービス(MSS)、サイバー攻撃を想定した社内体制を強化するCSIRT(セキュリティ事故の対応チーム)構築支援、企業の包括的なセキュリティを支援するコンサルティングなど、お客様の重要な情報資産保護や事業継続をサポートする幅広いサービスをワンストップで展開してきました。

 また、当期の注力領域である自治体情報セキュリティクラウドの刷新に対して、当社では総務省が定める要件を満たしたサービスを2022年4月から提供開始しております。このサービスは2016年から4県に提供している現行の情報セキュリティクラウドで得られたノウハウを活用しながら開発し、現在までに10県を落札することができました。このように今までのノウハウの積み重ねによりサービス型へ昇華したことは、大きな成果の一つと考えております。

 一方で、広く社会に価値を提供するためにソフトバンクグループ企業やその他のパートナー企業と協力し自社サービスの拡販へ注力してきましたが、パートナー企業を経由した拡販施策が不十分だったことや、自社サービス自体が効率的に販売できる仕様になっていなかったこと等により、当社が目指したほどの収益貢献には至っておらず、今後も継続して拡販方法や展開しやすいサービス開発、サービス利活用のための教育を含めて検討してまいります。

 

 <コンサルティング&ビジネスITの創出

 当社はグローバル製造業・建設業・官公庁を注力業界と定め、お客様の本業成長あるいは業界全体の発展に向け たコンサルティング及びDX戦略の立案から実行の支援、新たなビジネスモデルの創出を目指してお客様との共創に 取り組んでまいりました。2016年3月期に農地台帳のクラウド化を行った「全国農地ナビ」から始まり、申請をデジタル化する共通申請サービスの開発、また後続の申請を効率的にデジタル化するための実証実験など、農林水産省の掲げるDX戦略を支援してきた実績があります。お客様の本業貢献の一例として、この第3次中期経営計画の中でも、農林水産省による全業務のオンライン化及び業務の見直しを支援してまいりました。当社は、システム開発に加えてオンライン化を行うための教育トレーニングも提供し、農林水産省における申請業務の電子化を推進した結果、約3,000件ある手続きのうち2,500件超をオンラインで申請できるようになりました。政府は2026年3月までを計画期間として手続き件数の約9割を電子化する方針を掲げておりますが、このような業務のオンライン化の実績と知見は他の省庁や自治体に向けた申請サービスの展開につながるものと考えております。

 当社は今後もお客様のニーズを深掘りし、更なるITサービスとの連携を進め、サービスの機能追加を図ることでお客様の事業成長を支援し、販売拡大を進めてまいります。

 

 上記の施策を着実に実行していくためには、付加価値の源泉である人材の育成と確保が必要であると考えております。サービスの拡大やお客様のビジネスのDX支援にはコンサルタントの育成が重要と考え、新たな挑戦と経験を積める環境を整えるとともに、ビジネスアナリシスを体系的に身に付けられるBABOK(Business Analysis Body of Knowledge)をベースとしたCBAP(Certified Business Analysis Professional)や、プロジェクトの品質を一層高めるプロジェクト管理の国際標準資格であるPMP(Project Management Professional)の資格取得支援を行ってきました。その結果、2022年3月末時点でCBAP49名、PMP123名の資格保有者が在籍しています。

 

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