当連結会計年度における当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローならびに財政状態(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の全世界的蔓延の影響等による経済活動の停滞により、厳しい状況で推移しました。先行きにつきましては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルが段階的に引き上げられていく中で、持ち直しに向かうことが期待されますが、資源価格の高騰による景気の下振れリスクが高まるなど、先行き不透明な状況であり、今後の動向に注視する必要があります。
このような情勢の下、当社グループにおきましては、本年を初年度とする中期経営計画「Create the Future ~新たな可能性へのチャレンジ~」を策定し、各事業において「研究領域、事業領域の拡大」「販売ルートの多様性確保」「コスト競争力の確保」「ESGを重視した企業活動」の4つの重要方針に基づく重点施策の遂行に取り組んでまいりました。
この結果、売上高は、118,176百万円となり、前連結会計年度と比べて10,895百万円(10.2%)の増加となりました。
また、利益面では、次のとおりとなりました。
営業利益は、8,456百万円となり、前連結会計年度と比べて173百万円(2.1%)の増加となりました。
経常利益は、12,829百万円となり、前連結会計年度と比べて2,913百万円(29.4%)の増加となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、9,023百万円となり、前連結会計年度と比べて2,405百万円(36.3%)の増加となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
1)農薬及び農業関連事業
農薬及び農業関連事業の売上高は89,150百万円となり、前連結会計年度と比べて9,755百万円(12.3%)の増加となりました。営業利益は8,349百万円となり、前連結会計年度と比べて334百万円(4.2%)の増加となりました。
2)化成品事業
化成品事業の売上高は20,660百万円となり、前連結会計年度と比べて1,739百万円(9.2%)の増加となりました。営業利益は888百万円となり、前連結会計年度と比べて97百万円(9.9%)の減少となりました。
その他全体の売上高は8,366百万円となり、前連結会計年度と比べて599百万円(6.7%)の減少となりました。営業利益は868百万円となり、前連結会計年度と比べて38百万円(4.5%)の増加となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は169,172百万円で、前連結会計年度末と比べ14,315百万円の増加となりました。流動資産が14,401百万円増加し、固定資産が86百万円減少しました。流動資産の増加は受取手形及び売掛金ならびに商品及び製品の増加等によるもの、固定資産の減少は投資有価証券等の減少が、有形固定資産等の増加を上回ったこと等によるものです。
負債は59,218百万円で、前連結会計年度末と比べ8,320百万円の増加となりました。流動負債が1,811百万円増加し、固定負債が6,509百万円増加しました。流動負債の増加は未払金ならびに未払法人税等の増加が短期借入金等の減少を上回ったこと等によるもの、固定負債の増加は長期借入金の増加等によるものです。
純資産は109,954百万円で、前連結会計年度末と比べ5,995百万円の増加となりました。
この結果、自己資本比率は61.4%、1株当たり純資産額は830円44銭となりました。
③キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、4,478百万円の増加(前年同期は4,532百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益12,419百万円及び減価償却費3,687百万円の資金の増加に対し、売上債権の増加4,971百万円、たな卸資産の増加4,576百万円及び法人税等の支払額2,090百万円等の資金の減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5,311百万円の減少(前年同期は4,734百万円の減少)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入2,470百万円の資金の増加に対し、有形固定資産の取得による支出6,627百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,186百万円の資金の減少によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、439百万円の増加(前年同期は5,067百万円の増加)となりました。これは、長期借入れによる収入11,032百万円の資金の増加に対し、短期借入金の減少6,304百万円、長期借入金の返済による支出2,433百万円及び配当金の支払額1,620百万円等の資金の減少によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高に比べ718百万円増加し、19,424百万円となりました。
④生産、受注及び販売の状況
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績を各セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.生産金額は販売価格をもって算出しております。
2.金額に消費税等は含まれておりません。
3.各セグメントの区分に基づき開示しております。
2)受注状況
当連結会計年度におけるその他事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。
