業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社及び当社連結法人(以下総称して「当社連結企業集団」)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社連結企業集団の当連結会計年度の売上高は34,524百万円(前年同期比0.0%増)、営業利益は487百万円(前年同期比33.4%増)、経常利益は542百万円(前年同期比5.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は328百万円(前年同期比25.8%増)となりました。

セグメント別の業績は次の通りであります

 

(エージェンシー事業)

当連結会計年度のエージェンシー事業の売上高は25,987百万円(前年同期比4.1%増)、営業利益は776百万円(前年同期比7.1%増)となりました。

「エージェンシー事業」は、当社連結企業集団における広告主様との主要な接点として、営業活動を主に担っております。

当連結会計年度におきましては、セグメント全体での通期売上高は前年同期比から増加いたしましたが、下半期において、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う巣ごもり需要の反動減が徐々に影響を増す一方、東京オリンピックを皮切りに続くと思われた対面経済の回復が緩やかであったことから、同期間の売上高の前連結会計年度比は伸び悩む結果となりました。

一方で、利益率の比較的高い商材の販売が伸長したことから利益率が改善しており、営業利益は増加となりました。今後もインターネット広告市場における成長領域・新商流を適時適切につかみ、グループ経営の相乗効果を発揮することによって、大きな成長を実現すべく事業活動を展開してまいります。

 

(メディア・アドテク事業)

当連結会計年度のメディア・アドテク事業の売上高は10,076百万円(前年同期比6.3%減)、営業利益は494百万円(前年同期比21.8%増)となりました。

「メディア・アドテク事業」は主に、当社連結企業集団におけるアドテクノロジー商材・自社メディアの開発及びメディア様とのリレーション構築の要となっております。当事業においては自社開発のスマートフォン向けアドネットワーク「AkaNe」、コンテンツを活用した集客やブランディングのニーズに高度で適切な配信を実現する、コンテンツ集客に特化した広告配信プラットフォーム(DSP)「ReeMo」を主要商材として、総合的なマーケティングプラットフォームを提供しております。

当連結会計年度におきましては、商材ミックスの変動により、売上高は前年同期比で減少となる一方、セグメント利益については粗利益施策を行ったことから利益率の向上が図られ、増加しました。第3四半期連結会計期間に実施した自社の広告審査基準の厳格化が売上高にマイナスの影響を及ぼしたものの、足許では緩やかに回復しつつあります。

引き続き市場のニーズをとらえた商品開発・提供を行い、当事業の成長に注力してまいります。

 

当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次の通りであります。

 

(流動資産)

当社連結企業集団の当連結会計年度末の流動資産は9,633百万円(前連結会計年度末は8,771百万円)と861百万円の増加となりました。主な要因は、関係会社預け金を長期から短期を振り替えたことにより860百万円(前連結会計年度末は零)と860百万円の増加、受取手形及び売掛金が3,877百万円(前連結会計年度末は3,671百万円)と205百万円増加した一方で、現金及び預金が4,714百万円(前連結会計年度末は5,011百万円)と296百万円減少したこと等によるものであります。なお、関係会社預け金はGMOインターネットグループ全体で資金運用を行うために導入しているキャッシュマネジメントシステム(CMS)を利用しているものであります。

 


(固定資産)

固定資産につきましては1,997百万円(前連結会計年度末は3,125百万円)と1,128百万円の減少となりました。主な要因は、長期から振り替えたことにより関係会社長期預け金が零(前連結会計年度末は860百万円)と860百万円の減少、投資有価証券が707百万円(前連結会計年度末は1,035百万円)と328百万円減少した一方で、無形固定資産その他が124百万円(前連結会計年度末は69百万円)と55百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、総資産は11,631百万円(前連結会計年度末は11,897百万円)と266百万円の減少となりました。

 

(流動負債)

流動負債につきましては5,922百万円(前連結会計年度末は5,823百万円)と99百万円の増加となりました。主な要因は、未払消費税等が158百万円(前連結会計年度末は101百万円)と57百万円増加した一方で、未払法人税等が58百万円(前連結会計年度末は121百万円)と62百万円の減少、未払金が362百万円(前連結会計年度末は369百万円)と6百万円減少したこと等によるものであります。


