課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。

 

(1)経営方針

[企業理念] 子どもたちの 子どもたちの 子どもたちへ

[事業目的] ゲストに最高の笑顔と感動を届け続ける

社員一人ひとりの幸せの総和が企業価値

[経営方針] 持続可能な安定的成長

 

当社の企業理念には、今日におけるこの国の平和と繁栄を創り上げた先人たちへの感謝の気持ちを忘れずに受け継いでいかなければならないという想いが込められています。「子どもたちの 子どもたちの 子どもたちへ」の想いは、当社のゲスト(入居者)である日本の未来を担う若者たちに住まいの選択肢を広げ、「ゲストに最高の笑顔と感動を届け続ける」ことによって、若者たちがより素晴らしい未来を拓いていくこと、そしてそれが「アパート経営100年ドックVISION」に掲げるオーナーのアパート経営の成功につながり、3世代・4世代と安定した資産継承につながっていくという考えをあらわしたものです。ゲストの感動とオーナーさまの満足の結果として、社員一人ひとりの物心両面(報酬と時間)の幸せが実現できると考えており、この事業目的を達成するために、「持続可能な安定的成長」を果たしていくことが、当社の経営方針であります。

 

(2)経営環境

今後の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響からの緩やかな回復が見込まれますが、感染再拡大リスクにより家計や企業の行動が慎重化し、コロナ禍前の水準を取り戻すには時間を要する見通しです。

当社の主要事業領域である賃貸住宅市場においては、全国の新設貸家着工数の減少が続いておりましたが、2021年3月以降回復傾向に転じ、2022年2月期は325,692戸(前年同期比7.7%増)となりました(出典:国土交通省HP「住宅経済関連データ」より)。一方、当社の主要事業エリアである東京都の新設貸家着工数は、2022年2月期は68,018戸(前年同期比4.6%増)と回復傾向にあるものの各月の増減が大きく不安定な状態が続いております(出典:東京都住宅政策本部HP「住宅着工統計」より)。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け依然として先行き不透明な状況が続いていますが、当社の事業エリアである東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)においては、特に若者や働く女性の転入超過が続いている状況です。

 

(3)経営戦略等

当社は、東京圏において生き方にこだわりを持つ25歳から35歳を中心とした若者に「最高の笑顔と感動を届け続ける」ことをモットーに、不安定な状況下であっても経営方針である「持続可能な安定的成長」を実現するため、確立された企業理念と事業目的の下、顧客・エリア・商品・構法など事業ドメインを選択と集中により絞り込み(ニッチ戦略)、いたずらに規模を追わず経営資源を集中させております。また、ゲスト(入居者)の多様な生活シーンに対応する平面に高さを加えた立体的な空間設計を主軸とした差別化商品を提供することによって、同じような間取りによる他社との価格競争を排し、事前のコンサルティングから、アパートの建築、完成後のオペレーションまで一貫して担う「アパート経営の専門店」として収益性の高い独自のビジネスモデルを確立していくことを戦略としております。

2022年2月期からの中期基本方針を「セグメントごとの収益力を強化する」と定め、技術開発、人財、デジタル化を軸に大胆な戦略投資を行っております。また、2021年2月期より導入した経営管理手法であるアメーバ経営を本格的に実践することによって小さな組織ごとに損益の見える化を図り、また、権限と責任の委譲を推進することにより、次世代の経営者を育成してまいります。

 

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各ビジネスモデルの事業戦略は下記のとおりです。

 

   賃貸住宅事業

 賃貸住宅事業におきましては、保有する土地の有効活用を検討しているオーナーに対し、赤煉瓦調の外壁とデザイン性のある門柱、オートロックや防犯カメラを標準装備し、各住戸を立体的に空間設計した当社基幹ブランド「My Style vintage」と、床下や天井のデッドスペースを活用しワークスペースや収納スペースなどのユーティリティスペースを設置するなど上下への三次元の発想で空間設計し、平面の「広さ」以上の空間的な広さを提供する「FUSION]を中心に、アパート経営の企画、設計、施工等を行ってまいります。また、営業面ではオーナーがアパート経営を通じて実現したいことは何かを顕在化し、目的達成に向けた課題解決のため、ファイナンシャルプランナー的手法にて総合的な資金計画を提案し、経済的側面から実現に導くことができるようコンサルティング力の強化を図ってまいります。

