(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により人々の活動が制限され、厳しい状況で推移しました。感染者減少に伴い徐々に景気の持ち直しの動きが見られたものの、国内外における感染症の動向や海外情勢による下振れ懸念等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような中、山村グループでは3ヵ年の中期経営計画の2年目を迎えました。「人や社会とともに、環境に配慮しながら、安心・安全を提供し、未来に誇りを持って引き継いでいける、成長し続ける企業グループ」という長期ビジョンとしての“ありたい姿”に向けて、中期経営計画では「Change and Challenge with You」というスローガンの下、「環境変化に適応した運営体制の構築」「投資効率の追求と収益体質の確立」「事業の拡大と成長戦略の推進」「社会のニーズに応える製品・サービスの展開」「従業員の能力が最大限発揮される職場環境の構築と次世代の育成」という5つの経営方針を推進し、グループ一体となって業績向上に取り組んでおります。
こうした環境の下、セグメント売上高は、ニューガラス関連事業が減収となりましたが、ガラスびん関連事業、プラスチック容器関連事業、物流関連事業においていずれも増収となったため、当連結会計年度の連結売上高は64,291百万円(前期比12.5%増)と増収となりました。
利益につきましては、連結営業利益は444百万円(前期は△2,751百万円の損失)となりました。米国の関連会社において生産立ち上げが遅れたことにより損失が増加したため、持分法による投資損失は4,515百万円(前期は持分法による投資損失2,169百万円)となりました。これらの結果、連結経常利益は△4,652百万円の損失(前期は△5,478百万円の損失)となりました。特別損失に連結子会社の秦皇島方圓包装玻璃有限公司(Yamamura Glass Qinhuangdao 以下「YGQ」という。)の全持分譲渡に伴う事業整理損失引当金繰入額等を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は、△9,651百万円の損失(前期は△5,313百万円の損失)となりました。
事業セグメント別の経営成績は以下のとおりです。
(ガラスびん関連事業)
ガラスびん関連事業では、国内ガラスびん業界の出荷量は、コロナ禍前の水準までは戻っていないものの前期よりは回復し、前期比103.6%となりました。このような中、当社の出荷量も増加し、セグメント売上高は41,089百万円(前期比10.9%増)と増収となりました。セグメント利益は、当社において生産量の増加や生産設備の集約による製造固定費の減少等により改善しましたが、YGQにおける国際海上輸送のコンテナ不足の影響による出荷量・生産量の減少等により、△687百万円の損失(前期は△3,655百万円の損失)となりました。
なお、当連結会計年度より重要性が増加したため子会社山村インターナショナル・タイランドを連結の範囲に含めております。
また、中長期的な影響を考慮し、経営資源最適化の観点から、2022年3月14日の取締役会において連結子会社のYGQの全持分を譲渡することを決定し、2022年4月20日付で当該持分譲渡を実行いたしました。
(プラスチック容器関連事業)
プラスチック容器関連事業では、前期においては新型コロナウイルス感染症の影響等により飲料用キャップの販売が減少しましたが当期は回復傾向となり、また海外子会社の販売も好調で、セグメント売上高は6,516百万円(前期比13.0%増)と増収となりました。セグメント利益は、資材コストの削減や出荷量および生産量の増加等により、443百万円(前期比173.9%増)と増益となりました。
(物流関連事業)
物流関連事業では、事業拡大のため、2021年9月に連結子会社山村ロジスティクス株式会社が中山運送株式会社およびマルイシ運輸株式会社の株式を取得し、連結子会社としました。セグメント売上高は、新規連結子会社による増加に加え、既存事業における新規業務受託および取扱い物量の増加等により、12,873百万円(前期比22.8%増)と増収となりました。セグメント利益は、作業・配送効率の改善等により、不採算営業所の損益改善が進んだ結果、497百万円(前期比12.3%増)と増益となりました。
(ニューガラス関連事業)
ニューガラス関連事業では、当社における電子部品用ガラスや自動車部品用ガラスの出荷および国内子会社におけるレーザー用部品やセンサー用部品の出荷が堅調に推移したものの海外子会社の高速通信用ガラス部品の出荷が減少し、セグメント売上高は3,812百万円(前期比0.5%減)と減収となりました。セグメント利益は、当社および国内子会社の出荷の増加等により29百万円(前期は△104百万円の損失)と増益となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,124百万円減少し、97,366百万円となりました。これは、新規連結子会社の影響等により現金及び預金が999百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末は受取手形及び売掛金)が1,180百万円増加し、また、長期貸付金が909百万円、関係会社株式が646百万円増加したものの、持分法による投資損失により関係会社出資金が3,494百万円、売却や時価変動により投資有価証券が869百万円減少したこと等が主な要因です。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ7,241百万円増加し、57,151百万円となりました。これは、子会社の持分譲渡に伴う事業整理損失引当金が4,757百万円、支払手形及び買掛金が697百万円増加したこと等が主な要因です。
純資産については、為替換算調整勘定が1,720百万円増加したものの、当期純損失等により利益剰余金が9,821百万円減少したため、前連結会計年度末に比べ8,365百万円減少し、40,214百万円となりました。自己資本比率は8.0ポイント低下して41.0%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、前連結会計年度末より953百万円増加し、10,898百万円となりました。
各活動における資金増減の内容は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純損失(9,285百万円)等があったものの、減価償却費(4,908百万円)、事業整理損失引当金の増加(4,757百万円)、持分法による投資損失(4,515百万円)等により、5,584百万円の資金増加(前期は4,822百万円の資金増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出(1,763百万円)等により、1,490百万円の資金流出(前期は5,113百万円の資金流出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金の減少(純額で2,753百万円)やリース債務の返済(546百万円)等により、3,384百万円の資金流出(前期は2,554百万円の資金流出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
ガラスびん関連事業 |
33,544 |
106.9 |
プラスチック容器関連事業 |
6,764 |
112.9 |
ニューガラス関連事業 |
