当連結会計年度の当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末より8億45百万円増加し1,207億15百万円(前期比 0.7%増)となりました。
流動資産の残高は、前連結会計年度末より32億71百万円増加し740億18百万円(前期比 4.6%増)となりました。これは主に、前連結会計年度に生じた品切れによる機会ロスを受けて製品在庫を厚くしたことにより、現金及び預金が26億88百万円減少した一方、たな卸資産が53億22百万円増加したことなどによるものです。
固定資産の残高は、前連結会計年度末より24億26百万円減少し466億96百万円(前期比 4.9%減)となりました。これは主に、償却が進んだことによりのれんの残高が18億36百万円減少したことなどによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末より39億27百万円減少し、561億18百万円(前期比 6.5%減)となりました。
流動負債の残高は、前連結会計年度末より25億84百万円減少し523億円(前期比 4.7%減)となりました。これは主に、仕入債務が7億35百万円増加したものの、未払法人税等が21億19百万円、未払消費税等が11億57百万円減少したことなどによるものです。
固定負債の残高は、前連結会計年度末より13億43百万円減少し38億18百万円(前期比 26.0%減)となりました。これは主に、長期借入金が10億18百万円減少したことなどによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末より47億73百万円増加し645億96百万円(前期比 8.0%増)となりました。これは主に、利益剰余金が46億6百万円増加したことなどによるものです。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
(家庭用品事業)
当連結会計年度末におけるセグメント資産の残高は、前連結会計年度末より24億80百万円増加し1,249億19百万円となりました。これは主に、時価評価により投資有価証券が19億75百万円、償却が進んだことによりのれんが18億36百万円減少したものの、製品在庫を厚くしたことによりたな卸資産が53億22百万円増加したことなどによるものです。
(総合環境衛生事業)
当連結会計年度末におけるセグメント資産の残高は、前連結会計年度末より4億40百万円増加し169億59百万円となりました。これは主に、退職給付に係る資産が3億83百万円増加したことなどによるものです。
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済について、国内景気は新型コロナウイルス感染症の影響が通期にわたり継続するものの、各種政策の効果やワクチン接種の進展とともに新規感染者数が減少し、1年延期された東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されるなど緩やかに持ち直しつつあります。しかしながら、一部の地域においては新たな変異株の拡大によるまん延防止等重点措置が適用され、先行きについては極めて不透明な状況となっております。
また、当社グループが展開に注力するアジア地域は、各国において感染症拡大の波が断続的に訪れている状況に変わりはなく、依然として注視が必要な状況が続いております。
このような経済状況の中、経営理念「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」のもと2021年2月に、「モノサシ・インフラの刷新」、「アジア収益基盤の拡大」、「ESG・オープンイノベーション」、「コストシナジーの創出」を基本方針とする中期経営計画「Act For SMILE-COMPASS 2023-」を公表いたしました。当連結会計年度は中期経営計画の初年度として、これらの重点施策の遂行に取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループの業績については、家庭用品事業において、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う生活様式の変容を背景とした市場規模の拡大を、売上・市場シェアの上昇機会と捉えた事業活動や新製品の投入があったことに加え、契約数の増加による総合環境衛生事業の伸長もあり、 売上高2,037億85百万円(前期比 3.9%増)となりました。利益については、新製品の投入や増収に伴い売上総利益が増加した一方、虫ケア用品の返品の増加、マーケティング費用や人財への積極的な投資、物流コストの高騰などにより、営業利益106億67百万円(前期比 6.6%減)、経常利益113億62百万円(前期比 2.6%減)となりました。一方、前期に特別損失へ計上したEarth Corporation Vietnamの買収に伴うのれんの減損損失等の反動があり、親会社株主に帰属する当期純利益71億42百万円(前期比 101.4%増)と過去最高益となりました。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況 ※セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益ベース
(家庭用品事業)
