(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は24,523百万円であり、前連結会計年度末に比べて15,980百万円増加しました。これは主に中国賃貸事業の譲渡により中国子会社2社が連結範囲から外れたため、流動資産全体で407百万円減少したものの、中国賃貸事業の譲渡代金の入金により現金及び預金が12,395百万円、賃貸開発事業における土地の仕入が先行したことにより販売用不動産が626百万円及び仕掛販売用不動産が3,027百万円増加したこと等によるものです。
固定資産は2,902百万円であり、前連結会計年度末に比べて1,361百万円減少しました。これは主に中国賃貸事業の譲渡により当社の中国子会社2社が連結範囲から外れたため、有形固定資産が1,016百万円及び無形固定資産のリース資産が305百万円減少したこと等によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は9,197百万円であり、前連結会計年度末に比べて4,623百万円増加しました。これは主に中国事業の譲渡により当社の中国子会社2社が連結範囲から外れたため、流動負債が486百万円減少したものの、中国事業の譲渡に伴い関係会社出資金譲渡益を16,583百万円計上したことにより課税所得が増加し、未払法人税等が5,102百万円増加したこと等によるものです。
固定負債は458百万円であり、前連結会計年度に比べて259百万円減少しました。これは主に中国賃貸事業の譲渡により当社の中国子会社2社が連結範囲から外れたため、リース債務が36百万円、負ののれんが128百万円及び資産除去債務が26百万円減少したこと等によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は17,770百万円であり、前連結会計年度末に比べて10,255百万円増加しました。これは主に中国事業の譲渡により関係会社出資金譲渡益として16,583百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益10,679百万円を計上したこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は64.8%(前連結会計年度末は58.7%)となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、厳しい状況からは緩和しつつあるものの、変異株による感染の再拡大もあり、収束には程遠い状況が続く中、設備投資や企業収益には持ち直しの動きは見られましたが、世界的な半導体等の部品不足、原材料価格の高騰など、先行きにつきましては、依然として不透明感の強い状況が続いております。
海外経済におきましては、厳しい状況にあるものの持ち直しの動きが見られております。しかしながら、新たな変異株の発生もあり、感染症の再拡大や地政学的リスクによる金融市場の大幅な変動や景気の下振れリスクには、十分注意を払う必要があります。
このような中、全国の賃貸住宅市場においては、輸入木材価格や建築資材などの高騰が見られるものの、新型コロナワクチンの普及や対面での営業活動が徐々に再開したこともあり、全国の新設貸家着工戸数は、2021年3月以降回復傾向に転じ、2021年3月は27,245戸(前年同月比2.6%増)、4月は28,825戸(同13.6%増)、5月は25,074戸(同4.3%増)、6月は29,802戸(同11.8%増)、7月は29,230戸(同5.5%増)、8月は28,733戸(同3.8%増)、9月は28,254戸(同12.8%増)、10月は29,822戸(同14.5%増)、11月は26,819戸(同1.4%増)、12月は25,222戸(同3.3%増)、2022年1月は23,083戸(同16.6%増)、2月は23,583戸(同4.6%増)となりました(出典:国土交通省HP「住宅経済関連データ」より)。
また、当社の事業エリアである東京都の新設貸家着工戸数は、2021年3月は6,552戸(前年同月比14.2%増)、4月は5,819戸(同5.6%増)、5月は5,656戸(同5.7%増)、6月は5,749戸(同0.5%減)、7月は5,469戸(同4.4%減)、8月は5,450戸(同19.9%減)、9月は5,548戸(同15.7%増)、10月は7,193戸(同43.1%増)、11月は4,931戸(同7.2%減)、12月は4,765戸(同1.8%減)、2022年1月は5,188戸(同8.1%増)、2月は5,698戸(同7.2%増)と回復傾向にあるものの不安定な状態が続いております(出典:東京都住宅政策本部HP「住宅着工統計」より)。
このような環境の下、当社グループでは、賃貸住宅事業において、コンサルティング力の強化を軸に営業を推進し、新規受注の確保に努めたほか、継続して技術開発に取り組み、リモートワークに対応した設備やスマートフォンとの連動による利便性を向上したアパートの提供を行ってまいりました。また、賃貸経営事業では会員組織を活用したゲスト(入居者)の満足感向上に努め、東京圏の安定的な転入超過状況もあり、高い入居率(2022年2月末で97.9%)を確保することができました。さらに、新たな事業として賃貸開発事業を開始し、主に富裕層顧客に対し営業活動を行ってまいりました。
なお、中国賃貸事業につきましては、中華人民共和国浙江省寧波市政府が行う都市再開発に賽力(中国)有限公司の本店所在地(寧波工場)が含まれていたことから売却の打診があり、2021年10月15日開催の当社取締役会において、賽力(中国)有限公司の全持分を譲渡することを決議し、2021年12月20日に譲渡手続きが完了いたしました。このため、賽力(中国)有限公司及びその100%子会社である格蘭珂(上海)商務諮詢有限公司は、当社の子会社ではなくなり、当社グループは当事業からは撤退いたしました。
