当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度の売上高は、主に国内求人サイト及び海外事業が順調に回復したことから、54,544百万円(前期比27.7%増)となりました。総費用は、インドのIT派遣事業の増収に伴い原価が増加したこと、求人需要の回復に連動した国内求人サイトへの広告宣伝強化及びengageやAMBIなど注力事業へ広告宣伝費を先行投資したことなどから、44,911百万円(前期比28.5%増)となりました。
これらの結果、営業利益は9,633百万円(前期比24.0%増)となりました。また、投資事業組合の運用益の発生などにより経常利益は10,138百万円(前期比27.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,628百万円(前期比89.3%増)となりました。
(単位:百万円)
① 売上高
売上高は、主に国内求人サイト及び海外事業が順調に回復したことで、前期比 27.7 %増の 54,544 百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、インドのIT派遣事業にて売上高が増加したことに伴い、派遣人員の労務費及び業務委託費が増加し、前期比34.3%増の11,501百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、国内求人サイトやengageの広告宣伝費の増加により、前期比26.6%増の33,409百万円となりました。
③ 営業利益
売上原価、販売費及び一般管理費が増加したものの、売上高が伸長したことにより吸収し、営業利益は前期比 24.0 %増の 9,633 百万円となりました。
④ 経常利益
営業利益の増加に加え、投資事業組合の運用益の発生等から、経常利益は前期比 27.7 %増の 10,138 百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
経常利益の増加に加え、特別損失が前期比で大幅に縮小したこと等から、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比 89.3 %増の 6,628 百万円となりました。
主要な事業の概況
(単位:百万円)
※各事業の売上高合算と連結売上高との差異は、事業間調整及び連結調整等によるものであります。
(国内求人サイト)
国内求人サイトは、コロナ禍により減少した採用需要が、緩やかに回復しました。正社員領域では、採用予算の大きい顧客企業が中心となって掲載単価が上昇、採用再開する顧客企業の増加により求人数が増加いたしました。また専門職・管理職などのハイクラス層の採用需要はコロナ前を超える水準まで高まりました。採用市場全体の需給バランスが徐々に逼迫する中、当社は広告宣伝費を積極的に投資することで求職者の獲得を強化し、売上高は大きく増加いたしました。
これらの結果、国内求人サイトの売上高は前期比35.3%増の29,460百万円となりました。
(国内人材紹介)
ハイクラス層の採用需要が底堅く推移し、売上高は堅調に増加いたしました。若手・ポテンシャル層は、採用需要の急速な高まりを背景に、業種・職種問わず未経験者の採用ニーズが回復してまいりました。当社は営業生産性を高めることで、コロナ前より少ない人員数ながらも、売上高は前年並の水準となりました。
これらの結果、国内人材紹介の売上高は前期比2.8%増の9,649百万円となりました。
(海外事業)
インドはIT派遣をメイン事業としており、コロナ禍の影響も少なく、また世界的なIT需要の高まりもあり、売上高はコロナ前の水準を超えて大きく伸長いたしました。
ベトナムは求人サイト・人材紹介をメイン事業としております。同国の採用需要は緩やかに回復し、伴い売上高も増加いたしました。第3四半期連結会計期間(現地2021年7月から9月)はロックダウンにより一時的な売上高の減少がありましたが、その後は順調に回復しております。
これらの結果、海外事業の売上高は前期比37.0%増の10,975百万円となりました。
(HR-Tech)
「engage」は、総利用社数が41万社(2022年3月時点)と大きく増加いたしました。「engage」で作成された求人数(有料・無料合計)も順調に拡大し、顧客企業の活用が一段と進みました。この状況を踏まえ、第4四半期連結会計期間より求職者獲得の強化を目的とした広告宣伝費の先行投資を行い、売上高の成長が加速いたしました。
ATS・テストなどの他サービスも、企業側の採用人数増加に伴い利用が増加し、順調に売上高は伸長いたしました。
これらの結果、HR-Techの売上高は前期比222.6%増の3,920百万円となりました。
当社グループの主たるサービスは、求人サイトの運営及び人材紹介であるため、生産に該当する事項がありません。よって、生産実績に関する記載はしておりません。
当連結会計年度における受注実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.関係会社間取引については相殺消去をしております。
3.派遣形態は、サービスの提供量に応じて対価を得るため受注実績には含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.関係会社間取引については相殺消去をしております。
(2) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ9,571百万円増加し、56,215百万円となりました。
このうち流動資産は8,576百万円増加し、42,301百万円となりました。これは現金及び預金が7,474百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が1,119百万円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は994百万円増加し、13,914百万円となりました。これは、投資有価証券が466百万円、関係会社株式が547百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ5,266百万円増加し、15,054百万円となりました。
このうち流動負債は5,240百万円増加し、13,501百万円となりました。これは買掛金が629百万円、未払金が2,090百万円、前受金が1,478百万円増加したこと等によるものであります。また、固定負債は26百万円増加し、1,553百万円となりました。
(純資産)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ4,304百万円増加し、41,160百万円となりました。これは利益剰余金が3,748百万円増加したこと等によるものであります。
なお、当社グループでは各セグメントの資産情報を資源配分や業績評価のために使用することはないことから、セグメント別資産情報は作成しておりません。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べて6,553百万円増加し、33,389百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、11,453百万円のプラス(前連結会計年度は5,652百万円のプラス)となりました。これは、税金等調整前当期純利益9,976百万円、減価償却費1,678百万円、売上債権の増加による減少1,900百万円、未払金の増加額2,038百万円、前受金の増加額1,422百万円、法人税等の支払額2,604百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、3,086百万円のマイナス(前連結会計年度は2,150百万円のマイナス)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出1,869百万円、定期預金の預入による支出1,395百万円、関係会社株式取得による支出666百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,813百万円のマイナス(前連結会計年度は4,983百万円のマイナス)となりました。これは、配当金の支払額1,751百万円、非支配株主への配当金の支払額61百万円があったこと等によるものであります。
当社グループでは、主として営業活動によるキャッシュ・フローにより、必要とする資金を調達しております。また、取引銀行1行と当座貸越契約(極度額1,000百万円)及びコミットメントライン契約(極度額5,000百万円)を締結しておりますが、当連結会計年度末における借入実行残高はありません。
なお、重要な設備の新設等の計画はありません。
② 財務方針
当社グループは、財務の安全性を担保した上で中長期的な利益成長の観点から、事業ステージに応じた適切な投資を図りつつ、M&Aや出資など戦略的な投資も行っていくことを基本方針としております。これとともに、株主の皆様への還元を重要な施策と捉えていることから、「配当性向50%」を基本方針としております。また、財務状況、戦略投資の進捗状況及び株式市場動向等を総合的に踏まえ、自己株式の取得を適宜検討いたします。
なお、2022年5月に5カ年の中期経営計画を公表いたしました。保有資金につきましては、M&Aを中心とした成長投資を優先しつつ、株主の皆様への還元を図ってまいります。本中計において、先行投資期間により利益が減少する2025年3月期までの3カ年については、配当額を前期2022年3月期水準である70.1円に据え置く方針です。2026年3月期以降につきましては、先行投資の成果による利益増加フェーズとなるため、配当性向50%へ戻し、配当額につきましても大幅な増加を見込んでおります。
また、M&Aの進捗状況や株価状況等を踏まえ、自己株式の取得に関しても検討してまいります。
③ 資金使途
主に人件費及び広告宣伝費を中心とした運転資金、法人税の支払い、配当金の支払いに資金を充当しております。また、テクノロジー分野を中心としたM&A及び出資を強化する方針に基づき、資金を充当しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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