業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスに関するワクチン接種が進み景気回復に期待が持たれたものの、繰り返されるウイルスの変異と流行への対応に終始し収束の見通しは立たず、景気は依然として先行き不透明な状況で推移しました。建築材料業界におきましても、当該感染症及びロシア・ウクライナ情勢の緊迫化による、世界的なエネルギー・原材料価格高騰により予断を許さない状況が続いております。

 このような状況のなか、当社グループは、「やすらぎと安心の創造」のコーポレートメッセージのもと、環境負荷低減と施工現場省力化を実現し、社会に貢献する商品の拡充を目指してまいりました。

 当社の主力商品「アスロック」は2021年に発売50周年を迎えることができ、ひとえに皆様のおかげと感謝し、御礼申し上げます。これを記念して「アスロック発売50周年企画」を展開し、その第一弾として、ウッドデザインシリーズの「彩実(あやざね)」と、グリッドデザインシリーズの「バンブーボーダーA」の新商品2種を、2021年に発売しました。さらに企画第二弾としてグリッドデザイン新意匠のお客様投票を実施し、最多票を獲得した意匠「バンブーボーダーB」を本年3月に発売しました。また同時に、ウッドデザインシリーズの新商品「糸実(いとざね)」を発売、力強さと柔らかさを備えた杉の板目を再現し、深い陰影と重厚感を感じさせる「彩実」に対し、「糸実」は真っすぐ平行に流れる杉の柾目を再現し、上品な質感と落ち着きのあるデザインに仕上がっており、外壁にも間仕切りにもご利用いただけます。

 当連結会計年度の「アスロック」については、意匠性向上と工期短縮に寄与する「工場塗装品」売上高は高水準を維持するなど、販売部門では高付加価値品の販売に注力しましたが、商業ビル、宿泊施設の着工の減少等により「アスロック」売上高は前期を下回る状況で推移しました。住宅用商品については高遮音床材・軽量外壁材が伸長、ボードについても内装用途の販路拡大により売上高は前期比増となりました。生産部門では、各種感染予防対策を徹底し、生産工場の安定操業に努めました。また、NNPS(ノザワ・ニュー・プロダクション・システム)による改善活動により、各工程での品質の作り込み及び設備改善を実施し、コストダウンに取り組み、連結売上原価率は前期比2.1ポイントダウンしております。管理部門では、資金の効率化・安定化を目的として、総額60億円のコミットメントライン契約を継続しました。また、2022年4月より高卒、高専卒、専門学校卒の初任給を大幅に改定し、更なる優秀な人財確保と組織活性化を図りました。マインケミカル事業では、ミネラル肥料「マインマグ」の野菜への施肥効果が認められ東北・関東地方での採用が増加しました。また、2021年5月に開設したマインマグ公式SNSの効果もあり、積雪地域で評価の高い融雪兼用肥料「マインマグCb」売上高が伸長し、「マインマグ」売上高は過去最高を更新しました。海外事業では、中国国内のコロナ感染症による景気停滞の影響等により、中国における「アスロック」販売は厳しい状況で推移しました。なお、中国の連結子会社「野澤積水好施新型建材(瀋陽)有限公司」の清算手続きを前期より進めておりましたが、2021年9月に清算が結了いたしました。

 これらの結果、当社グループの単一の報告セグメントである建築材料関連事業の品種別売上高については、主力の押出成形セメント板「アスロック」は115億80百万円(前期比11.7%減少)、住宅用高遮音床材は17億79百万円(前期比10.5%増加)、住宅用軽量外壁材は28億2百万円(前期比12.8%増加)となり、押出成形セメント製品合計では161億62百万円(前期比6.1%減少)に、耐火被覆等は9億69百万円(前期比13.4%減少)、スレート関連は7億66百万円(前期比5.8%増加)、肥料(マインマグ)は3億98百万円(前期比9.8%増加)となったこと等から、当連結会計年度の売上高は205億46百万円(前期比8.3%減少)となりました。

 利益面については、減収の影響があったものの、工場の生産性向上や全社的なコストダウンを推進し、売上原価及び販管費が減少したこと等により、営業利益は18億48百万円(前期比0.1%増加)、経常利益は19億87百万円(前期比6.3%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益については、中国の連結子会社清算に伴う特別損益の計上があったこと等により17億13百万円(前期比35.8%増加)となりました。

 

(財政状態)

 当連結会計年度末における当社グループの流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ、現金及び預金が10億81百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が2億74百万円増加したこと等により136億37百万円(前連結会計年度末と比較して10億56百万円増加)となりました。固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ、投資有価証券が2億1百万円、有形固定資産が1億56百万円減少したこと等から、141億70百万円(前連結会計年度末と比較して5億14百万円減少)となりました。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ5億42百万円増加し278億7百万円となりました。

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ、支払手形及び買掛金が1億65百万円、火災関連損失引当金が54百万円減少したこと等から、52億87百万円(前連結会計年度末と比較して2億47百万円減少)となりました。固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ、長期借入金が2億45百万円減少したこと等から41億71百万円(前連結会計年度末と比較して4億43百万円減少)となり、この結果、負債の合計額は、前連結会計年度末に比べ6億91百万円減少し94億58百万円となりました。

