有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。これらは当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見できないリスクも存在します。このようなリスクが現実化した場合には、当社グループの事業、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外部環境等に関するリスク
①法的規制
当社グループの事業は、「建設業法」「電気事業法」「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)」等の法的規制を受けており、関係する法令等の改正や改廃、予期せぬ法令等の制定によって当社グループが行う事業が何らかの制約を受け又は既存の制約が強化されることになった場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、法令等の改廃状況のチェック体制を構築し、関係する法令等の動向を注視する等、法的規制の遵守に努めております。しかしながら、これらの法的規制が当社グループの予想外又は予想を超えた規制がなされた場合や法改正への対応が間に合わなかった場合には、法改正対応のための費用が増加したり、当社グループの事業活動等が制約を受けたりする可能性があるほか、当社グループがこれらの法令等に違反する行為を行った場合には、違反の意図の有無にかかわらず、行政機関から行政処分や行政指導(登録・免許の取消や罰金を含みますが、これらに限りません。)を受ける可能性があり、万が一、法令違反等によって当社グループが取得している許認可等が取り消された場合は、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループが取得している許認可等の状況は以下のとおりでありますが、当連結会計年度末現在において、当該許可の取り消しとなる事由に該当する事実はありません。
1. エンジニアリング事業
許認可等 の名称 |
取得・ 登録者名 |
所 管 官庁等 |
許認可等の内容及び 許認可番号 |
有効期限 |
関連法令 |
取消又は罰則条項 |
一級建築士事務所の登録 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
大阪府建築士事務所協会 |
登録番号:大阪府知事登録(ハ)第23366号 |
2020年3月12日 ~2025年3月11日 以降5年ごとに更新 |
建築士法 |
同法第26条又は第37条~43条 |
特定建設業許可 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
国土交通省 |
建築工事業、とび・土工工事業、屋根工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、板金工事業、塗装工事業、防水工事業、機械器具設置工事業、解体工事業 許可番号:国土交通大臣 許可(特-1)第25685号 |
2020年2月16日 ~2025年2月15日 以降5年ごとに更新 |
建設業法 |
同法第29条又は第45条~55条 |
特定建設業許可 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
国土交通省 |
土木工事業 許可番号: 国土交通大臣 許可(特-2)第25685号 |
2020年6月25日 ~2025年6月24日 以降5年ごとに更新 |
建設業法 |
同法第29条又は第45条~55条 |
2. エネルギーサプライ事業
許認可等 の名称 |
取得・ 登録者名 |
所 管 官庁等 |
許認可等の内容及び 許認可番号 |
有効期限 |
関連法令 |
取消又は罰則条項 |
電気通信事業の届出 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
近畿総合通信局 |
届出番号:E20-2982 |
有効期限なし |
電気通信事業法 |
同法第177条~193条 |
小売電気事業を営もうとする者の登録 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
経済産業省 |
登録番号:A0065 |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
グリーン電力証書発行事業者(申請者)の認定 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
一般財団法人日本品質保証機構 |
申請者コード:A31 |
2022年4月1日 ~2023年3月31日 以降1年ごとに更新 |
― |
― |
工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)のうち、脱炭素化促進計画策定支援事業に係る計画策定支援を行う支援機関の認定 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
環境省 |
― |
2022年4月1日 ~2023年3月31日 以降1年ごとに更新 |
― |
― |
再生可能エネルギー発電設備の認定 |