(注) 金額に消費税等は含まれておりません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績を各セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額に消費税等は含まれておりません。
2.各セグメントの区分に基づき開示しております。
3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。当社グループは、連結財務諸表を作成するに当たり、繰延税金資産の回収可能性について、特に重要な見積りを行っております。この連結財務諸表作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しており、繰延税金資産の回収可能性につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績
(売上高)
売上高は、農薬の海外輸出及び国内販売が好調に推移した結果、118,176百万円(前連結会計年度比10.2%の増加)となりました。
(営業利益)
売上総利益も農薬及び農業関連事業が好調に推移したことにより29,043百万円(前連結会計年度比8.0%の増加)となりました。
また、販売費及び一般管理費は、物流コストや減価償却費の増加により20,587百万円(前連結会計年度比10.6%の増加)となりました。
以上の結果、営業利益は8,456百万円(前連結会計年度比2.1%の増加)となり、増益となりました。なお、営業利益率は7.2%で前連結会計年度比0.5ポイントの減少となりました。
(経常利益)
経常利益は、為替レートの円安進行に伴う為替差益等により、12,829百万円(前連結会計年度比29.4%の増加)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加に伴い、9,023百万円(前連結会計年度比36.3%の増加)となりました。
(セグメント別の状況)
(農薬及び農業関連事業)
国内では、新規水稲用殺菌剤「ディザルタ剤」の販売が好調に推移し、原体販売を含めた水稲用除草剤「エフィーダ剤」の販売も順調で前連結会計年度を上回りました。
海外では、畑作用除草剤「アクシーブ剤」が米国、オーストラリア、ブラジル及びアルゼンチン向けの出荷が好調に推移し、植物成長調整剤「プロヘキサジオンカルシウム剤」はドイツ向けの出荷が回復しました。
さらに、2月1日にAsiatic Agricultural Industries社を連結子会社に加えたこともあり、前連結会計年度の業績を大幅に上回りました。
以上の結果、農薬及び農業関連事業の売上高は89,150百万円、前連結会計年度比9,755百万円(12.3%)の増加となりました。営業利益は8,349百万円、前連結会計年度比334百万円(4.2%)の増加となりました。
(化成品)
電子材料需要の大幅な増加に伴いビスマレイミド類等の販売が増加しました。
一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が残るクロロキシレン系化学品ならびに産業用薬品や発泡スチロールの販売は前連結会計年度並みに推移しました。
以上の結果、化成品事業の売上高は20,660百万円、前連結会計年度比1,739百万円(9.2%)の増加となりました。営業利益は888百万円、前連結会計年度比97百万円(9.9%)の減少となりました。
(その他)
その他の主な事業内容は、賃貸事業、発電及び売電事業、建設業、印刷事業、物流事業、情報サービス事業等であります。
印刷事業、物流事業ともに前連結会計年度並みに推移したものの、その他全体の売上高は8,366百万円、前連結会計年度比599百万円(6.7%)の減少となりました。営業利益は868百万円、前連結会計年度比38百万円(4.5%)の増加となりました。
2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は169,172百万円で、前連結会計年度末に比べ14,315百万円の増加となりました。流動資産が14,401百万円増加し、固定資産が86百万円減少しました。流動資産の増加は受取手形及び売掛金ならびに商品及び製品の増加等によるもの、固定資産の減少は投資有価証券等の減少が、有形固定資産等の増加を上回ったこと等によるものです。
負債は59,218百万円で、前連結会計年度末に比べ8,320百万円の増加となりました。流動負債が1,811百万円増加し、固定負債が6,509百万円増加しました。流動負債の増加は未払金ならびに未払法人税等の増加が短期借入金等の減少を上回ったこと等によるもの、固定負債の増加は長期借入金の増加等によるものです。
純資産は109,954百万円で、前連結会計年度末に比べ5,995百万円の増加となりました。
この結果、自己資本比率は61.4%、1株当たり純資産額は830円44銭となりました。
3)キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、4,478百万円の増加(前年同期は4,532百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益12,419百万円及び減価償却費3,687百万円の資金の増加に対し、売上債権の増加4,971百万円、たな卸資産の増加4,576百万円及び法人税等の支払額2,090百万円等の資金の減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5,311百万円の減少(前年同期は4,734百万円の減少)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入2,470百万円の資金の増加に対し、有形固定資産の取得による支出6,627百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,186百万円の資金の減少によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、439百万円の増加(前年同期は5,067百万円の増加)となりました。これは、長期借入れによる収入11,032百万円の資金の増加に対し、短期借入金の減少6,304百万円、長期借入金の返済による支出2,433百万円及び配当金の支払額1,620百万円等の資金の減少によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高に比べ718百万円増加し、19,424百万円となりました。
