文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、ロシアによるウクライナ侵攻及びロシアに対する経済制裁に伴う影響により、先行き不透明な状況で推移すると予測しております。我が国経済のみならず世界経済への長期的な影響が懸念されております。この影響に関しては、当社グループが事業を行っております各国政府の方針、事業別の環境等により異なります。
このような状況の下、各事業については以下のように見通しと取り組みを進めてまいります。
Digital Finance事業におきましては、これまで約10年にわたり、創業国であるタイ以外の国での展開を進めてまいりました。すでにカンボジア、ラオス、ミャンマー、スリランカでのファイナンス免許を持っての活動を進めており、非都市部に集中し、高い競争力を持った、他にない事業を形成しております。
当該事業の持分法適用関連会社への異動に伴い、GLおよびGLに連結されるDigital Finance事業の売上高及び営業損益は連結決算には取り込まれなくなるため、2021年10月以降、当該事業はセグメントではなくなりました。ただし連結財務諸表においては、営業外損益の持分法による投資損益に取り込まれるため、経常損益以下の各段階損益への大きな影響はございません。また、同事業はコロナ禍による各国のロックダウンと国境閉鎖、ミャンマーにおけるクーデターなどにより実質的に営業停止状態に陥るなど事業環境の大底とでも言うべき2年間となりました。このことを考慮し大きな損失引当を一気に実行もいたしました。今後は環境が改善すると考えられるとともに、財務体質も筋肉質になり、より利益貢献がしやすい状態になったと考えております。
同事業について、今後はコロナ禍からの東南アジア各国の復興がテーマとなります。ロックダウンの解除、旅行客制限の解除、各国政府の景気刺激策などにより、営業活動が再開できる状態になりつつあるとともに、顧客である旅行業従業者、飲食業従事者・その他が再度優良顧客として戻ってくることが期待されております。これにより、Digital Finance事業は急速な業績回復や成長への事業環境が徐々に整っていくものと期待されます。先行しましたカンボジアではすでに営業貸付金増加に入っております。タイにおいても競争環境を注視しながら営業拡大を準備しております。両国は、さらに規制緩和・入国制限緩和・景気対策などの実施が見込まれる情勢ですので、事業再拡大への機会を逃さないよう、これまでに回収した手許資金を活用してまいります。一方で為替安による景況悪化が続くラオス、同じくクーデターや為替安の悪影響の続くミャンマーは現在のウクライナ危機による燃料価格高騰や輸入難が重なり、今後とも慎重に対処してまいります。
また今後の経費面においては、当連結会計年度において厳格に損失引当等をいたしております。これにより財務的により筋肉質となっており、収益貢献ができる状態になったと考えております。翌期以降、最大の債務についての利息が計上されなくなりますので、より利益貢献がし易い状態になっております。
食品事業におきましては、当社連結子会社である明日香食品㈱グループが営んでおります。主要顧客であるスーパーで、当連結会計年度の前半で巣ごもり需要は一巡し、昨年と対比して厳しい状況も見られます。
一方で次期におきましては、これまでに取り組んできた、SNSを活用した当社商品のブランディングが功を奏している現状を踏まえ、さらに戦略商品の拡販を進めてまいります。現状は『「わらび餅」の明日香野』、『こし自慢明日香野』『桜餅(道明寺)の明日香野』が定着しつつあり、さらに2017年に大ヒット商品となりました「ラムネわらび餅」を6月から再販いたしますが、当該ニュースがすでにインターネット上の話題になりつつあります。これらにより、今後の拡販にも期待をしております。これらにより、中期経営計画アクセルプランⅢ「再発進」の基本方針である「ついで買いから指名買いされる企業」を果たし、業績の拡大を図ってまいります。
更なる原料・資材・エネルギーの価格高騰が見込まれる状況ではあるものの、既存商品については価格転嫁がうまく進まず収益を圧迫することが予想されます。その中で利益を確保するために、商品企画の見直し、生産効率の良い商品への集中、人材育成による能力の向上、SNSを活用したブランディングなどのこれまで積み上げてまいりました施策が有効であると考えており、継続してまいります。より長期的視点からは少子高齢化が進む日本国内事業が大半であることから、今後とも主力国内事業の利益体質を堅持するとともに、中国で既に初めております当事業を、さらに東南アジアに拡大することを企図しており、守りの国内と攻めの海外とメリハリをつけて進めてまいります。
スポーツ事業におきましては、新型コロナウイルス感染防止政策の影響は非常に大きなものとなりました。しかし同時にコロナ禍の中でも、中期経営計画アクセルプランⅢ「再発進」の基本方針である「サービスシフト」を進めるとともに、ソーシャルメディアの活用、新規スポーツへの進出などを継続しており、この2年間でも着実に成果は上がりつつあります。