以上のような結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は18,424百万円(前年同期比7.8%増)、営業利益は911百万円(前年同期比13.3%減)となり、中国事業の譲渡に伴い譲渡代金送金時に発生する支払手数料を営業外費用として144百万円計上した結果、経常利益は980百万円(前年同期比12.3%減)となりました。また、中国事業の譲渡に伴う関係会社出資金譲渡益16,583百万円を特別利益として計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は10,679百万円(前年同期は576百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
各セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当社は2020年10月1日付で外部環境の変化にフレキシブルに対応するため、それまでの機能別組織から事業部制組織へ変更するとともに、セグメントごとの収益力を強化する目的で、組織ごとの損益の見える化、及び次世代経営者の育成を目的としてアメーバ経営の導入準備を進め、当連結会計年度からアメーバ経営の本格運用を開始しました。
このような背景から、会社の組織体制と報告セグメントを一致させることが投資家の投資判断上も有用であると判断し、当連結会計年度より従来の報告セグメントを以下のとおり変更しております。
・「請負事業」セグメントを、「賃貸住宅事業」セグメントと「賃貸開発事業」セグメントに分割
・「ストック事業」セグメントを、「賃貸経営事業」セグメントに名称変更
(賃貸住宅事業)
賃貸住宅事業におきましては、東京圏において生活にこだわりを持つ25歳から35歳の若者を中心に「最高の笑顔と感動を届け続ける」My Style vintageブランドを軸に、居住空間の企画、設計、施工等の事業を行い、未だ確立されていない「住まいの選択肢」の拡大に注力してまいりました。
当連結会計年度における営業活動につきましては、My Styleシリーズの旗艦ブランド「My Style vintage」の販売に引き続き注力し、コンサルティングを中心とする営業力の強化を課題に掲げ、『顧客がアパート経営を通じて実現したいことは何か』を顕在化し、お客様と共に目的達成に向けた課題解決に取り組み、新規受注を確保してまいりました。
また、初代Feelに空間設計要素を加え収納量の増大を図り、ゲストの暮らしにゆとりをプラスし、新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワークを可能とする書斎機能を追加した「Feel+1」、多様化するゲストの暮らしをより利便性の高いものにするため、スマートフォンに対応した設備機器を導入し、遠隔操作やセキュリティ性能を高めることで、若者のニーズを満たす「IoTアパート」の販売を開始いたしました。その結果、当連結会計年度の引き渡し実績は72棟(累計2,612棟)となりました。
加えて、新たな取り組みとして、“若者の暮らしを豊かにする”という当社テーマの実現に向け、共立女子大学との共同研究を開始し、若者の思考・居住性・多様性や利便性などアパートでの暮らしをテーマに、住みたい素敵なアパート、欲しかった設備、使い方の進化などについてディスカッションや提案発表を行い、新商品の開発に活かしております。また、ゲストに快適な空間を提供するため、遮音性能向上の共同研究を千葉工業大学及び東京理科大学と進めております。
以上のような活動の結果、当連結会計年度における売上高は8,455百万円(前年同期比16.6%増)、セグメント利益は455百万円(前年同期比77.1%増)となりました。
(賃貸開発事業)
賃貸開発事業におきましては、不動産購入資金に対する家賃収入といった投資利回りよりも、エリアや駅近など地価が下落しづらいことを物件選択において重視される土地を保有されていない富裕層に対して、豊かな資産承継に貢献できるようなアパート経営の提案を行い、資産承継を検討する富裕層の選択肢の一つとなるべく取り組んでまいりました。
また、新たな収益基盤を目指し、城南・城西エリアに絞込み、駅からの距離・規模・形状などを基準に、将来にわたり価値を維持できるような土地を仕入れ、その土地の資産価値に相応する付加価値の高い「My Style vintage」などのアパートを建築し販売を行ってまいりました。
仕入におきましては、主に大手仲介会社における当社事業内容の認知度向上及び関係構築に努め、また開発業者との協業による仕入を行った結果、12物件の仕入を行うことができました。
販売におきましては、主に金融機関における富裕層部門(プライベートバンキング室やウェルスアドバイザリー部)並びに当該部門と密接に関わる大手仲介会社の開拓、また独立系金融コンサル(IFA)や地方の大規模地主を抱える不動産系コンサルタントとの関係強化に努めてまいりました。
以上のような活動の結果、当連結会計年度における売上高は1,960百万円(前年同期比38.6%減)、セグメント損失は3百万円(前年同期は264百万円の利益)となりました。
(賃貸経営事業)
賃貸経営事業におきましては、一括借上(サブリース)や家賃集金代行等のアパートの賃貸管理運営と清掃・営繕工事といった建物維持管理等の受託事業を行っております。