テス・エンジニアリング株式会社 (注)1 |
経済産業省 |
20130118 四国再太認 第7号 |
有効期限なし |
― |
― |
高圧ガス販売事業の届出 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
東京都 環境局 |
整理番号: 30環改保高第6079号 |
有効期限なし |
高圧ガス保安法 |
同法第80条~86条 |
発電事業者の届出 |
プライムソーラー合同会社 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
発電事業者の届出 |
合同会社T&Mソーラー (注)2 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
発電事業者の届出 |
合同会社ソーラーエナジー・クリエイト(注)2 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
発電事業者の届出 |
合同会社高知室戸ソーラーパワー (注)2 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
発電事業者の届出 |
合同会社千葉香取ソーラーパワー (注)2 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
発電事業者の届出 |
プライムソーラー2合同会社(注)2 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
発電事業者の届出 |
合同会社茨城牛久ソーラーパワー(注)2 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
発電事業者の届出 |
テスホールディングス株式会社 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
特定卸供給事業者の届出 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
(注)1.「第1企業の概況 3事業の内容 (1)事業内容 ②エネルギーサプライ事業 a)再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電」に記載の運転中の太陽光発電所一覧、風力発電所一覧及びバイオマス発電所一覧の全ての発電所においても同様の認定を取得しております。
2.同社は連結子会社ではありませんが、連結対象となる匿名組合の営業者であり、事業上の関連性が高いため、記載しております。
3. セグメント共通
許認可等 の名称 |
取得・ 登録者名 |
所 管 官庁等 |
許認可等の内容及び 許認可番号 |
有効期限 |
関連法令 |
取消又は罰則条項 |
古物商許可 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
大阪府公安委員会 |
第621150123394号 |
有効期限なし |
古物営業法 |
同法第6条、第24条又は第31条~39条 |
特定建設業許可 |
共立エンジニアリング株式会社 |
兵庫県知事 |
電気工事業、管工事業 許可番号:(特-2)第111931号 |
2020年8月21日 ~2025年8月20日 以後5年ごとに更新 |
建設業法 |
同法第29条又は第45条~55条 |
一般建設業許可 |
共立エンジニアリング株式会社 |
兵庫県知事 |
建築工事業 許可番号:(般-4)第111931号 |
2022年4月19日~2027年4月18日以後5年ごとに更新 |
建設業法 |
同法第29条又は第45条~55条 |
②新会計基準の適用、会計基準の変更及び税制改正等
新会計基準の適用、会計基準の変更及び税制改正等が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③エネルギー政策の動向
(エネルギー政策の動向)
当社グループが事業を展開する国又は地域においては、政府による再生可能エネルギーの推進や省エネルギーの徹底、エネルギーの安定供給等に向けた取り組みが進められておりますが、我が国においては、エネルギー政策基本法に基づき策定された第6次エネルギー基本計画(注1)において、2050年カーボンニュートラルの実現と、2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標(2013年度比から46%削減)の達成に向けたエネルギー政策の道筋が示され、徹底した省エネルギーの更なる追求が求められると共に、2030年には国内電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を36~38%程度(2019年度は18%)にする目標が掲げられております。
当社グループが事業を展開するエネルギー分野は、我が国をはじめ当社グループが事業を展開する国又は地域のエネルギー政策による影響を受けており、かかる政策に変化が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(FIT制度の動向)
