課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  会社の経営の基本方針

当社グループは、創立当初より安全で環境負荷の少ない農薬の開発に傾注し、国産第1号農薬の開発・製品化以来、国内のみならず、世界各地で自社開発品を中心とした製品の普及を進め、「いのちと自然」を守り育てることをテーマに、世界規模での農作物の生産性向上に貢献できるよう取り組んでおります。

当社グループは、事業の中核をなす農薬の研究開発を根幹として、効率的な経営資源の投入を図ります。また、生産、物流、販売の連携を図り、収益本位の経営に徹底し、売上、利益の確保、増大ができる企業体質を確立することを経営の基本方針としております。

 

(2)  目標とする経営指標

今後も持続的な成長を続け、収益力の一層の強化を目指し、企業価値の向上につなげていくため、当社グループは、「売上高」、「営業利益」ならびに株主資本及び総資本の運用効率を示す指標である「自己資本利益率(ROE)」等を重要な指標として認識しております。

中期経営計画における2021年10月期の目標は、売上高113,000百万円、営業利益7,300百万円、自己資本利益率(ROE)6.2%と設定しております。

 

(3)  経営環境

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の全世界的蔓延の影響等による経済活動の停滞により、厳しい状況で推移しました。先行きにつきましては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルが段階的に引き上げられていく中で、持ち直しに向かうことが期待されますが、資源価格の高騰による景気の下振れリスクが高まるなど、先行き不透明な状況であり、今後の動向に注視する必要があります。

 

(4)  中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症の全世界的蔓延の影響が長期化する中、原油価格の上昇ならびに中国における環境規制や電力供給不足等に伴う原材料コストの高騰、海運需給のひっ迫による輸送の混乱やコスト増の問題等が発生しており、依然として先行きは不透明な状況が続くことが予想されます。

当社グループの中核事業である農薬及び農業関連事業は、食料生産の根幹に関わるビジネスであるため、新型コロナウイルス感染症による直接的影響は限定的と捉えておりますが、上記のような不透明な状況や国内外における農業を取り巻く環境変化を背景に当社グループの事業環境も一層厳しさを増しております。

 

このような状況において当社グループでは、20~30年後のあるべき姿を視野に入れて策定した中期経営計画「Create the Future ~新たな可能性へのチャレンジ~」(2021年度~2023年度)を実行していくことで、当社グループの企業価値の向上に努めてまいります。

また、クミアイ化学グル-プ企業基本理念のもと、2021年11月1日付で制定した「サステナビリティ基本方針」ならびに、その下に種々のESG課題に対処するため制定した9つの基本方針に基づき、サステナビリティ経営を推進いたします。コア事業である農薬及び農業関連事業では、日本政府が策定した持続可能な食料システムの構築を目指す「みどりの食料システム戦略」への対応を進めてまいります。また、化成品事業では、人々の生活を安全に、そして豊かにする材料の供給を通じて社会への貢献を図ってまいります。

 

国内販売部門では、水稲用除草剤の主軸となる「エフィーダ剤」のさらなる普及・拡販と、「ベンスルフロンメチル剤」の再プロモーションを実施し、水稲一発処理除草剤市場におけるシェアの拡大を図ってまいります。また、2021年に販売を開始した新規水稲用殺菌剤「ディザルタ剤」は製品ラインナップの拡大を進め、自社箱処理剤の拡販を進めてまいります。

園芸剤分野では、「アクシーブ剤」、「ピリベンカルブ剤」等の自社原体含有剤を重点剤として推進活動を展開するとともに、製品ポートフォリオの拡充に取り組んでまいります。

さらに、「みどりの食料システム戦略」への対応として、環境や省力化に配慮した製品・パッケージの開発、自社原体含有剤や「豆つぶ剤」を活用したスマート農業への対応を進めてまいります。

 

海外販売部門におきましては、農薬事業の中核をなす「アクシーブ剤」について主要市場である米国、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジルにおいてマーケットシェアの拡大に向けた販促活動や混合剤開発等の現地支援を進めるとともに、販売国、適用作物の拡大にも継続的に取り組んでまいります。また、植物成長調整剤「プロヘキサジオンカルシウム剤」等の販売の維持、拡大を進めてまいります。

