業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当期における我が国経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限と緩和が期を通じて繰り返され、民間設備投資の増加など一部に持ち直しの動きがみられましたが、世界的な半導体不足やサプライチェーンの混乱、原油をはじめとする資源価格の高騰などにより、本格的な回復には至りませんでした。

石油業界におきましては、一部の油種に回復の動きがあったものの、当社の主力製品である中間三品(灯油・軽油・A重油)の需要はやや前年を下まわりました。また、エネルギー業界では、世界的に地球温暖化対策が動き出す中で、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、次世代エネルギーへの取り組み強化が叫ばれてきましたが、ロシア・ウクライナ情勢など地政学リスクの高まりなどにより、先行きが不透明な状況となりました。

当社グループが策定し取り組みを開始致しました長期ビジョン及び中期経営計画は、現在の供給体制を最大限に拡充・強化しながら、次世代液体エネルギーの供給企業への変革を遂げることを目指すものであり、この先行きが不透明な状況にも柔軟に対応できるものと考えております。当期は中期経営計画初年度の目標達成に向けた各事業別施策への取り組みとして、石油事業のシェア拡大に努めるとともに、ホームエネルギー事業、レンタル事業の将来の収益拡大に向けた投資を積極的に進めてまいりました。また、ガバナンスの強化においては、豊富な経験と専門的な知識を持った独立社外取締役を新たに2名招聘いたしました。これにより、従前にも増して中期経営計画の達成に向けた多方面からの助言を受けることができ、取締役会の更なる活性化に繋がっております。

さらに、千葉県船橋市に所有しておりました土地・建物の譲渡や政策保有株式の売却を行うことにより、資本効率の向上を図りました。

この結果、当期の業績につきましては、売上高は、石油事業における原油価格高騰に伴う製品販売価格の上昇により前年比180億円(42.7%)増加の604億円となりました。損益面では、石油事業の仕入コスト増加の影響などにより売上総利益は、前年比100百万円(2.4%)減少の4,045百万円となり、営業利益は、新規投資に係る経費の増加もあり前年比137百万円(21.0%)減少の517百万円となりました。また、経常利益は、受取配当金の減少などにより前年比294百万円(33.8%)減少の577百万円となり、さらに特別損失に公開買付対応費用91百万円などを計上いたしましたが、特別利益に船橋土地・建物の売却益1,771百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前年比1,405百万円(222.1%)増加の2,038百万円となりました。

なお、当期の業績と当初計画(2021年5月28日公表)との対比につきましては、石油事業が計画を下回ったものの、ホームエネルギー事業、レンタル事業、環境関連事業の各事業においては計画を上回る業績をあげており、グループ全体での営業利益は達成率95.9%、経常利益では同96.2%となっております。また、期初に想定していなかった船橋土地・建物の売却益と公開買付対応費用を除いた親会社株主に帰属する当期純利益は、当初計画を達成(106.8%)しております。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

石油事業

石油業界におきましては、ドバイ原油価格は、期首60ドル/バーレル台から、経済活動正常化による需要増加期待と産油国の減産維持、期末にはロシアによるウクライナ侵攻等による需給ひっ迫懸念により110ドル/バーレルまで上昇いたしました。また、国内の石油製品需要につきましては、当社の主力である中間三品(灯油・軽油・A重油)は、前年をやや下回りました。

このような環境の下で、中期経営計画の事業別施策である配送体制の強化や自社基地の効率活用によるサプライチェーンの強化、最終需要家に近い販売先の開拓など事業領域の拡大に努めてまいりました。これにより、中間三品は全国需要を上回る販売数量を挙げることができ、特に灯油は前年比20%増の販売となりました。

この結果、当期の業績につきましては、売上高は製品販売価格の上昇により前年比177億円(46.8%)増加の557億円となりました。しかしながら、上昇を続ける原油価格により仕入コストは増加を続け、販売価格への転嫁に鋭意取り組みましたが、価格転嫁にはタイムラグが生じるため、営業利益は前年比172百万円(67.2%)減少の84百万円となりました。

 

ホームエネルギー事業

北海道道央地域に営業基盤を有するホームエネルギー事業(LPG・灯油など家庭用燃料小売事業)におきましては、平均気温が例年と比較して高く推移したことによりLPGと灯油の家庭用需要が減少いたしました。また、原油価格同様、LPG価格も期首より上昇を続けました。

このような環境の下で、当社グループは、中期経営計画の事業別施策に基づき新規顧客の獲得に傾注し、積極的な営業活動と新規投資により供給戸数の拡大を図りました。また、顧客の安全確保のため、保安活動・保安投資にも力を入れてまいりました。収益面では、増加した仕入コストの転嫁のため下期に2回ガス料金の改定を実施いたしました。

この結果、当期の業績につきましては、売上高は製品販売価格の上昇により前年比231百万円(13.4%)増加の1,952百万円となりましたが、営業利益は、増加する仕入コストの販売価格への転嫁の遅れや新規投資に係る経費、減価償却費の増加により、前年比75百万円(50.1%)減少の75百万円となりました。

 

レンタル事業

北海道道央地域に営業基盤を有する建設機材レンタル事業におきましては、4~6月は札幌を中心として公共工事の増加によりレンタル建設機材の需要が増加いたしましたが、夏場から期末にかけては減少に転じました。

