当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)における世界・日本経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)の影響下にあったものの、国や地域にばらつきは伴いつつも、先進諸国を中心に経済や社会活動の回復基調の動きがみられました。
IMF(国際通貨基金)は2022年1月時点で世界経済成長率を、2021年の+5.9%から2022年には+4.4%まで減速すると見込んでおります。日本については、2021年に+1.6%、2022年には+3.3%と、いずれも2020年のマイナス成長からの回復を見通すものの、各国は感染症やサプライチェーンの混乱、米国におけるインフレ率上昇、地政学的リスク等、依然として不確実・不透明な状況にあります。
エレクトロニクス業界は、世界各国で加速する在宅勤務・学習の導入、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資や新しい生活様式への対応等の影響を受け、パソコンやディスプレイの生産が堅調に推移いたしました。また、データ量の増加や5Gへの切り替えを背景としたサーバー需要も継続いたしました。一方、タブレット端末には需要の高まりに落ち着きがみられ、自動車は半導体供給不足や東南アジアを中心とした感染症蔓延の影響等を受け一部メーカーで減産がありました。IoTの広がりを背景に高まる需要により世界的な半導体供給不足が続くなか、供給網の混乱、原材料価格の高騰等がみられるものの、半導体メーカーにおいて非常に大きな設備投資が進んでいます。また、今後の方向性として自動車を含めエレクトロニクス業界全体で脱炭素への取り組みが始まっております。
当社グループの関係市場である電子基板・部品業界は、エレクトロニクス業界の影響を受け、サーバーやパソコン、ディスプレイ向けの需要は堅調に推移し、特に当社と関連が深い半導体を搭載するパッケージ基板において需要の拡大が継続しています。
電子基板は、IoT、AI、5G等の技術の広がりを背景に、高密度化や技術革新が進んでおります。これらの関連市場は引き続き高い成長が見込まれ、移動通信システムは、高速大容量の第5世代(5G)への切り替え、普及に向け取り組みがさらに活発化しています。また、次世代データセンターに関係する高性能パッケージ基板向けの生産体制強化に向けた積極的な設備投資が進展しております。
このような環境のもと、当社グループは高密度電子基板向け製品の開発、販売に注力いたしました。前期と比較した主要製品の売上動向としましては、半導体を搭載するパッケージ基板向けに高いシェアを持つ超粗化系密着向上剤「CZシリーズ」は、強い半導体需要を背景に大きく増加しました。「EXEシリーズ」は、ディスプレイの高い需要により、多層電子基板向け密着向上剤「V-Bondシリーズ」は、自動車市場復調の影響を受け堅調に推移しました。また、ディスプレイ向け「SFシリーズ」は、関連する電子機器の需要の高まりに落ち着きがみられたこと、また、半導体不足の影響等を受け減少しました。
その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
資産は、前期末に比べ37億94百万円増加し、253億5百万円となりました。
これは、増収による現金及び預金や売上債権の増加、時価上昇により投資有価証券が増加したこと等によります。
負債は、前期末に比べ3億36百万円増加し、43億76百万円となりました。
これは、仕入増加に伴う仕入債務の増加や未払法人税等が増加したこと等によります。
純資産は、前期末に比べ34億58百万円増加し、209億29百万円となりました。
これは、利益剰余金や円安による為替換算調整勘定が増加したこと等によります。
以上の結果、自己資本比率は82.7%、ROEは15.4%となりました。また、連結配当性向は22.5%となりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高は150億38百万円(前期比30億81百万円、25.8%増)となりました。販売費及び一般管理費は53億83百万円(同3億57百万円、7.1%増)となり、営業利益は39億39百万円(同15億69百万円、66.2%増)、売上高営業利益率は26.2%、前期の19.8%と比較し6.4ポイント改善しました。経常利益は41億4百万円(同17億16百万円、71.8%増)となりました。税金等調整前当期純利益は40億92百万円(同17億83百万円、77.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は29億49百万円(同13億53百万円、84.8%増)となりました。
売上高の内訳は、薬品売上高は147億56百万円(前期比31億57百万円、27.2%増)、機械売上高は1億67百万円(同1億14百万円、40.5%減)、資材売上高は91百万円(同23百万円、33.9%増)、その他売上高は22百万円(同15百万円、204.4%増)となりました。
海外売上高比率は57.5%となり、前期の53.3%に比べ、4.2ポイント増加しました。なお、日本国内代理店経由で販売した海外顧客への売上を海外売上高比率に含めた場合は、76.6%(前期比2.1ポイント増)となります。
株主の皆様への還元といたしましては、年間配当金を35円とし、連結配当性向は22.5%となっております。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
日本
日本では、外出自粛による需要の影響を受け、パソコンやタブレット端末の販売が好調で関連する製品が好調に推移し、当連結会計年度の売上高は66億62百万円(前期比8億77百万円、15.2%増)、セグメント利益は30億87百万円(同14億26百万円、85.9%増)となりました。
台湾
台湾では、サーバーに関連する製品は引き続き好調に推移したものの、ディスプレイに関連する製品に一部調整の兆しがみられ、当連結会計年度の売上高は30億81百万円(前期比6億49百万円、26.7%増)、セグメント利益は4億1百万円(同84百万円、26.6%増)となりました。
香港(香港、珠海)
香港、珠海では、自動車向け製品が引き続き好調に推移し、スマートフォンに関連する製品の需要も増加しました。また、タブレット端末関連の製品生産が中国(蘇州)から移管されたこともあり、当連結会計年度の売上高は18億91百万円(前期比7億51百万円、65.9%増)、セグメント利益は4億37百万円(同1億90百万円、76.9%増)となりました。
中国(蘇州)
中国(蘇州)では、タブレット端末向け製品の生産が日本や珠海地区に移管されたものの、サーバーやスマートフォンに関連する製品が好調に推移し、当連結会計年度の売上高は24億45百万円(前期比4億32百万円、21.5%増)、セグメント利益は3億89百万円(同54百万円、16.2%増)となりました。
