業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)における経済環境は、米国では、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けたワクチン接種により、経済活動は持ち直しがみられております。欧州では、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けたワクチン接種により、経済活動は持ち直しがみられていたものの、経済活動再開に伴う回復が一巡し消費者マインドが横ばい基調に変わりつつあります。わが国では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進する中で持ち直しの動きがみられます。しかしながら足元では、世界的に新型コロナウイルス感染症の変異株が拡大しており、経済活動に与える影響について引き続き注視する必要があります。

 このような状況のもと、当社グループは2021年を起点とした5ヵ年の中期計画「中計’21」を策定し、その中で掲げた各種経営指標を実現するため、これまで培ってきた得意分野や独自性、研鑽してきた機能別組織機能、変革・強化を図ってきたガバナンスやコンプライアンス体制をベースに置きながら、取り巻く変化に迅速、かつ柔軟に適応する力を当社グループ全体で強化することに取り組みました。

 その結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は393,647百万円(前年度比49,883百万円増、14.5%増)となり、営業利益は53,080百万円(前年度比16,752百万円増、46.1%増)、経常利益は55,909百万円(前年度比25,021百万円増、81.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は41,350百万円(前年度比29,667百万円増、254.0%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(イ)タイヤ事業

 北米市場における市販用タイヤについては、OPEN COUNTRY A/TⅢ(オープンカントリー・エーティー・スリー)やNITTO Ridge Grappler(ニットー リッジグラップラー)など当社が強みとしている大口径ライトトラック用タイヤやSUV用タイヤを中心に全カテゴリーの販売が好調であり、販売量は前年度を大きく上回りました。また、値上げや重点商品の拡販による商品ミックスの改善により、売上高は販売量以上に前年度を大きく上回りました。

 欧州市場における市販用タイヤについては、採算性を意識した供給戦略の継続、並びに物流遅延等の影響により、販売量は前年度を下回りましたが、需要が回復傾向にある中で値上げや商品ミックス改善等の施策により、売上高は前年度を上回りました。

 国内市場における市販用タイヤについては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの前年度より需要が回復傾向にある中で、冬タイヤの重点商品や当社が強みとしているSUV用タイヤの販売に注力したことにより、販売量、売上高ともに前年度を上回りました。

 新車用タイヤについては、新型コロナウイルス感染症や半導体不足による自動車メーカーの減産の影響を受けたものの、販売量は前年度を上回りました。一方、車種ミックスや市場ミックスの影響を受け、売上高は前年度並みとなりました。

 その結果、タイヤ事業の売上高は354,641百万円(前年度比48,032百万円増、15.7%増)、営業利益は55,089百万円(前年度比16,746百万円増、43.7%増)となりました。

 

(ロ)自動車部品事業

 自動車部品事業については、半導体不足による自動車メーカーの減産の影響を受けたものの、車種ミックスの改善が進み、売上高は38,979百万円(前年度比1,868百万円増、5.0%増)と前年度を上回り、営業損失は2,008百万円(前年度は2,020百万円の営業損失)となりました。

 

(ハ)当社免震ゴム問題に係る製品補償対策費及び製品補償引当金繰入額の状況

 2015年12月期において、出荷していた製品の一部が国土交通大臣認定の性能評価基準に適合していない等の事実が判明いたしました。

 2021年度第4四半期決算において、製品補償対策費1,083百万円(主として、免震ゴム対策統括本部人件費等)を特別損失として計上しております。

 現時点で合理的に金額を見積もることが困難なもので、今後発生する費用(主として、営業補償や遅延損害金等の賠償金、追加で判明する改修工事費用の金額が既引当額を超過する場合の費用等)がある場合には、翌年度以降の対処進行状況等によって、追加で製品補償引当金を計上する可能性があります。

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は531,229百万円となり、前年度末に比べ85,650百万円増加しました。これは、主として、現金及び預金、たな卸資産及び有形固定資産が増加したことによります。

 また、負債は251,073百万円となり、前年度末に比べ28,188百万円増加しました。これは、主として、長期借入金の返済や免震問題に係る対応の進捗により製品補償引当金が減少した一方、コマーシャル・ペーパーの増加や社債の発行により社債が増加したことによります。なお、有利子負債は128,784百万円となり、前年度末に比べ18,205百万円増加しました。

 当連結会計年度末の純資産は280,155百万円となり、前年度末に比べ57,461百万円増加しました。これは、主として、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金、円安の影響により為替換算調整勘定が増加したことによります。