当連結会計年度の賃貸市場は、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けているものの、当社の事業エリアである東京圏では転入超過が続いており、依然として賃貸需要は堅調に推移しております。その寄与に加え、当社においては、従来からの高い入居率(2022年2月末で97.9%)に支えられたほか、入居を検討される方に「My Style vintage」シリーズ等の外観デザイン・空間デザイン・設備・機能面を積極的に紹介し、価値を理解いただいたことで、安定的にゲストを獲得することができました。
また、自社施工物件に加え、他社の施工物件や管理物件について管理受託営業を引き続き積極的に行った結果、当連結会計年度末の管理戸数は11,228戸(前年同期比489戸増)となりました。
「My Style vintage」の入居希望者の会員組織「My Style Room Club」については、専用サイトを活用したゲストの囲い込み等の施策を行い、「My Style Room Club」の会員数は2022年2月末の累計で1,870名を確保し、ゲスト獲得につながりました。
また、専任の賃貸仲介協力業者の組織、セレリーシングパートナーズ(2022年2月末で16社)及びメンテナンス協力業者の組織、セレメンテナンスパートナーズ(2022年2月末で8社)との連携強化に努め、サービス面の維持・向上を図ることで、ゲスト及びオーナーの満足度につながり、高水準の入居率を維持することができました。
なお、サブリース事業については、2020年12月15日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が施行(サブリース適正化のための規制措置部分)され、2021年6月に賃貸住宅管理業者の登録制度が施行されましたが、当社では2021年7月30日付で登録を完了しており、また従前よりお客様とのトラブルの発生を未然に防止するためのマニュアルを活用した営業活動を徹底し対応を行っております。
以上のような活動の結果、当連結会計年度における売上高は8,166百万円(前年同期比5.5%増)、セグメント利益は1,000百万円(前年同期比1.9%増)となりました。
(中国賃貸事業)
中国賃貸事業におきましては、中華人民共和国浙江省寧波市の約15万㎡に及ぶ工場建屋のメリットを活かしながらクライアントのニーズに合わせた1区画3,000㎡・50区画の区分リースや操業をサポートするサービスファクトリー事業及び上海市内3拠点におけるサービスオフィス事業を運営しておりましたが、前記のとおり賽力(中国)有限公司及びその100%子会社である格蘭珂(上海)商務諮詢有限公司は、当社の子会社ではなくなり、当社グループは当事業からは撤退いたしました。
このため、当社グループの連結の範囲に含めた2021年1月1日から2021年9月30日までの期間の売上高は809百万円(前年同期比12.5%減)、セグメント利益は146百万円(前年同期比29.7%減)であります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて12,395百万円増加し、19,485百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は4,180百万円(前連結会計年度は1,342百万円の資金の獲得)となりました。これは賃貸開発事業において土地の仕入が先行し販売用不動産及び仕掛販売用不動産が増加したことによる3,644百万円の資金の使用、中国賃貸事業の売却に伴う源泉所得税の支払により法人税等の支払額が2,196百万円となったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は17,188百万円(前連結会計年度は88百万円の資金の使用)となりました。これは中国事業の売却による収入として17,347百万円計上をしたこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は647百万円(前年同期比82.5%)となりました。これは配当金の支払として260百万円、リース債務の返済により201百万円、短期借入金の返済により110百万円、自己株式の取得による支出74百万円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
賃貸住宅事業 |
6,829,045 |
115.7 |
合計 |
6,829,045 |
115.7 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社グループの生産機能は請負事業に含められるため、賃貸開発事業、賃貸経営事業及び中国賃貸事業については記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
賃貸住宅事業 |
9,206,464 |
127.6 |
6,042,466 |
121.5 |
賃貸開発事業 |
393,681 |
‐ |
‐ |
‐ |
合計 |
9,600,146 |
133.0 |
6,042,466 |
121.5 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.受注高及び受注残高は建築請負契約を締結した取引を集計しており、土地の売却取引は含んでおりません。
4.賃貸経営事業及び中国賃貸事業は、受注という概念が馴染まないため記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
賃貸住宅事業 |
7,535,455 |
143.5 |
賃貸開発事業 |
1,912,725 |
61.8 |
賃貸経営事業 |
8,166,355 |
105.5 |
中国賃貸事業 |
809,795 |
87.5 |
報告セグメント計 |
18,424,331 |
108.3 |
その他 |
- |
0.0 |
合計 |
18,424,331 |
