課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2022年3月30日現在において判断したもの

です。

 

(1)経営の基本方針

当社グループでは、グループの全ての事業活動、社会活動を貫く企業理念としてのグループビジョンLook Beyondを定めています。このグループビジョンにおいて、当社グループが世の中に提供すべき価値、グループの存在意義を示すものとして「私たちの使命」を掲げています。

 

〔私たちの使命〕

“AGC、いつも世界の大事な一部”

 ~独自の素材・ソリューションで、いつもどこかで世界中の人々の暮らしを支えます~

 

 また、グループビジョンLook Beyond では、以下のとおり、グループ全体で共有すべき最も重要な価値観及びグループメンバーが世代を超えて受け継ぎ、実践していく基本精神(スピリット)を掲げています。

 

〔私たちの価値観〕

  「イノベーション&オペレーショナル・エクセレンス(革新と卓越)」、

  「ダイバーシティ(多様性)」、「エンバイロンメント(環境)」、「インテグリティ(誠実)」

〔私たちのスピリット〕

  “易きになじまず難きにつく”

 

(2)新中期経営計画 AGC plus-2023 の進捗状況について

当社は、2021年2月に、長期経営戦略「2030年のありたい姿」およびその実現のための中期経営計画 AGC plus-2023 を定めました。

 

<AGCグループのグループビジョンおよび中長期の経営方針・経営戦略>

0102010_001.png

 

 AGC plus-2023 の初年度にあたる2021年度は、戦略事業、コア事業それぞれにおいて設定した主要課題に取り組みました。戦略事業では、エレクトロニクスやライフサイエンスを中心として積極投資を行い、コア事業では、クロールアルカリ事業の基盤を一段と強化し収益拡大に取り組むとともに、北米建築用ガラス事業の譲渡や、自動車用ガラス事業の生産ライン集約などの構造改革を実施しました。

 

 これらの取り組みの結果、 AGC plus-2023 の財務目標の多くを2021年に前倒しで達成したことから、今般、財務目標を以下の通り大幅に上方修正しました。

 

<財務目標>

0102010_002.png

 

 

 

<事業セグメント別業績イメージ>

0102010_003.png

 

 

<投資資源配分および資産効率向上への取組み>

 AGC plus-2023 において、引き続き戦略事業への投資を強化(前中期経営計画期間比で1,000億円増額の2,800億円を予定)するとともに、各事業で資産効率の改善に取り組み、事業ポートフォリオ変革を行うことで、継続的に全社ROCE(営業資産利益率)10%以上を達成し、2023年にEBITDA 4,330億円を目指します。

 

0102010_004.png

 

 また、政策保有株式などの資産売却を加速し、創出したキャッシュは、戦略事業など、投資資産効率の高い事業に重点配分します。

 なお、株主還元については、基本方針として「連結配当性向40%を目安に安定的な配当を継続しつつ、自己株式取得を機動的に実施する」こととしています。この方針に則り、中長期的な財務健全性を維持しつつ、成長事業への投資機会を確保しながら、配当および自己株式取得を実施する予定です。

 

 以上の事業計画、投資計画、株主還元方針による AGC plus-2023 におけるキャピタルアロケーション方針は以下の通りです。

 

0102010_005.png

 

(3)「2030年のありたい姿」実現に向けて

<AGCグループの創出したい経済的・社会的価値>

 当社は昨年発表した「2030年のありたい姿」実現のために、サステナビリティ経営の推進と事業ポートフォリオ変革に取り組むことで、継続的に社会的・経済的価値を創出することを目指しています。

 

0102010_006.png

 

 「2030年のありたい姿」で定めた財務目標について、足元の事業環境などに鑑み、2023年および2025年の数値を上方修正するとともに、2030年の営業利益目標を新たに3,000億円と設定しました。2030年に全社営業利益における戦略事業の占める割合を過半とし、継続的なROE10%以上の達成を目指します。

 

0102010_007.png

 

