(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種も進む中、景気は緩やかに持ち直しつつありますが、変異ウイルスの出現もあり未だビジネスへの影響が続いております。加えて、長期化しつつあるIC・部品不足によるハードウェア調達の困難な状況に、ロシア・ウクライナ情勢が与える経済・物価への影響など懸念材料は引き続き増加しております。
このような状況の中、顧客企業においてのシステム増強による競争力強化への更なる要求を的確に捕捉すべく、当社は年来注力してまいりました工場向けインダストリアルIoTソリューションのラインアップと提携ハードウェア提案力を更に増強してまいりました。エンタープライズ領域においてもプラットフォームインテグレーション提案力の強化として、kintone(サイボウズ株式会社が提供するビジネスアプリプラットフォーム、基幹系・管理系のシステムを簡単に開発できるツール)ベースの当社オリジナル・多業種対応の基幹業務系プラットフォーム「kinterp®」を主軸としたライトな基幹系提案をさらに拡大、リモートワークの普及による押印の廃止の波を踏まえ提携の電子署名・電子契約ソリューションとの連携も強化し、今後も拡大が見込まれるリモートワーク需要に向けたソリューションの提案を増加させました。
オリジナルプロダクト開発も引き続き精力的に展開し、また、ワクチン接種予約に対応した無人電話予約システム「トルテル」の地方自治体や事業体への拡大販売を行いながら、業務提携を通じたエッジカメラAIソリューションの提案や、そのほか、いわゆる2025年の崖問題と期待される、COBOLなどのレガシーシステムをAI活用して自動的にモダナイズするソリューション「JANUS Studio®」を日本国内企業向けに提供を開始するなど、新規ソリューションの提供販売に注力してまいりました。
新規顧客獲得については、年度後半に回復し始めた展示会でのリード獲得に加え、オンラインでのウェビナー等のウェブプロモーション手法をさらに増強、リアル・ウェブでのハイブリッドプロモーション体制を強化させてまいりました。
この結果、当社の当事業年度の売上高は、33億14百万円(前年同期比10.2%増)となりました。損益につきましては、営業利益56百万円(前年同期は営業損失1億24百万円)、経常利益75百万円(前年同期は経常損失99百万円)、当期純利益19百万円(前年同期は当期純損失1億78百万円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、売上高は23百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ5百万円減少しております。詳細については、「第5経理の状況 1.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
主なセグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。
「エンタープライズソリューション事業」
各業種向けの派遣常駐型システム開発及び受託請負型システム開発案件においては、既存顧客及び新規顧客からの案件引き合い増加により受注増へと繋がりました。基幹システム系開発については新規顧客からの引き合いは多数ある中、リソース調達に時間とコストを要する状況でありました。BI関連サービスにつきましては、前事業年度から続いていたプラットフォーム対応の遅れによる影響は解消されたものの、新規顧客の獲得が想定していたよりも伸びませんでした。その結果、売上高は20億37百万円(前期比12.7%増)となりました。
「IoTインテグレーション事業」
インダストリアルIoT分野及び医療IoT分野においては、既存顧客からの受注は順調に増加し、新規獲得については年度前半の訪問営業の制限やハードウェアの納期長期化の影響もあり、引き合いは順調に増加しましたが、受注としては想定をやや下回る伸びとなりました。また、医療機関向け自動再来受付システム等の販売・開発につきましては、前期から続く医療機関においての設備投資予算の削減や見送りは年度前半みられたものの、後半にかけて回復基調が鮮明になり前事業年度に比べて受注増となりました。自動車搭載セキュリティシステムのロイヤリティ収入等は引き続き堅調に推移致しました。映像情報システム関連におきましては大型表示装置の販売により受注増となりました。その結果、売上高は12億76百万円(前年同期比6.3%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益が2億2百万円増加した一方、減少要因として投資有価証券の取得があり、前事業年度末に比べ2億44百万円減少し当事業年度末には26億76百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1億94百万円(同638.9%増)となりました。これは主に、減価償却費の計上による収入45百万円、投資有価証券評価損の計上による収入40百万円、仕入債務の増加による収入24百万円、税引前当期純利益の計上38百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用された資金は、2億92百万円(同433.0%増)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出27百万円、投資有価証券の取得による支出2億56百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用された資金は、1億46百万円(同1.0%増)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1億20百万円、配当金の支払いによる支出26百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
エンタープライズソリューション事業(千円) |
2,009,730 |
112.3 |
IoTインテグレーション事業(千円) |
1,256,548 |
121.0 |
合計(千円) |
3,266,278 |
115.5 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
3.IoTインテグレーション事業におけるデータセンター事業では受注生産を行っておりませんので、これに係る生産実績は含めていません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比(%) |
