研究開発活動

5【研究開発活動】

   2021年度の当社グループは、2013年度から2022年度までの中長期経営計画“Breakthroughs for the future”(未来への躍進)の第2ステージの4年目として、4つの指針のもと、経営目標の達成に積極的に取り組んでまいりました。

 

   指針1の「新事業の創出」においては、重点市場に向けてエラストマー・樹脂の配合・分散・複合化のコア技術に磨きをかけ、これに新技術を融合させて練り上げた「尖った技術」をベースに新製品の創出と新市場開拓を進め、次代の新事業の柱として育成を加速することを目指しております。なお、優先的に経営資源を配分する領域は医療機器・ヘルスケア機器事業、電子資材事業およびその他の新規事業分野としております。

   また、指針2の「コア事業の拡大」においては、グローバル各地域の市場ニーズにマッチした「市場最適仕様」製品の開発を促進、お客様の「環境負荷低減・高効率・コンパクト化・機能複合化」に貢献する製品を連続的に生み出し育てていくことを目指しております。これらの指針に基づき、研究開発は、新事業推進センター、ものづくりセンター、基盤技術研究所および伝動技術研究所(当連結会計年度末人員242名)を中心に取り組んでおり、当連結会計年度における全体の改良開発を含む開発・研究に4,029百万円(無形資産に計上された開発費は該当はありません)を投入いたしました。

   セグメント別の研究開発活動とその成果は次のとおりであります。なお、自動車部品事業および産業資材事業での研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、両事業部を合わせて記載しております。

 

  [自動車部品事業・産業資材事業]

    当事業では、基盤技術研究所・伝動技術研究所を中心として、伝動ベルトおよび伝動ベルトシステム製品、搬送ベルトおよび搬送周辺製品や農業・工業用ゴム製品、補修市場におけるサービタイゼーションの創出に関する研究開発に取り組んでおります。自動車部品事業においては、主力の補機駆動用ベルトにおいて革新製法を用いた新製品開発を推進しております。また、電動パワーステアリング(EPS)向けベルトなど、電動化市場への参入・拡販を狙った製品開発を進めております。産業資材事業においては、軽搬送用ベルトの耳ほつれ防止加工「ミスターバンシール®」および樹脂製レーシングエンドレス加工「ミスターProジッパー®」を、2021年5月に販売開始いたしました。伝動ベルトでは歯付ベルトの新たなラインアップとして、「紙幣/カード搬送用歯付ベルトUVH仕様」を2021年7月に、高負荷対応歯付ベルト「Ceptor®-Ⅹ Plus(セプターテン プラス)」を2021年9月に、販売開始いたしました。

 

  [高機能エラストマー製品事業]

    当事業では、電子写真プロセス用のクリーニングブレード、現像ローラなどの高機能樹脂製品や装飾表示用フイルムなどの改良開発を行っております。新製品としては、クリーンルーム(準クリーンルームを含む)等で問題となっている落下塵の除去や可視化を実現したシステム製品である「BANDO MDEC®(Micro Dust Electric Cleaner:静電吸着ゴミ除去装置)」、異物検査ツール「BANDO DEC-20®」およびタッチパネルディスプレイ製品の各部材の貼り合わせに用いられる超厚膜光学用透明粘着剤「Free Crystal®(フリークリスタル)」の開発を進めました。

 

  [その他事業]

    医療機器・ヘルスケア機器事業では、伸縮性ひずみセンサ「C-STRETCH®(シーストレッチ)」の応用開発を進めました。当製品は、当社のコア技術であるゴム・ウレタン材料の配合設計、フイルムの加工技術に導電材料の分散技術を組み合わせすることで生まれました。当製品の柔らかさや伸びの大きさが人の動きと親和性が高く、医療機器・ヘルスケア機器用センサとして適用できます。呼吸や嚥下に関する領域で影響力を持つ医師(Key Opinion Leader :KOL)のいる大学と共同開発契約を結び、開発に取り組んでおります。新製品としては、ヘルスケア機器である嚥下運動モニタ「B4STM(ビーフォーエス)」を2021年10月に販売開始いたしました。また、連結子会社である株式会社Aimedic MMTが、「C-STRETCH®」を用いた呼吸器領域初の医療機器「ResMo®(レスモ)」を、2021年6月に販売開始いたしました。

    電子資材事業では、精密研磨材「TOPX®(トップエックス)」は、量産中のディスプレイ(ガラス基板)分野のシェア拡大を進めるとともに、ストレージ分野など新たな需要の開拓に積極的に取り組みました。既存熱伝導性フィラーを垂直配向した高い熱伝導率を有する放熱シート「HEATEX®(ヒートエクス)」は、発熱部品(CPU、LEDバックライト、パワーチップ)から発生する熱を効率的に冷却部材(ヒートシンク等)へ伝達するためのインターフェイスとして多くのお客様と評価を進めてまいりました。

 

    なお、改良開発を中心とした開発・研究として、自動車部品事業・産業資材事業に1,843百万円、高機能エラストマー製品事業に794百万円、その他事業に314百万円を投資した他、新規新製品の研究開発として1,076百万円(無形資産に計上された開発費は該当はありません)を投入しております。

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