107.8 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、10%未満のため記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載しております。
b.経営成績
(売上高・売上原価・売上総利益)
当連結会計年度の売上高は18,424百万円と前連結会計年度と比較して1,340百万円増加(前年同期比7.8%増)しました。
当連結会計年度においては、前連結会計年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中での事業展開となりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大から1年が経過し、一定の感染症予防対策の継続、ワクチン接種の開始・普及等により、依然として予断を許さない状況下ではあるものの、社会経済活動は回復への動きが見られました。そのような中、当社では感染症対策を徹底した上で営業活動を再開したことにより、当社の主力である賃貸住宅事業の着工棟数が順調に増加し、賃貸経営事業における一括借上や管理棟数の取扱棟数についても増加いたしました。
売上原価は15,409百万円と前連結会計年度と比較して1,144百万円増加(前年同期比8.0%増)しました。賃貸住宅事業における着工棟数の増加に伴い売上原価も増加している状況であり、当連結会計年度の売上総利益率は16.4%と、前連結会計年度の16.5%とほぼ同水準となりました。当連結会計年度においては、木材の高騰や半導体不足による一部部材の供給減といった不確定要素はあったものの、当社グループの業績に大きな影響はありませんでした。
上記の結果、当連結会計年度の売上総利益は3,014百万円と前連結会計年度と比較して194百万円増加(前年同期比6.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費・営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,103百万円と前連結会計年度と比較して334百万円増加(対前年同期比18.9%増)しました。上場を見据えた会社の体制強化等を目的としたコンサルティング費用及び上場関連費用が発生したほか、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続く中で、会社の管理強化、業務効率化を目的とした費用が発生、また中国賃貸事業の譲渡に伴う事業税186百万円を計上した結果、当連結会計年度の営業利益は911百万円と前連結会計年度と比較して140百万円減少(前年同期比13.3%減)しました。
(営業外収益・営業外費用・経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は261百万円であり、これは主に中国賃貸事業に関する譲渡代金について発生した為替差益によるものです。営業外費用は192百万円であり、これは中国賃貸事業の譲渡に伴い譲渡代金入金時に発生する支払手数料が主なものです。
上記の結果、当連結会計年度の経常利益は980百万円と前連結会計年度と比較して138百万円減少(前年同期比12.3%減)となりました。
(特別損失・法人税等・親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、中国賃貸事業の譲渡に伴う関係会社出資金譲渡益16,583百万円を特別利益として計上いたしました。
法人税等は中国賃貸事業の譲渡に伴い課税所得が増加したことにより、6,884百万円と前連結会計年度と比較して6,497百万円増加しました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は10,679百万円と前連結会計年度と比較して10,102百万円増加しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度の営業キャッシュ・フローは4,180百万円の資金流出となりました。中国賃貸事業の譲渡により税金等調整前当期純利益は17,564百万円を計上したものの、当該譲渡益の調整として16,583百万円、賃貸開発事業における土地の先行仕入れを主要因としてたな卸資産が増加したことにより3,644百万円、及び中国賃貸事業の譲渡に伴い発生した源泉所得税の支払を法人税等の支払額に計上したことにより法人税等の支払額が2,196百万円となったこと等の要因によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは17,188百万円の資金流入となりました。これは中国子会社2社の売却に伴う譲渡代金の入金によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは647百万円の資金流出となりました。これは配当金の支払、リース債務の返済等によるものです。
