業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続しているものの、政府による各種政策の効果もあり、社会経済活動の正常化の動きがみられました。一方でロシア・ウクライナ 情勢の長期化による原材料価格の上昇やサプライチェーンへの制約、各国の政策金利引き上げに伴う急激な為替変動など、景気の先行きについては不透明感が増しております。

当社が属する国内の情報サービス産業においては、リモートワークへの対応や、デジタル化の推進による効率化への需要は引き続き強く推移しております。特にアナログな事務作業のデジタル化や、オンプレミスで運用されているレガシーシステムのクラウド化へのニーズは非常に強く、クラウドサービス 事業者への期待は高まっております。

このような環境下、当社はクラウドネイティブカンパニーとして、「日本のエンタープライズシステム にグローバル品質のクラウドパワーを」をミッションに掲げ、世界一クラウドネイティブなシステム開 発力と最高位パートナー認定「Azure Expert MSP」のマネージドサービスの提供を通じて、日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速に取り組んでまいりました。

具体的には、プロジェクト型サービスで開発したシステムを、Microsoft Azureを中心としたパブリッ ククラウド上で保守・運用を請け負うマネージドサービスと、パブリッククラウドの販売を行うリセール、顧客ニーズの高い機能をプラットフォーム化した高付加価値のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供してまいりました。特に、2020年8月期より開発・運用を請け負ってきた厚生労働省の新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)において、健康観察業務を 支援する自動架電サービス(SaaS)の利用が大きく伸長した他、複数のプロジェクト型サービスの提供や、SaaS事業でのメタバース基盤の提供を行う等、将来の成長に向けた施策を実行してまいりました。また、将来の成長を支える人材の確保や認知度の向上を目的とした広告宣伝活動にも注力してまいりました。

以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高11,360,857千円(前期比215.0%増)、営業利益は2,394,785千円(同654.3%増)、経常利益は2,391,549千円(同659.5%増)、当期純利益は1,495,315千円(同662.1%増)となりました。

なお、当社の事業はクラウドサービス事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

 

② 財政状態の状況
(資産)

当事業年度末における流動資産は6,705,780千円となり、前事業年度末に比べ4,429,583千円増加しました。主な要因は、現金及び預金が2,221,229千円、売掛金及び契約資産が2,151,522千円増加したことによるものであります。固定資産は482,777千円となり、前事業年度末に比べ127,063千円増加しました。主な要因は、敷金が50,612千円、繰延税金資産が66,223千円増加したことによるものであります。この結果、総資産は7,188,558千円となり、前事業年度末に比べ4,556,646千円増加しました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は3,938,353千円となり、前事業年度末に比べ3,141,724千円増加しました。主な要因は、買掛金が1,795,753千円、未払法人税等が848,578千円増加したことによるものであります。固定負債は38,283千円となり、前事業年度末に比べ80,393千円減少しました。主な要因は、長期借入金が80,393千円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は3,976,636千円となり、前事業年度末に比べ3,061,331千円増加しました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は3,211,921千円となり、前事業年度末に比べ1,495,315千円増加しました。主な要因は、当期純利益の計上により利益剰余金が1,495,315千円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ2,221,229千円増加し、3,685,135千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の営業活動の結果、獲得した資金は2,478,147千円(前事業年度は3,173千円の支出)となりました。これは主に、売上債権の増加額が2,151,522千円あった一方、税引前当期純利益が2,385,299千円、仕入債務の増加額が1,795,753千円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の投資活動の結果、支出した資金は101,067千円(前事業年度は177,445千円の獲得)となりました。これは主に、敷金の差入による支出60,086千円、有形固定資産の取得による支出45,394千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の財務活動の結果、支出した資金は155,851千円(前事業年度は204,239千円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出155,851千円によるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b 受注状況

当社は受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。

 

c 販売実績

当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社はクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

クラウドサービス事業

11,360,857

315.0

合計

11,360,857

315.0

 

(注) 1. 最近2事業年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

第12期事業年度

(自 2020年9月1日

至 2021年8月31日

第13期事業年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日

金額(千円)

比率(%)

金額(千円)

比率(%)

厚生労働省

801,013

22.2

8,764,019

77.1

国立がん研究センター

645,489

5.7

ヤマトシステム開発株式会社

624,634

17.3

597,010

5.3

株式会社北國銀行

471,142

13.1

413,447

3.6

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社

868,826

24.1

 

2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.厚生労働省HER-SYSの契約先であったパーソルプロセス&テクノロジー株式会社は、2021年4月より同システムの保守・運用が同省との直接契約となったことから、第13期では売上を計上しておりません。厚生労働省は、第13期において新型コロナウイルス感染者数の急増に伴うインフラ増強、自動架電・自動SMS送信サービスにより、金額が増加しております。国立がん研究センターは、全国がん登録オンライン・クラウドサービス構築、保守運用支援業務を新規に受託し、金額が増加しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りに関しては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要な当該見積り及び当該仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響は次のとおりであります。

 

(繰延税金資産)