 当連結会計年度末における純資産の残高は、利益剰余金が13億68百万円増加したこと等から、183億48百万円(前連結会計年度末と比較して12億34百万円増加)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は70億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億81百万円増加いたしました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は21億51百万円(前連結会計年度は24億10百万円の増加)となりました。これは未払消費税等の減少額1億97百万円や仕入債務の減少額1億5百万円等の資金の減少要因があった一方、税金等調整前当期純利益22億10百万円や減価償却費7億15百万円等の資金の増加要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は6億32百万円(前連結会計年度は9億68百万円の減少)となりました。これは有形固定資産の取得による支出6億48百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は4億54百万円(前連結会計年度は2億96百万円の減少)となりました。これは親会社による配当金の支払額3億41百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。

 

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における単一の報告セグメントである建築材料関連事業の品種別生産実績は次のとおりである。なお、その他の事業の生産はない。

品種

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比

押出成形セメント製品

 9,592,120千円

△2.7 %

スレート関連

462,604

9.4

その他

178,539

10.9

合計

10,233,265

△2.0

(注) 金額は製造価格による。

 

b.受注実績

当連結会計年度における単一の報告セグメントである建築材料関連事業のうち、工事の受注実績は次のとおりである。なお、その他の事業の受注はない。

工事別

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

押出成形セメント製品工事

1,384,996

△3.1%

922,894

△19.4%

スレート工事

45,535

120.8%

5,150

27.8%

耐火被覆等工事

1,005,982

△27.2%

1,029,704

3.7%

その他工事

905,652

17.7%

707,057

85.9%

合計

3,342,165

△7.2%

2,664,806

5.6%

 

c.販売実績

 当連結会計年度における単一の報告セグメントである建築材料関連事業の販売実績を品種別に示すと次のとおりである。

品種

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比

押出成形セメント製品関連

(内、アスロック)

(内、住宅用高遮音床材)

(内、住宅用軽量外壁材)

 16,162,059千円

(11,580,674)

(1,779,309)

(2,802,075)

 △6.1%

(△11.7)

(10.5)

(12.8)

スレート関連

766,903

5.8

耐火被覆等

969,549

△13.4

肥料(マインマグ)

398,967

9.8

その他

2,205,895

△24.5

合計

20,503,375

△8.2

なお、その他の事業の販売実績は、当連結会計年度43,147千円であり、前期比△15.2%となっている。

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりである。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

積水ハウス㈱

4,648,666

20.8

5,170,274

25.2

伊藤忠建材㈱

3,007,861

13.4

3,090,912

15.0

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の経営成績については、以下のとおりであります。

(売上高)

 主力の押出成形セメント製品「アスロック」については、逆風のなかでも「工場塗装品」の売上高を高水準で維持するなど高付加価値商品の販売に注力いたしましたが、宿泊施設・商業ビルの着工の低迷等により「アスロック」の売上高は前期比15億38百万円減の115億80百万円となりました。

 「アスロック」売上高のうち販売・工事の内訳については、販売は前期比7億63百万円減、工事(主に子会社)は前期比7億74百万円減となっております。販売・工事ともに建設計画の中止・延期等による着工減の影響を受け、厳しい状況で推移しました。また、中国における「アスロック」販売についても、コロナ感染症による景気停滞等により厳しい状況が続きました。

 住宅向けの押出成形セメント板は堅調に推移し、「住宅用高遮音床材」は前期比1億68百万円増、「住宅用軽量外壁材」は前期比3億18百万円増となり、押出成形セメント板合計では前期比10億50百万円減の161億62百万円となりました。

 スレート関連は、内装用ボードで伸長したこと等から前期比42百万円増となりました。

 ミネラル肥料「マインマグ」については当期も堅調に推移し、主力である「マインマグC」の野菜での採用増、積雪地方で好評の融雪兼用肥料「マインマグCb」の拡販等により前期比35百万円増となりました。

 一方、子会社が行う工事「耐火被覆等」については前期比1億50百万円減となり、「アスロック」工事の大幅減とともに主な減収の要因となりました。

 

(営業利益・経常利益)

 工場における生産性が向上し、原料使用効率の改善や人件費低減により製造原価を4%ダウンさせることができた一方、下期に入り原材料・エネルギー価格の高騰が徐々に顕在化し、改善活動によるコストダウン効果を打ち消す結果となりました。販管費については、物流費の改善等により、前期比1億45百万円減少し、営業利益は前期比0.1%増の18億48百万円、経常利益は前期比6.3%増の19億87百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 中国の連結子会社清算に伴う特別損益等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比35.8%増の17億13百万円となりました。なお、1株当たり当期純利益は150円28銭となりました。

 

 当連結会計年度の財政状態については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 資本の財源及び資金の流動性に係る情報については以下のとおりであります。

(財務政策)

 当社グループは、主に建築材料の製造販売を行うための設備投資に必要な資金及び短期的な運転資金を必要に応じて銀行等からの借入により調達することとしています。

 当連結会計年度末、借入金の残高はありません。また、資金調達の安定化、資金効率、金融収支の改善を目的として、取引金融機関と総額60億円のコミットメントライン(特定融資枠)契約を締結しておりますが、当連結会計年度末の金融機関からの借入実行残高はありません。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 なお、連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載されているとおりであります。

 

 

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