課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月28日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、経営理念「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」を掲げ、人々の健康と快適な生活の実現に真摯に向き合い、高品質な商品を提供し続けることで、社会と共に着実な成長を遂げております。また、経営理念の実現に向け、以下の行動様式(アースポリシー)及び価値観(アースバリュー)を定めております。

(アースポリシー)

 ・ お客様目線による市場創造

 ・ 熱意・創意・誠意

 ・ すぐやる・必ずやる・最後までやる

(アースバリュ-)

 ・ 全員参画

 ・ コミュニケーション

 ・ 人がすべて

 

(2) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境を以下のように認識しております。

 

[家庭用品事業]

新型コロナウイルス感染症のまん延により、事業環境が一変しました。日本国内では、お客様の生活様式の変容により、当社グループの収益の核である虫ケア用品をはじめ、入浴剤、その他様々なトイレタリー用品への需要が高まり、また2021年も高水準の需要が維持されました。今後についても、製品使用の習慣化が進むことで、引き続き需要が高まるものと推測しています。一方で、海外では新型コロナウイルスのまん延により、当社グループが展開に注力しているASEAN各国の経済活動が停滞するなど、2021年は望ましい事業環境ではありませんでした。今後については経済活動の回復と当社グループの取り組みがマッチし、高い成長が望めると推測しています。ただし、各国の経済活動の復調や海外での情勢不安などを背景とした原材料の需給バランスの偏り、原油価格の高騰、為替影響などは予断を許さず、先行きについては不透明さを増すと考えています。

 

[総合環境衛生事業]

主要な顧客層である食品関連業界をはじめ、医薬品関連業界、包材関連業界において異物混入対策などの衛生管理対策ニーズは高水準であり、全体的な事業環境は好調を持続すると考えています。しかし、新型コロナウイルス感染症のまん延に伴い、これまで締結している契約内容の縮小もしくは解約を要望する顧客側の動きなど、事業成長を一時的に抑圧する要因も抱えています。

 

(3) 優先的に対処すべき課題

当社グループは、社会課題解決と事業収益拡大の両立を中核に据えた中期経営計画「Act For SMILE-COMPASS 2023-」を2021年2月に公表しております。本中期経営計画では、資本効率を意識し、収益性を一層高める経営を進めていくこととし、その達成状況を判断するための客観的な指標(以下、「KPI」という。)は営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、ROE(いずれも連結ベース)としています。中期経営計画の最終年度である2023年の目標値は営業利益140~160億円、親会社株主に帰属する当期純利益100億円、ROE13%以上です。当該KPIの各数値については、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません

本中期経営計画にて掲げた戦略に沿い、以下に記載する課題を優先的に対処しつつ、全事業領域にサステナビリティの視点を組み込み、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた貢献と企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

[アジアにおける収益基盤の拡大]

当社グループは、アジアにおける収益基盤の拡大を中期経営計画における最重要戦略の一つに位置付けております。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、極めて不透明な状況が続いておりますが、2030年には24億人が暮らし、堅調な成長率で引き続き世界経済のけん引役となると予測されるASEANや中国に経営資源を積極配分して、展開基盤の強化を図っております。

ASEANでの展開については、同じASEANであっても各国で異なる気候・文化・嗜好・法規制などへ適切に対応するため、今後の成長が見込める国に拠点を設け、各国のニーズに見合った製品開発や販促施策を行っております。タイの現地法人Earth(Thailand)Co.,Ltd.では、抜本的な経営改革により着実に利益を確保しております。今後もマーケティング費用の効率的な活用などによる収益構造の改善や、当社グループの優位性を活かせるカテゴリーへの注力を通じ、成長を目指してまいります。ベトナムの現地法人Earth Corporation Vietnamでは、同国の地理的優位性を活かし、海外展開における主要な生産拠点として中長期的に投資を継続してまいります。マレーシアの現地法人EARTH HOME PRODUCTS(MALAYSIA)SDN.BHD.では、コロナ禍から徐々に回復しつつある経済環境のもと、虫ケア用品の本格投入や既存ブランドの拡充、流通チャネルの強化に取り組んでまいります。また、フィリピンでの事業展開の加速を目的にM&Aの実施を予定しており、虫ケア用品を中心に事業を展開してまいります。その他ASEAN各国においても、現地法人の設立やM&Aの活用も視野に積極的な展開を進めてまいります。

中国での展開については、中国現地法人の収益源でもあるECチャネル向け販売が、コロナ禍などもあり今後もさらに加速することを想定しています。経営資源をECでの展開に振り分け、虫ケア用品やマスク、除湿剤など当社グループの優位性を活かした製品の投入により収益効率を高めてまいります。

輸出・越境ECでの展開については、各国における現地代理店との強固なパートナーシップにより、きめ細かなマーケティング活動を展開し、国ごとに異なるニーズに見合う製品の開発と投入、高収益製品への注力を図り、将来的な展開国拡大に向けた基盤づくりを進めてまいります。

 