FIT制度においては、これまでの制度変更によって、太陽光発電、風力発電や大型バイオマス発電等の一部の電源種別については、新たに取得するFIT認定(注2)において固定買取価格が制度開始時より段階的に引き下げられ、又は買取価格の決定方法が入札に移行しております。また、2022年4月からは再生可能エネルギーの買取価格に市場連動型となるFIP制度(注3)が導入されたことに加え、調達価格等算定委員会が2022年2月4日に公表した「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」では、FIP制度の適用範囲が段階的に拡大されることが示されました。当社グループは、既にFIT認定を取得している再生可能エネルギー発電所に対する取り組みを進めておりますが、今後、政府の決定によって更にFIT制度が縮小、あるいは終了する等、再生可能エネルギー発電事業者にとって不利な変更がなされた場合には、当社グループのエンジニアリング事業においては、FIT制度を利用した再生可能エネルギー発電システムのEPCの新規受注機会が減少する可能性があるだけでなく、エネルギーサプライ事業においては、再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電における発電所取得機会が減少する可能性があります。
また、FIT認定にかかる固定買取価格が引き下げられた場合には、再生可能エネルギー発電所の運営にかかる固定費の削減には限界があり、事業上の収益性が低下し、又は、事業からの撤退のための追加的な費用負担が生じ、あるいは固定資産の減損が生じる等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社グループの事業全体に関するリスク
①事業投資
当社グループは、事業の成長に必要な技術製品に係る開発投資、再生可能エネルギー発電所に係る新規設備(オンサイトPPAモデルによる設備取得を含む)及び既存の稼働中設備取得等の設備投資、販売網、顧客基盤及び技術力を有する第三者との合弁会社の設立等の継続した事業投資を実施しております。また、今後も当社グループの経営戦略を推進する上で、これら事業投資は重要な要素と位置付けております。
当社グループは、事業投資の実行に際して、経営戦略との整合や既存事業とのシナジー等の確認、投資対象等に対する収益性の検討及び各種デューデリジェンスの実施等、十分な確認・検証を実施することとしております。しかしながら、これら事業投資については、当社グループが企図した通りに投資を実行できない可能性、事業投資そのものに想定以上の費用や時間を要する可能性、当社グループの想定通りに事業が進展しない可能性、未認識の瑕疵・問題等が存在する可能性、投資資産の償却負担が増大する可能性、多額の借入れにより当社グループの有利子負債の割合が増大する可能性、開発資金が不足する可能性や、エネルギー供給先の財政状態悪化及び経営破綻等が生じる可能性があります。これらが顕在化した場合は、当社グループの収益性の悪化や投資に伴い計上した有形固定資産、無形資産、株式等の金融資産又はのれん等の減損損失等が生じる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、外部環境の変化その他の要因から、優良な事業投資案件の獲得が困難となり、又はその取引条件が悪化した場合においても、当社グループの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②研究開発
当社グループでは「バイオマス燃料」「蓄電池システム」「需給調整・余剰電力活用技術」「地熱発電システム」の研究開発を進めており、かかる研究開発には長期の期間と多額の費用を必要とします。当社グループは、研究開発の実行については、自社戦略との整合性や既存製品サービスとの親和性を検証する等、十分な確認を実施しておりますが、万が一、研究開発の遅延や長期化により追加的な費用が発生した場合や想定していた成果が得られず収益に結びつかない等の状況が生じた場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③資金調達
当社グループは、エンジニアリング事業におけるEPCに伴う運転資金やエネルギーサプライ事業における発電施設開発・取得等の設備投資資金について、金融機関からの借り入れにより調達しているほか、設備投資の一部はリースを活用しております。2022年6月期末における連結総資産額に占める有利子負債の割合は64.8%であり、当社グループにおける再生可能エネルギー発電設備に係る設備投資や大型EPCに係る運転資金需要等により、当該割合は高い水準にあります。当該状況から、金利が上昇した場合や業績悪化等により当社グループの信用力が低下した場合には、金利負担の増加等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、将来において、柔軟な資金調達に支障が生じた場合には、当社グループの事業活動の制約要因となる可能性があります。
