課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

今後の我が国経済につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響やロシア・ウクライナ情勢の動向などにより先行きに不透明感を増しており、経済活動の回復の遅れが懸念されます。

このような厳しい経営環境の下で、中期経営計画の2年目において当社グループは、石油事業では、原油価格の上昇により増加した仕入コストを早急に販売価格へ転嫁することを最優先事項としてマージン是正に取り組んでまいります。また、経済活動の回復動向を注視し、いち早く需要を取り込む営業活動に傾注するとともに、事業運営費の見直しを行うことにより、石油事業の収益改善を図ってまいります。

さらに、中期経営計画の事業別施策である次世代液体エネルギーの供給を見据えた新規顧客の獲得に努めるとともに、配送体制の強化並びに自社基地の効率活用などによるサプライチェーンの拡充・強化を推進してまいります。また、仕入ソースの多様化、付随サービスの強化などにより事業の拡大を図ってまいります。

ホームエネルギー事業では、増加した仕入コストの転嫁に努め安定的な収益確保を図るとともに、積極的な新規投資により供給戸数の更なる拡大を図ってまいります。

レンタル事業においては、需要動向を見極め営業活動に繋げるとともに、安定的な収益確保のためレンタル建設機材への投資も引き続き積極的に進めてまいります。

環境関連事業においては、アドブルーを使用するSCR搭載商用車が増加する機会を捉え、更なる増販に努めてまいります。

また、事業投資においては、既存事業の営業基盤を活かした事業への投資、サプライチェーン拡充と強化への投資、周辺事業領域への進出のための投資などをより具体化してまいります。

さらに、当社事業と密接に関係する次世代エネルギーや気候変動対応などサステナビリティを巡る課題につきましても、当社事業におけるリスクの減少のみならず、収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、積極的・能動的に対処していきたいと考えております。

以上のような事業別施策を着実に実施し、中期経営計画の目標達成に向け、グループ全体で鋭意取り組み、企業価値を向上させることにより、ステークホルダーの期待に応えてまいります。

このように大きく変化する環境の下で、当社グループは、長期ビジョンと新たな「中期経営計画(2021年度~2023年度)(以下「本中計」といいます。)」を次の通り策定し、各種施策に取り組んでおります。

 

① 長期ビジョン及び本中計策定の背景

地球温暖化対策に世界が動き出す中、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて社会の関心は加速度的に高まりを見せ、また、業界再編の動きも今後活発化することが見込まれていることから、当社を取り巻く事業環境は従来に増して劇的に変化します。

当社は、次世代液体エネルギーへの転換に合わせて、業界内での厳しい競争に勝ち抜くことができる供給体制を確立してシェアをより多く獲得することで、その後のイニシアチブをとることが可能と考えており、この変化を成長へのチャンスととらえています。このため、現在の当社の供給体制を最大限に拡充・強化しながら、無駄なく、間断なく、いち早く、次世代液体エネルギーの供給企業への変革を遂げられるよう、活動を開始することとし、長期ビジョン及び本中計を次のとおり定め、その実現に向け取り組むこととしました。

 

② 長期ビジョンの内容

 お客様が必要とするエネルギーの安定供給と、エネルギーの効率使用や環境負荷の低減に資する商品の提供を通じ、よりよい社会づくりを支える企業でありたい

 

・お客様にとって最適なエネルギー・サービス・ソリューションを提供します

・グリーン商品から次世代液体エネルギーまで幅広くお届けします

・地域のくらしと産業の持続的な豊かさと発展を支えます

・事業活動を通じてESGの取り組みを推進し、よりよい社会づくりに貢献します

 

③ 本中計の内容

ア.基本方針

 本中計の3年間を、この次世代液体エネルギーの供給企業への構造転換を果たしていくための大切なスタート期と位置付け、当社の意識変革、人材育成、外部からの人材の招聘等の組織・人事改革も同時に実施し、持続的に成長する企業に生まれ変わります。

 

 当社は、これらの実現に向けた基本方針を次のとおり定め、取り組んでまいります。

 

a.次世代液体エネルギーの取り扱いを前提としたサプライチェーンの拡充と強化

b.原油価格や天候の変動等外部環境による収益影響を受けにくい安定したビジネスモデルへの変革

c.AI・IoTの利用等あらゆる可能性を追求した効率の良いエネルギー供給体制の構築

d.新規事業及び既存成長事業の収益拡大に向けた積極投資の実施

 

