業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、これに伴い、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して大きく減少しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明につきましては、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の実施に伴う景気の低迷など厳しい状況が続く中、年度後半には新変異株であるオミクロン株による感染急拡大に加え、突如として始まったロシア軍のウクライナに対する軍事侵攻に起因する世界的な経済活動の停滞懸念など景気の先行きの不透明さをより色濃くさせる状況にて推移いたしました。

 当社グループを取り巻く経営環境におきましては、気候変動の影響により激甚化・頻発化する風水害や切迫する地震災害等に屈しない強靭な国土づくりを目標とした国の公共事業投資への方針は前年度と変わらず、2021年度の公共事業投資予算も、前年度に補正予算として決定された15兆円規模の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」と合わせ、前年度予算を上回る額にて決定され、防災・減災、国土強靭化の推進やインフラ老朽化対策を中心とした動きが活発化しました。

 このような状況のもと、当社グループは、前年度より継続して国土強靭化に向けた防災・減災対策や道路・橋梁等の各種インフラ老朽化対策に対する各地方自治体の動向に注視をより深めるとともに、社会資本の整備に向けた具体策への情報収集に注力いたしました。また、2020年7月に熊本県南部の人吉球磨地区を中心に発生した豪雨災害の復旧工事に対しましては、工事の進捗に合わせ必要とされるコンクリート二次製品の安定的な供給が与えられた責務であるとの認識のもと、タイムリーな対応に努めました。

 また、当社グループの新型コロナウイルスの感染拡大による当連結会計年度の業績への影響は、営業活動の一部に制約を受けたものの、軽微なものとなりました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ651百万円減少し、13,321百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ925百万円減少し、8,019百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ273百万円増加し、5,301百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高15,771百万円(前年同期18,576百万円)、営業利益536百万円(同635百万円)、経常利益537百万円(同653百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益364百万円(同442百万円)となりました。

 

 セグメントの経営成績は次のとおりであります。

 土木用セメント製品事業は、売上高12,188百万円(前年同期14,326百万円)、営業利益1,088百万円(同1,037百万円)となりました。

 建築用セメント製品事業は、売上高2,542百万円(前年同期3,453百万円)、営業利益142百万円(同335百万円)となりました。

 その他の事業は、売上高1,040百万円(前年同期796百万円)、営業利益27百万円(同5百万円の損失)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ489百万円減少し、当連結会計年度末には1,101百万円(前年同期末は1,591百万円)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は333百万円(前年同期は1,014百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は409百万円(前年同期は71百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は414百万円(前年同期は576百万円の支出)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

土木用セメント製品(千円)

5,163,686

101.4

建築用セメント製品(千円)

2,656,460

80.2

報告セグメント計(千円)

7,820,146

93.0

その他(千円)

1,040,448

130.8

合計(千円)

8,860,595

96.3

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

土木用セメント製品(千円)

6,004,885

建築用セメント製品(千円)

585

報告セグメント計(千円)

6,005,471

その他(千円)

合計(千円)

6,005,471

(注)1.金額は仕入価格によっております。

2.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しているため、前年同期比(%)は記載しておりません。

 

c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 ただし、土木用セメント製品については、一部特殊製品についてのみ受注生産を行っておりますが、大部分は過去の実績並びに設計活動等による予測に基づき生産をしておりますので、記載を省略しております。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

建築用セメント製品

2,546,312

85.1

1,989,005

その他

1,128,402

123.4

559,494

合計

3,674,715

94.0

2,548,500

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しているため、「受注残高」の前年同期比(%)は記載しておりません。

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

土木用セメント製品(千円)

12,188,149

建築用セメント製品(千円)

2,542,163

報告セグメント計(千円)

14,730,313

その他(千円)

1,040,858

合計(千円)

15,771,171

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しているため、前年同期比(%)は記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。また、当社グループの連結財務諸表の作成につきましては、決算日における資産、負債及び報告期間における損益に影響を与える事項につき、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる範囲で継続的に見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

イ.財政状態

 当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ6億5千1百万円減少の133億2千1百万円となりました。これは主に、仕入債務の支払い等により現金及び預金が4億7千8百万円、売上債権の回収などにより売上債権(受取手形、売掛金、契約資産の合計額)が2億3千7百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ9億2千5百万円減少の80億1千9百万円となりました。これは主に、仕入債務の支払いにより仕入債務(支払手形及び買掛金と電子記録債務の合計額)が3億8千8百万円、金融機関への返済により短期借入金と長期借入金が合計で2億9千2百万円、税金の納付により未払消費税等が1億3千6百万円、未払法人税等が1億2千9百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2億7千3百万円増加の53億1百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が2億8千2百万円増加したことによるものであります。

