業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進んだことなどから経済社会活動の正常化が加速しました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や、世界的な原材料価格の高騰、諸外国における金融引き締めによる円安の進行などが影響し、景気の持ち直しは限定的なものとなりました。

当社グループが属するゲーム業界では、コロナ禍による巣ごもり消費が急増した前年と比較すると反動減も見受けられましたが、引き続き市場は堅調に推移しました。半導体不足や物流過密により供給量に制限が出ているものの、「Nintendo Switch」も「プレイステーション5」もユーザーからの需要は依然高い水準にあったと考えております。

そのような状況のもと、当社グループでは中長期的な企業価値と資本効率の向上に向けて、大規模・高度化開発に対応した開発体制の充実・強化、成長性の高い事業と様々なIP(Intellectual Property :キャラクター等の知的財産)を活用した事業への挑戦、人事・教育・採用の改革の継続、の3点に重点的に取り組みました。ゲームソフト関連やメタバース(デジタル仮想空間)・NFT(ブロックチェーン技術を使用したデジタル資産の一種)に関連した開発需要の高まりの中、新型コロナウイルス感染症に対しては状況に応じて拡大防止策を変更し、徹底した上で、業務を活発に遂行いたしました。

当連結会計年度の業績につきましては、デジタルエンタテインメント事業のゲームソフト関連の開発売上が前連結会計年度に比べて伸長したものの、モバイルコンテンツ関連の運営売上が減少したため、売上高は56億62百万円(前連結会計年度比5.0%減)となりました。

利益面につきましては、前連結会計年度にはスマートフォン向けゲームにおいて開発の大規模な改修作業が発生しましたが、当連結会計年度はそれが縮小しました。また、新型コロナウイルス感染症に関する従業員への特別手当が減少したほか、開発の効率化など利益率の向上に努めた結果、営業利益は4億69百万円(前連結会計年度比76.2%増)、経常利益は5億5百万円(前連結会計年度比77.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億10百万円(前連結会計年度比109.2%増)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりです。文中の各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおりません。

 

イ.デジタルエンタテインメント事業

当事業では、ゲームを中心とするデジタルコンテンツの企画・開発・運営などの受託を行っております。製品別の内容は以下のとおりです。

ゲームソフト関連については、前連結会計年度から継続して取り組んでいる複数の家庭用ゲームソフトの大型開発案件を着実に進行させました。そのうち数件は、2022年12月に顧客より発売が予定されております。その結果、売上高は33億41百万円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。

モバイルコンテンツ関連については、前連結会計年度中に運営終了となった大型ゲームが2件あったことから、当連結会計年度は運営売上が減少しました。その結果、売上高は19億44百万円(前連結会計年度比9.9%減)となりました。

パチンコ・パチスロ関連については、ゲームソフト関連に開発人員をシフトしていることから、売上高は12百万円(前連結会計年度比90.3%減)となりました。

この結果、当事業の売上高は52億97百万円(前連結会計年度比3.3%減)、営業利益は、開発の効率化など利益率の向上に努めたことから3億87百万円(前連結会計年度比73.3%増)となりました。

 

 

ロ.その他事業

当事業では、SI事業、子会社の株式会社フォネックス・コミュニケーションズによるゲーム以外のコンテンツ事業、新規事業の創出に取り組んでおります。

2020年8月期よりコロナ禍の巣ごもり消費拡大で売上好調が続く家庭用カラオケ楽曲配信事業のロイヤリティ売上は、当連結会計年度においても当初の想定を超えて高水準で推移しました。一方で、SI事業を取り扱うBTDスタジオでは、コーポレート部門と協力して自社の業務システムを開発し、同システムは2022年9月から稼働しています。そのため前年と比べSI関連事業の受注案件は減少し、その結果、当事業の売上高は3億64百万円(前連結会計年度比24.2%減)、営業利益82百万円(前連結会計年度比91.1%増)となりました。当連結会計年度の受注案件は減少しているものの、同システムの導入により社内決裁の約9割が電子化され、バックオフィスの利便性向上に大きく貢献する予定です。

 

また、当連結会計年度における財政状態の概況は次のとおりです。

総資産残高は、前連結会計年度末と比較して1億97百万円増加し、72億84百万円となりました。資産の部におきましては、売掛金、有価証券などが減少したものの、現金及び預金、仕掛品などが増加したことにより、流動資産が1億76百万円増加しました。また、償却により有形固定資産が減少した一方で、社内利用目的ソフトウェアの構築によるソフトウェア仮勘定の増加などにより、固定資産が21百万円増加しました。