4)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、原燃料調達や価格の動向、市場動向、為替動向、国内外の法令や政治・経済動向、ESG課題への対応、新型コロナウイルス感染症の影響等があります。
資材調達につきましては、サプライチェーンの安定化と適正な在庫管理、委託先・調達先との関係強化等、生産と販売のバランスの調整、物流体制の最適化に努め、為替の影響によるリスクヘッジを含めた安定的な調達に取り組んでおります。
市場の変化に対しましては、国内販売部門において、市場動向の把握によるマーケティング戦略の最適化を行うとともに、「エフィーダ剤」や「ディザルタ剤」等の自社開発剤の拡販を進めます。海外販売部門においては、畑作用除草剤「アクシーブ剤」の主要市場でのシェア最大化に取り組んでおります。研究開発部門では、自社開発原体を含有する製品ポートフォリオの拡充、適用地域の拡大に向けた開発に注力し、「エフィーダ剤」の欧州開発、新規高性能殺ダニ剤フルペンチオフェノックスの開発、「生物農薬、バイオスティミュラント」の開発等を推進しております。また、「みどりの食料システム戦略」やスマート農業への対応として、環境や省力化に配慮した新たな製品・パッケージの開発や技術の創出に取り組んでおります。化成品の開発では、化成品事業の高付加価値化と新技術の事業化に取り組んでおります。
国内外の法令や政治・経済動向等につきましては、情報入手に努めるとともに、関係会社や開発・販売提携会社と連携し情報共有を図ることで対応を行っております。
ESG課題への対応につきましては、「サステナビリティ推進委員会」を中心として、「サステナビリティ基本方針」ならびに、その下の9つの基本方針に基づき、ステークホルダーをはじめとした社会的要請に応え、持続的な社会の実現に貢献することで、サステナビリティ経営を推進いたします。
当社グループの中核事業である農薬及び農業関連事業は、食料生産の根幹に関わるビジネスであるため、新型コロナウイルス感染症による直接的な影響は限定的と捉えておりますが、今後は原材料や輸送コストの増加等の間接的な影響や農業を取り巻く環境変化を背景に当社グループの事業環境も一層厳しさを増してくるものと想定しております。
なお、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスクにつきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、新剤開発・登録等に係る研究開発費や開発途中の剤の生産設備の設置及び既存剤の生産効率化に係る設備投資及び新化学研究所の建設に係る投資であります。これらを主に自己資金ならびに金融機関からの借入金により調達しております。
金融機関からの借入金については、取引金融機関との間でコミットメントライン契約(シンジケート方式)を締結し、安定的な資金調達の体制を構築しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、23,077百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は19,424百万円であり、資金の流動性を確保しております。
6)目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、2020年12月に2021年10月期を初年度とする中期経営計画「Create the Future ~新たな可能性へのチャレンジ~」(2021年10月期~2023年10月期)を策定し、各事業において「研究領域、事業領域の拡大」「販売ルートの多様性確保」「コスト競争力の確保」「ESGを重視した企業活動」の4つの重要方針に基づく重点施策の遂行に取り組んでまいりました。
初年度となる当連結会計年度の売上は、農薬及び農業関連事業が好調に推移した結果、118,176百万円となり、中期経営計画の売上目標113,000百万円を達成することができました。営業利益は、増収に伴う利益増等により8,456百万円となり、中期経営計画の営業利益目標7,300百万円を達成いたしました。自己資本利益率(ROE)は8.9%となり、中期経営計画の目標として設定した6.2%を大きく上回りました。
また、売上、営業利益ともに、前連結会計年度及び2021年6月に公表しました業績予想を達成することができました。
さらに、中期経営計画(2021年10月期~2023年10月期)は、20~30年後の当社グループの「あるべき姿」を視野に入れつつ、事業領域拡大のための種まきを行う時期と位置付けており、当期はシンガポールの農薬製造販売会社「Asiatic Agricultural Industries Pte. Ltd.」への出資による連結子会社化、新化学研究所建設への着手など、将来に向けての投資を実行いたしました。
2022年10月期は、期首に発足した経営新体制のもと、当社グループの中期経営計画に基づく施策を着実に実行し、「スピード、コスト、イノベーション」「100年企業を目指した飽くなき挑戦」をスローガンとし、連結売上高123,900百万円、営業利益9,000百万円の達成、さらには経営基本方針にある「社会の持続的発展に貢献できる企業集団」の実現を目指してまいります。
また、業績や目標達成だけでなく、全てのステークホルダーの幸せを追求し、社会貢献や環境対策なども含めたサステナビリティ経営を推進してまいります。
お知らせ