 

ロ.経営成績

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ15.1%減の157億7千1百万円となりました。これは主に、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用や東日本大震災の復興期間終了による反動、新型コロナウイルス感染拡大の長期化による着工時期の先送りなどによるものであります。

 売上原価は、前連結会計年度に比べ17.7%減の122億7千7百万円となりました。これは主に、売上高の減少によるものであります。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ2.3%減の29億5千7百万円となりました。これは主に、売上高の減少に伴う運賃の減少によるものであります。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ17.6%減の3億6千4百万円となりました。これは主に、売上高の減少によるものであります。

 

ハ.キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益や売上債権の減少などによる資金の増加要因があったものの、長期借入金の返済や有形固定資産の取得による支出、仕入債務の減少などによる資金の減少要因により、前連結会計年度末に比べ4億8千9百万円減少し、当連結会計年度末には11億1百万円(前年同期末は15億9千1百万円)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は3億3千3百万円(前年同期は10億1千4百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が5億3千7百万円となったものの、仕入債務が3億8千8百万円減少したことや法人税等の支払いが2億6千万円あったことに加え、棚卸資産が2億2千1百万円増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は4億9百万円(前年同期は7千1百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が4億5千3百万円あったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は4億1千4百万円(前年同期は5億7千6百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が6億4千2百万円あったことによるものであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金は金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は19億1千1百万円となっており、現金及び現金同等物の残高は11億1百万円となっております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、持続的な事業拡大による企業価値の向上を経営の目標とするとともに、財務の安全性と株主還元のバランスをとりつつ、十分な財務基盤を確保することを資本政策の基本方針としております。

 このような方針のもと、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として捉え、資本効率を重視した経営により、中長期的に10%以上を目標としております。

 当連結会計年度のROEは、堅調な業績に支えられ前年同期比2.0ポイント減の7.1%となりましたが、今後も引き続き、製造工場における生産効率の向上を追求するとともに、市況を踏まえた販売価格の見直し並びに販売管理費の圧縮にも注力し、目標とするROEを目指してまいります。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.土木用セメント製品事業

 当連結会計年度における土木業界につきましては、気候変動の影響により激甚化・頻発化する風水害や切迫する地震災害等に屈しない強靭な国土づくりを目標とした国の公共事業投資の方針は前年度と変わることなく、防災・減災、国土強靭化の推進やインフラ老朽化対策を中心とした動きは活発なものとなりました。

 このような状況の中、2020年7月に熊本県南部の人吉球磨地区を中心に発生した豪雨災害にて被災した地域の復旧に向けて、これから本番を迎える工事に必要とされるコンクリート二次製品の供給を最優先するとともに、国の方針に沿った社会資本整備の具体的な動きにも対応し、また、継続的なテーマである大型コンクリート構造物のプレキャスト化への推進につきましても、自社開発した製品や工法のアピールに基づく普及拡大を目的に、継続的かつ意欲的な営業活動の推進に努めました。

 この結果、売上高は121億8千8百万円(前年同期は143億2千6百万円)、営業利益は10億8千8百万円(同10億3千7百万円)となりました。

 

ロ.建築用セメント製品事業

 当連結会計年度における建築業界につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の長期化による着工の先送りなど、民間需要の動きについて更なる注視が求められる状況にて推移いたしました。

 このような状況の中、新型コロナウイルスの感染拡大による民間需要への影響は避けられないものと受け止め、工事案件への慎重な対応を心掛けながら、幅広い情報収集活動並びに新規市場の開拓や未着手分野の新製品への取り組み等で受注を確保し、工場生産量の平準化に努めました。加えて、人手不足や工期短縮に対応できる建築用コンクリート二次製品の利点についてもアピールを重ね、安定的な受注確保に繋げる営業活動に注力いたしました。

 この結果、売上高は25億4千2百万円(前年同期は34億5千3百万円)、営業利益は1億4千2百万円(同3億3千5百万円)となりました。

 

ハ.その他の事業

 不動産関連事業におきましては、従来から集客拠点として活用している総合住宅展示場に加え、生活のイメージがつかみやすいリアルサイズの展示場として、販売用の土地区画内に一定期間展示した後でそのまま販売する「マチカドモデルハウス」の展開を始め、また、SNS等を利用して情報を発信することで顧客との接遇の機会を増大させるとともに、住宅業界の今後を見据えた「ZEH」の販売によりアッパーミドル層の顧客獲得にチャレンジするなど、自社ブランド「さらりの家」の受注活動に注力いたしました。

 この結果、売上高は10億4千万円(前年同期は7億9千6百万円)、営業利益は2千7百万円(同5百万円の損失)となりました。

 

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