当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済活動が停滞しましたが、各国でワクチン接種が進展したことなどから、緩やかな回復傾向にありました。しかしながら、新たな変異株による新型コロナウイルス感染症の再拡大に加え、ロシアのウクライナ侵攻の影響によるエネルギー価格の高騰など、経済の先行きは不透明な状況にあります。
学習塾事業においては、2020年の教育改革により小学校での英語教育やプログラミング教育の教科化、センター試験から大学入学共通テストへの移行等、時代の変化に対応していくことが求められました。また、新型コロナウイルス感染防止対策として、教育のオンライン化が急務であり、ICTの環境整備に努めました。保育事業においては、待機児童問題は解消に向かいつつあるものの、保育士不足に関する課題は残っており、教育や保育に関する国内の関心は非常に高まっております。また介護事業においては、高齢者人口の増加傾向は2042年まで続くと予想されており、高齢者向けのサービス需要が拡大していることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で、高齢者ケアのさらなる必要性が社会的に認識されました。
当社グループにおいては、長期的な事業拡大を支え、時代の流れと社会の要請に対応するため、2018年3月に“人の一生に関わる「一生支援事業」を展開する企業への変革”として中期ビジョンを見直しました。また、2020年12月には、「ステキな大人が増える未来をつくる」企業になることを当社のグループビジョンとして掲げ、人材育成と将来を見据えた収益性の向上でさらなる成長を目指しております。
当連結会計年度は、学習塾事業や保育・介護事業による売上の増加等により、創業以来最高売上高を6期連続で更新しました。学習塾事業や保育事業の生徒・園児数、介護事業の顧客数を堅調に伸ばし、当連結会計年度の営業利益は前年を上回る結果となりました。しかし、新型コロナウイルス感染防止対策をこれまで同様に徹底してまいりましたが、助成金の支給額が減少したことなどから、当連結会計年度の経常利益は前年を下回りました。また、閉鎖・移転等が決定した校・教室に関する固定資産に対する減損損失として78百万円を計上しました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は23,653百万円(前年比2.2%増)となり、前年に比べ508百万円増加しました。営業利益は165百万円(前年比114.0%増)となり、前年に比べ88百万円増加しました。経常利益は365百万円(前年比1.4%減)となり、前年に比べ5百万円減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益は△7百万円(前年は189百万円の純利益)となり、前年に比べ196百万円減少しました。期中平均の顧客数(FC事業部における末端生徒数含む。)は、37,444名(前年比2.6%増)となりました。
セグメント別の概況は、以下のとおりです。
<学習塾事業>
学習塾事業においては、 脳科学に基づく独自の学習法「リーチング」の定着や、ICTを活用した学習管理の仕組みとひとりひとりを大切にする指導が、顧客からの支持を得ております。新型コロナウイルス感染防止対策を徹底し、オンラインも併用しながらほぼ通常通りの営業を行い、期中平均生徒数は前年同期比102.7%となりました 。
この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高11,031百万円(前年比2.0%増)、セグメント利益は2,186百万円(同8.8%増)となりました。
<語学関連事業>
英会話事業においては、幼児から小学生までを主な対象とするユニバーサルキャンパス、成人を対象とした英会話教室コペル英会話、英語圏の留学先としてオーストラリアの英会話学校 English Language Company Australia Pty Ltd.及び専門学校SELC Australia Pty Ltd.を運営しております。ユニバーサルキャンパスと首都圏で営業を行うコペル英会話は新型コロナウィルス感染防止対策を徹底しながら通常通りの営業を行うことで、生徒数は堅調に推移しました。オーストラリアの英会話学校は、海外からの留学生の入国制限が続き入室数が減少しておりましたが、2022年2月からの入国再開後は徐々に入室数も回復しつつあります 。
日本語教育事業においては、留学生の入国制限が続く中、入国待機中の学生にオンラインの授業を提供してきました。2022年3月より入国が可能となり、5月末までに約1,800名の留学生が入国し、対面での授業を再開しました。中国及びミャンマーで日本語教育を行っている国際人材交流事業では、国外での営業活動ができず、新規の顧客開拓ができない状況となっておりますが、オンラインで中国の学生に向けた特別講義を行うなど、今後の布石となる活動を続けました 。
キャリア支援事業部では、介護の資格取得スクール「介護のキャンパス」を2021年10月に布施校と尼崎校、12月に難波校、2022年1月に川西校を新規開校し、当社グループ及び連結子会社のスクール数は9カ所となり、介護人材の育成に取り組みました。
この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高2,380百万円(前年比8.1%減)、セグメント損失は692百万円(前年は784百万円のセグメント損失)となりました。
<保育・介護事業>
保育事業では、2021年春に開園した3園の園児数も順調に増加し、期中平均園児数は前年同期比110.7%となりました。それに伴い売上高が増加した一方で、保育士の処遇改善といった人件費等のコストが増加したことで利益は減少しました 。
介護事業においては、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底するとともに、入居率とサービス利用率の向上を目指し取り組んだ結果、期中平均顧客数は前年同期比105.4%となりました。フードサービス事業では、受発注体制の見直しなどの食材廃棄率を下げる取り組みを行いました。しかし、在宅ワークの増加で企業からの受注が減ったことに加え、新規顧客獲得の営業活動も制限されるなど、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました 。
