有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。リスクが顕在化する可能性の程度や時期、顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響については、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。
(1)景気変動について
当社グループの主力製品の押出成形セメント製品は、公共投資・民間設備投資及び新設住宅着工戸数等の影響を強く受けます。公共投資の動向は、公共機関の政策によって決定され安定的に推移するとは限りません。また、経済環境が悪化し民間設備投資・住宅投資が減少した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載している方法等により対応に努めております。
(2)海外情勢について
当社グループは海外に拠点を置く連結子会社を有しており、当該国の政治経済環境の大幅な変化、法律改正等予期しえない事象が発生した場合、その結果が当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)為替変動について
当社グループは連結財務諸表作成のため、在外連結子会社の財務諸表を円貨に換算しております。外国為替相場の変動が外貨建財務諸表の円換算額に影響を与え、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料価格及び調達について
当社グループの主力製品である押出成形セメント製品の主な原材料は国内調達のセメントですが、それ以外に中国・インド等からの輸入原材料も一部使用しております。また製造工程上、天然ガス・灯油・潤滑油等を使用しております。原材料及びエネルギーの価格の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害等の発生や輸入原材料の生産国の法令の変更や政情不安等により禁輸措置がとられた場合、原材料の安定的な調達が困難となり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、必要に応じて輸入原材料について一定量を備蓄するなどし、調達に支障を来さぬよう対策を講じております。また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載している方法等により対応に努めております。
(5)貸倒リスクについて
当社グループでは、貸倒による損失を最小限にとどめるために、与信管理に十分注意を払っています。一方、金銭債権に対し貸倒引当金を充当していますが、顧客の経営状況の悪化等により更に貸倒が発生した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、営業債権について、主要な取引先の状況を定期的にモニタリングし、取引相手ごとに期日及び残高を管理するとともに、財政状態の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。
(6)投資有価証券について
当社グループは、取引先及び金融機関等の株式を保有しています。今後、経済環境及びそれらの企業の収益や財政状況によって株価が変動し評価減を行う可能性があり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、定期的に時価や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
(7)販売数量・販売価格の変動について
当社グループの主力製品の押出成形セメント製品部門における売上高は全体の79%を占め、事業の中核をなしております。従って、将来において押出成形セメント製品の販売数量及び価格の変動によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載している方法等により対応に努めております。
(8)固定資産の減損会計適用について
資産がその収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、その回収可能性に見合った帳簿価額に減額し減損損失としなければならず、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載している方法等により対応に努めております。
(9)退職給付債務について
当社グループの従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、割引率や退職率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。前提条件と実際の結果が異なった場合、認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下は、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(10)繰延税金資産について
当社グループは将来の課税所得に関する見積り・仮定に基づき繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得については、経営環境の変化等を踏まえ適宜見直しを行っておりますが、結果として繰延税金資産の一部または全部に回収可能性がないと判断された場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)石綿による健康障害について
当社グループは過去に石綿を事業に使用しており、石綿による健康障害に対する補償の発生や、損害賠償請求訴訟により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
現在、石綿含有建材にばく露して健康被害を受けたとして、建材従事者とその遺族が国及び当社を含む建材メーカーに対して損害賠償金を求める裁判が各裁判所に係属しており、現在、当社グループは損失の発生可能性が高いと認められる案件について訴訟損失引当金を計上しておりますが、今後の判決の内容により追加で費用が発生し、当社の業績に影響を与える可能性があります。
なお、本件訴訟のうち2件の訴訟に関し、2021年5月17日付で最高裁判所で判決が言い渡され、当社への請求に係る部分が高等裁判所へ差し戻されました。当社グループは本件訴訟について引き続き適切に対応してまいります。
(12)品質管理について
想定を超える瑕疵担保責任が発生した場合、費用が発生し当社グループ及び製品の評価を大きく毀損することとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「品質保証本部」において製品・施工の品質維持向上に取り組み、顧客満足度向上に努めております。
(13)災害及び感染症について
当社グループは生産拠点、研究開発拠点、営業拠点、管理部門拠点の事業所を有しております。これらの拠点で感染症の流行、地震・台風等の自然災害、設備事故や火災等、また、重大な労働災害が発生した場合には、その被害状況によっては事業活動が停止する等により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症に関して以下の状況が発生した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い経済活動が停滞し、建設需要が低迷した場合
・当社グループの生産拠点内で新型コロナウイルス感染症が蔓延し、生産及び出荷に支障をきたした場合
・新型コロナウイルス感染症の影響によりサプライチェーンが途絶し、販売先への製品供給が遅延、停止した場合
当社グループは、各生産拠点において、新型コロナウイルス感染症対策に充分配慮した上で、通常生産を行っております。また、各本部、各営業拠点、国内連結子会社においては、公共交通機関利用者の時差出勤・在宅勤務等の実施により、事業活動の維持に努めております。
(14)情報漏洩・不正アクセス等に係るリスク
当社グループは重要情報や個人情報を入手・使用することがありますが、自然災害・通信トラブル・コンピューターウイルスの感染・サイバー攻撃等により、情報漏洩やシステム障害が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、事業活動の中断及び損害賠償請求等が生じることとなり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、情報に対する適切なリスク管理を重要な経営課題として認知し、「情報セキュリティポリシー」を策定しております。当社グループにおいて情報を利用する当社グループの役員、社員及びその他の従業員が情報セキュリティを確保するにあたって順守すべき指針を基本方針として定めております。
(15)知的財産権に係るリスク
当社グループは、自社が製造する製品に関して、研究開発により様々な知的財産権を保有し、競争上の優位性を確保しております。これらの知的財産権については、厳正に管理しておりますが、万一、第三者から侵害を受けた場合、期待された収益が得られない可能性があります。また、当社グループは、他社の知的財産権を侵害しないように研究開発を行っておりますが、権利解釈の相違等により意図せず、第三者の知的財産権を侵害したとして、実施の差し止めや損害賠償の請求を受ける可能性があります。
知的財産については、知的財産管理室を開発部内に設置し、研究活動において得られた基本技術及び周辺技術(特許、実用新案登録)、デザイン(意匠登録)並びにブランド(商標登録)を事業展開に合わせて出願し、権利化を行うと共に、権利侵害等のリスク対策を含め適切な管理を実施しております。
(16)気候変動や環境について
当社グループは、持続可能な社会への取組みに注力しています。環境に関する様々な法令規則を遵守しておりますが、法令規則や運用に関する変更が行われた場合には、法令対応に関する費用の発生や事業活動に対する制限等によって、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「緑ゆたかな地球の再生」を目指し、積極的に取組み、社会の一員としての責務を果たしていくため、環境行動指針を制定しております。
また、中期経営計画において「全社三大戦略プラスONE」とし、持続可能な社会の実現に向け、企業が長期的な成長を遂げるために、「環境」「社会」「企業統治」の3つの要素を考慮して経営を行う「ESG」経営への取組みを推進しております。
(17)偶発事象について
予期しえない法律・規則等の改正及び訴訟等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
お知らせ