[ESG・オープンイノベーションの推進]

当社グループは「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」という経営理念のもと、国連が提唱するSDGsの達成に向けて、ESGの視点を組み込み、外部との連携によるオープンイノベーションの推進を通じ社会課題の解決を目指しております。

E(Environment:環境)の視点では、あらゆる事業活動において自ら積極的に地球環境の保全に配慮し、世界の人々の暮らしに貢献してまいります。製品のライフサイクル全体の環境負荷に配慮した製品開発、サステナブルな原材料の調達、生産現場でのムダを取り除く「カイゼン提案活動」、取引先と連携した返品率の引き下げによる廃棄ロスの削減など、バリューチェーン全体での地球温暖化防止、省資源、廃棄物削減、化学物質の低減や適正管理などへの取り組みを継続してまいります。

S(Social:社会)の視点では、社会に有用な価値創造を行うCSV経営を行うとともに、CSRの推進においても様々なステークホルダーを意識し、社会課題の解決に取り組んでまいります。社員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」の取り組みが優良であると認められ、経済産業省と日本健康会議が共同で選ぶ「健康経営優良法人2021~ホワイト500~」に初認定を果たしました。これからも社員の健康管理の促進、長時間労働の是正など、職場環境整備を継続してまいります。また、日本発の革新的触媒技術MA-T(Matching Transformation System)が、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が制定する『第7回ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化対象)2021』の、感染症対策に資する先進的な取り組みを表彰する部門賞『第1回STOP感染症大賞』のグランプリを受賞いたしました。今後も虫ケア用品のリーディングカンパニーとしての経験と知見を活かし、「MA-Tシステム」の普及を通して、「MA-Tシステム」の社会的信用の向上や産業創造による経済効果の拡大、社会課題解決の可能性を探ることを当社のミッションと考え、日本MA-T工業会をプラットフォームに賛同する企業・研究機関・各種団体と連携し、幅広い産業での活用と価値向上に取り組んでまいります。

G(Governance:企業統治)の視点では、あらゆるステークホルダーから信頼され、持続可能な経営を推進するために、透明性を持ったガバナンス、リスクマネジメントを行ってまいります。当社は㈱東京証券取引所の新市場区分において「プライム市場」に移行することとなりました。今後も2021年に組織したコーポレートガバナンス推進委員会の活動を通じて、改訂コーポレートガバナンス・コードに準拠し、企業価値の向上に資するようダイバーシティの推進や実効性のあるガバナンス体制を構築してまいります。

 

[グループ経営資源の活用によるシナジーの創出]

当社グループは、グループのコアである国内事業基盤をさらに盤石にするために、「一緒にやった方が合理的なものは一緒に、そうでないものは単独で」の考え方のもと、バックグラウンドの異なるグループ各社がお互いを認め合いながら、マーケティング・研究・調達・生産・物流・販売・システムなどバリューチェーン全方位での連携を強化し、シナジー創出を図っております。

具体的な取り組みとして、各社が持つユニークな視点や発想、独自の技術やノウハウを積極的に共有し、イノベーティブな商品開発を促進する技術交流会「INSPIRE ONE EARTH」を定期的に開催し、一社では成し得ない新商品のスピーディーな開発・発売を行っております。また、当社グループが市場をけん引する粉末入浴剤市場のさらなる活性化を目指し、『バスクリン』と『バスロマン』の容器の全面リニューアルを行いました。サステナブルな紙容器に統一したことで生産ラインの一本化に成功し、環境配慮だけでなく生産性向上を実現しました。その他、システム統合による業務の共有化と標準化の促進、グループ内で同一の原材料・包装資材を使用している際のスケールメリットを鑑みた情報の共有や合同交渉によるコスト削減、キャッシュマネジメントシステムの運用による効率的な資金管理などに取り組んでおります。

今後も生産物流拠点の合理化、グループ調達やグローバル調達の拡大、大規模なシステム投資による購買システムなどのITインフラの刷新、グループ間の人財流動化などにより、シナジーを生み出してまいります。

 

[独創的な環境衛生サービスの提供]

食品や医薬品、医療についての安全基準に対する国際的な調和の流れや、国内における法改正などを背景に、衛生管理の自社運用が強化されるなか、主要なお客様である食品関連業界や医薬関連業界、包材関連業界においては、当社グループが専門的な知識や技術、ノウハウをもって提供する高品質な衛生管理サービスへのニーズが高まっている状況です。

こうした状況のもと、より高品質なサービスを提供するため、お客様のニーズに速やかに対応できる社内体制やネットワークシステムの構築を進めてまいります。また、今後の業容拡大に向けて、新たに増設した教育訓練用細胞培養加工施設の活用など、彩都総合研究所(大阪府茨木市)を拠点とした研究・技術開発や人財の教育訓練を継続するとともに、IoTや各種のAIを活用したサービスなど、お客様へのサービス向上、業務効率改善を目的とした投資を進めてまいります。

 

[業績評価・投資判断における評価軸の設定と収益管理]

