(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績及び財政状態の状況
a.全般の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、依然として経済活動が大きく抑制され、先行きが不透明な状態が続いております。
このような環境の中で、当社グループは、『「人の想い」と「お金」をつなぎ新しい世界を創る』ことを目指し、6つの事業領域の成長戦略に取り組んでまいりました。
新たな事業領域の開拓に向けた事業投資としましては、グループ横断での取組みにより、グループシナジーの最大化に向け注力してまいりました。
[スタートアップ企業への投融資]
創業期~成長期のスタートアップ企業がかかえる様々な「悩み」に対し、デット(融資)とエクイティ(出資)双方のアプローチによる柔軟なファイナンスプランの提供を行っております。2021年8月には、第1号案件として、ジェンダーレス社会の実現を目指すオイテル株式会社とNexus Card株式会社が極度枠融資契約を締結しております。
[エンタメ・コンテンツ領域への投資]
映画や音楽など、様々なテーマのエンタメ・コンテンツに対して投資を行うことにより、新たな企画の立ち上げや海外アーティストの日本進出などの応援を行っております。2021年9月には、第1号案件として、新鋭男性韓国アイドルグループ「BLACK LEVEL」の日本専属マネジメント契約を締結し、日本の芸能活動をサポートしております。
当連結会計年度の業績につきましては、2020年11月に連結子会社化した2社の業績を年間を通じて計上したことにより、営業収益22,075百万円(前年同期比469.7%増)と大幅な増収となり、このうち国内営業収益は694百万円、海外営業収益は21,380百万円となっており、海外比率は96.9%です。
利益につきましても、営業利益4,522百万円(前期の営業利益375百万円)、経常利益4,524百万円(前期は経常利益358百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益3,686百万円(前期の親会社株主に帰属する当期純損失82百万円)と大幅な増益となりました。
b.事業セグメント別の状況
(a)Fintech事業
Fintech事業は「国内エリア」「海外エリア」に区分しております。
<国内エリア>
国内エリアは、Nexus Card株式会社がキャッシュレスサービスをテーマに在留外国人及び国内個人向けのデポジット型クレジットカード、個別信用購入あっせん業並びにスタートアップ企業をはじめとした法人向けの資金調達支援サービスを展開しております。
デポジット型クレジットカードにつきましては、2021年5月1日の商号変更を機に、新たに刷新した「Nexus Card」のブランド認知度向上と新規利用者の獲得を図る為、現在先行投資段階にあり、Web広告やSNS広告などを中心に積極的なプロモーション活動を実施してまいりました。
その他、セキュリティー向上の為、より安全なサービス提供を実現すべく、本人認証サービス(3Dセキュア対応)を2021年9月17日より導入いたしました。
個別信用購入あっせん業におきましては、既存加盟店との連携の強化に加え、新規加盟店獲得に向けた営業活動に注力してまいりました。その結果、新たに16社の新規加盟店の獲得を図れているものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により主要加盟店における取扱高及び債権残高は減少しております。
また、新たなサービスとして開始したスタートアップ企業をはじめとした法人向け資金調達支援サービスにおきましては、第1号案件としてジェンダーレス社会の実現を目指すオイテル株式会社と極度枠融資契約を締結しております。
以上の結果、国内エリアの営業収益449百万円(前年同期比41.6%増)、営業損失139百万円(前期の営業損失は78百万円)となりました。
<海外エリア>
海外エリアは、JT親愛貯蓄銀行株式会社が韓国において貯蓄銀行業を展開しております。
韓国国内における総量規制や上限金利規制をはじめとした金融業圏の貸付規制強化が継続される中、徹底した顧客分析により優良企業向けの無担保貸付や、有価証券投資及び中金利帯の個人向け無担保貸付を中心に新規貸付が増加したことにより、同社の2021年12月末貸付残高は212,857百万円と堅調に推移いたしました。
その結果、当事業年度末には成長性、収益性、健全性の全ての面において当初の事業計画目標を達成いたしました。2022年12月期にもコロナ禍の長期化及び金融規制の強化が続くと予想されますが、先制的なリスク管理で健全性を向上するとともにサステナブルな成長に向けて運営の効率化を図り、収益性を確保することに注力してまいります。
また、Fintech技術を活用した金融事業の競争力強化を図るべく、消費者貸付システムフレームワーク及び対外連携システムの高度化、情報系報告書(MIS、EIS)システムの高度化、老朽化したセキュリティーシステム(ファイアウォール、本店/支店VPN装備)の交換、サーバー及びネットワークアカウント管理システムの構築、マイデータ参加機関サービスの構築、デジタル窓口業務の構築、非対面自動貸付サービスの活性化、ワンストップ書類提出サービスの開始などによる貸付申込及び審査の効率化・高度化をはじめ、安定したシステム運営とシステムセキュリティーの強化に向けて継続的なIT投資を行ってきております。
