(経営成績等の概要)
当期におけるわが国経済は、政府の経済対策等の効果や海外経済の改善により、持ち直しの動きがみられたものの、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続きました。
セメント業界におきましては、都市部における再開発工事等により、民間設備投資が増加したことなどから、民需が増加したものの、官公需が、入札不調等による予算執行率の低下や人手不足等の影響により減少したことから、セメント国内需要は、前期を2.0%下回る37,882千トンとなりました。一方、輸出は、前期を3.3%上回りました。この結果、輸出分を含めた国内メーカーの総販売数量は、前期を0.8%下回る49,356千トンとなりました。
このような情勢の中で、当社グループは、2020年度から「2020-22年度 中期経営計画」をスタートさせており、事業戦略として、セメント関連事業においては、「セメント・固化材の収益力向上と事業基盤整備」・「関連事業の拡大」、高機能品事業においては、「既存主力商品の競争優位性の確保と新製品の開発」に係る諸施策に取り組み、また、環境対策として、「環境対策強化」・「CO2排出削減への取り組み」を実行してまいりました。
以上の結果、当期の売上高は、セメント事業等で減収となったことから、184,209百万円と前期実績を55,064百万円下回りました。
損益につきましては、セメント事業等で減益となったことから、経常利益は、9,834百万円と前期に比べ7,807百万円の減益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、9,674百万円と前期に比べ2,045百万円の減益となりました。
なお、当社は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当期の期首から適用しており、収益認識会計基準等の適用による影響額は、売上高において58,447百万円の減少となっております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。
事業別の概況は、次のとおりであります。
1. セメント
セメント販売数量が前期を上回ったものの、収益認識会計基準等を適用したことなどから、売上高は、126,620百万円と前期に比べ60,849百万円(32.5%)減となり、石炭の価格が高騰したことなどから、損益は、2,382百万円の営業損失と前期に比べ12,055百万円の悪化となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による影響額は、売上高において58,435百万円の減少となっております。
2. 鉱産品
海外および国内鉄鋼向け石灰石の販売数量が増加したことなどから、収益認識会計基準等の適用による影響があったものの、売上高は、12,310百万円と前期に比べ326百万円(2.7%)増となり、採掘コストが改善したことなどから、営業利益は、2,264百万円と前期に比べ423百万円(23.0%)増となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による影響額は、売上高において784百万円の減少となっております。
3. 建材
地盤改良工事が増加したことなどに加え、収益認識会計基準等を適用したことから、売上高は、20,723百万円と前期に比べ3,146百万円(17.9%)増となり、営業利益は、1,818百万円と前期に比べ160百万円(9.7%)増となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による影響額は、売上高において796百万円の増加となっております。
4. 光電子
新伝送方式用光通信部品の販売数量が減少したことなどから、売上高は、3,767百万円と前期に比べ1,957百万円(34.2%)減となり、営業利益は、99百万円と前期に比べ172百万円(63.5%)減となりました。
5. 新材料
半導体製造装置向け電子材料の販売数量が増加したことなどから、売上高は、14,595百万円と前期に比べ3,876百万円(36.2%)増となり、営業利益は、3,304百万円と前期に比べ1,236百万円(59.8%)増となりました。
6.電池材料
二次電池正極材料の販売数量が増加したことから、売上高は、1,236百万円と前期に比べ515百万円(71.5%)増となり、損益は、前期に比べ549百万円の改善となったものの、25百万円の営業損失となりました。
(注)当社は、電池材料事業(電池材料事業部、新規技術研究所 電池材料研究グループ、当社の子会社であるSOC VIETNAM CO.,LTD.を含みます。)を、2022年5月1日付で住友金属鉱山株式会社へ譲渡いたしました。
7. その他
電気設備工事が減少したことなどに加え、収益認識会計基準等を適用したことから、売上高は、4,954百万円と前期に比べ122百万円(2.4%)減となったものの、コスト削減等により、営業利益は、1,725百万円と前期に比べ84百万円(5.2%)増となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による影響額は、売上高において23百万円の減少となっております。
当期の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によって18,255百万円増加し、また、投資活動によって16,062百万円減少し、財務活動によって7,995百万円減少したこと等により、前期末に比べ5,514百万円の減少となりました。その結果、当期末の資金残高は13,085百万円(前期比29.6%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、18,255百万円(前期比44.3%の収入減少)となりました。これは、税金等調整前当期純利益12,013百万円、減価償却費19,336百万円をはじめとする内部留保等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、16,062百万円(前期比14.9%の支出減少)となりました。これは、固定資産の取得による支出20,921百万円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、7,995百万円(前期比26.4%の支出減少)となりました。これは、自己株式の取得による支出10,366百万円、配当金の支払額4,498百万円があったこと等によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 金額は製造原価ベースによっております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 対象は、建材セグメントにおける各種工事、不動産・その他事業における各種ソフトウエア製作、各
種電気工事等であります。なお、上記以外のセグメントについては、受注生産形態をとらない製品が
ほとんどであるため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上となる取引先が存在しないため、記載を省略しております。
2.「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載の通り、収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しております。その影響額は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の当連結会計年度における経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下の通りであります。
当連結会計年度の経営成績の概況については、「(経営成績等の概要)の(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
1 セメント需要、当社セメント販売数量の推移(最近5連結会計年度)
2 売上高、損益の推移(最近5連結会計年度)
当連結会計年度末の総資産は331,107百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,456百万円の増加となりました。流動資産は87,756百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,460百万円の減少となりました。固定資産は243,351百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,917百万円の増加となりました。
流動資産減少の主な要因は、現金及び預金の減少等によるものです。固定資産増加の主な要因は、投資有価証券の増加等によるものです。
当連結会計年度末の負債の合計は127,934百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,110百万円の増加となりました。流動負債は75,479百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,629百万円の増加となりました。固定負債は52,454百万円となり、前連結会計年度末に比べて481百万円の増加となりました。
流動負債増加の主な要因は、コマーシャルペーパーの増加等によるものです。固定負債増加の主な要因は、繰延税金負債の増加等によるものです。
当連結会計年度末の純資産は203,173百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,653百万円の減少となりました。主な要因は、自己株式の取得と消却等による自己株式の増加(純資産の減少)等によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は、「(経営成績等の概要) の(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる原料熱量費・運搬費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発などであります。資金調達は、主として内部資金により充当し、必要に応じ金融機関からの借入や社債発行などにより確保しております。
最近5連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローにより現金及び現金同等物(以下「資金」という。)を確実に獲得し、その資金を設備投資に活用しました。有利子負債は、2022年3月期には56,641百万円となりました。
今後、当社グループは、「2020-22年度 中期経営計画」を踏まえて安定的に成長できる布石を打っていく中で、収益の改善・拡大に努め、営業活動で獲得した資金は、維持更新に加えて成長戦略への投資や株主還元などに活用していく方針であります。
なお、新型コロナウイルス感染症による、資金繰りへの大きな影響は出ておりません。事業環境の変化、取引先からの入金状況、資金調達環境などを引き続き注視してまいります。
(注) 有利子負債残高は短期借入金、コマーシャルペーパー、社債及び長期借入金の合計額であります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等については、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。当社グループは、これらの見積りの妥当性に対し継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
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