今後も自社開発剤をはじめとする製品ポートフォリオの拡充や、販売ネットワークを駆使した積極的な海外展開を図ってまいります。

 

特販部門におきましては、自社農薬製剤技術の有効活用、「エフィーダ剤」、「ピリベンカルブ剤」等の自社開発品目の売上・利益の最大化を図るとともに、製品ポートフォリオの拡充を図り、事業領域の拡大を進めてまいります。また、当社の優れた製剤・原体合成技術を最大限に活用し、新規受託事業への取り組みを実施することで、受託事業の拡大を図ってまいります。

 

化成品事業におきましては、変化する事業環境に対応しながら既存品目及び既存受託事業の維持・拡販に努めます。塩素化事業、精密化学品事業、産業用薬品事業、発泡スチロール事業を含めたグループ化成品事業全体で、経営資源の最適化を図り、新規販売チャネルの開拓、新規ビジネスの創出により事業領域の拡大を推し進め、化成品事業の最大化・最適化を図ってまいります。

 

その他におきましては、建設業では、新規工事受注に向けた営業力の強化及びIT化の促進を実施するとともに、廃棄物の削減、リサイクル率向上による環境負荷低減を目指してまいります。印刷事業では、顧客への提案強化等により営業活動強化に努めてまいります。物流事業では、国内物流ネットワークの拡充と安全・確実でセキュリティレベルの高い物流の確保を進めるとともに、輸送手段の環境配慮型への転換を含めた輸送の効率化を図ってまいります。

 

生産資材部門におきましては、原材料価格の高騰に対し、調達の最適化を通じたコスト競争力を強化することで、安全な生産活動及び安定供給を継続するとともに、事業継続計画(BCP)体制の確保や環境負荷低減を図った生産体制の構築を進めてまいります。また調達に関しては、サプライチェーンの安定化を図るとともに、引き続きCSR調達へも取り組んでまいります。

 

研究開発部門におきましては、新農薬創製におけるパイプライン原体の創出を加速するとともに、「みどりの食料システム戦略」、EUの「Farm to Fork戦略」、気候変動リスクに対応し、環境にやさしく自然と調和した新たな製品及び技術の創出へ取り組んでまいります。

新製品開発では、自社原体を含有する製品ポートフォリオの拡充、適用地域の拡大に向けた開発に注力しております。安全性が高く環境に優しい除草剤「エフィーダ」の欧州での開発、高性能殺ダニ剤フルペンチオフェノックスの開発、化学農薬の代替となる「生物農薬、バイオスティミュラント」の開発等を推進してまいります。化成品の開発では当社グループの持つ原料、中間体及び農薬事業で培った独自技術を有効に活用し、化成品事業の高付加価値化と新技術の事業化を進めてまいります。さらに、環境対策の一環として温室効果ガス低減技術の開発に向けた評価にも着手いたします。

また、2023年4月に完成予定である新化学研究所に静岡県内の化学系研究3拠点を統合し、シナジー効果で新農薬創製、製品化研究のスピードアップとさらなる研究領域、事業領域の拡大を目指してまいります。

 

働き方改革への取り組みにつきましては、アフターコロナを見据えた新たなワークスタイルの確立に向けた環境整備や、従業員の働きがいや幸福度の向上を目指した職場環境と人事制度のさらなる改善に向けて取り組んでまいります。

 

コーポレートガバナンスにおきましては、東京証券取引所の市場区分見直しに伴うプライム市場への移行に向けた環境整備を実施するとともに、グループコンプライアンスの体制強化及び推進を図り、内部統制システムの的確な整備、運用を進めてまいります。

 

2022年10月期は、期首に発足した経営新体制のもと、当社グループの中期経営計画に基づく施策を着実に実行し、「スピード、コスト、イノベーション 100年企業を目指した飽くなき挑戦」のスローガンのもと、引き続き経営基本方針にある「社会の持続的発展に貢献できる企業集団」の実現を目指してまいります。

また、全てのステークホルダーの幸せを追求し、業績や目標達成だけでなく、社会貢献や環境対策なども含めたサステナビリティ経営を推進してまいります。

 

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