 また引き続き、あらゆる事業活動においてサステナビリティ目標に取り組み、以下5つの社会課題解決に貢献します。

■ 安全・快適な都市インフラの実現

■ 安心・健康な暮らしの実現

■ 健全・安心な社会の維持

■ 公正・安全な働く場の創出

■ 持続可能な地球環境の実現

 

<「2030年のありたい姿」の実現に向けた取り組み>

 ① 事業ポートフォリオ変革

 コア事業の深化と戦略事業の探索による「両利きの経営」の実践を通じて、市況変動に強く、資産効率・成長性・炭素効率の高い事業ポートフォリオの構築を目指します。

 

 <AGCグループの両利きの経営>

0102010_008.png

 

 この方針に基づき、今後も高い成長が見込まれるエレクトロニクス・ライフサイエンス・モビリティの戦略事業や、東南アジアのクロールアルカリ事業、フッ素スペシャリティ事業においては、引き続き積極的な投資を行います。またガラス3事業(建築用ガラス、自動車用ガラス、ディスプレイ)においては、引き続き資産効率改善に向けた施策を推進するとともに、高付加価値製品の比率を高めます。

 

 これらの取り組みにより、コア事業は長期安定的な収益基盤とするとともに、戦略事業は引き続き伸長させることで、2030年に全社営業利益3,000億円を達成し、戦略事業の割合がその過半となることを目指します。

 

0102010_009.png

 

 

 ②サステナビリティ経営の推進

 (1)気候変動への対応

 近年、企業に対しサステナブルな社会実現への要請が高まっていることを受け、当社も省エネガラス製造技術の開発や、真空断熱ガラスなど環境対応型製品の販売など、環境・エネルギー領域での技術開発・事業展開をコア事業・戦略事業の双方において加速します。今後も、炭素効率、資産効率の高い戦略事業を拡大するとともに、コア事業の炭素効率・資産効率の向上に取り組むことで、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。

 

0102010_010.png

 

 さらに、既に欧州ガラス事業で導入しているインターナルカーボンプライシング(ICP)を、本年2月より全てのグループ会社に本格導入し、GHG削減に向けた社内の取り組みを加速します。

 

0102010_011.png

 

 これらの取り組みを通じて、持続可能な地球環境の実現に向け、2050年カーボン・ネットゼロおよび、そのマイルストーンとして2030年GHG(温室効果ガス)排出量30%削減、GHG排出量の売上高原単位*50%削減を目指します。

(*GHG排出量売上高原単位=GHG排出量/売上高)

 

0102010_012.png

 (2)人財の取り組み

 当社は、「人財のAGC」を掲げ、従業員1人ひとりが、持てる能力を最大限に発揮し、個々人の総和が強い組織をつくりだし、事業戦略や組織目標が実現され、会社と個々人の成長を生み出している状態を目指し、これまでに以下の人事諸制度を整備してきました。

 

0102010_013.png

 

 これからも「ダイバーシティの推進」「個の強化」「エンゲージメントの向上施策」を軸として、様々な取り組みを推進します。

 

 (3)オープンイノベーションの加速

 当社は創業以来、有機・無機材料技術、バイオ技術、共通基盤技術を組み合わせた独自の素材・ソリューションと、幅広い産業のお客様との信頼関係を礎として、長期視点による研究開発と事業化のチャレンジによって、時代の要請に応えて社会課題の解決に取り組んできました。

 

 これからも、2021年6月にオープンした研究開発拠点「AGC横浜テクニカルセンター」をベースとして、将来を予見した顧客企業との価値創出の取り組みや、大学・研究機関・ベンチャー・外部パートナーとの補完技術・革新技術の探索と獲得によるソリューションの創出により、社会の変革・発展に貢献し、継続的な成長を実現します。

0102010_014.png

 

 AGCグループは、ポートフォリオ変革とサステナビリティ経営の追求により「2030年のありたい姿」を実現し、社会的価値・経済的価値の創出を通じて、世の中、お客様・取引先様、従業員、投資家の皆様、将来世代など全てのステークホルダーに様々な価値をプラスします。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得