 これらの実現のために、設備・人材・システム等への投資に加え、次世代液体エネルギーの供給企業として必要な規模・技術・ノウハウの確立に向けた協業・提携・M&Aを積極的に実施するべく取り組みます。

 また、手元資金を上記施策に係る投資に充てることによって収益性及び資本効率(ROE)の向上を促進し、このための投資を積極的に実施するとともに、得られた収益については可能な限り株主還元の拡充に努めてまいります。

 

イ.目標とする経営指標

 本中計基本方針に基づく事業別施策及び大胆な投資・株主還元により、“新生”富士興産として、最終年度である2023年度において、連結ベースで次の数値目標を目指します。

    経常利益:10億円以上 ROE:8%以上

 

ウ.投資・株主還元

a.投資

<川下戦略 ~小売会社との統合・提携~>

・小売マージン吸収や原油価格騰落時の価格スプレッド変動リスクを最小化するとともに、物流サービスの差別化により、エンドユーザーの囲い込みを行うことで、価格競争からの脱却を図る。

・上記、取り組みにより、水平戦略の展開時の交渉を有利に進め、次世代液体エネルギーへの転換を当社主導で推進する。

<水平戦略 ~同業他社との統合・提携~>

・規模拡大、シェア拡大を進め、物流機能の効率化、設備投資・コストの最小化を図る。

・次世代液体エネルギーへの転換における主導権を握り、業界内のプレゼンスを高める。

 

b.株主還元

    総還元性向100%を目安とした株主還元を実施(2022年3月期から2024年3月期)

  市場環境や資本の状況を勘案し、利益配当と自己株式取得を合わせて実施します。

 

(参考)                                (百万円)

 

2021年度

(2022年3月期)

2022年度

(2023年3月期)

2023年度

(2024年3月期)

目標総還元額

430

530

760

 

エ.コーポレート・ガバナンス

 本中計初年度より独立社外取締役を2名追加選任し、経営の監督体制を強化しております。本中計期間は、次世代液体エネルギーの供給企業への構造転換を果たしていくための大切なスタート期であり、大きな舵をとる上でより強固なガバナンス体制構築が必須であると考えております。引き続き、当社取締役会のスキルセットを考慮し長期ビジョン及び本中計を達成する上で必要な人材を選定してまいります。

 

以上、当社グループは、本中計の目標達成に向け、グループ全体で鋭意取り組んでまいります。

 

 

 

〈新型コロナウイルス感染症の事業活動への影響〉

 有価証券報告書の提出日(2022年6月29日)現在において判断した当社グループへの影響は、次のとおりであります。

 

営業体制

 新型コロナウイルスの感染防止対策として従業員には手洗いや咳エチケットの徹底、会議・出張・会合の制限、顧客訪問などの対面営業活動の一部自粛、テレワークや時差出勤の利用等により当社グループ内での感染防止に努めることにより、営業体制の維持を図っております。

 

供給体制

 取引先や一般消費者への製品やサービスの供給体制に特段の影響は生じておりません。

 

事業(セグメント)別の影響

(石油事業)

 新型コロナウィルス感染症の影響は感染者の減少とともに緩和に向かい、工場・建設現場は需要回復の動きが見られ、一部漁業関係の動きは鈍いものの、陸上輸送や海上輸送も上向きに推移しています。また、主力製品である暖房用の燃料油は冬期が需要期であり、不需要期である現時点では、損益に与える影響は小さいと考えております。

(ホームエネルギー事業)

 新型コロナウィルスの感染状況は減少傾向となり、営業活動や顧客訪問も日常を取り戻してきております。引き続きの感染防止対策に努めながら、主力商品である燃料油の需要期に向け営業・保安活動を進めており、現時点では計画通りの進捗となっております。

(レンタル事業)

 公共工事や民間投資に回復の遅れがあるものの、現時点では計画通りの進捗となっております。

(環境関連事業)

 主たる事業であるメガソーラー発電事業には、直接的な影響はありません。

 

資金調達

 当社は従来より、複数の金融機関に十分な借入枠を有するとともに、総額20億円のコミットメントライン契約を主要取引金融機関と締結し、資金の流動性を補完しております。

 

今後の影響

 有価証券報告書の提出日(2022年6月29日)現在においては、当社グループの事業計画に新型コロナウイルス感染症による大きな影響はありません。

 ただし、直接的な影響ではないものの、世界的な経済活動の回復に伴い、石油需要が高まり原油価格が上昇するリスクが想定されますが、この影響については見込んでおりません。

 当社グループの業績に重要な影響が生じた場合は、適宜事業計画の見直しを行います。

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