(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が変異株(オミクロン株)の発生による感染再拡大もあり長期化するなか、ワクチン接種の広がりもあり一部で経済活動は戻りつつありますが、本格的な回復には時間を要する見通しです。加えて、長期化する半導体の供給不足やサプライチェーンの混乱、原材料価格や物流費の高騰、急激な円安の進行のほか、さらにロシアによるウクライナ侵攻も発生し、先行きは不透明な状況が続いております。
このような経営環境のなか、当社グループは、回復の兆しのある自動車分野等での積極的な受注と、ロックダウンから回復基調にある海外市場での拡販に努めるとともに、生産効率の更なる改善、物流費その他のコストの圧縮に注力し、また、外部環境の急激な変化に対応するため過度な在庫を保有しないように柔軟かつ機動的な生産活動に努め事業活動を行ってまいりました。
結果、当連結会計年度における売上高は89,581百万円(前年同期比3.7%増)となりました。利益面では、原材料価格が増加したことにより営業利益は7,541百万円(前年同期比8.8%減)、経常利益は9,310百万円(前年同期比4.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,577百万円(前年同期比2.1%減)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、当連結会計年度の売上高は1,020百万円減少し、営業利益は2百万円増加、経常利益は3百万円増加しております。
a. 経営成績
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(産業用製品)
一般用フイルム及び産業用フイルムは、様々なイベント等の自粛・制限が続いていることの影響により売上減となりました。工業用フイルムは、海外ステッカー向け需要が減少し売上減となりました。建材用フイルムは、新規受注もあり堅調に推移し売上増となりました。多層フイルムは、工業材料用及び食品用の需要が増加し売上増となりました。壁紙は、新規受注及び値上げ前の駆け込み需要があり売上増となりました。農業用フイルムは、農業従事者の資材購入経費削減の影響により売上減となりました。自動車内装材は、新型コロナウイルス感染症の影響による減産から回復基調となり売上増となりました。フレキシブルコンテナは、石油化学向けの需要が減少し売上減となりました。粘着テープは、包装用テープの販売が堅調に推移し売上増となりました。工業用テープは、電材用及び車輌用の需要が増加し売上増となりました。食品衛生用品は、衛生資材が堅調に推移し、ラップフイルムは新規採用及び内食需要が増加し売上増となりました。食品用吸水・脱水シートであるピチット製品は、外食用途が緩やかに回復し、内食向けの食材用途や個人利用の拡大により売上増となりました。研磨布紙等は、海外向けの金属加工用や精密加工用の製品受注が増加し、半導体向けの研磨材も需要が増加し売上増となりました。
以上により、当セグメントの売上高は57,143百万円(前年同期比6.4%増)、セグメント利益は1,608百万円(前年同期比53.5%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は467百万円減少し、営業利益は0百万円減少しております。
(生活用品)
コンドームは、国内需要の回復とドラッグストアでの積極的な販促活動を行い売上増となりました。また、海外向けも引き続き好調で売上増となりました。浣腸は、輸出が減少しましたが国内で新規定番採用があり売上前年並みとなりました。除湿剤は、前年の新型コロナウイルス感染症拡大下での巣ごもり需要からの反動はありましたが売上前年並みとなりました。カイロは、年明け以降には冬型の天気が続き販売好調となりましたが売上微減となりました。手袋は、医療用は需給バランス悪化の影響を受けましたが、家庭用はカシニーナシリーズの拡販に注力したことにより堅調に推移し、産業用・理美容向けが好調で売上増となりました。メディカル製品のうち滅菌器は、引き続き好調で売上増となりました。ブーツ及び雨衣は、主要ホームセンターでの受注減と業界全体の来店客数の減少の影響により売上減となりました。シューズは、生活行動の変化による消費低迷の影響により売上減となりました。
以上により、当セグメントの売上高は32,194百万円(前年同期比0.8%減)、セグメント利益は7,598百万円(前年同期比16.3%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は552百万円減少し、営業利益は3百万円増加しております。
(その他)
その他事業は、物流受託事業及び太陽光発電事業であります。
当セグメントの売上高(振替前)は3,554百万円(前年同期比1.4%減)、セグメント利益は282百万円(前年同期比4.6%減)となりました。
b. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は117,560百万円で、前連結会計年度末と比べ5,489百万円増加しております。
流動資産は73,026百万円で、前連結会計年度末と比べ3,547百万円の増加となりました。これは主として、現金及び預金3,757百万円、商品及び製品840百万円が増加し、受取手形及び売掛金855百万円、電子記録債権220百万円が減少したことによるものです。
固定資産は44,533百万円で、前連結会計年度末と比べ1,941百万円の増加となりました。これは主として、投資有価証券1,886百万円、長期貸付金805百万円が増加し、無形固定資産が573百万円減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における総負債は42,643百万円で、前連結会計年度末と比べ889百万円増加しております。
流動負債は30,797百万円で、前連結会計年度末と比べ796百万円の増加となりました。これは主として、電子記録債務1,905百万円、支払手形及び買掛金491百万円が増加し、未払法人税等1,315百万円、建物解体費用引当金206百万円が減少したことによるものです。
固定負債は11,846百万円で、前連結会計年度末と比べ93百万円の増加となりました。これは主として、繰延税金負債が549百万円増加し、長期借入金172百万円、退職給付に係る負債138百万円が減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は74,916百万円で、前連結会計年度末と比べ4,599百万円増加しております。これは主として、利益剰余金1,761百万円、為替換算調整勘定1,200百万円、その他有価証券評価差額金1,103百万円が増加したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,757百万円(13.4%)増加し、31,810百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、10,644百万円(前年同期比30.2%増)となりました。