当社グループは、成長力とともに収益性を高めるにあたり、資本効率を意識し、営業利益を最重要経営指標とした経営に取り組んでまいります。グループ各社で統一された業績評価基準の整備・明確化を進め、働き方改革の推進による労働生産性の向上へ向けて、基幹システムやグループICTインフラの刷新など過去最大規模のIT投資を行っており、これらを通じた経営資源の適切な配分によって、利益・キャッシュを効率的に創出してまいります。

具体的な取り組みとして、事業部別・カテゴリー別に評価単位を細分化し、利益管理指標を段階的に設け収益性を綿密に管理するとともに、投資案件ごとに資本コストを意識したハードルレートを設定し、投資効率を高めてまいります。

 

 

(4) 2022年12月期の業績計画及び達成に向けた取り組み

当社グループが成長ドライバーとして最も重視する海外展開においては、主要な展開エリアであるASEAN・中国に現地法人を配し、経営資源を積極的に配分することで収益性の向上と強固な収益基盤の構築を図ります。また、輸出・越境ECにおいて各国のニーズに見合う製品の開発と投入、高収益製品への注力を図ることで、収益貢献を目指します。

日本国内での展開については、気候変動やコロナ禍に伴う外部環境の変化の中、着実に収益を生み出すべく、これらの変化に対応した製品・サービスの投入、プロモーションの実施及び新たな販売チャネルの開拓を続けてまいります。また、日本発の革新的触媒技術「MA-Tシステム(Matching Transformation System)」の社会的信用の向上や産業創造による経済効果の拡大、社会課題解決の可能性を探ることを当社のミッションと考え、日本MA-T工業会をプラットフォームに賛同する企業・研究機関・各種団体と連携し、幅広い産業での活用と価値向上に取り組んでまいります。

これらの取り組みを踏まえ、2022年12月期の通期連結業績予想を売上高1,550億円、営業利益107億50百万円、経常利益111億50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益72億80百万円としています。

 

[家庭用品事業]  ※セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益ベース

当事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う生活様式の変容を背景に、当社グループが取り扱う製品群への需要が引き続き高い水準で推移すると予測しています。こうした状況の中、売上成長、高シェアを有するカテゴリーでの収益増、経営資源の適切な配分、コスト効率の向上を方針に掲げ、適切な収益確保を目指します。

当社グループの収益源である国内虫ケア用品については、コロナ禍における市場の変容、需要の増加が今後も持続すると予測しています。その中で国内虫ケア用品のリーディングカンパニーとして、虫媒介感染症予防に向けた正しい知識の普及を責務とし、「虫ケアセミナー」の開催などの啓発活動を通じて、販売強化を図ります。日用品については、口腔衛生用品、入浴剤、衣類ケア、消臭芳香剤など主たるカテゴリーにおいて、規模と収益を確保します。これらに向けて、新製品投入・プロモーションの実施による話題提供、ECやBtoBなど新たな販売チャネルの開拓を進めてまいります。

海外展開においては、各国で異なる機構・文化・嗜好・法規制などへ適切に対応するため、各国のニーズに見合った製品開発や販売施策を行ってまいります。タイの現地法人では、マーケティング費用の効率的な活用による収益構造の改善や、当社グループの優位性を活かせるカテゴリーへの注力により、成長を目指してまいります。ベトナムの現地法人では、同国の地理的優位性を活かし、海外展開における主要な生産拠点として中長期的に投資を継続してまいります。マレーシアの現地法人では、虫ケア用品の本格投入や既存ブランドの拡充、流通チャネルの強化に取り組んでまいります。また、フィリピンでは、事業展開の加速を目的にM&Aの実施を予定しており、虫ケア用品を中心に事業を展開してまいります。その他ASEAN各国においても、現地法人の設立やM&Aの活用も視野に積極的な展開を進めてまいります。中国においては、成長著しいECチャネルでの展開に経営資源を振り分け、虫ケア用品や家庭用マスク、除湿剤など当社グループの優位性を活かせる製品を投入し、収益効率を高めてまいります。

一方で、原材料価格の高騰が危惧されますが、製造コストダウンや販売・マーケティングにかかる費用の効率化、返品削減の継続により、適正利益を確保してまいります。
 以上により、当事業における業績見通しを、売上高1,377億63百万円、セグメント利益(営業利益)93億20百万円としています。

 

[総合環境衛生事業]  ※セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益ベース

当事業におきましては、彩都総合研究所を拠点に研究・技術開発や人財教育を進めるとともに、IoT及び各種AIシステムを活用したサービスの提供、食品安全に関する監査業務の拡大、ライフサイエンス分野での展開の強化を図り、年間契約件数の増加による安定した収益拡大を目指します。

以上により、当事業における業績見通しを、売上高277億円、セグメント利益(営業利益)14億30百万円としています。

 

なお、2022年12月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、上記の業績予想は当該会計基準等を適用した後の金額となっており、対前期増減率は記載しておりません。

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