なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。この結果、前事業年度と収益の会計処理が異なる事から、以下の経営成績に関する説明において、売上高の増減額および前期比(%)を記載せず説明しております。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続きましたが、ワクチンの普及などにより経済活動が再開し、景気に持ち直しの動きがみられました。世界経済は、全世界で感染症の影響があったものの、各国で経済活動が本格的に再開されました。
一方、経済活動再開に伴う原燃料価格の上昇、インフレの顕在化、米国の利上げや円安の進行など、注視が必要な状況が継続し、加えてウクライナ情勢の悪化など、景気影響懸念が高まっております。
電子材料業界においては、感染症の影響によるグローバルロジスティクスの混乱、及び東南アジアの半導体後工程工場の操業低下など、世界的な半導体供給不足の中、米中の対立、あらゆる分野のDX加速や投資競争によって、非常に強い半導体需要が継続しました。
この様な状況下、当社は不要不急の外出や社内外への出張の縮減、在宅勤務や時差出勤の推進、オンライン会議等を積極的に活用するなどの感染防止対策を講じてまいりました。
当社への半導体・電子材料の旺盛な需要に対しては、増産に注力し、お客様や原材料調達先の協力のもと、原燃料・運賃高騰分の販売価格反映に努め、当事業年度における売上高は33,144,669千円となりました。利益面につきましても、販売量の増加に加え、高付加価値な半導体先端領域向け製品の増加などにより、営業利益は4,624,126千円(前期比+1,684,852千円、+57.3%)、経常利益は4,794,194千円(前期比+1,811,769千円、+60.7%)、当期純利益は3,457,424千円(前期比+1,111,462千円、+47.4%)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、従来の方法に比べて、当事業年度の売上高は1,117,791千円減少しております。
この結果、2018年8月10日に公表致しました2019年3月期から2023年3月期までの中期経営計画「TGC300」(売上高300億円以上、経常利益30億円以上、経常利益率10%以上)は、当事業年度において、売上高331.4億円(中期経営計画比+31.4億円、+10.5%)、経常利益47.9億円(中期経営計画比+17.9億円、+59.8%)、経常利益率14.5%と、1年前倒しで超過達成することができました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
[感光性材料事業]
5G対応スマートフォン・PCなどの需要や、DX・通信・データセンターへの投資が続く中、半導体は需給が逼迫、メモリ需要は堅調に推移し、ロジック半導体は強い需要が続きました。また、ディスプレイも高水準での生産が続いており、感光材製品全般で強い需要が続きました。当社は、この需要に対応するため増産に注力し、感光材・ポリマー共に売上が増加しました。
この結果、同事業の売上高は20,574,717千円、営業利益は3,297,783千円(前期比+1,473,971千円、+80.8%)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、従来の方法に比べて、当事業年度の売上高は458,799千円減少しております。
[化成品事業]
電子材料関連製品は、感光材製品と同様に強い需要が続き、香料材料関連製品も順調に推移しました。なお、両製品共に一部原材料の入手難と価格高騰に加え、港湾物流の混乱によるコンテナ船不足や遅延などにより、原材料確保や製品出荷に非常に厳しい環境となりました。しかしながら、顧客とのコミュニケーションや、複数サプライヤーによる調達など、安定供給に努め売上はともに増加しました。
ロジスティック関連は、化学品需要の増加や、世界的な原材料入手難により、在庫確保の急激な動きが強まり、タンク契約率も引き続き高水準で推移しました。
この結果、同事業の売上高は12,569,951千円、営業利益は1,326,342千円(前期比+210,880千円、+18.9%)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、従来の方法に比べて、当事業年度の売上高は658,992千円減少しております。
当事業年度における総資産は46,886,053千円となり、前事業年度末比3,367,497千円の増加となりました。
流動資産は19,766,358千円で、前事業年度末比2,768,179千円の増加となりました。これは売掛金1,880,830千円の増加、商品及び製品547,205千円の増加などによるものであります。
固定資産は27,119,695千円で、前事業年度末比599,317千円の増加となりました。これは主に取得による増加3,053,482千円、減価償却による減少2,579,071千円などによるものであります。
流動負債は19,306,418千円で、前事業年度末比2,392,966千円の増加となりました。これは主に買掛金1,423,549千円の増加、未払法人税等604,869千円の増加によるものであります。
固定負債は11,517,966千円で、前事業年度末比2,296,441千円の減少となりました。これは主に、長期借入金2,445,858千円の減少によるものであります。
純資産合計は16,061,668千円で、前事業年度末比3,270,971千円の増加となりました。これは主に当期純利益3,457,424千円によるものであります。
当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ113,303千円減少し、3,269,136千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益4,736,921千円、減価償却費2,579,071千円などにより5,808,526千円の収入(前事業年度は4,419,460千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3,285,411千円などにより3,415,602千円の支出(前事業年度は5,688,105千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出3,568,004千円などにより2,563,141千円の支出(前事業年度は1,472,879千円の収入)となりました。
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
当社は、原則として見込み生産を行っております。
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りにあたり過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
また、当社が採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表」の「重要な会計方針」に記載しておりますが、特に次にかかげる重要な会計方針が、財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産の回収可能性の評価)
当社は繰延税金資産を認識するにあたり、将来減算一時差異に対して、予定される繰延税金負債の取崩、予測される将来の課税所得及びタックス・プランニングを考慮しております。将来の課税所得は事業計画を基礎としており、その進捗を加味して合理的に見積り、回収可能性を十分に検討した上で、回収見込額を計上しております。そこでの重要な仮定は、主に市場の需要予測及び生産計画であります 。
繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積りによるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場の需要動向や当社の生産活動の状況及びその他の要因により変化します。
将来の課税所得見込額は、その時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。
・経営成績の分析
当事業年度の売上高は33,144,669千円、営業利益は4,624,126千円(前期比+1,684,852千円、+57.3%)、経常利益は4,794,194千円(前期比+1,811,769千円、+60.7%)、当期純利益は3,457,424千円(前期比+1,111,462千円、+47.4%)となりました。
売上高および営業利益については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、売上高・利益ともに前期比増加となりました。
営業外収益から営業外費用を差引いた純額は、170,067千円の収益計上となりました。内訳としては、支払利息119,877千円等があったものの、為替差益215,846千円、受取保険金611千円等があったことによるものであります。この結果、当期の経常利益は4,794,194千円(前期比+1,811,769千円)となりました。
特別利益は65千円の計上となりました。内訳としては、固定資産売却益65千円の計上によるものであります。特別損失は57,338千円の計上となりました。内訳としては、固定資産除却損57,324千円の計上によるものであります。
以上の結果、税引前当期純利益は4,736,921千円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を差引いた当期純利益は3,457,424千円(前期比+1,111,462千円)となりました。
・財政状態の分析
当事業年度の財政状態の分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
・キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しているとおりですが、市場環境の変動等、様々なリスク要因が当社の成長や経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は、常に新技術の動向や市場動向に留意しつつ、お客様ニーズに合致した製品を開発し提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因の低減を図ってまいります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入等の製造費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、生産設備の購入等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金、長期運転資金および設備投資は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は18,401,529千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は3,269,136千円となっております。
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