(固定負債)

固定負債につきましては502百万円(前連結会計年度末は692百万円)と189百万円の減少となりました。主な要因は、固定負債その他が329百万円(前連結会計年度末は489百万円)と160百万円減少、繰延税金負債が23百万円(前連結会計年度末は47百万円)と24百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は6,425百万円(前連結会計年度末は6,515百万円)と90百万円の減少となりました。

 

(純資産)

純資産合計につきましては5,205百万円(前連結会計年度末は5,381百万円)と175百万円の減少となりました。主な要因は、利益剰余金の増加196百万円(親会社株主に帰属する当期純利益の計上により328百万円の増加、配当金の支払いにより131百万円の減少)、自己株式の増加142百万円、その他有価証券評価差額金の減少237百万円を計上したこと等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当社連結企業集団の当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて296百万円減少し、4,714百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金は195百万円の増加(前連結会計年度は1,233百万円の増加)となりました。主な増加要因としては、税金等調整前当期純利益565百万円、減価償却費135百万円、未払又は未収消費税等の増減額69百万円等によるものであります。一方、減少要因としては、法人税等の支払額242百万円、預り保証金の増減額160百万円、売上債権の増減額129百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金は206百万円の減少(前連結会計年度は53百万円の増加)となりました。主な増加要因としては、投資事業組合からの分配による収入62百万円、投資有価証券の払戻による収入59百万円等によるものであります。一方、減少要因としては、無形固定資産の取得による支出206百万円、投資有価証券の取得による支出125百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金は285百万円の減少(前連結会計年度は326百万円の減少)となりました。主な減少要因としては、自己株式の取得による支出164百万円、配当金の支払額131百万円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績の状況

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

エージェンシー事業

21,386,270

102.6%

メディア・アドテク事業

6,982,537

90.1%

合計

28,368,807

99.2%

 

(注)  1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 2.金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

エージェンシー事業

25,772,718

103.7%

メディア・アドテク事業

8,824,746

91.0%

合計

34,597,464

100.1%

 

(注)  1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 2.金額には、消費税等は含まれておりません。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

エージェンシー事業

25,553,299

102.8%

メディア・アドテク事業

8,971,332

92.9%

合計

34,524,631

100.0%

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下の通りです。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

  至 2020年12月31日

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

  至 2021年12月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

GMOインターネット株式会社

5,857,303

17.0

4,516,256

13.1

 

 3.金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社連結企業集団の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社及び当社連結法人(以下総称して「当社連結企業集団」)が判断したものであります。当社連結企業集団は、事業基盤の確立のため、以下の取り組みを重点課題とし、企業体制の強化を進めてまいります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 

当社連結企業集団の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 

この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の認識に影響を与える見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は異なる場合があります。

当社では、特に以下の重要な会計方針が、当社連結企業集団の連結財務諸表等の作成における見積もりや仮定により重要な影響を受ける可能性があるものと考えております。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

② 連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財務状態の分析

当連結会計年度末の財政状態は、流動資産9,633百万円、固定資産1,997百万円、流動負債5,922百万円、固定負債502百万円、純資産5,205百万円となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。

 

b. 経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は、エージェンシー事業において25,987百万円(前年同期比4.1%増)、メディア・アドテク事業において10,076百万円(前年同期比6.3%減)であり、34,524百万円(前年同期比0.0%増)となりました。

当連結会計年度におきましては、前連結会計年度より発生した新型コロナウイルス感染拡大の影響が、引き続き経済全体に顕れることとなり、当社連結企業集団においても、感染の拡大状況や政府対応によって、一部の顧客向けの取引増減が一応一来となるなど、一定の影響が見られました。また、昨年来続いていた外出自粛等による「巣ごもり需要」の高まりは一服しており、インターネット上でサービスが簡潔するEC等のウェブプラットフォームの運営を主体とする業種においては広告予算の縮小といった動きがみられるなど、前連結会計年度に引き続き、これまでの経済状況、市況見通しが通用しない特殊な状況が継続しておりました。

