課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針および経営環境

 当社グループでは「我々は、絶えざる創造と革新によって新しいものを求め続け、人と社会に素晴らしい『快』を提供する」という経営理念のもと、「“あったらいいな”をカタチにする」をブランドスローガンに掲げ、お客さまの生活・健康上のお困りごとを解決し、快適な暮らしに貢献することを使命に事業を展開しております。

 そのような中、当社グループをとりまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による世界的な経済活動の減速等が懸念され、日本においても外出自粛や訪日外国人の大幅な減少により消費低迷が続くなど、先行きは依然として不透明な状況が続くと予想されます。

 また、当社グループは国内外でカイロを展開しておりますが、市場の競争激化に加え、近年は地球温暖化の進行により暖冬傾向が続いております。世界の平均気温は2030年には2018年比で1.5度上昇すると言われているなど、今後もこの傾向は続くと予想されます。

 一方で、人生100年時代において、QOL改善や予防ニーズ、ヘルスケアニーズは今後ますます高まると見られており、ニッチなお困りごとをいち早く見つけ、解決のアイデアを製品として生み出すことを得意とする当社グループにとっては、今後ますます新製品を発売できる機会が増えると考えております。さらに、これらの製品は日本から遅れて高齢化していく海外各国においてもチャンスが広がると考えております。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループでは、将来にわたって持続的に成長していくために2030年のありたい姿を描き、そこからバックキャストの形で2020-22年の中期経営計画を定め、その実行に向けて取り組んでいます。

 2022年は中期経営計画の最終年度となり、本年とその次の2023-25年の中期経営計画の重要なキーワードは“DX(デジタルトランスフォーメーション、以下略)”です。今後あらゆるものがデジタル化していく世の中で、当社においても2030年のありたい姿と中期経営計画の戦略骨子にデジタル活用の文言を新たに追加し、DX推進に取り組んでまいります。

 そして、広告やM&A、工場の新棟建設等、今後の成長に向けた投資を積極的に行っていくことで、2030年連結売上高2,800億円の達成を目指します。

 

▶ 2030年のありたい姿

 グローバル経営を推し進め、2030年には、各国で毎年新市場を1つ創造しており、世界でもお困りごとを解決することで人と社会に貢献し、新市場(新習慣)を創造する企業として認知されつつある状態でありたい。

連結売上高2,800億円、うち国際事業900億円

-国内では「あったらいいな」開発と育成を究めている。

-その新製品を各国にスピーディにローカルフィットさせ広げている。

-全社員のデジタルリテラシーを高め、DXによる「あったらいいな」開発の刷新と、

 デジタルを搭載した新製品の創出ができている。(追加)

-欧米・中国・アジアの3極でも「あったらいいな」開発の成功例が出ている。

 

▶ 2020年-22年 中期経営計画の概要

テーマ:国際ファースト

<戦略骨子>

1.全社挙げて国際事業の成長に取り組む

2.既存事業のレベルアップ

3.ESG視点で経営を磨く

4.イノベーションや新規事業創出の土台作り

5.デジタル活用において経営革新・業務革新を進める(追加)

 

▶ DX戦略

具体的なDX戦略として、以下の3点を掲げております。

 

①あったらいいな開発のDX

 AIを活用してSNS等の書き込みからお客様のお困りごとをスピーディに見つけるアイデア創造に努めると同時に、AIやIoT等デジタルを搭載した製品やサービスの開発に取り組みます。また、当社の強みである「わかりやすさ」を追求するため、AIを活用して、お客様に分かりやすい製品パッケージの開発や、Web広告の作成と評価に取り組みます。

②全社員でDX提案

 役職や職能ごとの教育プログラムを計画し、全社員のデジタルリテラシーのレベルアップを図り、DX改善提案制度の導入を進めます。

③デジタルオペレーション変革

 部署・国ごとに異なる基盤システムを共通化し、データ連携をスムーズにします。

 

これらに加え、日常業務のなかでデジタル広告へのシフトにも注力してまいります。

 

<業績目標>

 

2019年

実績

2020-22年 中期経営計画期間

2020年

実績

2021年

実績

2022年

公表数値目標

(※2)

