業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種率が高まり、景気は持ち直しの動きが見られましたが、変異株による感染再拡大に加え、ウクライナ情勢に起因する原材料価格の上昇や金融資本市場の変動などの下振れリスクが懸念される先行き不透明な状況が続いております。

情報サービス業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけとしたテレワーク環境の整備などの需要増に加え、企業の情報システム投資も堅調に推移しております。

このような事業環境の下、当社グループは、当連結会計年度を次期中期経営計画(2022年度~2024年度)に向けた準備期間と位置付け、単年度計画の下で、「JFEスチール製鉄所システムリフレッシュの遂行」、「ソリューション事業の拡大」、「基盤サービス事業の拡大」を中心とした主要課題に取り組んでまいりました。

2022年3月にJFEスチール株式会社が発表しました同社の本社基幹システムのオープン環境への完全移行につきまして、当社はこれを全面的に支援いたしました。4,000万STEPを超える大規模な基幹システムのオープン環境への完全移行は日本初の事例であり、このノウハウを蓄積することで、当社の技術力の更なる向上を目指すとともに、今後の同社の製鉄所・製造所の基幹システムの刷新、全社完全オープン化にも引き続き、積極的に寄与してまいります。

また、同月、当社は健康経営優良法人(大規模法人部門)に認定されました。当社は社員の健康増進を重要な経営課題の一つに位置づけ、「All Well --- 社員も会社もみんな健康」をキャッチフレーズに、社員の健康保持・増進に向けた各種取り組みを継続していることなどが評価され、5年連続の認定となりました。

当社は2022年度からの次期中期経営計画においても、技術力・商品力と人材力を軸とした事業運営を指向し、更なる成長・拡大を目指してまいります。

当連結会計年度の営業成績につきましては、JFEスチール製鉄所システムリフレッシュの進展、ソリューション事業の拡大などにより連結売上高は前期比3,927百万円(8.5%)増の50,395百万円、営業利益は前期比943百万円(20.2%)増の5,609百万円、経常利益は前期比946百万円(20.1%)増の5,644百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比638百万円(20.7%)増の3,724百万円となりました。
 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは5,156百万円の入金超過となりました(前期比934百万円入金超過額減)。営業活動によるキャッシュ・フローの源泉としては税金等調整前当期純利益が5,644百万円と高水準であったことが主たる要因ですが、一方で売上債権の増減額が△1,655百万円と前期に比べ1,450百万円のキャッシュ・フローの減少要因となっていることから、入金超過額は前期に比べて減少する結果となっております。

投資によるキャッシュ・フローは1,650百万円の支払超過となりました(前期比555百万円支払超過額増)。これは固定資産の取得による支出が前期比増加していることが主な要因です。

これらを合計したフリー・キャッシュフローは3,505百万円の入金超過となりました(前期比1,489百万円入金超過額減)。このフリー・キャッシュフローを使い、配当金の支払972百万円(非支配株主への配当額29百万円を含む)とリース債務の返済853百万円を行ったこと等により、財務活動によるキャッシュ・フローは1,825百万円の支払超過(ほぼ前期並み)となりました。

その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は期首残高に比べ、1,680百万円増の15,960百万円となりました。

 

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

イ 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

情報サービス

39,755,523

+8.2

合計

39,755,523

+8.2

 

(注)1 上記金額は製造原価で記載しております。

2 当社の報告セグメントは情報サービス単一セグメントであります。

 

ロ 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

情報サービス

53,410,181

+18.9

17,565,063

+20.7

合計

53,410,181

+18.9

17,565,063

+20.7

 

(注)1 当社の報告セグメントは情報サービス単一セグメントであります。

2 「受注残高」の「前年同期比」は、前年度の受注残高を未認識履行義務に相当する値に変換したものと比較しています。

 

ハ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

情報サービス

50,394,813

+8.5

合計

50,394,813

+8.5

 

(注)1 当社の報告セグメントは情報サービス単一セグメントであります。

2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

JFEスチール株式会社

20,650,302

44.4

23,968,849

47.6

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析

イ 経営成績

(金額単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

金額

比率

売上高

46,468

50,395

3,927

8.5%

売上総利益

10,324

11,475

1,151

11.2%

(売上総利益率)

22.2%

22.8%

 

 

営業利益

4,666

5,609

943

20.2%

(売上高営業利益率)

10.0%

11.1%

 

 

経常利益

4,698

5,644

946

20.1%

(売上高経常利益率)

10.1%

11.2%

 

 

親会社株主に帰属する当期純利益

3,086

3,724

638

20.7%

(親会社株主に帰属する当期純利益率)

6.6%

7.4%

 

 

総資産

36,129

39,343

3,215

8.9%

負債合計

15,055

15,486

431

2.9%

純資産

21,074

23,857

2,784

13.2%

自己資本比率

56.4%

58.7%

 

 

 

売上高につきましては、鉄鋼向け事業、一般顧客向け事業、基盤事業の主要事業全てが増収となり、子会社売上の会計基準変更に伴う減収を大きく上回り、前期比8.5%増の50,395百万円となり、過去最高額を計上しました。

経常利益につきましては、売上高の増加に起因する増益及び生産性の改善に伴う利益率の向上が、販管費の増加による減益を大きく上回り、前期比20.1%増の5,644百万円と売上高と同様に過去最高額を計上しました。この結果、売上高経常利益率は前期比1.1ポイント増の11.2%となっております。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期比20.7%増の3,724百万円となりました。