家庭用品事業におきましては、新製品投入による新規ユーザーの開拓、既存製品のリニューアルによる製品価値の向上とともに、広告宣伝や魅力ある売場づくりなどお客様とのコミュニケーション施策を通じて、市場の活性化に努めました。また、製造コストの低減や販売にかかるコストの効率化を図り、収益性の改善に努めました。海外においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うロックダウンの影響等による販売の減少はありましたが、経営資源の積極的な投入により、中国を中心に売上を伸ばしました。
当連結会計年度における当事業の業績については、新製品が順調に売上を伸ばしたことにより虫ケア用品のシェアが増加したことに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けたお客様需要の変化に伴い市場規模が拡大した入浴剤の売上寄与などにより、売上高は1,884億93百万円(前期比 5.1%増)となりました。利益面では、新製品の投入や増収に伴い売上総利益が増加した一方、虫ケア用品の返品の増加、マーケティング費用及び人財への積極的な投資、物流コストの高騰などにより、セグメント利益(営業利益)は99億44百万円(前期比 0.4%減)となりました。
(注)売上高にはセグメント間及びセグメント内の内部売上高又は振替高が含まれており、金額は前連結会計年度では9,615百万円、当連結会計年度では11,804百万円です。
部門別の主な売上高の状況は次のとおりであります。
虫ケア用品部門
国内においては、コロナ禍における換気の推奨や在宅時間の増加などの生活様式の変容に伴う需要の増加が継続しているものの、虫ケア用品市場の規模は8月以降の気温の低下を主因に好調だった前期を下回りました。そのような状況の中、虫ケア用品の返品率は6.5%(前期比 1.7ポイント増)と過去最低規模だった前期を上回ったものの、『アース虫よけネットEX』や『コバエがホイホイ』などの販売が伸長したことに加え、『おすだけアースレッド無煙プッシュ』など新製品の寄与により市場シェアは55.8%(自社推計、前期比 0.8ポイント増)となりました。
海外においては、中国におけるECチャネルでの好調な販売に加え、新型コロナウイルス感染症のまん延に伴うロックダウンの影響を受けたASEANでも、タイ・ベトナムでそれぞれ増収を確保しました。これに加えて、中東などへの輸出売上高も伸長しました。
以上の結果、当部門の売上高は690億円(前期比 4.6%増)となりました。
日用品部門
口腔衛生用品分野においては、洗口液『モンダミン プレミアムケア センシティブ』や知覚過敏予防ハミガキ『シュミテクト』が引き続き好調に推移したことで、売上高は469億35百万円(前期比 3.8%増)となりました。
入浴剤分野においては、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けたお客様需要の変化に伴い市場規模が拡大し、錠剤タイプの『温泡』・『いい湯旅立ち』、粒剤タイプの『きき湯』、分包タイプの『日本の名湯』などが引き続き好調に推移し、売上高は299億15百万円(前期比 13.6%増)となりました。
その他日用品分野においては、8月以降の気温の低下により除湿剤や冷却剤などが前期を下回りましたが、掃除用品『らくハピ』シリーズで堅調な需要が継続し売上を伸ばし、売上高は333億3百万円(前期比 2.1%増)となりました。
以上の結果、当部門の売上高は1,101億54百万円(前期比 5.8%増)となりました。
ペット用品・その他部門
ペット用品分野においては、コロナ禍で新たにペットの飼育を開始されるお客様が増加したことや、在宅時間が増えたことで家庭でのペットとのコミュニケーションが深まったことにより、タオル・クリーナーなどのペットケア用品やペットフードが売上を伸ばしました。また、既存製品のリニューアル、新機能商品の投入によりお客様の認知を高めるなどの積極的な販売施策により、当部門の売上高は93億38百万円(前期比 1.3%増)となりました。
(総合環境衛生事業)
総合環境衛生事業におきましては、食品や医薬品、医療についての安全基準に対する国際的な調和の流れや、国内における法改正などを背景に、衛生管理の自社運用が強化されるなか、主要な顧客層である食品関連工場や医薬関連工場、包材関連工場においては、当社グループの専門的な知識や技術、ノウハウをもって提供する高品質の衛生管理サービスへのニーズが高まる状況でありました。
このような状況の中、人財の採用・育成、業務効率の改善を目的としたソフトウエアの開発など、お客様のニーズに速やかに対応できる社内体制構築に向けた投資を積極化するとともに、技術開発力の強化により差別化された品質保証サービスを提供することで、契約の維持・拡大を図りました。その中でも、医薬品業界・再生医療業界への取り組み、食品安全マネジメントに関する監査・コンサルタント業務への取り組みを強化してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における当事業の売上高は272億34百万円(前期比 3.1%増)となりましたが、原価率の上昇に加え、人財への積極投資に伴う人件費の増加などにより、セグメント利益(営業利益)は11億14百万円(前期比 21.5%減)となりました。
(注)売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれており、金額は前連結会計年度では134百万円、当連結会計年度では138百万円です。
