業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 また、当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産の部)

 当事業年度末における総資産は1,478,371千円となり、前事業年度末と比較し80,813千円増加いたしました。

 流動資産は1,216,875千円となり、前事業年度末と比較し98,830千円増加いたしました。これは主に、当期純利益420,316千円の計上による現金及び預金の増加98,202千円によるものであります。

 固定資産は261,496千円となり、前事業年度末と比較し18,017千円減少いたしました。これは主に、2019年6月30日に旧株式会社ファインズを吸収合併したことにより発生したのれんの償却18,239千円によるものであります。

 

(負債の部)

 当事業年度末における負債は660,274千円となり、前事業年度末と比較し347,093千円減少いたしました。

 流動負債は660,274千円となり、前事業年度末と比較し47,588千円増加いたしました。これは主に、契約増加による契約負債の増加110,009千円(前事業年度は前受金として表示)によるものであります。

 固定負債は、前事業年度末と比較し394,682千円減少いたしました。これは主に、長期借入金の返済によるものであります。

 

(純資産の部)

 当事業年度末における純資産は818,097千円となり、前事業年度末と比較し427,906千円増加いたしました。これは主に、当期純利益420,316千円の計上に伴う利益剰余金の増加によるものであります。

 

②経営成績の状況

 当社は、「誰からも必要とされる会社になる」という経営理念のもと、主に中小企業事業者や個人事業主などのSMB向けに「付加価値の向上」と「業務の効率化」の両輪をサポートすることで、企業のDX化を推進する事業活動を行ってまいりました。

 当事業年度においては、前事業年度に引き続き新型コロナウイルス感染症が再拡大に転じるなど、先行きが不透明な状態が続いておりました。しかしながら、当社の位置するDX市場は2030年に5兆1,957億円(注)に達する見込みとされるなど、コロナ禍をきっかけとし社会全体としてDXへの関心やニーズは高まりを見せたことで、当社にとっては継続的に追い風の状況が続いているものと考えております。

 このような環境下において当社は、引き続き「Videoクラウド」の販売に注力し、セールスコンサルタント人員の強化を行い、当事業年度末人員が前年同期比で15%増加し152名となるなど積極的な事業活動を行うことで、Videoクラウド事業の拡大に努めてまいりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は2,595,390千円(前年同期比18.0%増)、営業利益は591,747千円(前年同期比58.3%増)、経常利益は601,118千円(前年同期比57.1%増)、当期純利益は420,316千円となりました。(前年同期比63.6%増)

 

(注)「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」富士キメラ総研

 

 当事業年度の業績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

a.Videoクラウド事業

 当事業では、引き続き動画を含めた企業のDXニーズの高まりを受け、人員の拡大及び販売活動の強化を図ってまいりました。その結果、売上高は2,369,065千円(前年同期比28.9%増)、セグメント利益は967,632千円(前年同期比35.6%増)となりました。

 

b.店舗クラウド事業

 当事業では、引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、販売人員をVideoクラウド事業へシフトしたことも重なって、販売獲得が軟調に推移しました。その結果、売上高は226,325千円(前年同期比37.6%減)、セグメント利益は161,932千円(前年同期比22.0%減)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ98,202千円増加し、965,358千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は561,611千円(前事業年度は431,329千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益601,147千円(前年同期比218,410千円増加)の計上、売上債権の増加による資金の減少5,287千円(前年同期比6,225千円減少)、契約負債の増加額110,009千円(前年同期比85,350千円増加(前事業年度は前受金として表示))によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は3,395千円(前事業年度は33,845千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,091千円(前年同期比3,541千円減少)、敷金及び保証金の差入による支出1,073千円(前年同期比30,457千円減少)によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は460,014千円(前事業年度は98,324千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出445,529千円(前年同期比367,205千円増加)によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

Videoクラウド事業

2,436,849

132.5

605,969

132.8

店舗クラウド事業

82,794

34.6

5,707

18.5

合計

2,519,644

121.2

611,677

125.6

 (注) セグメントのうち受注販売を行っているのは、制作売上のみであります。上記金額は制作売上の受注高、受注残高であります。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

