業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展などによって経済活動正常化の動きも見られましたが、感染の再拡大による緊急事態宣言等の再発出や変異株の発生など、依然新型コロナウイルス感染症の収束の見通しは立たず、先行き不透明な状態が続きました。また、世界経済においても、新型コロナウイルス感染症に関する動きに加え、ウクライナ情勢は長期化の様相を呈しており、燃料価格の高騰や物価上昇、為替変動、サプライチェーンの混乱など、先行きについて引き続き注視していく必要があります。医薬品業界においては、原則隔年実施であった薬価改定が毎年実施に変更されるなど、その事業環境は厳しさを増しております。また、医薬品業界における昨今の品質問題を受け、さらなる管理体制強化、安定供給が求められてきております。

このような環境下で、当社においても感染拡大防止に配慮しつつ、厳正な品質管理の下、事業活動を継続してまいりました。

その結果、当事業年度における経営成績は、売上高5,681,099千円と前年同期と比べ738,135千円14.9%増)の増収、営業利益437,341千円と前年同期と比べ68,005千円18.4%増)の増益、経常利益423,041千円と前年同期と比べ83,719千円24.7%増)の増益となりました。また、繰延税金資産の回収可能性について会社分類の見直しを行った結果、当期純利益は456,272千円と前年同期に比べ275,558千円152.5%増)の増益となりました。

 

セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。

 

① 医薬品事業

主力商品である抗てんかん用原薬をはじめ、輸入原薬の売上が大きく増加しました。また、新規の加工案件や受託合成案件の獲得も好調に推移しました。ただし、輸入原薬は自社製造原薬と比べて利益率は低くなるため、売上構成の変化により事業全体の利益率は低下しました。

その結果、医薬品事業における売上高は2,913,210千円と前年同期と比べ425,783千円17.1%増)の増収、営業利益は451,906千円と前年同期と比べ22,749千円4.8%減)の減益となりました。

 

② 健康食品事業

OEMゼリーの既存顧客への販売、新規案件の獲得ともに概ね堅調に推移しました。また、当事業年度後半から製造工程を一部自動化する設備の導入、調整を進め、製造の効率化に取り組んでまいりました。

その結果、健康食品事業における売上高は823,998千円と前年同期と比べ24,361千円3.0%増)の増収、営業利益は1,238千円と前年同期と比べ45,421千円(前年同期は44,182千円の営業損失)の増益となりました。

 

③ 化学品事業

イオン交換樹脂については、前期好調だった半導体製造や医薬品製造向けの自社加工品の需要は落ち着きがみられ、例年並みの売上に戻りましたが、仕入販売品において新規案件の獲得が進み、全体の売上としては好調に推移しました。また、当事業年度は装置案件の受注も多く、売上の増加に寄与しました。

その結果、化学品事業における売上高は1,943,889千円と前年同期と比べ287,990千円17.4%増)の増収、営業損失は15,803千円(前年同期は61,137千円の営業損失)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて185,746千円増加し、4,798,071千円となりました。

① 流動資産

売掛金134,832千円増加原材料及び貯蔵品50,192千円増加商品及び製品14,361千円増加した一方、現金及び預金135,011千円減少電子記録債権44,856千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて165千円増加し、3,494,680千円となりました。

 

② 固定資産

建設仮勘定89,834千円増加繰延税金資産69,789千円増加ソフトウエア仮勘定21,902千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて185,580千円増加し、1,303,391千円となりました。

 

③ 流動負債

買掛金293,645千円増加短期借入金150,000千円減少未払法人税等35,772千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて110,430千円増加し、2,225,354千円となりました。

 

④ 固定負債

長期借入金202,480千円減少役員退職慰労引当金71,600千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて271,762千円減少し、891,636千円となりました。

 

⑤ 純資産

繰越利益剰余金396,015千円増加、自己株式が51,643千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて347,079千円増加し、1,681,080千円となりました。

その結果、自己資本比率は35.0%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は865,361千円となり、前事業年度末に比べ135,011千円減少しました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、524,905千円の収入(前年同期は487,669千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益425,603千円、仕入債務の増加額270,999千円、減価償却費101,233千円などによるキャッシュの増加、売上債権の増加額85,423千円、役員退職慰労引当金の減少額71,600千円などによるキャッシュの減少によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、176,280千円の支出(前年同期は57,734千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出146,107千円、無形固定資産の取得による支出24,225千円などによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、483,635千円の支出(前年同期は310,512千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出202,480千円、短期借入金の減少による支出150,000千円、自己株式の取得による支出88,396千円などによるものです。

 

(4) 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

医薬品事業

781,246

127.5

健康食品事業

555,243

93.4

化学品事業

850,850

109.0

合計

2,187,340

110.0

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

(5) 受注実績

当社は一部受注実績の記載になじまない商材があるため、当該記載を省略しております。

 

(6) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

医薬品事業

2,913,210

117.1

健康食品事業

823,998

103.0

化学品事業

1,943,889

117.4

合計

5,681,099

114.9

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

第75期事業年度

(自 2020年6月1日

 至 2021年5月31日

第76期事業年度

(自 2021年6月1日 

 至 2022年5月31日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

不二化学薬品株式会社

1,210,683

24.5

991,981

17.5

 

 

(7) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

当事業年度における経営成績の状況の概要は「(1)経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、主要な表示科目に沿った認識及び分析は次のとおりであります

 

・売上高

当事業年度における売上高は、5,681,099千円と前年同期と比べ738,135千円の増収14.9%増)となりました。医薬品事業での輸入原薬の取引量の増加に加え、各事業で新規案件獲得が好調に推移しました。

 

・売上総利益

当事業年度における売上総利益は、1,732,806千円と前年同期と比べ81,237千円の増益4.9%増)となりました。健康食品事業では売上の回復と減価償却費の減少により利益率が改善しておりますが、医薬品事業や化学品事業において、自社製造・加工品に比べ利益率の低い商品販売の割合が増え、利益率が悪化しました。

 

・営業利益

当事業年度における営業利益は、437,341千円と前年同期と比べ68,005千円の増益18.4%増)となりました。前期発生した上場関連費用が減少した一方、人件費の増加、売上増に伴う荷造運賃の増加などがあった結果、販売費及び一般管理費合計は1,295,464千円と前年同期と比べ13,232千円の増加1.0%増)となりました。

 

・経常利益

当事業年度における経常利益は、423,041千円と前年同期と比べ83,719千円の増益24.7%増)となりました。

 

・当期純利益

当事業年度における当期純利益は、456,272千円と前年同期と比べ275,558千円の増益152.5%増)となりました。繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、回収の可能性が見込まれる部分について繰延税金資産を計上することとなったため、利益が増加いたしました。

 

経営成績等の状況を踏まえた、経営方針及び課題への取り組みについては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態の分析

財政状態の分析・検討内容については、「(2) 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。 これらの短期及び長期的な必要資金は自己資金や金融機関からの借入金を中心とし、金融商品等での運用や投機的な取引を行わないことを基本としています。金融機関からの借入金については、取引金融機関との間で運転資金として借入枠1,650,000千円のコミットメントライン契約(シンジケート方式)を締結し、安定的な資金調達の体制を構築しております。

 

資金の流動性については、事業計画、投資計画に応じた現金及び預金残高の確保と必要に応じて外部資金の調達を行うことにより維持していきます。なお、通常時は、月商の1.5倍を目安に現預金の残高を確保することとしております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」及び「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の課題について

経営者の問題意識と今後の課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境及び優先的に対処すべき課題等 」に記載しております。

 

⑦ 経営方針、経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的指標等については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中期経営計画」に記載しております。

 

 

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