以上の結果、海外エリアの営業収益は21,380百万円(前年同期比551.0%増)、営業利益5,146百万円(前年同期比632.6%増)となりました。
これらの結果、Fintech事業の業績は、セグメント営業収益21,830百万円(前年同期比506.1%増)、セグメント利益5,007百万円(前年同期比702.8%増)となりました。
(b)ITソリューション事業
ITソリューション事業は「ミドルウェアソリューション」「システム開発ソリューション」に区分しております。
<ミドルウェアソリューション>
ミドルウェアソリューションでは、主力製品である「Fast Connector」シリーズを中心に、DX化におけるサーバー更改を行う企業様にアプローチを行い、新規顧客の獲得に注力いたしました。その結果、DBデータ連携ソフトウェア「Fast Connector」につきましては中堅電機会社等からライセンスの新規受注を獲得いたしました。
また、以前より取り組んでおりますバージョンアップ(IoT対応)に対しては、業務用ハンディ端末を取り扱っている大手メーカーのご協力により、Windows 10 IoT Enterpriseに対応した機器の提供を受け、対応版をリリースする準備に入りました。引き続きWindows 11並びにAndroidの最新版に対してのバージョンアップにも対応してまいります。
その他、保守サポートの年間契約につきましても、堅調に推移をしております。
今後につきましては、「Fast Connector」シリーズの各製品に対して、最新のOS並びにデータベースにも対応したバージョンアップ等を行い、製品の信頼性を上げ更なる新規顧客の獲得に向け注力してまいります。
<システム開発ソリューション>
システム開発ソリューションでは、コロナ禍の状況においても企業の底堅いIT投資を背景に堅調に受注を獲得しております。
システム開発案件に関しましては、業務効率化支援システムにおいて大手建設コンサルタント等からの新規受注を獲得いたしました。
既存顧客につきましては、大手印刷会社向け画像データ・アーカイブ・システム改修、及び医療系統計システム開発を受注いたしました。
また、景気の影響を受けにくい運用保守案件におきましては、順調に継続的受注が積み上がり、堅調に推移をしております。
プラットフォーム開発につきましては、2021年5月14日付「当社連結子会社によるシステム共同販売のお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、不動産投資型クラウドファンディングシステム(gro-funding pro)のライセンス販売を開始し、新規受注を獲得いたしました。
その他、プラットフォーム開発案件へのリソース集中に伴い営業費用が拡大しておりましたが、当該案件は2021年11月にシステムのローンチを行っております。
なお、2021年当初よりリソース集中に伴い、新規受注の獲得が減少しておりましたが、システムをローンチしたことにより、今後は新規受注獲得に向け注力してまいります。
以上の結果、ITソリューション事業の業績は、セグメント営業収益184百万円(前年同期比16.4%減)、セグメント利益20百万円(前年同期比52.4%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、18,447百万円(前連結会計年度末残高は10,268百万円)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその主な増減要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は、13,374百万円(前連結会計年度は1,452百万円の獲得)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が5,252百万円と前年同期に比べ5,031百万円の改善となりましたこと、営業貸付金の増加額32,535百万円による資金の減少、及び銀行業における預金の増加額42,003百万円による資金の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、5,279百万円(前連結会計年度は10百万円の獲得)となりました。
これは主に、有価証券の取得による支出8,390百万円による資金の減少、有価証券の償還による収入2,915百万円による資金の増加、及び貸付金の回収による収入1,400百万円による資金の増加等があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、160百万円(前連結会計年度は87百万円の使用)となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出767百万円による資金の減少及び株式の発行による収入722百万円による資金の増加等があったためであります。
(3) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.Fintech事業及びその他においては、生産活動を行っておりません。
3.金額は、製造原価によります。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.金額は、販売価格によります。