Videoクラウド事業

2,369,065

128.9

店舗クラウド事業

226,325

62.4

合計

2,595,390

118.0

 (注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

 

 また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(のれんの減損)

 当社は、のれんについて10年間の均等償却を行っております。のれんを含むより大きな単位において事業計画どおりに業績が進捗せず、営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっている場合や、経営環境が著しく悪化しているような場合には、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたり慎重に検討することとしておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 当社の財務諸表で採用する当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②財政状態の分析

 財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

③経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度における売上高は2,595,390千円(前年同期比18.0%増)となりました。これは主に、前事業年度同様、国内のDX市場の成長や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うテレワークの普及等により、動画のDXにおける活用幅が拡がりを見せていることから、Videoクラウド事業のニーズが高まっていることが挙げられます。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度における売上原価は491,054千円(前年同期比1.4%増)となりました。これは主に、動画制作の内製化の向上に努めたことにより売上高外注費率が10.6%(前年同期比2.5%減)へ減少、また、オンラインシステムを有効活用したことにより売上原価に含まれる旅費交通費が3,008千円減少したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の売上総利益は2,104,335千円(前年同期比22.7%増)となりました。売上総利益率は3.1ポイント増加し、81.1%となりました。
 
(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は1,512,588千円(前年同期比12.7%増)となりました。これは主に、中途採用を積極的に行ったことにより給与手当が126,538千円増加したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の営業利益は591,747千円(前年同期比58.3%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当事業年度における営業外収益は16,856千円(前年同期比9.4%増)となりました。これは主に、顧客からのキャンセル増加に伴い、逸失利益の補填に係る受取補償金が2,612千円増加したことによるものであります。また、営業外費用は7,484千円(前年同期比17.0%増)となりました。これは主に、株式上場に伴う上場関連費用が2,000千円発生したことによるものであります。

 この結果、経常利益は601,118千円(前年同期比57.1%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失、当期純利益)

 当事業年度における特別利益は29千円となりました。これは、有形固定資産の売却により固定資産売却益が29千円発生したことによるものであります。また、特別損失は発生しておりませんが、法人税等合計を180,831千円計上しております。

 この結果、当期純利益は420,316千円(前年同期比63.6%増)となりました。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の運転資金需要の主なものは、外注費、広告宣伝費、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 運転資金及び投資資金は自己資金のほか、金融機関からの長期借入により調達することとしております。なお、当事業年度末の現金及び預金は965,358千円であり、十分な流動性を確保していると考えております。

 

⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高構成比の高い、Videoクラウド事業の収益モデルを重視しております。売上高及び営業利益の主な構成要素として下表の指標を主要な経営指標と位置付けております。

 a.セールスコンサルタント数(注1)

 b.納品件数(注2)

 c.動画制作単価(注3)

 d.内製化率(注4)

 

重要な経営指標

2020年6月期

2021年6月期

2022年6月期

セールスコンサルタント数(人)

63

76

120

納品件数(件)

1,189

1,306

1,523

動画制作単価(千円)

860

1,100

1,320

内製化率(%)

33.6

34.1

46.6

(注)1.Videoクラウド事業(DXコンサルティングを除く。)のセールスコンサルタント在籍人数を期中平均算出

2.動画制作サービスの納品件数

3.動画制作サービスの平均制作単価であり、小数点以下は四捨五入

4.動画制作工程の「①ディレクション」「②撮影」「③編集」「④納品」のうち、「②撮影」以外の全ての工程を当社で担った案件の比率を算出

 

 当該指標に対する今後の方針としては、中途採用を中心としたセールスコンサルタントの採用強化、それに伴う納品件数の増加、戦略的顧客ターゲット層の引き上げによる動画制作単価の向上、内製化促進による動画制作プロセスの改善とそれぞれを強化していくことで、結果として売上高、営業利益の成長に繋げていきたいと考えております。

 

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