 この結果、自己資本比率は52.7%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動による収入が34,465百万円となり、投資活動による支出が37,538百万円となったため、純現金収支(フリー・キャッシュ・フロー)は3,073百万円のマイナスとなりました。財務活動においては11,697百万円の収入となりました。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、これら収支に為替換算差額の増加額、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額を合わせ53,592百万円となり、前年度末と比べて17,289百万円増加しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産の増加や製品補償関連の支払い等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上等の増加要因により、34,465百万円の収入(前年度比19,330百万円減、35.9%減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入等があったものの、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出等により、37,538百万円の支出(前年度比9,681百万円増、34.8%増)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払や借入金の返済等があったものの、社債の発行による収入等により、11,697百万円の収入(前年度は12,638百万円の支出)となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

(イ)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産金額(百万円)

前年度比(%)

タイヤ事業

349,077

35.3

自動車部品事業

33,728

5.9

合計

382,805

32.0

(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(ロ)受注状況

 当社グループは製品の性質上、原則として需要見込生産方式を採っております。

 

(ハ)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売金額(百万円)

前年度比(%)

タイヤ事業

354,641

15.7

自動車部品事業

38,979

5.0

その他

27

△ 39.0

合計

393,647

14.5

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する当該販売実績の割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

American Tire Distributors, Inc.

38,733

11.3

42,138

10.7

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。なお製品補償引当金及び新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積りの仮定につきましては、それぞれ「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係) 3 偶発債務」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

 なお、当社グループの経営に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(イ)売上高

 タイヤ事業においては、北米市場において当社が強みとしている大口径ライトトラック用タイヤやSUV用タイヤを中心に全カテゴリーの販売が好調につき販売量、売上高ともに前年度を大きく上回りました。また自動車部品事業においては、車種ミックスの改善が進み売上高は前年度を上回り、売上高は393,647百万円(前年度比49,883百万円増、14.5%増)となりました。

 

(ロ)営業利益

 タイヤ事業において原材料価格の高騰、コンテナ不足による海上運賃の値上がり等の減益要因があったものの、北米市場向けのタイヤ需要が好調であったことやUSドルを中心とした円安影響により、営業利益は53,080百万円(前年度比16,752百万円増、46.1%増)となりました。この結果、営業利益率は、13.5%(前年度比2.9ポイント増)となりました。

 

(ハ)経常利益

 主にUSドルを中心とした円安影響の為替差益の発生により、経常利益は55,909百万円(前年度比25,021百万円増、81.0%増)となりました。

(ニ)親会社株主に帰属する当期純利益

 特別利益として固定資産売却益、特別損失として製品補償対策費、固定資産の減損損失等を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は41,350百万円(前年度比29,667百万円増、254.0%増)となりました。

 

 当連結会計年度の財政状態の分析、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、持続的な成長を実現するために、事業機能・経営基盤の強化に一層注力し、重点ターゲット領域での着実な成長を目指しております。具体的には、Toyo Tire Serbia d.o.o. Beogradの立ち上げ、Toyo Tire North America Manufacturing Inc.をはじめとする工場の生産設備増強や、驚きのある商品を提供する開発力・技術力の進化のため研究開発活動に取り組んでおり、当連結会計年度は、生産設備増強や合理化及び品質向上を中心に35,543百万円、基礎研究技術の強化を中心に2,222百万円の設備投資を実施しました。これらの投資を含む事業活動に必要な資金は第三者割当増資による増資資金を含めた自己資金、借入金及び社債の発行により賄いました。また、キャッシュ・プーリング・システムの導入等により子会社の資金調達並びに資金管理の一元化を図るなど金融収支を改善するとともに、資金調達手段の多様化や長期借入金比率を高めることにより金利変動リスクのヘッジを行っております。

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、翌連結会計年度の設備投資金額は総額59,920百万円を計画しており、これらの所要資金については自己資金及び借入金により充当する予定であります。設備投資計画の主な内容・目的につきましては、「第3 設備の状況3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期経営計画「中計’21」のもと、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針 ② 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略」に記載の経営指標の実現をめざしております。当連結会計年度は、連結営業利益率13.5%、重点商品販売構成比率53%、連結営業利益531億円、実績ROE(期末配当控除後)16.9%、配当性向28.3%となりました。

 また、設備投資については、「中計’21」において2021年度から2025年度までの5ヵ年累計で194,000百万円を計画しており、1年目である当連結会計年度末において37,766百万円を実施しました。

 

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