当社は2021年10月1日に共同株式移転の方法により前田建設工業株式会社(以下「前田建設」という。)、前田道路株式会社(以下「前田道路」という。)及び株式会社前田製作所(以下「前田製作所」という。)の完全親会社として設立されましたが、経営統合以前、前田道路及び前田製作所は前田建設の連結子会社であり、当社の連結範囲は統合以前の前田建設の連結範囲と実質的な変更はありません。ただし、当連結会計年度は、当社の設立後最初のものとなるため、前連結会計年度との対比は行っていません。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における経済状況は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響が、ワクチン接種や各種政策の効果により社会経済活動の制約が徐々に緩和され、一部持ち直しの動きが見られたものの、ウクライナ情勢の影響による世界経済の混乱など、先行き不透明な状況であり、総じて厳しい状況となりました。
建設業界においては、関連予算の執行によって公共投資は比較的高水準で推移致しました。また、民間の設備投資にも持ち直しの動きが見られた一方で、住宅建設は弱含みで推移しました。
このような状況のなかで、2021年10月1日に共同株式移転の方法により、前田建設、前田道路及び前田製作所の3社の完全親会社として当社は設立されました。当社のもとで、当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)全体が永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を「総合インフラサービス企業」と定め、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な収益基盤」を確立し、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」の実現に向けた取組みを行っています。
また、当社は2021年12月16日開催の取締役会において、プライム市場を選択することを決議し、所定の手続きに基づき選択申請を行い、2022年4月4日にプライム市場に移行しました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高が6,829億円余、営業利益は374億円余となり、経常利益は380億円余となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、266億円余となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を旧親会社で株式移転完全子会社となった前田建設の当連結会計年度の期首から適用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」を参照ください。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
建築事業は、集合住宅や事務所ビルを中心とする建設工事及び付帯する事業を展開しており、国内建築工事において大型工事の受注により手持工事高が順調に推移、また当期出来高が堅調であったことなどにより、売上高は2,161億円余となりました。セグメント利益は工事施工における利益向上の取組みなどにより、84億円余となりました。
(土木事業)
土木事業は、橋梁やトンネルを中心とする建設工事及び付帯する事業を展開しており、国内土木工事において大型完成工事の減少等により、売上高は1,426億円余となりました。セグメント利益は、海外工事における係争案件の終結に伴う損失の戻し入れなどにより、146億円余となりました。
(舗装事業)
舗装事業は、舗装工事等の建設工事及びアスファルト合材等の製造・販売を中心に展開しており、売上高については堅調に推移した結果、2,327億円余となりました。セグメント利益は、産油国による協調減産路線の維持とウクライナ情勢の影響による原油価格の高騰により、26億円余となりました。
(機械事業)
機械事業は、建設機械の製造・販売を中心に展開しており、建設機械関連商品の販売等が堅調に推移し、産業機械関連製品の販売等が海外輸出を中心に改善したことにより、売上高は353億円余となり、セグメント利益は16億円余となりました。
(インフラ運営事業)
インフラ運営事業は、再生可能エネルギー事業及びコンセッション事業を中心に展開しており、愛知道路コンセッション株式会社をはじめとする事業会社の業績が堅調に推移したことに加え、太陽光発電事業を2件売却したことにより、売上高は186億円余となり、セグメント利益は60億円余となりました。
(その他)
その他の事業は、リテール事業から建設用資材製造・販売、ビル管理、不動産事業等を中心に展開しており、売上高は374億円余となり、セグメント利益は18億円余となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、△163億円余となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、△225億円余となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、152億円余となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ229億円余減少し、760億円余となりました。
キャッシュ・フロー指標のトレンド
(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
4.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
5.2022年3月期は営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載していません。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建築事業、土木事業では、請負形態をとっているため、生産を定義することが難しく、生産実績及び販売実績を正確に示すことは困難です。
また、連結子会社が営んでいるインフラ運営事業等のように、受注生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。
以上の理由で、生産、受注及び販売の実績を示すことはできませんが、当社グループの受注及び施工等の大半を占める事業会社である前田建設、前田道路の受注及び売上等の実績は次のとおりです。
a.事業会社別受注高・売上高及び次期繰越高
(注) アスファルト合材等の製造・販売に係る金額は含みません。
b.事業会社別受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) アスファルト合材等の製造・販売に係る金額を除いて算出しています。
c.事業会社別完成工事高
(注)1.完成工事のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりです。
(注)2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先 はありません。
(注)1.完成工事のうち請負金額30億円以上のものはありません。
2.アスファルト合材等の製造・販売に係る金額は含みません。
d.事業会社別手持工事高
(注) 手持工事のうち請負金額50億円以上の主なものは、次のとおりです。
(注)1.完成工事のうち請負金額30億円以上のものはありません。
2.アスファルト合材等の製造・販売に係る金額は含みません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
Ⅰ.財政状態
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりです。
a.資産の部
当連結会計年度の総資産は、9,264億円余となりました。
b.負債の部
当連結会計年度の負債は、5,705億円余となりました。
c.純資産の部
当連結会計年度の純資産は、3,558億円余となりました。
Ⅱ.経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績の状況は、次のとおりです。
a.売上高
当連結会計年度の完成工事高は、3,906億円余となりました。また、その他の事業売上高は、2,922億円余となりました。
b.営業利益
営業利益は、374億円余となりました。
c.経常利益
営業外収益は、40億円余となりました。
営業外費用は、35億円余となりました。
その結果、経常利益は、380億円余となりました。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、84億円余となりました。
特別損失は、19億円余となりました。
法人税等は、147億円余となりました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、266億円余となりました。1株当たり当期純利益は、94.73円となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
キャッシュ・フローの分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、建設工事の立替資金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要のうち、主なものは、M&A、設備投資等によるものです。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入・社債の発行、インフラ運営事業については、ノンリコースでの資金調達を基本としています。
なお、当連結会計年度末における有利子負債(リース債務及び公共施設等運営権に係る負債を除く。)の残高は1,934億円となっています。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は760億円となっています。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
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