エンタープライズソリューション事業(千円) |
2,170,139 |
124.0 |
710,317 |
123.0 |
IoTインテグレーション事業(千円) |
1,378,259 |
137.6 |
455,960 |
132.2 |
合計 |
3,548,398 |
129.0 |
1,166,277 |
126.5 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.IoTインテグレーション事業におけるデータセンター事業では受注生産を行っておりませんので、これに係る受注実績は含めていません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
エンタープライズソリューション事業(千円) |
2,037,177 |
112.7 |
IoTインテグレーション事業(千円) |
1,276,936 |
106.3 |
合計(千円) |
3,314,114 |
110.2 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
第一環境株式会社 |
277,295 |
9.2 |
350,583 |
10.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(資産)
当事業年度末の流動資産は33億95百万円となり、前事業年度末に比べ2億29百万円減少いたしました。これは主に、売掛金が41百万円、契約資産が27百万円増加した一方、現金及び預金が2億44百万円、仕掛品が32百万円、未収還付法人税が17百万円減少したことによるものであります。固定資産は6億35百万円となり、前事業年度末に比べ2億22百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が2億29百万円増加し、貸倒引当金が6百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は40億31百万円となり、前事業年度に比べ6百万円減少いたしました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は6億51百万円となり、前事業年度末に比べ80百万円増加いたしました。これは主に、前受金が19百万円減少した一方、買掛金が24百万円、未払法人税等が25百万円、未払消費税等が41百万円増加したことによるものであります。固定負債は8億36百万円となり、前事業年度末に比べ95百万円減少いたしました。これは主に、退職給付引当金が20百万円増加しましたが、長期借入金が1億20百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は14億88百万円となり、前事業年度末に比べ14百万円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は25億42百万円となり、前事業年度末に比べ8百万円増加いたしました。これは主に当期純利益の計上、剰余金の配当、及び「収益認識に関する会計基準」の適用に伴う期首の残高調整等により、利益剰余金が2百万円増加したこと、及びその他有価証券評価差額金が5百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は63.1%(前事業年度末は62.8%)となりました。
(売上高)
当事業年度における売上高は、前年同期比で3億6百万円増加し、33億14百万円となりました。セグメントごとの業績につきましては、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1)経営成績等の状況の概要」「①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業損益)
売上高が増加し、また、材料費及び製造経費を抑えたことにより、売上総利益は前年同期比で1億86百万円増加し、6億11百万円の利益となりました。
販売費及び一般管理費については、人事異動等により人件費は減少しましたが、販売促進費及び広告宣伝費の増加により前年同期比で4百万円増加し、5億54百万円となりました。
その結果、営業損益は、56百万円の利益(前年同期は1億24百万円の損失)となりました。
(経常損益)
営業損益に加えて、受取配当金18百万円、雑収入2百万円、支払利息1百万円の発生等により、経常損益は75百万円の利益(前年同期は99百万円の損失)となりました。
(税引前当期純損益)
保有する投資有価証券について、当該企業のコロナ渦における業績の低迷を受け取得価額に比べて時価が著しく下落したものについて、特別損失として投資有価証券評価損を40百万円計上いたしました。
その結果、税引前当期純損益は38百万円の利益(前年同期は1億64百万円の損失)となりました。
(当社の経営成績に重要な影響を与える要因)
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社は、持続的な利益成長を目指した事業拡大の観点から、各事業における成長性や効率性の向上に取り組んでおり、「売上高」及び「経常利益」を重要な経営指標として位置づけております。また、積極的な人材育成への投資や適切な研究開発投資を進める一方、収益力及び資本効率の向上を図るため、ROEも重視しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要 「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、資金需要については、営業活動で使用される運転資金他、設備投資や事業規模拡大に向けた戦略的投資であります。運転資金の調達については、自己資金および銀行借入れを主としており、戦略的投資に向けた資金調達については、資本業務提携や第三者割当増資等により調達しております。当事業年度末時点において、長期借入金の残高は240百万円であります。また、主要取引銀行4行との間で合計800百万円の当座貸越契約を締結しております(当事業年度末借入未実行残高800百万円)。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。この財務諸表の作成にあたり、会計上見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき見積りをしております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載をしております。
お知らせ