増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益7,681百万円、減価償却費2,426百万円、仕入債務の増加1,704百万円、売上債権の減少による増加1,600百万円、減損損失750百万円、固定資産除却損657百万円、減少の主な内訳は、法人税等の支払額3,277百万円、棚卸資産の増加による減少795百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、3,751百万円(前年同期比15.8%増)となりました。
収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入295百万円、支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出2,599百万円、長期貸付による支出771百万円、投資有価証券の取得による支出318百万円、建物解体費用の支払額315百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、3,827百万円(前年同期比71.1%増)となりました。
支出の主な内訳は、配当金の支払額1,861百万円、自己株式の取得による支出1,707百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの事業領域は、大きく産業用製品事業と生活用品事業に分かれ、その代表的な製品は、産業用製品事業ではプラスチックフイルム、壁紙、フレキシブルコンテナ、車輌内装材、粘着テープ、食品衛生用品、食品用脱水・吸水シート等であり、生活用品事業ではコンドーム、カイロ、除湿剤、メディカル製品、手袋、シューズ・雨衣等と多岐に亘ります。これらの事業は1934年の創業以来培ってきた素材の研究と高度な技術の追求、並びに会社の統合・合併・事業の譲受等による製造技術・ノウハウの吸収により、成長してまいりました。これらの事業を基盤として当社グループは環境にやさしい製品を世に送り出し、株主・顧客・取引先・地域社会・従業員などの様々のステークホルダーとの友好な関係の維持、発展に努めてまいりました。このような状況のなか、当連結会計年度における売上高は89,581百万円(前年同期比3.7%増)、在庫圧縮やコストダウンを継続したことにより営業利益は、7,541百万円(前年同期比8.8%減)となりました。営業外損益は、為替レートの変動により390百万円の為替差益となりました。特別損失は、収益性の低下が生じ短期的な業績回復が見込まれないと判断した事業(農業用フイルム事業、カイロ事業、除湿剤事業、壁紙事業、フレキシブルコンテナ事業、ラップ事業、PPフイルム事業及び研磨布紙事業)に関して減損損失を750百万円計上しております。加えまして、システム除却により657百万円を計上し、特別損失全体で1,645百万円となっております。これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益5,577百万円(前年同期比2.1%減)となりました。
事業全体としては、新型コロナウイルス感染症は、3回目のワクチン接種が進む一方で、新たな変異株の出現により感染状況は拡大と縮小を繰り返しており、収束時期については不透明な状況が続いております。しかしながら、同感染症が当社グループの財政状態及び経営成績に及ぼす影響は徐々に軽減していくとの仮定を定めた上で会計上の見積りを実施しております。
経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 a.経営成績」に記載のとおりですが、産業用製品事業のうち特に車輌内装材は、新型コロナウイルス感染症による自動車メーカーの生産調整から回復傾向にありますが、サプライチェーンにおける部品の供給遅延などによる生産拠点の生産活動への影響が継続しております。当該状況においても安定して収益を得られるように、より幅広い受注のための研究開発力の強化と、将来を見据えた営業体制の構築に努めてまいります。
生活用品事業のうち特にコンドームは、各国製造拠点において新型コロナウイルス感染症のリスクは引き続き受けておりますが、当該状況においても安定して収益を得られるように、新製品販売や販売強化を国内及び国外で努めてまいります。なお、メディカル製品や衛生用品においては、円安や物流費等の仕入コスト増の影響が顕在化し、先行き不透明ではありますが、値上げや拡販を行い収益の確保するよういたします。
今後、将来への成長をより加速・維持する経営を図るため、当社並びに連結子会社各社に至るまで収益の基盤を広げ、かつ強固なものとするため設備投資を進めてまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,757百万円(13.4%)増加し、31,810百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益は177百万円減少し7,681百万円の増加となりました。また売上債権の減少による増加1,600百万円(前年同期比4,315百万円増)、棚卸資産の増加による減少795百万円(前年同期比1,219百万円減)となりました。さらに、減価償却費2,426百万円(前年同期比426百万円減)、固定資産減損損失750百万円(前年同期比647百万円減)などにより、営業活動によるキャッシュ・フロー全体では10,644百万円の増加(前年同期比2,468百万円の収入増)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、将来の事業基盤となる設備投資を実施しており、投資活動によるキャッシュ・フロー全体では3,751百万円の支出(前年同期比511百万円の支出増)となっております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株主還元の充実及び資本効率の向上等を目的とした施策としての配当金の支払額1,861百万円、自己株式の取得1,707百万円により財務活動によるキャッシュ・フロー全体では3,827百万円の支出(前年同期比1,590百万円の支出増)となっております。
よって、これらにより当連結会計年度末においての現金及び現金同等物は31,810百万円となりました。
また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、円滑な事業活動に必要な流動性の確保を主眼とし、主として銀行等から長期借入金及び短期借入金にて資金調達を行っております。なお、現時点では借入れによる資金調達により一定程度手許資金が確保されている状況のため、社債等の資金調達手段は考えておりません。今後も今まで築いてきた金融機関等との良好な関係を確保しつつ、追加で資金が必要になった時点で最良の判断を行っていく考えであります。
さらに当社グループは、様々な事業を展開していることから戦略的に資源配分を行っていく方針であります。特にここ最近では、将来の事業基盤を支える事業に積極的に設備投資を実施しており、設備投資額も高水準となっております。今後も経済状況を鑑み、競争力を維持していくための資源配分を行う考えであります。また同時に、株主還元の充実を図るため配当及び自己株式の取得も併せて実施する考えであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。 この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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