当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、全体的に持ち直しの動きがみられるものの、コロナ禍による厳しい状況が残る中、一部に弱さがみられる状況にあります。また、変異株の流行によって先行き不透明感が続く環境下で推移いたしました。
日本の教育制度においては、画一的で知識重視型の教育から、生徒一人ひとりに合わせた学習の個別最適化と、探求学習を通して思考する力や主体性を育む教育への進化が始まっております。2021年度からは中学校で新学習指導要領が全面実施、2022年度からは高等学校で新学習指導要領が年次進行で実施されております。教育制度の変化は、コロナ禍で需要が高まった学びのオンライン化をさらに加速させ、教科学習においては効率的に学習できるデジタル教材のニーズが高まりました。学習塾業界においても、このような変化に対して柔軟かつ迅速な対応を求められる事業環境となりました。
このような状況の下、当社は、企業理念「やればできるという自信 チャレンジする喜び 夢を持つ事の大切さ 私たちはこの3つの教育理念とホスピタリティをすべての企業活動の基軸とし 笑顔あふれる『人の未来』に貢献する」を経営の中心に据え、お客様一人ひとりに寄り添う教育サービスを提供してまいりました。理念を実践する経営計画として、当社が実現したい教育の姿を描いた中長期ビジョン「VISION2030」に基づく中期経営計画「ホスピタリティ経営2023」を2020年10月に策定し、2022年2月期を初年度としてスタートしました。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス変異株のデルタ株とオミクロン株の流行により、少なからずその影響を受けましたが、お客様や従業員の安全・安心を第一に、感染防止対策を徹底した上で、機動的にオンライン授業を実施し、お客様の学びを止めない環境を整えてまいりました。また、教育のオンライン化が拡がる中、新規事業として、オールオンライン個別指導の1online事業を7月から試験的に開始いたしました。
当社の教育サービスを支える人財育成について、社員や講師が実践を通じて学び、ともに成長する共創のプログラム・TEACHERS' SUMMITは2021年に続きオンラインで実施しております。また、当社で働く大学生講師に向けて、企業と連携して就職活動支援セミナーを行うなど、講師との更なるエンゲージメントを強化してまいりました。
教室展開について、コロナ禍においても、業容拡大に向けて都市部を中心としたドミナント出店を継続し、地域内でのブランド力強化を目指してまいりました。2021年3月に東京個別指導学院千歳烏山南口教室(東京都)、同国領教室(東京都)、6月に同武蔵中原教室(神奈川県)、同三田教室(東京都)、9月に同金町教室(東京都)、10月に同茗荷谷教室(東京都)を新規開校して全266教室となりました。
生徒募集については、2021年8月に流行したデルタ株及び2022年1月に流行したオミクロン株の影響を受け軟調に推移したものの、既存のお客様についてはオンライン授業の実施等で学びを止めない環境づくりに尽力した結果、2021年度期中平均の在籍生徒数は33,309名(前年比109.5%)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高につきましては、新規入会者数が軟調に推移したものの、在籍生徒数は一昨年水準まで回復し、さらに講習会売上が堅調に推移した結果、過去最高の売上高となる22,495百万円と前年同期と比べ3,353百万円(17.5%)の増収となりました。
営業利益は、教室内の増席工事費の発生、生徒配置システム再構築完了に伴う減価償却費の発生とそれに付随する運用保守費用の増加がありましたが、2,396百万円と前年同期と比べ1,783百万円(290.7%)の増益、経常利益は2,402百万円と前年同期と比べ1,754百万円(270.8%)の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、1,578百万円と前年同期と比べ1,325百万円(523.7%)の増益となりました。
なお、当社グループの主たる事業は個別指導塾事業であり、その他の事業の売上高、セグメント利益等の金額は合計額に占める割合が僅少であるため、記載を省略しております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産及び受注の状況
当社グループは、生徒に対して授業を行うことを主たる業務としておりますので、生産、受注の実績はありません。
② 販売の状況
(注) 1 生徒数は、期中平均の在籍人数を記載しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3 その他事業は、サイエンス教室・文章表現教室事業、オールオンライン個別指導事業及びHRBC株式会社の企業向け人財開発事業であります。
(2) 財政状態
〔資産〕
当連結会計年度末の資産合計は12,679百万円と、前連結会計年度末に比べ8.5%、992百万円増加しました。
流動資産は8,157百万円と、前連結会計年度末に比べ7.7%、584百万円増加しました。この増加は主に、現金及び預金が540百万円増加、前払費用が30百万円増加、売掛金が23百万円増加したことによるものであります。
有形固定資産は803百万円と、前連結会計年度末に比べ1.7%、13百万円減少しました。この減少は主に、新規開校や既存教室の増床に係る設備投資はあったものの、減価償却費が増加したことによるものであります。
無形固定資産は1,729百万円と、前連結会計年度末に比べ29.4%、392百万円増加しました。この増加は主に、生徒配置システムや請求基盤システムの構築に係る設備投資によるものであります。
投資その他の資産は1,990百万円と、前連結会計年度末に比べ1.5%、28百万円増加しました。この増加は主に、未払事業税が増加したことにより繰延税金資産が増加したことによるものであります。
〔負債〕
当連結会計年度末の負債合計は4,063百万円と、前連結会計年度末に比べ25.4%、823百万円増加しました。
流動負債は4,036百万円と、前連結会計年度末に比べ26.0%、831百万円増加しました。この増加は主に、前期の新型コロナウイルスなどの影響により未払金が58百万円減少したものの、コロナ禍から持ち直した結果、未払法人税等が511百万円増加、未払消費税等が248百万円増加、前受金が131百万円増加したことによるものであります。
固定負債は26百万円と、前連結会計年度末に比べ23.6%、8百万円減少しました。この減少は主に、繰延税金負債が3百万円減少、その他が4百万円減少したことによるものであります。
〔純資産〕
当連結会計年度末の純資産は8,616百万円と、前連結会計年度末に比べ2.0%、169百万円増加しました。この増加は、剰余金の配当支払いを1,411百万円行ったことと、親会社株主に帰属する当期純利益を1,578百万円計上したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ540百万円増加し、7,103百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれぞれの主な要因は以下のとおりであります。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は2,754百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益2,402百万円、減価償却費285百万円、前受金の増加131百万円、未払消費税等の増加248百万円、法人税等の支払額344百万円によるものであります。
前連結会計年度と比較しますと、税金等調整前当期純利益が1,898百万円、未払消費税等が346百万円、法人税等の支払額が281百万円増加したことなどにより2,518百万円増加しております。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は802百万円となりました。
これは主に、新規開校等に係る有形固定資産の取得による支出161百万円、生徒配置システムや請求基盤システムの構築に係る無形固定資産の取得による支出572百万円、敷金及び保証金の差入による支出48百万円などによるものであります。
前連結会計年度と比較しますと、有形固定資産の取得や敷金及び保証金の差入による支出の減少などにより、212百万円増加しております。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は1,410百万円となりました。
これは、配当金の支払いによるものであります。
(4) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表及び当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表及び財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表及び財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第一部 第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第一部 第5 経理の状況 2財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、運転資金に加え、教室の新規開校への投資、ソフトウェア開発費用、成長分野への事業投資などがあります。これらの資金需要に対して、主に自己資金を充当していく方針でおります。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は7,103百万円となっており、当社グループの事業活動を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。尚、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載した新規教室の設備投資を予定しておりますが、自己資金により賄っていく予定であります。
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