なお、当社グループの金融機関からの借り入れには財務制限条項が付されているものがあります。いずれかの財務制限条項に抵触する可能性が発生し、抵触を回避するための手段を取ることができない場合、当該債務について期限の利益を喪失する可能性があるほか、それに伴い、その他の債務についても一括返済を求められる可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在において、かかる財務制限条項に抵触し又は抵触することが合理的に見込まれる借入契約はありません。
また、再生可能エネルギー発電所の開発・取得に係るプロジェクトファイナンスによる資金調達の一部については、当社グループが行う再生可能エネルギー発電所のEPCを定められた条件下での完成を保証することや、事業用地の維持及び匿名組合出資の維持等の義務を定めたスポンサーサポート契約を締結しているものがあり、金融機関より当該履行を求められた場合は必要な対応を行わなければならないほか、追加出資等が必要になる場合があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④大規模自然災害の発生及び感染症の流行
大規模な地震や津波、突風、台風、豪雨、洪水、火山の噴火等の自然災害の発生、新型コロナウィルス感染症をはじめとする感染症の流行等により、当社グループの人材・設備等が直接的な被害を受け、又は、当社グループの取引先やサプライチェーンが被害を被ることにより、当社グループの事業運営に重大な支障が生じるおそれがあるほか、世界経済及び国内経済の混乱に伴う景気の停滞・悪化等によっても間接的被害を受けるリスクがあります。
当社グループは、多様な事業に取り組むことでリスクの分散化を図ると共に、バックアップ拠点となるサテライトオフィスやテレワークの実施体制を整備する等、有事の際にも事業継続が可能な環境を整えておりますが、上記被害を完全に回避することはできず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの再生可能エネルギー発電所等の設備において、当社の想定を上回る自然災害の発生により発電設備の全部又は一部に重大な損傷が発生した場合には、当該損傷の修理のために予想外の費用が発生する可能性があるほか、当該修理のために発電事業の全部又は一部の操業停止を余儀なくされた場合には、当該期間における収益を失う可能性があります。また、発電設備の損傷に伴う部材の飛散等によって近隣の住民や家屋に被害が及ぶ可能性があるほか、発電設備の損傷や近隣の住民や家屋への被害の原因、規模等によっては、行政機関から行政処分や行政指導(登録・免許の取消や罰金を含みますが、これらに限りません。)を受ける可能性も否定できません。
当社グループとしては、発電設備等の安全維持に努めるほか、当社グループ又は近隣の住民や家屋に損失・被害等が生じた場合に備えて施設賠償責任保険に加入しておりますが、当社の想定を上回る損失・被害等が生じた場合や行政機関から行政処分や行政指導を受けた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤気候変動
気候変動に関するリスクのうち、脱炭素社会への移行に向けたリスクとしては、政府等による環境規制の強化に伴う炭素税の導入や、新規油田開発の停滞に伴う原油価格の上昇による原材料価格への影響、気候関連課題に対応できない企業に対する評判の悪化等が想定されます。また、気候変動による自然災害の激甚化による物理リスクとしては、台風の強度の増大化、豪雨の発生に伴う洪水等による当社グループが保有する発電所等への影響等が想定されます。これらリスクが顕在化した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、気候変動リスクと機会に対する取り組みを推進すると共に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明し、同タスクフォースが推奨する開示項目に則り気候変動に関する情報の開示を行っております。特定・評価を行った気候変動に関するリスクに関しては、ESG推進委員会を中心にコンプライアンス・リスク管理委員会とも連携し、全社的なリスクマネジメントを図っております。なお、当社グループのTCFD提言に基づく気候変動対応の詳細の開示内容は、次のURLからご覧いただくことができます。
(当社ホームページ)https://www.tess-hd.co.jp/company/sustainability.html
⑥建築資材及び燃料価格、電力取引価格の変動
当社グループは、エンジニアリング事業、エネルギーサプライ事業共に、建築資材や燃料価格について、複数調達先の確保、一部燃料の固定価格調達、バイオマス燃料の自社内製化に取り組むことで価格変動に影響されにくい調達体制を整えておりますが、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定される価格の変動によって、受注活動や事業の収益性等が悪化するリスクがあります。万が一、これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが行う電気の小売供給では、一般社団法人日本卸電力取引所(JEPX)にて電力調達及び電力販売を行っております。JEPXからの購入による調達価格の変動に対しては、一定量を発電事業者との相対取引で調達することで、リスク回避を図っておりますが、万が一、発電事業者との相対取引が継続できなかった場合には、JEPXからの購入量の増加に伴い、調達価格の変動リスクが大きくなるほか、世界的なエネルギー価格の高騰や猛暑、寒波等の影響により電力の取引価格全体が急騰した場合には、発電事業者との相対取引によっても調達価格の変動リスクを回避することができず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦海外展開