 これらに加えて、今後は、IOTスマートアパート(オートロックの共用インターホンとスマートフォンが連動し、不在時でも宅配便や来客対応が可能なほか、室内の照明器具やエアコンなどをスマートフォンで操作でき、セキュリティセンサーや防犯カメラとスマートフォンが連動できるアパート)の商品化によって競争力強化を図るほか、SDGsに賛同し、高断熱材、ペアガラスサッシ等により断熱性を高め、省エネエアコンや高効率給湯器、LED照明などの省エネ設備の導入により消費エネルギーを低減したアパートへの取り組みなど、アパート建築を通した社会貢献を行ってまいります。

 

   賃貸開発事業

2020年10月より事業を開始した賃貸開発事業におきましては、不動産購入資金に対する家賃収入といった投資利回りよりも、エリアや駅近など地価が下落しづらいことを物件選択において重視される土地を保有されていない富裕層に対して、豊かな資産承継に貢献できるようなアパート経営の提案を行うことで、当社の新たな収益基盤の構築に取り組んでまいります。

 また、新たな収益基盤を目指し、城南(品川区・目黒区・港区・大田区)・城西(渋谷区・新宿区・世田谷区・中野区・杉並区・練馬区)エリアに絞込み、駅からの距離・規模・形状などを基準に、将来にわたり価値を維持できるような土地を仕入れ、その土地の資産価値に相応する付加価値の高い「My Style vintage」などのアパートを建築し販売を行ってまいります。

 

   賃貸経営事業

賃貸経営事業におきましては、自社施工物件に限らず、他社の施工物件や他社の管理物件について、管理受託営業を積極的に行い、管理受託物件の拡大に注力してまいります。

また、「My Style vintage」の入居希望者の会員組織「My Style Room Club」(2022年2月末の会員数1,870名)の会員に対し、My Style Room Club専用サイトを活用したゲストの囲い込み等の施策により、入居希望者である「My Style Room Club」会員の増加を目指してまいります。

 さらに、管理アパートの入居者募集などを行う賃貸仲介協力業者の組織であるセレリーシングパートナーズ(2022年2月末で16社)、日常の建物点検、清掃や維持管理業務などを委託するメンテナンス協力業者の組織であるセレメンテナンスパートナーズ(2022年2月末で8社)により業者間との連携強化に努め、ゲストに対する課題を共有することにより、機動的かつきめ細やかなサービスの提供に努めてまいります。

 

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

事業目的を達成するための長期的な経営課題として生産性の向上と収益力の改善を全社員が共有しております。

付加価値の提供による粗利益率の引上げだけではなく、本業における収益力の改善課題の早期発見のため、営業利益率を収益力の指標とし、営業利益率6.0%以上の確保が必要であると考えております。また、継続企業としての安全性の観点から、自己資本比率60.0%以上を維持することが必要であると考えております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は、アパート経営において、コンサルティングから賃貸経営までワンストップでオーナーの人生設計における課題解決に向けた選択肢を提供し、フルサポートできる体制づくりを目指しております。

アパート経営に特化し、若者のニーズに合った空間設計とモノづくりによる差別化により付加価値を提供し、経営方針である「持続可能な安定的成長」を実現するために優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

① コンサルティング力の強化

お客様(オーナー)と共有したアパート経営による課題解決の仮説を竣工後の管理、運営を通じて検証、サポートをし続け、大切な資産を3世代、4世代、そのまた先の世代まで毀損させることなく維持し、承継していくためには、オーナーとの信頼関係の構築が重要と考えております。

その実現のため、オーナーの会員組織として設立した「セレ パートナーズクラブ」のサービスを充実することで、当社の想いに共感していただけるようオーナーとの関係性の強化を図り、定期的な経営診断や収支・承継などの経営コンサルティングといった更なるサービスの向上を目指してまいります。