このような環境の下で、当社グループは、新規顧客の獲得と既存顧客との取引関係強化のため、顧客毎のニーズにあわせた営業活動やレンタル建設機材のラインナップ拡充を継続してまいりました。また、公共工事増加時の需要取り込みに力を入れるとともに、新たに千歳営業所を開所し、地場企業との取引拡大に努めました。

この結果、当期の業績につきましては、売上高は、好調であった前年並みの1,819百万円となり、営業利益は、従前から取り組んでまいりましたレンタル建設機材投資の増加が、安定収益に結びついてきたこと、売上原価を見直し圧縮したことなどから前年比63百万円(54.5%)増加の過去最高益となる180百万円となりました。

 

環境関連事業

当社グループが取り組んでいる環境関連事業のうち、メガソーラー発電事業につきましては、順調に推移しほぼ前年並みの発電量となりました。また、グリーン商品であるアドブルーの販売につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の停滞や原料となる尿素不足による供給量の減少があったものの、全社を挙げて増販に取り組み、販売数量は前年比112%となりました。

この結果、当期の業績につきましては、売上高は、前年比105百万円(11.9%)増加の988百万円となりました。また、営業利益は、管理体制見直しによる経費の減少により、前年比45百万円(34.6%)増加の177百万円となりました。

(※)アドブルー(AdBlue):ディーゼル車の排ガス中の窒素酸化物(NOx)を無害化する「SCRシステム」に使われる高品位尿素水。

 

資産、負債、純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,991百万円増加の20,004百万円となりました。この主な要因は、売掛金の増加2,404百万円や商品及び製品の増加324百万円などの増加要因の合計額が現金及び預金の減少575百万円や有形固定資産の減少343百万円などの減少要因の合計額を上回ったことによるものであります。

また、負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,213百万円増加の10,233百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金の増加2,355百万円などの増加要因によるものであります。

純資産合計は、減少要因である自己株式の増加1,293百万円が、利益剰余金の増加1,067百万円を上回ったことなどにより、前連結会計年度末に比べ222百万円減少の9,770百万円となりました。

なお、資産及び負債の増加は、主に原油価格上昇による製品価格の上昇によるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、財務活動による資金の減少額が、営業活動及び投資活動による資金の増加額を上回りました。これにより当連結会計年度末の資金残高は前連結会計年度末に比べ575百万円減少して4,038百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により増加した資金は192百万円(前期は2,407百万円の増加)となりました。これは売上債権の増加額2,527百万円や棚卸資産の増加額324百万円などの資金減少要因と投資活動に振替えた固定資産売却益1,854百万円の合計額を、仕入債務の増加額2,363百万円や税金等調整前当期純利益2,365百万円などの資金増加要因の合計額が上回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により増加した資金は1,530百万円(前期は1,238百万円の使用)となりました。これは有形固定資産の売却による収入2,099百万円などの資金増加要因の合計額が、有形固定資産の取得による支出608百万円などの資金減少要因の合計額を上回ったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は2,298百万円(前期は78百万円の使用)となりました。これは配当金の支払額1,004百万円と自己株式取得による支出1,293百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の状況

当社グループは、石油製品の販売事業、ホームエネルギー事業(LPG・灯油等の家庭用燃料小売事業)、レンタル事業及びメガソーラー発電による売電等の環境関連事業を営んでおり、生産及び受注については、該当事項はありません。

 

販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

石油事業

55,728

146.8

ホームエネルギー事業

1,952

113.4

レンタル事業

1,819

100.1

環境関連事業

988

111.9

合計

60,488

142.7

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況に記載しております。

経営成績に重要な影響を与える要因

第2[事業の状況]2[事業等のリスク]に記載しております。

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

連結経常利益(計  画)

603百万円

740百万円

1,086百万円

  (実  績)

577百万円

  (達成率)

95.7%

なお、2023年度について経常利益10億円以上、ROEにつきましては、8%以上を目指します。

 

当社グループは、長期ビジョン及び中期経営計画(2021 年度~2023 年度)を策定しております。当社グループは、この中期経営計画の目標達成を目指して、グループ一丸となり、鋭意取り組んでまいります。

詳細につきましては、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況に記載しております。

 

資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

当社グループの資金需要のうち、運転資金の主な資金需要は、石油事業とホームエネルギー事業の営業活動における製品仕入や、各事業における販売費及び一般管理費等であります。また、投資資金の主な資金需要は、石油事業における油槽所設備の更新、ホームエネルギー事業におけるLPG設備の取得、レンタル事業におけるレンタル機械の更新購入等であります。

(財務政策)

当社グループのコア事業である石油事業は、原油価格や為替、季節的変動等のボラティリティの大きいリスクに晒されております。このような中で大きな財務リスクを抱えること無く、事業活動に必要な資金を安定的・効率的に確保するために、自己資金を優先的に活用することを基本方針としつつ、自己資金が不足する場合には金融機関からの借り入れにより資金調達することとしております。

また、当社は複数の金融機関に十分な借入枠を有するとともに、総額20億円のコミットメントライン契約を主要取引金融機関と締結し、資金の流動性を補完しております。

なお、重要な資本的支出及びその資金の調達源につきましては、第3[設備の状況]3[設備の新設、除却等の計画]重要な設備の新設に記載しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項]連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項に記載しているとおりであります。

当社グループは、見積りが必要となる事項については、合理的と考えられる基準に基づき、見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債及び収益・費用に反映させ連結財務諸表を作成していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルス感染拡大の事業計画等への影響については、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、回収可能価額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

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