3.ITソリューション事業以外の事業セグメントにおいては、金融業及びテナント賃貸業を行っているため記載しておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.外部顧客への営業収益のうち、連結損益計算書の営業収益の10%以上を占める相手はおりません。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する記載は、本書提出日現在において入手可能な情報に基づき、当社が判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。当社グループの経営陣は、連結財務諸表の作成に際して、決算日における資産・負債の報告値及び報告期間における費用の報告値に影響を与える見積り及び仮定設定を行う必要があります。経営陣は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表を作成するにあたって用いた会計上の見積もり及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積もり)」に記載しております。
a.資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における総資産は、261,283百万円(前連結会計年度末比48,916百万円増)となりました。
流動資産は、256,059百万円(前連結会計年度末比48,374百万円増)となりました。これは主に現金及び預金が28,289百万円(前連結会計年度末比9,441百万円増)、銀行業における有価証券が20,945百万円(前連結会計年度末比5,911百万円増)、営業貸付金が213,083百万円(前連結会計年度末比35,637百万円増)となったこと等によるものであります。
固定資産は、5,223百万円(前連結会計年度末比541百万円増)となりました。これは主に有形固定資産が2,296百万円(前連結会計年度末比87百万円減)、無形固定資産のうち、のれんが14百万円(前連結会計年度末比6百万円減)、ソフトウェアが514百万円(前連結会計年度末比51百万円減)、投資その他の資産のうち、差入保証金が700百万円(前連結会計年度末比195百万円減)及び出資金が1,147百万円(前連結会計年度末比805百万円増)によるものであります。
流動負債は、229,543百万円(前連結会計年度末比43,731百万円増)となりました。これは主に銀行業における預金が224,165百万円(前連結会計年度末比46,448百万円増)、匿名組合預り金が前連結会計年度末に比して1,240百万円減少したこと等によるものであります。
固定負債は、2,622百万円(前連結会計年度末比247百万円増)となりました。これは主にリース債務が929百万円(前連結会計年度末比167百万円減)、長期預り保証金が323百万円(前連結会計年度末比210百万円増)、繰延税金負債が526百万円(前連結会計年度末比297百万円増)となったこと等によるものです。
純資産は、29,116百万円(前連結会計年度末比4,938百万円増)となりました。
セグメント別の経営成績の状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績及び財政状態の状況」に記載しております。
a.営業収益
当連結会計年度における営業収益は22,075百万円(前連結会計年度は3,874百万円)となりました。
b.営業費用、販売費及び一般管理費
当連結会計年度における営業費用は10,709百万円(前連結会計年度は1,901百万円)となりました。
また、販売費及び一般管理費は6,843百万円(前連結会計年度は1,597百万円)となり、営業収益に対する割合は31.00%であります。主な内訳は給料手当2,922百万円、支払手数料807百万円であります。
c.営業利益
当連結会計年度における営業利益は4,522百万円(前連結会計年度は営業利益375百万円)となり、営業収益に対する割合は20.49%であります。
d.営業外収益
当連結会計年度における営業外収益は30百万円(前連結会計年度は5百万円)となり、営業収益に対する割合は0.14%であります。
e.営業外費用
当連結会計年度における営業外費用は28百万円(前連結会計年度は22百万円)となり、営業収益に対する割合は0.13%であります。
f.特別利益
当連結会計年度における特別利益は754百万円(前連結会計年度は11百万円)となり、営業収益に対する割合は3.42%であります。
g.特別損失
当連結会計年度における特別損失は2百万円(前連結会計年度は49百万円)となり、営業収益に対する割合は0.01%であります。
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金の調達につきましては、自己資本を基本としております。
経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
各セグメントにおける取組み及び見通しにつきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
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