事業等のリスク

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)システムリスクについて

当社グループでは、Eコマースビジネス等に向けて決済プラットフォームを提供する㈱DGフィナンシャルテクノロジー及び㈱イーコンテクスト、インターネット価格比較サイトである「価格.com」を企画・運営する㈱カカクコム、法人間での暗号資産の相対取引向けの、即時決済サービスを提供する㈱Crypto Garage等、ユーザーに対して一定のサービスを提供するため、コンピュータシステムを構築しております。当社グループでは、システムリスクを回避するために、設備投資、セキュリティ対策、運用技術者教育の充実等の諸施策を実施しておりますが、ハードウェア・ソフトウェアの不具合、人為的ミス、通信回線の障害、コンピュータウィルス、サイバーテロのほか、自然災害等によりシステム障害が発生した場合、又は適切な対応ができなかった場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

(2)顧客情報のセキュリティについて

当社グループの事業にとって、顧客データの不正取得や改変等による被害の防止は極めて重要であります。当社グループにおいては、厳重な顧客情報管理のルールに基づいて、十分なセキュリティ対策を講じておりますが、今後、万が一何らかの理由により顧客情報が外部漏洩した場合は、社会的信用問題や損害賠償等の発生から、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

(3)法的規制の可能性及び影響について

当社グループの事業においては、「資金決済に関する法律」「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」「金融商品取引法」「不正競争防止法」「個人情報の保護に関する法律」等の各種法令による規制を受けているほか、監督官庁の指針、ガイドライン等を踏まえた対応を行っております。これらの法令の制定や改正、新たなガイドライン等や自主規制ルールの策定又は改定等が行われることにより、当社グループの事業の一部が制約を受けた場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。当社グループでは、弁護士や外部諸団体を通じて、コーポレート本部を中心とする関係部署が事業に係る法的規制の導入・改廃に関する情報収集と対応を行っておりますが、当社グループの事業領域である、電子商取引(EC)・インターネットに関連する規制、決済代行事業に関する規制等の制定により、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

(4)知的財産権について

当社グループは、ブランドを重要な財産と考え、積極的に商標権を取得しております。また、独自に開発したシステムや共同開発したシステムあるいはビジネスモデルに関しても、特許権等の対象となる可能性があるものについては積極的に出願しております。当社グループは、第三者が保有する商標権、特許権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払い、知的財産権専門の弁護士や弁理士に随時相談する等の対策を行っております。

ただし、第三者が保有する特許権、実用新案権、商標権、著作権等の知的財産権がインターネット関連事業その他当社グループの事業にどのような影響を与えるのかを網羅的かつ正確に想定することは困難であり、当社グループの事業に関連する技術等に関わる特許権等を第三者が取得していた場合、また当社グループが認識していない特許権等が発生している場合に、特許権侵害等により当社グループが損害賠償義務を負う可能性や当該特許権等に係る技術等について使用を継続できなくなる可能性があります。これらの場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

また、当社グループに他社の保有する特許権等の使用が認められた場合においても、ロイヤリティーの支払い等により、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

(5)訴訟の可能性について

当社グループは顧客からの案件の受注に際し、その契約において免責条項を設けておりますが、当初予想し得ないトラブルの発生等による訴訟のリスクが考えられます。また、前述した特許権等の知的財産権の侵害等が成立した場合には、これによる訴訟のリスクがあるものと考えております。当社グループでは、「コンプライアンス・プログラム」を策定し業務の運営を行うことで、法令違反などの発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、顧客や第三者等との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。かかる訴訟が発生した場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

(6)市場環境の変化について

当社グループが展開するマーケティングテクノロジー事業におきましては、景気動向の変動により広告主が広告費用を減少させる等、景気動向の影響を受けやすい傾向にあります。また、フィナンシャルテクノロジー事業におきましては、昨今Eコマース市場が拡大を続けているものの、個人消費動向の変化等により、今後市場が停滞する可能性があります。このような環境のもと、当社の企業価値を中長期的に向上させる取り組みとして、2021年3月期を初年度とする中期経営計画を策定致しました。しかしながら、景気動向や個人消費動向の変動に伴い市場環境が大きく変化した場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

(7)資金調達リスクについて

当社グループは、金融機関からの借入や転換社債型新株予約権付社債の発行等による資金調達を行っており、加えてコミットメントライン等の活用により十分な流動性を確保し、安定資金の確保に努めております。金融市場環境の急激な変化があった場合や当社グループの業績悪化等が発生した場合、取引先金融機関の貸出姿勢が消極化すること等の恐れがあり、当社グループの財政状態に重大な影響を与える可能性があります。また、当社グループは、資金調達手段の多様化等により金利変動リスクの軽減を図っておりますが、将来の金融市場環境及び金利の動向によっては資金調達コストの上昇を招く可能性があり、当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を与える可能性があります。

(8)競合について

当社グループはインターネットビジネスの総合プロデュース企業として、インターネット広告等のウェブマーケティングを行うマーケティングテクノロジー事業及びEコマース決済ソリューション等を提供するフィナンシャルテクノロジー事業を行っております。これら各事業には多くの競合他社が存在しており、今後も新規参入者が増加するものと考えております。

今後も当社グループはインターネット関連業務について技術面、情報面等の強化を図って参りますが、なお一層の競争激化等により価格競争や広告宣伝費等の費用増加も考えられ、その場合には当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