当社グループは、各国・地域のエネルギー政策、法的規制又はマクロ経済環境の状況を見極めた上で海外地域からの資材調達や現地での事業化に取り組んでおります。しかし、これらの国・地域からの資材調達や事業展開においては、昨今の米中貿易摩擦をはじめとする政治、経済、社会情勢、文化、宗教、慣習、テロ等の様々な要因に起因して生じる予期せぬ事態、各法令・規制の変更等による国家収用、送金停止、関税その他の課税のほか、様々なカントリーリスクが存在します。万が一、これらのリスクが顕在化した場合には、資材調達や事業遂行の遅延や不能等が発生する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは設備や資材の一部を海外から調達しており、また、海外における事業展開のために海外子会社の設立を行う場合があります。そのため、為替相場の変動により当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
⑧品質管理
当社グループは、品質マネジメントシステム「ISO9001」に準拠した品質管理体制を構築する等、外注企業を含めた品質管理を徹底した上で、製品やサービスの提供を行っております。しかしながら、事業活動における品質上の全てのリスクを完全に排除することは難しく、万が一、当社グループが提供する製品・サービスに品質上の問題が発生した場合は、訴訟や重大なクレーム等が生じる可能性があり、多額の賠償請求や品質管理体制の強化を求められたり、これに伴う社会的信用が低下したりすることにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨設備トラブル
当社グループが運営する再生可能エネルギー発電所の設備やICTソリューションセンターの監視設備等(コンピューターやネットワーク機器等)、当社グループが所有・管理している設備にトラブルが発生する場合があります。
当社グループでは、バックアップ設備の確保、適切なメンテナンスの実施や人員体制の整備等によってトラブルの未然防止や発生時の早期復旧ができるよう努めておりますが、万が一、トラブルが長期間に及ぶ場合や、当社グループが所有・管理していない事業地外の設備(電力供給先の送電網や変電所等)に想定外のトラブルが発生した場合は、顧客へのサービス提供ができなくなり、また、それに関して顧客からの損害賠償請求や、当社グループ及びそのサービスに対する社会的信用が毀損されることで、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩知的財産権
当社グループは、知的財産についての管理規定を定め、当社グループが管理する知的財産権を保護すると共に、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めておりますが、他社との間で、当社グループが保有する知的財産、又は他社が保有する知的財産に係る訴訟等の紛争が発生した場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪情報漏洩
当社グループは事業活動を行う上で、個人情報や取引先の機密情報を取り扱っており、それらの情報の管理や、セキュリティ管理は重要な事項です。このため、当社グループでは、「JIS Q 27001:2014」に適合した情報セキュリティマネジメントシステムを構築していることに加え、ファイアーウォールの設置、データアクセス権限の設定、データ通信の暗号化、PCログの取得、セキュリティシステムの継続的な改善、社内教育の実施等、情報漏洩の防止に対する取り組みに努めておりますが、当社グループが取り扱う個人情報や取引先の機密情報につき、システムへの不正侵入、情報の漏洩・紛失・改ざん・盗用・破壊、システムの利用妨害、人為的ミス等が発生した場合には、業務の停滞、顧客等からの損害賠償請求や当社グループ及びそのサービスに対する社会的信用の低下が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫訴訟
当社グループは、事業活動に関連して、瑕疵、製造物責任、権利問題等の訴訟を提起される可能性があります。当社グループは、コンプライアンスを重視し、訴訟の未然防止のために必要な社内体制を構築すると共に、適宜、顧問弁護士等の専門家と協議のうえ、適切な対応を行っております。本書提出日現在において顧客や取引先からの経営成績に重大な影響を与える損害賠償請求や訴訟等は生じておりませんが、今後、重大な訴訟が提起された場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬信用リスク
