業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度のわが国経済は、 持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症の影響が変異株の発生により長期化し、社会経済活動が断続的に制限される中で、個人消費や住宅投資など一部に弱さがみられました。足元では、ロシア・ウクライナ情勢の影響により石炭や原油価格が高騰しており、製造業などの企業収益を圧迫する要因となっています。

また、世界経済については、欧米諸国を中心に新型コロナウイルス感染対策と社会経済活動の両立が進められたことで経済が回復傾向にあるものの、資源や資材の供給不足によって物価の上昇が続きました。更に、ロシア・ウクライナ情勢は資源価格の他に食糧価格に与える影響も大きく、今後、世界経済の不確実性が高まっていくことが予想されます。

このような状況の中で、当連結会計年度の売上高は7,082億1百万円(対前年同期1,557億2百万円減)、営業利益は467億1百万円(同169億8百万円減)、経常利益は501億9千3百万円(同155億5千万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は289億7千1百万円(同178億2千8百万円減)となりました。

なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用したことに伴い、当連結会計年度の売上高は1,914億7千9百万円減少し、営業利益は2千3百万円増加し、経常利益及び税金等調整前当期純利益は2千6百万円増加しております。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。各金額については、セグメント間取引の相殺消去前の数値によっております。

 

<セメント>

セメントの国内需要は、民需については都心部再開発工事において本格始動の兆しがあったもののコロナ禍からの持ち直しが弱く、官公需については資材価格や労務コストの上昇等による入札不調・不落により、民需・官公需ともに低調に推移した結果、全体では3,788万屯と前期に比べ2.0%減少しました。その内、輸入品は1万屯と前期に比べ47.9%減少しました。一方、総輸出数量は1,148万屯と前期に比べ3.3%増加しました。

このような情勢の下、当社グループにおけるセメントの国内販売数量は受託販売分を含め1,336万屯と前期に比べ3.0%減少しました。輸出数量は414万屯と前期に比べ9.7%増加しました。

また、当社はセメント製造用の石炭価格の大幅な高騰などコスト事情の悪化を受け、2022年1月よりセメント販売価格の改定を行っております。

米国西海岸のセメント事業は、堅調な住宅需要を背景に販売数量、価格ともに前期を上回りました。中国のセメント事業は、販売数量は前期を下回りました。フィリピン、ベトナムのセメント事業は、7月以降の新型コロナウイルス感染症の感染再拡大と社会隔離措置の影響により、国内販売数量は前期を下回りました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1,752億6千9百万円減少しております。

以上の結果、売上高は4,632億1千4百万円(対前年同期1,578億3千万円減)、営業利益は241億8千8百万円(同171億3千8百万円減)となりました。

 

<資源>

骨材事業は関東・東北地区で販売数量が減少しました。鉱産品事業は鉄鋼向け石灰石の販売数量が増加したことに加え、土壌ソリューション事業も建設発生土受入数量が前期を上回りました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は20億8千万円減少しております。

以上の結果、売上高は771億8千2百万円(対前年同期14億5百万円増)、営業利益は60億3千4百万円(同3千6百万円減)となりました。

 

<環境事業>

新型コロナウイルス感染症拡大の影響はあるものの、石炭灰処理、燃料と石膏及び排脱タンカル販売が堅調に推移しました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は169億5千5百万円減少しております。

以上の結果、売上高は723億1千5百万円(対前年同期57億2千6百万円減)、営業利益は66億4千7百万円 (同2億円増)となりました。

 

<建材・建築土木>

地盤改良工事が好調に推移しましたが、シールドトンネル工事向け材料とALC(軽量気泡コンクリート)の販売が低調に推移しました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は101億6千9百万円減少しております。

以上の結果、売上高は650億9千6百万円(対前年同期79億6百万円減)、営業利益は34億9千3百万円(同7千1百万円減)となりました。

 

<その他>

運輸・倉庫事業は低調に推移したものの、エンジニアリング事業、化学製品事業及び情報処理事業が堅調に推移しました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は52億8千9百万円減少しております。

以上の結果、売上高は890億2千5百万円(対前年同期23億7千9百万円減)、営業利益は69億2千万円(同7億8千4百万円増)となりました。

 

財政状態は次のとおりであります。

総資産は前連結会計年度末に比べ587億8千万円増加して1兆1,030億7百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べ132億1千7百万円増加して3,405億5千万円、固定資産は同455億6千3百万円増加して7,624億5千7百万円となりました。

流動資産増加の主な要因は原材料及び貯蔵品が増加したことによるものであります。固定資産増加の主な要因は投資有価証券が増加したことによるものであります。

負債は前連結会計年度末に比べ208億3百万円増加して5,582億8百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ49億3千6百万円増加して3,097億6千8百万円、固定負債は同158億6千6百万円増加して2,484億4千万円となりました。