 

② プロパティマネジメント力の強化

アパート賃貸運営のオペレーションを担うプロパティマネジメントにおいては、ゲスト(入居者)とのプラットフォームづくりによりリレーションシップの強化を図り、若者の住まいに対するニーズを先取りし、より満足していただけるサービスとサポートの提供を目指しております。

ゲストに対しては、「My Style」ブランドアパートのコアなファンによる会員組織「My Style Room Club」において、従来の先着順形式ではなく新築物件の公開入居抽選会により公平に機会提供することでファンづくりを強化し、入居率を確保してまいります。また、オーナーに向けては、事前に立てた綿密な経営計画の実践により、中長期にわたる安定収入の確保と資産価値の維持向上を図るための長期修繕計画の提案、レポーティングなど、サポート体制の充実と保険・ライフサイクルサポートなどを提供し、信頼関係の強化に努めてまいります。

 

③ 技術力の強化

日本製鉄株式会社(旧:新日鐵住金株式会社)との共同開発により主要鋼材の軽量化と耐久性強化を実現した“新型式構法:セレZ”の活用により、敷地対応への更なる自在性の向上を図るとともに、生産性の向上とコスト低減を目指してまいります。

また、2020年10月に国土交通大臣より型式部材等製造者認証を千葉工場で取得し、生産品質のさらなる均一化を図るほか、千葉工業大学及び東京理科大学と遮音性能向上の共同研究を行うなど、新たな部材の開発と効率的な施工方法の研究を進めてまいります。

 

④ 将来を見据えた新規事業の展開

当社は、いたずらに規模の拡大を目指すのではなく、着実かつ安定的な成長を目指しております。

その実現のためには、賃貸住宅事業、賃貸開発事業並びに賃貸経営事業を通じて構築されるオーナー及びゲストとのネットワークをリソースとする派生ビジネスを主軸とした新たな事業の組成によってシナジー効果を得ることで収益の拡大を図り、東京圏(1都3県)に強い事業基盤を創り上げ、持続可能な安定的成長を加速してまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

当社グループの継続的な発展のためには、コーポレート・ガバナンス機能の強化が重要な課題であると考えており、財務報告の信頼性を確保するため、内部統制システムの適切な運用が重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスに関しては、ステークホルダーに対して経営の適正化や健全性を確保しつつ、より一層効率化された組織体制の構築に向けて内部管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

 

⑥ 人財の確保と育成

上記の課題を克服するためには、優秀な人財を継続的に確保し、育成することが最も重要であると認識しております。そのため当社では、全ての従業員に対し、自己研鑚を重ね、高い専門性を身に着けること、自律的に行動していくことを求めております。これにより、従業員個々の能力の向上を図り、当社の人財レベルの向上、ひいてはサービスの質の向上、維持に繋げていきたいと考えております。その実現には、人財に対する投資が必要不可欠であると考え、毎年策定する人員計画に教育研修を盛り込み、人財のレベルアップに取り組んでおります。また併せて、経営理念やコンプライアンスに基づいた業務運営体制の徹底のため、従業員に対し各種研修を実施しております。

 

⑦ 当社株式の流動性の向上

当社は、本公募及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所が定める流通株式比率は当社の上場するスタンダード市場において25%以上と定められております。

当社の流通株式数は投資家の売買を通じて変動いたしますが、当社はその動向を注視し、必要に応じて主要な株主に保有株式の売出し等にご協力をいただくなど、当社株式の流動性向上に努めてまいる方針です。

 

⑧ 中国子会社の譲渡資金の活用について

2021年12月20日付で当社の連結子会社である賽力(中国)有限公司の全持分を寧波市北侖区現代服務業発展有限公司に譲渡したことにより、2022年2月期の連結損益計算書において、「関係会社出資金譲渡益」として特別利益を165億円計上しております。なお、譲渡により得た資金については、一部を運転資金として活用し、その他は成長資金として適切な投資機会等を見極めた上で活用していく方針であります。

 

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