4,080 |
100.4 |
報告セグメント計 |
44,389 |
107.2 |
合計 |
44,389 |
107.2 |
(注)1.セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2.生産実績金額の算定基礎は販売価格です。
仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
ガラスびん関連事業 |
5,902 |
184.1 |
プラスチック容器関連事業 |
87 |
121.7 |
ニューガラス関連事業 |
1 |
72.9 |
報告セグメント計 |
5,991 |
182.7 |
合計 |
5,991 |
182.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は仕入価格によっております。
3.子会社山村インターナショナル・タイランドを連結の範囲に含めた影響により、ガラスびん関連事業の実績に著しい変動がありました。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比(%) |
ガラスびん関連事業 |
31,154 |
104.1 |
7,257 |
99.6 |
プラスチック容器関連事業 |
6,611 |
116.3 |
1,398 |
111.9 |
ニューガラス関連事業 |
3,942 |
104.1 |
669 |
124.2 |
報告セグメント計 |
41,709 |
105.8 |
9,324 |
102.7 |
合計 |
41,709 |
105.8 |
9,324 |
102.7 |
(注)生産は受注生産によるものがほとんどですが、一部見込生産もあります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
ガラスびん関連事業 |
41,089 |
110.9 |
プラスチック容器関連事業 |
6,516 |
113.0 |
物流関連事業 |
12,873 |
122.8 |
ニューガラス関連事業 |
3,812 |
99.5 |
報告セグメント計 |
64,291 |
112.5 |
合計 |
64,291 |
112.5 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の連結売上高は主にガラスびん関連事業およびプラスチック容器関連事業において新型コロナウイルス感染症の影響から回復傾向にあることや連結子会社が増加したこと等により64,291百万円(前期比12.5%増)と増収となり、連結営業利益は444百万円(前期は△2,751百万円の損失)となりました。連結経常利益は、米国の関連会社において生産立ち上げが遅れたことにより持分法による投資損失が増加し△4,652百万円の損失(前期は△5,478百万円の損失)となりました。特別損失に中国ガラスびん子会社の全持分譲渡に伴う事業整理損失引当金繰入額等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は△9,651百万円の損失(前期は△5,313百万円の損失)となり、ROE(自己資本利益率)は△21.9%となりました。
中期経営計画の最終年度である翌連結会計年度(2023年3月期)においても経営環境は従来同様の厳しい状況が続くと思われることに加え、米国関連会社の創業赤字による損失が発生いたします。業績改善が喫緊の課題と認識する中、中期経営計画とは別に事業構造改革計画を策定し、2023年3月期より着手しております。
経営成績等の詳細につきましては「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態および経営成績の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b. 資金需要
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、原材料費、燃料費、人件費、運搬費などがあります。また、投資活動に係る資金支出では、海外への事業展開ならびに成長事業や新たな生産設備等への投資などがあります。
c. 資金調達の方法及び状況
主に金融機関等からのシンジケートローンを含めた長期借入金を中心に、短期借入金、社債発行等により資金調達を行っております。当社の子会社については、原則として当社からの貸付により資金調達を行っております。生産設備等への投資は中期経営計画3ヵ年では減価償却相当額以内で実施していく予定です。
資金の流動性については、資金流出により資金繰りが悪化する場合に備え、資金流出入の動向を踏まえて流動性資産を十分に保有し、適切な資金繰りを行っております。
d. 利益配分に関する基本方針
当社は、利益の配分につきましては、業績に応じた配当を継続的に行うことを基本に、海外への事業展開や成長事業への投資計画、財政状態等を総合的に勘案しながら、積極的に株主の皆様への利益還元に努めていきたいと考えております。
しかしながら、当事業年度の剰余金の配当につきましては、業績の状況を総合的に勘案し、誠に遺憾ながら無配とさせていただきました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表で認識した金額に特に重要な影響を与える見積りおよび仮定は、以下のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社および連結子会社では、繰延税金資産について、将来の課税所得の見積りに基づいて回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得見積り額の変更や税制改正による税率変更等が実施された場合には、繰延税金資産が減額され、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社および連結子会社では、保有する固定資産について、減損兆候の有無を判断しております。
持分法適用関連会社であるアルガラス山村の固定資産の減損損失の認識については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(有価証券の評価損)
当社および連結子会社では、有価証券の時価または実質価額の下落の有無を確認し、帳簿価額に対して著しく下落している場合は、回復の可能性が合理的に認められる場合を除いて評価損を計上しております。個別財務諸表における山村インターナショナル・カリフォルニア株式の評価損については「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(退職給付債務および退職給付費用)
当社および一部の連結子会社では、従業員の退職給付債務および費用は割引率、昇給率、退職率、死亡率等の前提条件を用いた年金数理計算により見積られます。特に割引率は、退職給付債務および費用を決定する上で重要な前提条件であり、主に測定日時点における従業員への給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた国債の利回りに基づき決定しております。
ただし上記の前提条件には不確実性が含まれており、前提条件と実際の結果が異なる場合、または前提条件の変更がある場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
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