負債につきましては、その他の科目に含めて計上していた前期にかかる未払消費税の支払いを当期に行ったことによる減少があった一方で、買掛金や未払法人税等、賞与引当金などが増加したことにより、前連結会計年度末と比較して37百万円増加し、10億78百万円となりました。

純資産につきましては、配当金の支払いに伴う減少があったものの、為替換算調整勘定が変動したことなどにより、前連結会計年度末と比較して1億60百万円増加し、62億6百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して7億34百万円増加し、16億43百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

・ 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により得られた資金は、6億84百万円(前連結会計年度は95百万円の資金使用)となりました。これは主に、未払消費税を含むその他減少額2億9百万円、法人税等の支払額92百万円、棚卸資産の増加額31百万円などの減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益5億13百万円、売上債権の減少額3億53百万円、減価償却費78百万円などの資金の増加要因があったことによるものです。

 

・ 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動により得られた資金は、2億円(前連結会計年度は1億54百万円の資金獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出1億円、社内利用目的ソフトウェア構築による無形固定資産の取得による支出67百万円などの支出があった一方で、有価証券の売却による収入2億95百万円、定期預金払い戻しによる収入94百万円などがあったことによるものです。

 

・ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果使用した資金は、1億88百万円(前連結会計年度は1億89百万円の資金使用)となりました。これは、配当金の支払額1億88百万円があったことによるものです。

 

 

③ 開発、受注及び販売の状況

イ.開発実績

当連結会計年度における開発実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

デジタルエンタテインメント事業

5,155,180

97.3

その他事業

180,774

62.8

合計

5,335,954

95.5

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は販売価格によっております。

3 上記金額には、運営業務に係る売上高が含まれております。

4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。

 

ロ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比
(%)

受注残高(千円)

前年同期比
(%)

デジタルエンタテインメント事業

5,075,296

70.7

2,868,994

102.1

その他事業

184,614

70.8

15,291

160.3

合計

5,259,911

70.7

2,884,286

102.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。

 

ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

デジタルエンタテインメント事業

5,297,644

96.7

その他事業

364,885

75.8

合計

5,662,529

95.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。

3 主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年9月1日

至 2021年8月31日)

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社スクウェア・エニックス

2,477,438

41.6

2,718,337

48.0

株式会社アクアプラス

638,867

10.7

626,383

11.1

株式会社タカラトミー

633,430

10.6

601,248

10.6

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、「第一部企業情報第2事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益及びROE(自己資本利益率)を重要な経営指標と位置づけております。当連結会計年度の目標値は、経常利益4億88百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2億86百万円、中長期的なROEの目標値を8.0%としております。

当連結会計年度においては、経常利益5億5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3億10百万円、ROE5.1%となりました。

イ.売上高及び営業利益

当連結会計年度の売上高は、モバイルコンテンツ関連の運営売上が減少したことなどにより56億62百万円(前連結会計年度比5.0%減)となりました。一方営業利益については、前連結会計年度にはスマートフォン向けゲームにおいて開発の大規模な改修作業が発生しましたが、当期はそれが縮小しました。また、新型コロナウイルス感染症に関する従業員への特別手当が減少したほか、開発の効率化など利益率の向上に努めた結果、営業利益4億69百万円(前連結会計年度比76.2%増)となりました。

なお、セグメントの業績の概要につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

 

ロ.営業外損益及び経常利益

当連結会計年度の営業外損益は、36百万円の利益(前連結会計年度比100.1%増)となりました。これは、不動産賃貸費用38百万円などにより営業外費用が38百万円あったのに対し、不動産賃貸料32百万円、為替差益28百万円などにより営業外収入が75百万円あったことによるものです。

この結果、経常利益は、5億5百万円(前連結会計年度比77.7%増)となりました。

 

ハ.特別損益及び税金等調整前当期純利益

当連結会計年度の特別損益は、7百万円の利益(前連結会計年度は25百万円の損失)となりました。これは、社内管理用ソフトウェアについて、管理体制の見直しによる固定資産除却損12百万円を計上した一方で、余剰資金の運用を目的として保有しておりました有価証券を売却し、有価証券売却益19百万円を計上したことによるものです。

この結果、税金等調整前当期純利益は、5億13百万円(前連結会計年度比97.9%増)となりました。

 

ニ.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は3億10百万円(前連結会計年度比109.2%増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が増加したことによるものです。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループにおける資金需要の主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び設備投資資金であり、デジタルコンテンツの企画・開発・運営などの営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした自己資金により賄っております。

 

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、資産の評価や引当金の計上など一部に将来の合理的な見積りが求められているものもあります。これらの見積りは当社グループにおける過去の実績・現状・将来計画を考慮し、合理的と考えられる事項に基づき判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表  注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

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