この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高10,241百万円(前年比5.1%増)、セグメント損失は252百万円(前年は132百万円のセグメント損失)となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は20,727百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,008百万円減少しました。流動資産は4,783百万円となり同84百万円減少しました。主な要因は、現金及び預金の減少63百万円、売掛金の減少37百万円等です。固定資産は15,944百万円となり、同924百万円減少しました。有形固定資産は11,503百万円(同750百万円減少)となりました。主な要因は、建物及び構築物の減少525百万円、リース資産の減少124百万円、その他の減少104百万円等です。無形固定資産は1,610百万円(同251百万円減少)となりました。主な要因は、のれんの減少279百万円等です。投資その他の資産は2,830百万円(同76百万円増加)となりました。主な要因は、繰延税金資産の増加72百万円等です。
当連結会計年度末の負債合計は17,039百万円となり、前連結会計年度末に比べ936百万円減少しました。流動負債は7,938百万円となり、同158百万円減少しました。主な要因は、短期借入金の減少524百万円、前受金の増加359百万円、未払法人税等の減少127百万円等です。固定負債は9,100百万円となり、同778百万円減少しました。主な要因は、長期借入金の減少657百万円等です。
当連結会計年度末の純資産合計は3,688百万円となり、前連結会計年度末に比べ72百万円減少しました。主な要因は、連結剰余金の減少107百万円等です。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末17.3%から0.5ポイント上昇し、17.8%になりました。
当連結会計年度の現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより2,880百万円となり、前連結会計年度末に比べ55百万円減少しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益292百万円、減価償却費935百万円、のれん償却額279百万円、支払利息151百万円、法人税等の支払537百万円、補助金の受取365百万円等が発生しました。この結果、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,659百万円の収入となり、前連結会計年度末に比べ653百万円の増加(64.9%)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出107百万円、無形固定資産の取得による支出156百万円等が発生しました。この結果、投資活動によるキャッシュ・フローは、303百万円の支出となり、前連結会計年度末に比べ413百万円の増加(57.7%)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減額524百万円、長期借入金の返済による支出1,641百万円、長期借入れによる収入900百万円等が発生しました。この結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、1,418百万円の支出となり、前連結会計年度末に比べ689百万円の増加(32.7%)となりました。
当社グループは、サービスの提供を主たる業務としておりますので、生産及び受注の実績については、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.顧客数は、期中平均の在籍人数を記載しております。
3.販売の数量につきましては、表示すべき適当な指標はありませんので、記載を省略しております。
4.学習塾事業の顧客数には、個別指導教室京進スクール・ワンのフランチャイズ教室の末端生徒数を含めて記載しております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業活動によるキャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えています。事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金は主に手元の自己資金及び借入金により充当しています。
また、当社グループは、将来の営業活動及び債務の返済等の資金需要に備え、十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によるキャッシュ・フローの他、金融機関からの借入金によって調達しており、資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資に充当することで確保しています。
なお、新型コロナウイルス感染症の当期の資金状況への影響は軽微であります。今後の不測の事態に備えて金融機関からは十分な融資枠を確保しています。新型コロナウイルス感染症の状況の変化には注意を払いながらも、中長期的に将来の成長が見込める分野についてはM&Aや事業基盤強化のための投資等を今後も積極的に推進していきたいと考えています。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積り、判断及び仮定を必要としています。これらの見積りについて過去の実績や合理的と判断される入手可能な情報等を勘案し、合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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