流動負債増加の主な要因はコマーシャル・ペーパーが増加したことによるものであります。固定負債増加の主な要因は社債が増加したことによるものであります。

有利子負債(短期借入金、コマーシャル・ペーパー、1年内償還予定の社債、社債、長期借入金の合計額)は、前連結会計年度末に比べ224億8千4百万円増加して2,705億8千7百万円となりました。

純資産は、前連結会計年度末に比べ379億7千7百万円増加して5,447億9千9百万円となりました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末から1.2ポイント増加して46.3%となりました。1株当たり純資産額は、前連結会計年度末から390.90円増加して4,362.23円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動によって711億9千1百万円増加し、投資活動によって839億1千9百万円減少し、また、財務活動によって37億4千2百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比較して136億6百万円減少し、当連結会計年度末には502億1千3百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は711億9千1百万円(対前年同期392億1千1百万円減)となりました。これは、棚卸資産の増加額157億1千4百万円、法人税等の支払額が121億8千6百万円となった一方で、減価償却費が560億1千万円、税金等調整前当期純利益が428億2千万円となったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は839億1千9百万円(対前年同期361億1千万円増)となりました。これは、固定資産の売却による収入が64億5千8百万円となった一方で、固定資産の取得による支出が673億2千6百万円、投資有価証券の取得による支出が241億2千3百万円となったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は37億4千2百万円(対前年同期402億1千万円減)となりました。これは、長期借入れによる収入が407億4千3百万円となった一方で、長期借入金の返済による支出が340億3千5百万円となったこと等によるものであります。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

38.7

40.1

42.3

45.1

46.3

時価ベースの自己資本比率(%)

46.9

43.7

21.9

33.1

21.4

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

2.7

2.9

2.9

2.2

3.8

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

23.3

24.2

23.4

31.4

32.4

 

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

※ 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を使用しております。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 

金額(百万円)

 

前期比(%)

セメント

288,852

8.1

資源

41,725

△7.0

環境事業

45,641

△17.4

建材・建築土木

41,340

△13.6

その他

26,300

1.9

合計

443,859

0.7

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 

金額(百万円)

 

前期比(%)

セメント

4,521

1,113.0

資源

1,180

2.7

環境事業

建材・建築土木

32,330

△6.1

その他

5,970

△26.5

合計

44,003

△0.2

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 

金額(百万円)

 

前期比(%)

セメント

455,975

△25.3

資源

58,640

11.3

環境事業

68,875

1.8

建材・建築土木

63,570

△7.3

その他

61,139

△5.2

合計

708,201

△18.0

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、「23中期経営計画」の経営目標として、2023年度において売上高営業利益率11%以上、ROE10%以上を掲げ、その実現に向けて取り組んでおります。しかしながら、2021年度実績は売上高営業利益率6.6%、ROE5.9%と目標を下回る結果となりました。これは、国内セメント事業において石炭価格が想定よりも大幅に高騰するなど当社グループにとって厳しい事業環境となったことなどによるものであります。収益力の創出・向上については当社グループが引き続き取り組んでいくべき重要な経営課題であると認識しております。

当社グループの当連結会計年度の経営成績等の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。また、ロシア・ウクライナ情勢の影響については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、営業活動によって得られた資金により、成長投資を重視し、資本効率を意識した積極的な設備投資・投融資を実行しております。また、株主還元につきましても、重要な経営課題の一つとして位置付けており、安定的かつ継続的な配当を基本としております。配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

当社グループは、必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金または借入及び社債の発行により資金調達することとしております。このうち、長期借入金及び社債は主に設備投資に係る資金調達であります。

 

③ 重要な会計方針、見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況に応じ合理的に判断し見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。このうち次の見積り及び見積りに用いた仮定が当社グループにおいて重要であると認識しております。

 

イ 固定資産の減損処理

経営環境の著しい悪化、土地の時価の著しい下落等により収益性が低下した事業用資産、賃貸用資産及び将来の使用が見込まれない遊休資産について、それぞれ帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い額により測定しているため、経営環境が著しく悪化した場合等に、減損損失が計上される可能性があります。

 

ロ 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の計上に際しては、将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性を判断しております。将来の課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。

 

ハ 退職給付に係る会計処理

年金資産が退職給付債務の額を超過する場合には、投資その他の資産の「退職給付に係る資産」に計上しております。株式市況が大幅に下落した場合、退職給付信託資産等の評価に伴う退職給付数理計算上の差異の発生等により、退職給付費用が計上される可能性があります。

 

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載しております。

また、ロシア・ウクライナ情勢の影響を加味した見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります

 

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