(参考)

中期経営計画

2022年目標(※2)

売上高

1,583億円

1,505億円

1,552億円

1,620億円

1,620億円以上

営業利益

256億円

259億円

260億円

270億円

270億円以上

営業利益率

16.2%

17.2%

16.8%

16.7%

16%以上

親会社株主に

帰属する

当期純利益

191億円

(22期連続増益)

192億円

(23期連続増益)

197億円

(24期連続増益)

202億円

(25期連続増益)

25期連続増益

ROE

11.3%

10.8%

10.4%

10%以上

10%以上

ROIC(※1)

10.5%

10.1%

9.6%

9%以上

9%以上

国内事業売上高

1,230億円

1,193億円

1,159億円

1,194億円

1,223億円以上

国際事業売上高

243億円

214億円

297億円

328億円

295億円以上

国際売上高比率

15.4%

14.3%

19.2%

20.2%

18%以上

通販事業売上高

97億円

90億円

89億円

92億円

96億円以上

※1 ROIC=NOPLAT/投下資本=(営業利益×(1-実効税率))/(純資産+有利子負債)

   (実効税率:30.58%、有利子負債=短期借入金+長期借入金)

 

※2 現在の中期経営計画における2022年目標は、国内売上高が1,223億円以上、国際売上高が295億円以上と

   しておりますが、国内事業は新型コロナウイルス感染症拡大による一部製品(ブレスケアや熱さまシ

   ート等)の需要低迷が引き続き見られていることから、売上高目標を1,194億円に引き下げました。

   一方、国際事業はコロナ禍にあっても各国における新製品導入や既存製品の育成が順調に進んでおり

   売上高目標を328億円に引き上げました。その結果、連結の売上・利益の目標に変更はございません。

 

 

 今後は下記の取り組みを強化することで、上記目標の達成を目指します。

 

国内事業

 当社が手がけなければ取り残されてしまうニッチなお困りごとをいち早く見つけ、製品化できるよう、全社あげてアイデア創出を推進していきます。そうして新たな需要喚起を図るとともに、既存製品の育成に努めます。

 また、国内事業は毎年多くの新製品を発売するため、広告によって認知度を高めることが重要で、従来はテレビ広告が最も効果的でした。しかし商品を知っていてもまだ使ったことのない人への購入の後押しにはWeb広告が効果的です。Web広告のノウハウやデータは通販事業がたくさん持っており、2022年1月より通販事業部を国内事業のヘルスケア事業部の傘下に入れて連携強化を図り、Webマーケティングの専門組織を作ってデジタル広告を推進してまいります。これにより、2021年時点で13%だったWeb広告比率を2025年には30%まで高め、さらなる売上拡大を図ります。

 

国際事業

 中国本土においては、日本で販売している製品をいち早く導入することが課題です。そのため、中国国内のeコマースでテストをし、その効果検証をしながら早期に新製品の導入を目指します。また、中国国内向けに2005年より開発を行ってまいりましたアンメルツについて、2021年にスイッチOTCとして承認を取得することができ、2022年春より本格販売を開始いたします。これを機に、中国本土におけるOTC医薬品販売の拡大を図ってまいります。

 北米においては、2020年10月にM&Aにより買収したAlva社での新製品開発と育成に注力することで、OTC医薬品ビジネスの拡大に努めます。Alva社は買収当初、既存製品の売上は横ばいで見ておりましたが、小林製薬流の広告がAlva社の製品とも非常に親和性が高く、既存製品も育成によって売上を伸ばせる目処が見えてまいりました。そのため、当面は現ブランドの傘下でラインナップを増やしていくことで、中国と同様、北米においてもOTC医薬品販売の拡大を図ってまいります。

 

通販事業

 コンセプトの伝えやすい機能性表示食品の新製品開発を強化し、店頭と通販の両方で発売し、それぞれで広告・販促をすることで新規顧客の獲得と既存顧客の継続購入の促進に努めてまいります。

 また、現在通販で販売している製品カテゴリーは栄養補助食品とスキンケア製品が大半ですが、今後は他のカテゴリーにも広げるべく製品開発に取り組み、売上拡大を図ってまいります。

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