欧州
欧州では、感染症の影響が続くなか、顧客の生産活動において持ち直しの傾向がみられ、当連結会計年度の売上高は6億44百万円(前期比98百万円、17.9%増)、セグメント利益は45百万円(同16百万円、26.6%減)となりました。
タイ
タイでは、今後拡大する東南アジア市場を深耕するために2017年5月29日に当社6社目の子会社を設立し、2019年9月から稼働しました。一部地域で感染症によるロックダウン等の影響があったものの、現地での営業活動や日本からタイへの当社製品生産地変更も進み、当連結会計年度の売上高は3億12百万円(前期比2億72百万円、676.2%増)、セグメント損失は43百万円(前期は1億76百万円の損失)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は前期末に比べて11億49百万円増加し、56億20百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、30億13百万円(前期比5億83百万円の増加)となりました。
これは、主に税金等調整前当期純利益が40億92百万円、減価償却費が7億42百万円あったものの、売上債権の増加が9億14百万円、法人税等の支払額が8億8百万円計上されたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、11億17百万円(前期比31百万円の減少)となりました。
これは、主に定期預金の預入れが純額で2億59百万円あったことおよび、有形固定資産の取得による支出が6億66百万円計上されたこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、9億16百万円(前期比1億44百万円の増加)となりました。
これは、主に短期借入金が純額で4億円減少したことおよび、配当金の支払いが5億36百万円計上されたこと等によるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、電子基板用薬品の製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループ製品は見込生産を主体としており、総販売高に占める受注生産の割合は僅少のため受注実績の記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
3 金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、決算日における資産・負債の報告数値および報告期間における費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定設定を行っております。経営陣は、重要な会計方針の一部、具体的には貸倒引当金、賞与引当金、投資の減損、繰延税金資産、退職給付費用等に関する見積りおよび判断に対して、過去の実績や決算日現在の状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの当連結会計年度の財務状態は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
今後も更なる会社の財産の有効な活用に取り組む所存であります。
具体的には連結ROEは、10%をベースに持続的改善を図り、連結配当性向については30%を中期的目標といたします。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりでありますが、損益区分ごとの分析は以下のとおりであります。
売上高
当連結会計年度の連結売上高は150億38百万円となり、前期に比べ30億81百万円(25.8%)増となりました。そのうち薬品売上高は147億56百万円で、前期に比べ31億57百万円(27.2%)増となりました。主な要因は、サーバーやパソコン、ディスプレイの強い需要を背景に関連製品の売上が増加したこと等によるものであります。機械売上高は1億67百万円、前期に比べ1億14百万円(40.5%)減となりました。
売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は93億23百万円となり、前期に比べ19億27百万円(26.1%)増となりました。売上総利益率は62.0%となり、前期に比べ0.1ポイント増加しました。主な要因は、薬品の出荷数量が増加したことや利益率の高い製品の売上が増加したこと等によるものであります。
販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は53億83百万円となり、前期に比べ3億57百万円(7.1%)増となりました。主な要因は、人件費や発送運賃の増加、減価償却費の減少等によるものであります。
営業利益
当連結会計年度の営業利益は39億39百万円となり、前期に比べ15億69百万円(66.2%)増となりました。売上高営業利益率は、26.2%となり、前期に比べ6.4ポイント増加しました。
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、当連結会計年度を含む5期間のキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。
(注) 自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
債務償還年数 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2019年12月期の期首から適用しており、2017年12月期より2018年12月期に係るキャッシュ・フロー指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。
資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための原材料および部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは人件費、研究開発費および荷造運搬費等であります。また、これ以外に納税資金、利益配当金等も特定の時期に必要となります。
財務政策
当社グループは、運転資金および経常的な設備投資資金については手持資金で賄っており、工場建設等の大規模投資に関しましては、案件ごとに市場の金利情勢等に応じていくつかの選択肢から適切に資金調達を行う考えであります。
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