c. 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、中期経営計画「Act For SMILE-COMPASS 2023-」を2021年2月に公表しております。当該中期経営計画の最終年度である2023年度には、売上高1,570億円(2022年12月期の期首より適用する「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等の適用後の売上高)、営業利益140億円~160億円、当期純利益100億円、ROE13.0%以上、DOE4.0%の達成を目指しております。
初年度となる当連結会計年度の売上高は、虫ケア用品や入浴剤など主要なカテゴリーにおける増収が牽引した結果、2,037億85百万円と売上目標2,000億円を達成することができました。営業利益は、虫ケア用品の返品の増加、マーケティング費用や人財への積極的な投資、物流コストの高騰などにより、106億67百万円と営業利益目標110億円を下回りました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEは、前連結会計年度に特別損失へ計上したEarth Corporation Vietnamの買収に伴うのれんの減損損失等の反動があり、71億42百万円及び12.4%となり、目標として設定した70億円及び12.0%を達成することができました。
② 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 金額は、販売実績に基づいた価格によっております。
2. 総合環境衛生事業はサービス事業であるため、生産実績はありません。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 金額は、仕入実績に基づいた価格によっております。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注状況
当社グループは、見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
① 現金及び現金同等物
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて26億88百万円減少し、210億27百万円となりました。
② 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、増加した資金は48億14百万円(前期は245億90百万円の増加)となりました。この主な内容は、税金等調整前当期純利益109億63百万円(前期は72億78百万円)、前連結会計年度に生じた品切れによる機会ロスを受けて製品在庫を厚くしたこと及び返品率の増加によるたな卸資産の増加額51億14百万円(前期は3億円の減少)、前連結会計年度の好調な業績を受けて増加した法人税等の支払額55億62百万円(前期は26億39百万円)、減価償却費35億36百万円(前期は33億34百万円)、のれん償却額18億36百万円(前期は28億49百万円)であります。
③ 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、減少した資金は32億20百万円(前期は31億68百万円の減少)となりました。この主な内容は、有形固定資産の取得による支出26億16百万円(前期は22億98百万円)であります。
④ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、減少した資金は46億10百万円(前期は49億38百万円の減少)となりました。この主な内容は、配当金の支払額25億36百万円(前期は20億23百万円)、長期借入金の返済による支出13億14百万円(前期は32億79百万円)であります。
⑤ キャッシュ・フロー関連指標の推移
⑥ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、営業活動から得られる自己資金、金融機関からの借入などを資金の源泉としております。また、当社及び国内連結子会社間でキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、各社の余剰資金を当社へ集中して一元管理を行うことで、資金の流動性の確保と資金効率の最適化に努めております。
設備投資やM&Aなどに伴う長期的な資金需要については、資金需要が見込まれる時点で、内部留保に加え、金融機関からの長期借入及びエクイティ・ファイナンスなどを活用して対応しております。また、運転資金など短期の資金需要については、自己資金及び短期借入を充当しております。
今後の中長期的な成長に向け、アジア収益基盤の拡大、ESG・オープンイノベーション、ICTインフラ刷新・DX推進などをターゲットに、資本コストを上回る選択的な投資によってキャッシュ・フローの拡大を目指してまいります。
⑦ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いられた仮定が特に重要な影響を及ぼすと考えられる、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りは、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき合理的に判断し実施しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
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