当社は、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づく課税所得の金額に基づき算出しております。繰延税金資産の金額は、今後の事業年度における課税所得が見積りと異なった場合や、見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産を減額し、税金費用を計上する可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 経営成績の分析

(売上高)

売上高は、前事業年度に比べ7,754,408千円増加して11,360,857千円(前期比215.0%増)となりました。

これは主に、2020年8月期より開発・運用を請け負ってきた厚生労働省の新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)において、健康観察業務を支援する自動架電サービス(SaaS)の利用が大きく伸長し厚生労働省向け売上高が7,963,006千円増加したことによるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、前事業年度に比べ4,993,212千円増加して7,292,320千円(同217.2%増)となりました。これは主に、事業規模の拡大に伴い、各種ソフトウエアライセンスの利用に係る費用や業務委託費が増加したことによるものであります。

以上の結果、売上総利益は前事業年度に比べ2,761,195千円増加して4,068,536千円(同211.2%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ683,895千円増加して、1,673,751千円(同69.1%増)となりました。これは主に、将来の成長を支える人材の確保や認知度の向上を目的としたTVCMを実施し、広告宣伝費が460,645千円増加したこと、業容の拡大に伴うバックオフィスの人員数の増加により給与及び賞与が41,488千円、賞与引当金繰入額が39,931千円増加したこと、地代家賃が37,796千円増加したことによるものであります。

以上の結果、営業利益は前事業年度に比べ2,077,299千円増加して2,394,785千円(同654.3%増)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

営業外収益は21千円(同98.8%減)となりました。これは主に、前期に補助金収入が計上されたことによる影響であります。また、営業外費用は、3,257千円(同26.7%減)となりました。これは主に、借入金の返済による、支払利息の減少によるものであります。

以上の結果、経常利益は前事業年度に比べ2,076,661千円増加して2,391,549千円(同659.5%増)となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

特別損失は6,250千円で、特別利益はありませんでした。また、法人税等は、前事業年度に比べて771,307千円増加して889,983千円(同649.9%増)となりました。

以上の結果、当期純利益は前事業年度に比べ1,299,102千円増加し1,495,315千円(同662.1%増)となりました。

 

b 財政状態の分析

財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②財政状態の状況」をご参照ください。

 

c キャッシュ・フロー状況の分析

キャッシュ・フロー状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社は「第2 事業の状況2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業展開や外部環境、事業運営等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は常に業界動向や外部環境を注視しつつ、優秀な人材を確保し市場ニーズに適合したサービスを展開していくことにより、これらのリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の運転資金需要の主なものは、事業の拡大に伴う人件費、Microsoft Azureの利用に対する手数料及び当社のサービスを向上させるためのシステム維持費等の営業費用であります。現時点で予定されている重要な資本的支出はありません。事業上必要な資金は手許資金、金融機関からの借入及び新株発行等により資金調達していく方針でありますが、資金使途及び需要額に応じて柔軟に検討を行う予定であります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について

当社を取り巻く現在の環境は、DXニーズの加速やニューノーマルに対応する新しい需要が創出される状況など、クラウド市場が拡大する方向にあると認識しております。当社の企業理念は、「Technology to FIX your challenges. あなたのチャレンジをテクノロジーで成就する」でありますが、今後も顧客企業や外部環境の変化を適切にとらえ、クラウドのメリットを最大限に活かした新サービスの提供と、ストック型ビジネスの拡大を軸に事業の成長を図ってまいりたいと考えております。その実現に向け、当社の高い技術力を活かした短期間・低コストの開発体制を更に強化する方針であります。今後、当社が更なる事業拡大を図るために、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した様々な課題に対して、弛まぬ努力をもって対処していく方針であります。

 

⑥ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、収益獲得の効率性の向上を実現するための1人当たり売上高、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するための契約社数、最新技術を積極的に取り込む風土と行動力を競争力の源泉とするための社員平均年齢、収益性の向上を実現するための事業ごとの利益率を重要な経営指標と位置づけております。

1人当たり売上高については、当事業年度において67,390千円となっており、外部環境の影響が大きいSaaSの自動架電を除いた1人当たり売上高は32,427千円となりました。今後ソフトウエア開発及び保守・運用において自動化の推進により増加させていく方針であります。

契約社数については、当事業年度末において94社となっておりますが、今後プロジェクト型サービスの案件増加を通じて、ストック型のリセールとマネージドサービスの顧客を継続的に増加させる他、SaaSの利用顧客拡大にも取り組み、顧客数の拡大を目指してまいります。

社員平均年齢については、当事業年度末で28.6歳となっており、社員数が増加する今後においても、新卒採用を重視した開発人員強化に取り組み、平均年齢20代を維持し続けることを目標としております。

事業ごとの売上高総利益率については、プロジェクト型サービス36.3%、リセール24.3%、マネージドサービス43.4%、SaaS 38.8%となっております。今後自動化技術の活用拡大を図り、売上高総利益率の維持・改善をしていく方針であります。

 

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