当社グループは、取引先に関する与信管理に努めておりますが、発注者や協力業者等の取引相手に財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、資金の回収不能や施工遅延等の事態が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績等及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭競合
当社グループが展開する事業分野には、それぞれ大企業から専業企業に至るまで多様な競合相手が存在しております。当社グループは、エネルギーに関する事業を幅広く展開すると共に、エンジニアリング事業とエネルギーサプライ事業の双方で獲得した技術やノウハウを活用し、顧客に対してエネルギーのワンストップ・ソリューションを提供する等、他社との差別化を図ることで、競争優位性の確保に努めておりますが、新規参入業者を含めた競合他社と価格競争等の激化、当社グループが即応できないサービスを提供する競合先が出現した場合には、競争優位性を確保できないリスクがあり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑮人材流出・人材不足・資格者維持
当社グループでは、事業の持続的発展のために、新卒採用や経験者の通年採用を経営計画に沿って実施しております。当社グループでは、経営陣と従業員の対話による企業文化の浸透及び帰属意識の向上、適切な目標管理と評価制度の構築、資格取得のための支援制度を整備する等、人材の定着に努めておりますが、日本国内における雇用環境によっては人材獲得競争が激化することになり、エンジニアを含むキャリアや資格保有者の採用・教育の失敗、人材の社外流出、人材の獲得若しくはつなぎ止めのための労務費の増加等が発生する可能性があり、このような場合は、当社グループの事業、業績及び継続性等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)エンジニアリング事業に関するリスク
①開発プロセス
当社グループが再生可能エネルギー発電所等の開発を行う際は、事前調査を通じて開発に係る各種許認可取得に必要な措置を行い、地域社会や地域環境に対して最大限の配慮の上で開発を進めておりますが、各種許認可取得の遅延、地方団体や地元住民等との合意形成の遅延、土地の購入及び貸借後の予期せぬ土地の瑕疵の判明、埋蔵文化財等発見による追加調査の実施等が発生した場合には、想定する開発スケジュールの遅延・中断又は開発の中止等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②大型EPC案件に係る取り組み
近年、当社グループにおいては、EPCに係る大型案件の受注にも注力しており、複数年を要するプロジェクト案件に係る取り組みも複数件生じております。当社グループは、EPC受注に際しては、施工計画や調達計画、工事の難易度や採算性等について、十分な検証や確認を実施した上で行うこととしておりますが、特に大型案件は、工事工程が複雑化又は長期化する等、各種要因によって想定通りに工事が進捗せず、プロジェクトに遅延が生じた場合には、売上計上に係る期ズレや想定外の追加コスト、遅延損害金等の負担が発生する可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、施工能力を考慮した上で継続的な受注案件獲得に努めておりますが、当社グループが取り組むEPC案件における大型案件の有無やその工事規模、売上計上タイミング等により各決算期の業績は変動する可能性があります。
なお、当社グループが行っている大型案件の一例としては、福岡県京都郡みやこ町における大型太陽光発電所(発電容量約67.0MW)のEPCがあり、工事工程の管理を徹底しながらプロジェクトを進めております。
③EPCにおける太陽光発電設備以外の取り組み
当社グループでは、過年度においてエンジニアリング事業におけるFIT制度を活用した太陽光発電設備に関するEPCの割合が高くなっております。一方、FIT制度における太陽光発電の固定買取価格の低下により、優良な事業化案件は減少しつつあります。当社グループでは、自家消費用太陽光発電設備、バイオマス発電設備関連や省エネルギー設備のEPC拡大を図っておりますが、期待する受注獲得に至らない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④重大事故発生
当社グループでは、安全教育の徹底や安全対策部門によるチェックを充実させる等、工事及び建設現場における安全衛生管理、工程管理には細心の注意を払っておりますが、人的若しくは施工物に関する重大な事故が発生した場合は、行政処分又は行政指導や民事上の損害賠償等が行われる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)エネルギーサプライ事業に関するリスク
①FIT認定の取り消し