一方で、ウェブサイトへの接触時間は引き続き高止まり傾向にあったことから、メディア・アドテク事業においては、一部アドテク商材の売上増加、メディア売上の増加といった面も見られ、総じて外部環境が当社業績へ一定の影響をおよぼしたものの、総合インターネット広告サービスとして幅広い事業ポートフォリオを展開してきたことが奏功し、前年同期比と同水準で推移したものと分析しております。

 

売上原価は、売上高と連動する形で推移をしておりますが、商材ミックスがやや変動し、利益率の高い商材が増加したことから、28,368百万円(前年同期比0.8%減)と、微減となりました。エージェンシー事業においては成果報酬型広告が堅調に推移した他、自社アドテク商材・媒体売上が堅調に推移したことから、利益率に若干の改善がみられました。

また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より、在宅勤務などによる働き方の変革によるオフィス利用の効率化や、遠隔コミュニケーションツールを通じた営業活動の拡がりなど、「ニューノーマル」な事業環境に対応し、最適化と費用対効果による検証をすすめてまいりました。当連結会計年度においては、コミュニケーションツールの入替えや、前連結会計年度に比べて出社率がやや増加したことなどから関連費用がやや増加した他、定期昇給などによる人件費の増加を中心とした要因により、5,568百万円(前年同期比1.8%増)となりました。

売上原価、販売費及び一般管理費については、引き続き費用対効果の検証を継続し、利益率の向上に努めてまいります。

 

営業利益は、前段記載の要因により、エージェンシー事業において776百万円(前年同期比7.1%増)、メディア・アドテク事業において494百万円(前年同期比21.8%増)となり、487百万円(前年同期比33.4%増)となりました。

 

経常利益は、542百万円(前年同期比5.4%減)となりました。当連結会計年度においても、当社が出資をしているベンチャーファンド等の投資事業組合運用益が計上されておりますが前年より大きく減少している事から、営業利益の伸長に反して経常利益は前年同期比で微減となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純利益は、328百万円(前年同期比25.8%増)となりました。前連結会計年度において投資有価証券に対して投資有価証券評価損を計上したことなどが影響しております。

 

なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響は2022年度12月期にも一定程度残るものと見込んでおり、具体的にはエージェンシー事業における一部顧客の広告需要の低迷や、メディア・アドテク事業におけるウェブサイトの接触時間の増加に伴うアドテク商材等への売上影響などは継続するものと見込んでおります。

一方で、新規顧客へのリレーション創出や自社サービスの拡充など、事業拡大に向けた事業活動に加え、社内制度や社内環境の整備、業務効率化に努め、いわゆる「ニューノーマル」な市場環境においても、継続的な成長と収益の創出を目指してまいります。

 

「経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」として位置付けている営業利益率については、当連結会計年度においては1.4%となり、前連結会計年度の1.1%と比較して増加する結果となりました。

 

c. キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、投資活動・財務活動における現金支出が超過となり、4,714百万円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは195百万円と継続して増加しておりますが、投資活動において、主に社内開発にかかる無形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出が主な要因となり、投資活動によるキャッシュ・フローが206百万円の減少となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローについても、当連結会計年度の9月に実施をした「自己株式を活用した第三者割当による第7回新株予約権」に充当する目的で自己株式を取得したこと等により、285百万円の減少となりました。

集計単位ごとの詳細は「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

当社連結企業集団においては、営業活動によるキャッシュ・イン・フローを投資活動および財務活動によるキャッシュ・アウト・フローに転換し、財務の健全性を保ちながら、自社事業への資本投入による内部成長及びM&Aや業務提携を通じた外部成長の取り込みを行い、収益基盤の安定化と株主還元・株主価値の最大化を円滑かつ効率的に行っております。

また、GMOインターネットグループ全体で資金運用を行うために導入しているキャッシュマネジメントサービス(CMS)の利用に加え、取引銀行をはじめとした金融機関等の外部資金の調達手段の確保により、資金需要の変動に柔軟に対応する体制を整えております。

 

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