ロ 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、堅調な業績を背景とした売上債権等の増加を主因として、前期比3,215百万円増(8.9%増)の39,343百万円となりました。

負債合計は、リース債務の減少により固定負債が減少する一方、買掛金や未払費用等の増加により流動負債が増加したことにより、前期比431百万円増(2.9%増)の15,486百万円となりました。

純資産は、剰余金の配当に伴う減少を、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う増加が上回ったことを主因に、前期比2,784百万円増(13.2%増)の23,857百万円となりました。

 

 

② 資本の源泉及び資金の流動性に係る情報

イ キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動により得られたキャッシュ・フローは堅調な業績を背景に直近2期に次ぐ高水準の5,156百万円の入金超過となりました。過去最高値だった前期からは934百万円減少しております。この高水準の営業活動によるキャッシュ・フローをもたらした主な要因としては、税金等調整前当期純利益が5,644百万円と堅調だったことが第一に挙げられます。一方で利益に対する応分の税金負担として法人税等の支払額が1,737百万円発生し利益によるキャッシュ・フローを一部相殺しておりますが、非資金費用としての減価償却費等の要因もあり、営業活動によるキャッシュ・フローの水準は、前期に引き続き高水準となりました。

投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出1,646百万円を中心に合計1,650百万円の支出となり、前期との比較では固定資産の取得額が増加したことから、555百万円支出額が増加致しました。

以上を合計したフリーキャッシュフローは3,505百万円の入金超過となり、前期との比較では1,489百万円フリーキャッシュ・フローが減少致しました。

このフリーキャッシュフローを使い、リース債務を853百万円返済し、非支配株主への配当金を含む配当金を972百万円支払い、その結果財務活動によるキャッシュ・フローは1,825百万円の支払超過となり、ほぼ前期並みとなりました。

以上により、現金及び現金同等物の期末残高は15,960百万円となり、前期との比較では1,680百万円増加しております。

ロ 資金需要 

当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループにおけるシステム開発に係る人件費、外注費及びシステム製品等の購入に係る費用、並びに販売費及び一般管理費としての人件費及び諸経費であります。一方で、当社の中期経営計画で定めた事業戦略を推進する方法のひとつとしてM&Aも選択肢の一つであると考えており、このような事業投資への資金需要も当社グループの資金需要のひとつであります。

ハ 財務政策

当社グループの資金需要は、システム開発工程において発生する人件費、外注費、システム製品等の購入に係る費用及びその他経費からなる短期運転資金が中心でありますが、それに加えM&A等の事業投資への資金需要もございます。短期運転資金については、発生する費用の回収は売上代金の入金をもって、その多くが完了することになりますが、M&A等の事業投資への資金需要については、通常資金の回収が長期間に亘ることとなるため長期投資資金を確保することが必要となります。

当社グループでは、ここ数年間は短期運転資金及び長期投資資金のいずれも自己資金で賄っており、次期中期経営計画(2022~2024年度)においても資金需要を充たすための資金は営業活動によって得る計画としております。今後も資金需要の充足手段としては自己資金を中心として考えることに変わりはありませんが、将来の当社グループの資金状況や長期投資資金の規模等の状況によっては、外部資金を活用する可能性もございます。

また、当社グループでは、取得した資金の成長投資、手許資金、株主還元への振り分けについて一元的なルールは定めてはおりません。当社が属するIT業界の変化は著しく、3年ごとに定める中期経営計画で策定された経営目標を達成するため、M&A等の事業投資を含む成長投資への資金配分規模はその都度判断を行っております。手許資金については、緊急の資金需要の発生にも対応することができるよう手許流動性の確保に努めております。株主への還元についてはフローの利益を基準としており次期中期経営計画(2022~2024年度)では配当性向35%を目安に利益水準、再投資計画、財政状態を総合的に勘案して決定することを基本方針としております。

 

 

③ 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なもの

イ 関係会社株式及びのれんの評価

連結貸借対照表に掲記しているのれんは、企業・事業買収における当該企業・事業の時価純資産の額を超えた収益力の実現を前提としております。この超過収益力は、当該企業・事業が属するビジネスドメインの成長性及び連結グループ間の相互補完による拡販効果等を見込んだ事業計画をベースに算定しており、この事業計画を想定通りに実行することが内外環境の変化等により困難となり関連する株式等の実質価額が著しく低下した場合には、連結貸借対照表でのれんを減額し、評価差額を認識した事業年度の損失とする可能性があります。

ロ 会計上の見積りにおける新型コロナウイルス感染症拡大の影響

当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症による事業活動の停止等の直接的な影響は生じておらず、今後もその状況に大幅な変化はないものと仮定しております。当社グループではこの仮定に基づき、ソフトウエア開発契約に係る開発原価総額の見積り、繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損会計等の会計上の見積りを適切に行っております。

なお、当社グループの業績は顧客のIT投資等の動向の影響を受けることから、顧客が新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりIT投資を増減する場合にも変動が生じますが、その変動は顧客事情により大きく相違があります。

ハ ソフトウエア開発契約に係る開発原価総額の見積り

ソフトウエア開発契約に係る開発原価総額の見積りは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通り、案件ごとに専門的な知識と経験を有するプロジェクト・リーダーが個別に行っておりますが、「事業等のリスク」において記載したように、開発工程における技術面・品質面等の様々なリスクが存在するため、これらリスクが顕在化した場合に以降の年度の損益に影響を与える可能性があります。

 

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