課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は「創意あふれる技術を結集して、健康的で快適な人間生活に寄与する商品をつくり出し、当社に関係するすべての人々により大きな満足を与えることをめざす」ことを企業使命とし、以下の事項を経営理念に据え、グループの総力を尽くしてこれらを実現させながら企業価値の増大を図るとともに、結果としてお客様、株主、従業員、その他のステークホルダーの信頼を得て、経済・社会の発展に貢献してまいります。

1 法令(行政上の通達・指針等を含む)、就業規則及び企業倫理を遵守する。

2 独自の技術を基盤に人々の生活に役立つ商品を多面的、積極的に開発し提供していく。

3 高品質を徹底して追求することによってオリジナルブランド「オカモト」への信頼感を高め、国内・国際市場で強い競争力を維持していく。

4 可能なかぎりの合理化努力を続け、つねにユーザーやお客様に歓迎されるよい仕事を継続する。

5 社内においては、協調を旨とし、全員一丸となって生き甲斐と潤いのある職場環境を創造していく。

 

(2) 目標とする経営指標

当社はROE(株主資本利益率:当期利益/株主資本)を世間一般の要求水準とされている8以上とすることを目標としております。過去の株価等の市場データに基づき、CAPM(資本資産評価モデル)により推計される当社の株主資本コストはこれを下回る水準ですが、中長期的に株主資本コストを上回るリターンを継続することによって企業価値の増大を目指してまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、原油価格や為替の変動及び海外発の不安が引き続きリスクとなっておりますが、上記の経営方針のもと更なる成長と事業基盤の拡大に努めるため、次の課題に重点的に取り組んでまいります。

①  産業用製品事業及び生活用品事業それぞれにおいて、事業の継承や経営権の取得等を通じて事業の多角化を進めてまいりましたが、これら事業及びグループ企業における生産面及び販売面での一層の相乗効果を出し、グループ全体の売上及び利益の向上を目指す。

②  原油価格や為替の変動等により事業環境が変動しても、固定費・経費の圧縮等を更に進め、確たる利益を継続的に計上できる体質を強化する。

③  競争力のある高付加価値の新製品を市場に投入していくため、研究開発力の維持・向上を図るとともに、研究開発センターを中心に長年培ってきた技術を生かして製造コストの削減を継続的に行い、製造期間の短縮・品質の向上等モノづくりの強化に努め、さらに、資材調達から物流までのサプライチェーンの最適化及び強化を進め、コスト競争力の向上を図る

④  ISO14001認証の企業グループとして、省資源の促進及び廃棄物の削減による環境負荷低減活動を進めるとともに、ユーザーが要望する環境対応商品の開発及び上市を進め、また、コンドーム業界のリーディング・カンパニーとして、HIV/AIDSをはじめとするSTI(性感染症)予防啓発活動を積極的に展開し、環境問題や社会的要請への取り組みを強化し、もってサステナビリティ(持続可能な社会)の実現を目指す

⑤  品質の追求と顧客ニーズに合致した製品開発により他社との差別化を図り、オカモトのブランド力を高め、中長期的に市場競争力を維持する

⑥  製造現場での再生可能エネルギーの積極的な活用とさらなる省エネを推進し、また生産性をさらに改善させるための設備投資により廃棄物を削減し、太陽光発電事業についても維持発展させることにより持続可能な成長を図ってまいります。

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の見通しにつきましては、依然として新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、ワクチン接種の広がりもあり、一部で経済活動は戻りつつありますが、様々な市場で需要の本格的な回復にはなお時間を要する状況となっております。また、人件費や物流費が高騰してきていることに加え、原油価格の上昇と急激な円安の進行による原材料価格の急騰は、ナフサ由来の原材料を多く取扱う当社といたしましては、喫緊の課題であります。

産業用製品事業においては、半導体不足のほか世界各国のロックダウン及び物流網の混乱による様々な部品の供給不足の影響が依然として継続しております。当社が中国国内(武漢)に建設していた生産工場は完成し、グローバルでの安定的な生産・供給体制を構築できましたので、常に変化する需要を的確に捉え、機動的かつ最適な生産・供給体制の構築と在庫の適正化に努めてまいります。また、大規模な集客イベントや展示会等の開催中止、リモートワークなどによる新生活様式の定着により、プラスチック製品の市場は全体的に縮小している傾向がありますので、新素材の研究や新たな用途開発等により細かなニーズの獲得に努めてまいります。

生活用品事業においては、訪日外国人によるインバウンド需要がほぼ無くなり、少子化の影響も加わり、国内のコンドーム市場は縮小傾向にありますので、新商品の上市や店頭での積極的な販促活動を行い国内需要の喚起を図ってまいります。また、国外の市場においては、引き続き日本製(MADE  IN  JAPAN)の高い技術力及びブランド力をより強化してシェア拡大に努めてまいります。

全社的には、海洋ゴミ問題に端を発するプラスチック使用量削減の動きのみならず、気候変動などの地球環境問題への配慮、自然災害等への危機管理など、サステナビリティへの取り組みも重要な課題です。脱炭素社会の実現に向けたプラスチック製品使用削減の動きを受けて、企業としての社会的責任を遂行しながら持続的成長を図るため、全社を挙げてプラスチックの使用及び廃棄物の削減・縮小に取り組みます。加えて、生産面では、昨今の大規模自然災害が断続的に発生していることを踏まえ、各工場における災害対策を実施するとともに、仕入先及び得意先それぞれとの間でのサプライチェーンの強化を図ってまいります。また、少子高齢化を踏まえた人手不足に対応するため、諸作業の機械化・自動化、事務作業の電子化等による生産効率の更なる向上に取り組んでまいります。

これら様々な課題に対し、当社グループは「身近な暮らしを科学する」を掲げて、顧客ニーズを満たす品揃えと販売の拡大に取り組んでまいります。企業として全てのステークホルダーに対する社会的責任を真摯に受け止め、コンプライアンスやリスク管理体制の更なる充実を図るとともに、より透明性のある経営を目指し、内部統制の強化、情報開示の充実に努めてまいります。

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