当社グループが行う再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電では、当社連結子会社及び持分法適用関連会社がFIT制度に基づいたFIT認定を取得しております。当社グループは当連結会計年度末時点において、FIT認定に基づいて合計78件の太陽光発電所、風力発電所、バイオマス発電所の運転を行っております。しかしながら、認定された事業計画通りに事業を実施できず、認定時の基準に適合しなくなったと認められた場合は、当該認定が取り消されることがあります。当社グループでは、運転を既に開始した発電設備のFIT認定が取り消される可能性は相当程度限定的と考えておりますが、万が一、当該認定が取り消された場合は当社グループにおける再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電の継続が困難となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②長期的な天候不順
当社グループが行う再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電では、自然由来の太陽光や風力等を利用しております。当社グループは現在のところ、他の電源と比較し太陽光発電の事業化が先行しているため、天候不順により日射量の低下や日照時間の不足が長期間生じた場合、太陽光発電所の発電量が低下し、売上の減少を招く可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③発電所の出力抑制
当社グループが行う再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電では、FIT制度を活用しております。2015年1月に、当該制度の改定が行われ、出力抑制ルールが拡充したことで、当社グループが開発を進める電源のうち、太陽光発電や風力発電といった発電出力が気候の影響を受ける自然変動電源においては、指定電気事業者(注4)に指定された一般送配電事業者の電力系統に接続する場合、無制限・無補償の出力制御が課されることになりました。そのため、新ルール適用後に接続契約を申し込む発電設備については、出力制御を受けることによって売電収入が減少する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末現在で当社グループが運用する発電所において、無制限・無補償の出力制御の対象となっているものは、「TESS鹿児島下福元ソーラー発電所(鹿児島県鹿児島市、発電容量約2.3MW)」であります。
④大型バイオマス発電事業に関する投資
当社グループは、2021年9月14日に株式会社伊万里グリーンパワーの全株式を取得し、当社の連結子会社としました。同社は、佐賀県伊万里市において発電出力約46.0MWの大型バイオマス発電の事業化に向けた開発を行っており、2022年1月19日開催の当社取締役会において、固定資産の取得(佐賀伊万里バイオマス発電所(仮称)の建設)を決議しております。
当社グループは、発電所建設に際して、EPC事業者(注5)との間で綿密な設計計画を作成した上で、EPC事業者が工事の完成を約束する工事請負契約を締結いたしました。しかしながら、EPC事業者との契約締結後、契約範囲外の事由により、設計当初に想定しなかった追加工事が発生した場合、自然災害、感染症(新型コロナウイルス感染症を含む)等の不可抗力その他一定のやむを得ない事由の発生により事業計画に遅延が生じた場合、発注先のEPC事業者の信用悪化等の事象が発生することにより工事期間に影響が生じる場合には、工事請負金額が増加することや、FIT売電期間が短縮すること等事業の収益性に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後、何らかの事由により開発が中止となった場合やバイオマス燃料の調達リスクその他様々な理由により事業の収益性が当初の想定よりも大幅に低下した場合等には、当社グループは当該投資や発電所建設に伴って計上される建設仮勘定等の資産について、減損処理により損失を計上することになり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注1)エネルギー基本計画:
エネルギー政策基本法第12条に基づき制定される、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るためのエネルギーの需給に関する基本的な計画のことであります。
(注2)FIT認定:
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に規定される、経済産業大臣による再生可能エネルギー発電事業計画の認定をいいます。
(注3)FIP制度:
再生可能エネルギー発電事業者が発電した電気を卸電力取引市場や相対取引で売電をした場合に、基準価格(FIP価格)と市場価格の差額をプレミアム額として交付する制度のことであります。
(注4)指定電気事業者:
接続申込量が接続可能量を超過した場合には、無制限・無補償の出力制御を前提として、再生可能エネルギー発電設備の系統へ連系ができるよう経済産業大臣から指定された電気事業者を意味しております。
(注5)EPC事業者:
発電所建設において、EPC(Engineering:設計、Procurement:調達及びConstruction:施工)を含む一連の工程を請け負う事業者を指しています。
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