また、インターネット関連分野においては、技術の進歩が目覚しく、技術革新による競争力を有した競合他社の出現により、当社グループの将来の競争力が低下する可能性があります。

新たに開発・投資を行う新規事業等におきましても、他社との競合や事業環境の急速な変化等により計画通りに進捗しない場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

(9)決済代行事業に係るシステム依存について

当社グループの決済代行事業においては、NTTデータ㈱の提供するCAFIS(Credit And Finance Information Switching system)及び㈱日本カードネットワークが提供するカードネットオンラインセンター等のカード決済ネットワークやコンビニエンスストア各社のKIOSK端末等と当社のシステムを連携することにより、サービスを提供しております。当社グループは、通信ネットワーク・システムの二重化及び適切なセキュリティ手段等により、障害回避のための取り組みを講じておりますが、今後これらのネットワークやシステムへの障害発生を回避できなかった場合、又はその仕様変更等により多額の対応費用が発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

(10)インキュベーションテクノロジー事業に係る投資について

①  ベンチャー企業及び再生企業への投資について

当社グループは投資を伴う事業育成として、インキュベーションテクノロジー事業を行っております。当事業の投資先は、いわゆるスタートアップ企業や企業再生のためのリストラクチャリングを必要とする企業が含まれます。当社グループでは、投資先選定にあたり専門知識を有するメンバーで構成する会議体にて慎重に検討し、投資実行後も投資先における事業の成長と企業価値の向上に関与する等により、極力リスクを回避しておりますが、これらの企業は、その将来性において不確定要因を多々含んでおり、国内外の景気動向、インターネット等に係る技術革新、株式市場の変化等により、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

②  業績の変動について

IFRSの適用に伴い、インキュベーションテクノロジー事業における営業投資有価証券の公正価値評価変動による損益が当社グループの業績に与える影響が大きくなっております。当事業の業績は、投資先企業の成長状況、並びに経済環境や新規公開を含む株式市場全般の動向等に大きく影響を受け、これら当社グループのコントロールの及ばない外部要因が当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。また、当社グループは主に米国やアジア等での投資活動により外貨建の営業投資有価証券を保有しており、外国為替相場の変動による損益が当社グループの業績に与える影響が大きくなっております。当社グループは、為替相場変動リスクを軽減する手段を必要に応じて講じておりますが、急激な為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度末において、外貨建の営業投資有価証券は、営業投資有価証券残高の約83%(米ドル建約76%、インドルピー建約7%)となっております。

(11)グループ体制について

当社グループは、Eコマース決済ソリューション等の提供を行う「フィナンシャルテクノロジー事業」、インターネットとリアルを融合した総合的なデジタルマーケティングや様々なデータを活用したデータマーケティングビジネスを行う「マーケティングテクノロジー事業」、国内外のベンチャー企業への投資及び当社グループ内の事業との連携による投資先の育成等を行う「インキュベーションテクノロジー事業」、㈱カカクコムに加え提携先との合弁会社の設立等を通じて長期的かつ継続的な事業利益の創出を目指す「ロングタームインキュベーション事業」を主な事業としております。

当社はグループ連邦経営を標榜し、グループ管理体制の確立を日々推進しておりますが、事業領域が多岐にわたるため、当社グループを取り巻く事業環境が急速に変化した場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、事業拡大を加速させるために企業買収等を実施することがありますが、事業環境の悪化等により当初想定していた成果やシナジーが得られない場合、又は買収先企業の企業価値が大きく下落した場合等には、のれんの減損損失が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

(12)特定の人物への依存について

当社設立以来、最高経営責任者である林郁は、インターネットビジネスの先駆者であり、かつ多種多様なネットワークを持つことから、これまでの事業展開においても大きな影響を与えて参りました。当社グループの重要な業務推進原動力となっており、今後も当社グループの業務を展開していく上で、林郁に負うところは大きいものと思われます。このため当社グループでは林郁に過度に依存しない経営体制の構築に努めておりますが、現時点では林郁が退任するようなこととなった場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

(13)人材の流動化及び人材の確保について

当社グループは、業容の拡大に伴い、今後も積極的に優秀な人材の採用を予定しておりますが、当社グループの計画に沿った採用ができない場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

また、当社グループでは福利厚生の充実を図り、役職員にインセンティブを付与するなど人材の確保に努めておりますが、当社グループの役職員が流動化する、あるいは人材確保のために人件費等が増加する可能性もあり、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

(14)自然災害等について

当社グループは、自然災害、火災、感染症の流行等に対する損害を最小限にするための危機管理体制を重要なものと位置付けておりますが、大規模な自然災害等が発生した場合は、当社グループの事業所等が直接被害を受け、事業の遅延、中断等が生じることにより、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。特に、新型コロナウイルス感染症に関し、当社グループは緊急対策室を設置してガイドラインを策定し、適宜ガイドラインの見直しを実施しております。新型コロナウイルス感染症のリスクについては、当社業績への影響は限定的でしたが、今後新型コロナウイルス感染症の経済社会に対する影響が拡大し、長期化する場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

これらのリスクに対するリスク管理体制を「第4  提出会社の状況  4  コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり整備してリスクマネジメントを行っているほか、リスク発生の可能性を認識した時点で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めて参ります。

 

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