コロナ明けの、今期は「テニス・ソフトテニス復興元年」をスローガンに、一昨年来取り組んできた、大会・講習会の開催など競技が活発に行えるようなサポート活動をさらに積極的に行うことでテニス・ソフトテニスの活性化を図っております。ソフトテニスは当社の前身が130年以上前に日本で初めて作りました軟式庭球のボール「赤M」がルーツになっており、今後とも自らが業界の活性化に積極的に関わることで、主力製品である、ソフトテニスボール、ウェアの販売につなげていきます。SNSを活用した情報発信も積極的に行い、業界の中での発信力を高めることで業界全体の活性化にも寄与できるように活動していきます。また、営業のデジタル化や製造の効率化、売上高のサービスシフトを進めており、これによって収益性が向上しつつあります。
一方近年同事業の成長をけん引している、テニスクラブ再生事業は、テニスクラブ数の増加を目指しております。ソフトテニスクラスの増加など既存の営業活動ともリンクさせ事業全体の最適化を図ってまいります。
また、新規事業としてランニング事業も開始しており、既存のテニスクラブを拠点として活用して、新規事業を進めております。
新型コロナウイルス感染防止政策の影響は当事業では非常に大きなものとなっていますが、競技活動への支援、顧客とのリモートでの面談や、SNSを使った情報発信などで、顧客との接点を増やすことで市場での信頼を得ており、シェアの拡大につなげてまいります。テニススクールでは会員は増加を続けており今後もさらなる会員獲得を目指します。このため今後は回復に向かうと考えております。
ゴム事業におきましては、競合耐食材メーカーの撤退により売上げ増が見込まれるなか国内での生産強化を図るとともに、海外事業会社との連携を高めることで、各国地域における長期的かつ緊密な相互互恵関係を築きつつあり、これらのアジア事業が今後同事業の中期的な発展を支えていくものと期待しております。
今後このかつての競合売上の取込み、並びにゴム事業の選択と集中を進めることで大幅に売上高と利益を増加させることができると考えており、これについても今後の推移に注意しつつ積極的かつ計画的に事業構造を改革してまいります。
過去の3回にわたる中期経営計画アクセルプランにおいて継続的にライニング事業における「残存者利益」の確保を目指してまいりましたが、これが成果となって現れております。その中で既に進めておりました、ゴム事業の集中と選択を進めることや、製造体制の見直しを進めております。これにより売上高と利益を増加させることができると考えており、これについても今後の推移に注意しつつ積極的に事業展開をしてまいります。
コンテンツ事業におきましては、日本国内において売上高が増加を続けております。日本における出版業界は、低調な事業環境から未だ脱し切れておらず、構造改革を積極的に進め支出の削減を図ってまいります。数年前のコンテンツ端境期にあって獲得してきた各種漫画等のコンテンツがそれぞれ大きく成長しており、今後これらのコンテンツにも期待しております。海外展開に関しましては、ベトナム並びにインドネシア、タイで推進しております。
現在の好調には中期経営計画アクセルプランに基づき、5年以上の年月をかけて獲得してきたコンテンツが貢献するとともに、数年来の取り組みによる固定費の削減が進んでおりますことが寄与しております。現在においては上記実績による受注が好調であり、また、筋肉質な体質にもなっておりますので、利益も確保できると考えております。
また、現在、ベトナム・インドネシア・タイではコロナ禍のなかでも当社商品の販売店数の増加を進めておりました。この結果、コロナ禍を過ぎて売上拡大が再開しておりますので、今後の利益貢献を期待しております。
当事業は持分法適用関連会社の行う事業であり、セグメントではありませんが、2つの重要な持分法適用関連会社事業から収益が構成されることになることから今回より記載しております。
リゾート事業はタイ国クラビ県の離島ピピ島にある5つ星ホテルZeavola Resortを経営する事業です。当該ピピ島は自然の豊かな特別なリゾート島であり、タイでも有数の多種多様なダイビングスポットを有するスポットとなっております。その中で160mのプライベートビーチを有し、ホスピタリティに溢れたスタッフを有し、「最もロマンチック」「最もサステイナブル」などの部門で数々の世界的なホテル賞を獲得してきた同ホテルは周辺のホテルの中でも特別なホテルとなっており、収益性においても抜きん出るホテルとなっております。今後については、4月においては客室満室率が8割を大幅に超えるなど力強い回復を見せております。今後ともタイは6月には入国制限を撤廃するなど緩和方向にあり、欧米各国も入国制限は大幅に減少しておりますので観光客が出入国の利便性が向上しておりますので、観光客、中でも同ホテルのターゲット顧客である富裕層は先行して旅行を再開しておりますので、今後も力強い回復を見込んでおります。
また、前述のように、コロナ禍での経営悪化を受けて、のれんや固定資産の減損処理を行っており、翌期は償却負担(年間約50,000千円)がなくなり、より収益貢献ができる状態になったと考えております。当社グループの重要な持分法適用関連会社のリゾート事業についても積極的に経営に参画し、コロナ禍からの脱却しつつある経済状況の中で、営業活動の復帰を果たすことで、当社グループの成長を実現してまいります。減価償却費の減少等により、売上の再開の影響を超えて、今後は利益改善がさらに進むと考えております。
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