以上の結果、期末における現金及び現金同等物の残高は19,485百万円となりました。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、賃貸開発事業における土地の仕入代金、材料費、労務費、外注費及び経費等の製造経費、人件費や賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。当社の方針として運転資金については自己資本で賄うことを原則としておりますが、中長期の安定的な資金の確保のため金融機関との間で当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しております。2022年2月28日現在当座貸越契約及びコミットメントライン契約の総額は3,190百万円、借入実行金額は1,180百万円であり、借入未実行残高は2,010百万円です。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、連結財務諸表の作成に当たり、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定に基づく会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の会計方針は、連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすものと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(販売用不動産)
通常の販売目的で保有する販売用不動産等は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、収益性の低下により正味売却価額が取得原価よりも下落している場合は、正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、差額を簿価切下額として売上原価に計上しております。
正味売却価額の見積りにあたっては、近隣地域における市場価格や当該不動産の想定利回り等に基づいて算定された将来の販売見込額に販売に係る費用を踏まえ算定しておりますが、経済情勢や不動産市況の悪化等により正味売却価額が想定以上に下落した場合には、評価損を計上する必要があります。
(工事進行基準による収益認識)
完成工事高の計上基準は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。
工事進行基準の適用にあたっては、工事の基本的な仕様や作業内容は顧客の指図に基づいて行われることから、工事原価総額の見積りにあたっては、工事に対する専門的な知識と施工経験を有する工事現場責任者による一定の仮定と判断を伴い不確実性を伴うものとなります。具体的には、工事は契約から完成まで一般に長期にわたることから工事の進行途上における工事契約の変更、悪天候による施工の遅延、建設資材単価や労務単価等の変動が生じる場合があり、工事原価総額の適時・適切な見直しには複雑性が伴います。このため、仮定した個別の工事契約ごとの諸条件と異なる事象が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループの繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境の悪化等によりその見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来の課税所得の見積りが減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することになります。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に基づき、算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社の業績を悪化させる可能性があります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであり、事業環境の変化をはじめ様々なリスク要因が当社グループの成長及び経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
⑤ 経営者の問題意識と今後の対応について
経営者の問題意識と今後の対応については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対処し、当社グループが今後も持続可能な安定的成長を果たしていく必要があると認識しております。
当社グループの主力事業であるアパート経営は、オーナーに長期的な資産形成に資するものであることから、当社が安定的に成長し持続し続けることが、オーナーの安定的な資産形成を確実なものとし、ステークホルダー全ての安心につながると考えています。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の事業目的を達成するための長期的な経営の課題として、生産性の向上、収益力の改善を掲げております。その評価のための指標として営業利益率6.0%以上を定めております。また会社の安定的な成長が、オーナーの安定的な資産形成を確実なものとし、ステークホルダー全ての安心につながると考え、継続企業としての安全性の観点から自己資本比率60.0%以上を維持することを目標として定めております。
当社が定めた各種指標の目標及び当連結会計年度末の状況は以下のとおりであります。営業利益率については、4.9%と目標に対し1.1ポイント下回りました。当連結会計年度は、中国賃貸事業の譲渡に伴う事業税186百万円を販売費及び一般管理費に計上したことが主な要因であります。
なお、原価高騰による部材の値上げなどもありますが、集中仕入れなど購買方法の見直しによる仕入原価の抑制に努めるほか、引き続き業務効率の見直しなど生産性の向上による販売費及び一般管理費の低減に努め、目標達成を目指してまいります。今後はコロナ禍における営業手法を確立するほか、営業利益率の確保により当期純利益の回復に取り組んでまいります。自己資本比率につきましては、64.8%と目標を達成しておりますが、今後は、販売用不動産の効率的な仕入と販売体制の強化に努めてまいります。
指標 |
目標 |
実績 |
差異 |
営業利益率 |
6.0% |
4.9% |
△1.1pt |
自己資本比率 |
60.0% |
64.8% |
+4.8pt |
お知らせ