この度の新型コロナウイルス感染症に罹患された皆様及び感染拡大により困難な生活環境におられる皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
当事業年度におけるわが国の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるなか、景気は持ち直しの動きが続いておりました。
このような状況のなかで、当社では「原点は、小さくて強い会社。~確実な成果へ~」という創業70周年を迎えることへの原点に立ち返った社内スローガンを経営方針として掲げ、事業を推進してまいりました。
コンクリート関連事業の製商品に関しましては、当社主力製品である「ライン導水ブロック」の独自性・優位性が評価され続けております。また、新たな製品である「新型ライン導水ブロック(F型及びV型の改良版)」や「ダイバース管」を開発いたしました。
当社無電柱化製品におきましては、国土技術政策総合研究所の無電柱化技術実験施設において、無電柱化の施工迅速化、低コスト技術の検証を行うため、「低コスト手法導入の手引き(案)」に準拠した「S.D.BOX」が設置される等、着実に採用実績も増加しております。
環境対策製品におきましては、NEXCO設計要領に準拠した油水分離ます「ヒュームセプター」が、環境対策・ノンポイント汚染対策として高速道路、国道、都道府県道等の交通量の多い道路や工場、商業施設等に幅広く採用されており、省スペースでの施工が可能な点、施工が簡易的である点、油の再流出が無い点等のメリットについて非常に高い評価を戴いていることから、採用実績は順調に増加しております。
これらの製商品につきましては、「第7回及び8回無電柱化推進展」、「ハイウェイテクノフェア2021」、「建設技術展2021近畿」等にも出展し、PR活動を展開いたしました。そのなかでも、「ライン導水ブロック」シリーズの製品である「ペダループ」については、「建設技術展2021近畿」において狭い幅員でも自転車通行空間を確保できる交通安全対策として「注目技術賞」を受賞し、「技術の先進性」、「効果」、「活用性」等の観点から、公共事業の事業主体者に評価されております。
不動産関連事業におきましては、当社経営資源の有効活用及び今後の新たな不動産運用を図るため、岡山県瀬戸内市にある当社保有遊休土地を売却いたしました。これに伴い、安定的な利益確保の目的により、新たに収益不動産物件として東京都渋谷区代官山町を所在地とする事業用店舗物件を購入いたしました。
また、営業活動以外でも、サステナビリティ及びCSR活動の一環として、寄付型自動販売機による寄付支援、また、新たに国土交通省主催の「ボランティア・サポート・プログラム」等にも参加し、営業活動や技術開発だけでなく、環境問題を意識したSDGsへの活動についても積極的に取り組んでまいりました。
その結果、当事業年度の売上高は29億34百万円(前事業年度比3.8%減)、営業利益は62百万円(同45.2%減)、経常利益は58百万円(同42.0%減)、当期純利益は3億17百万円(同266.9%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
当事業年度におけるセグメントの業績は次のとおりであります。
①コンクリート関連事業
コンクリート関連事業の売上高は17億95百万円(前事業年度比16.7%減)、セグメント損失は22百万円(前事業年度はセグメント利益1億24百万円)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言の期間が長期化されたことに伴い、官公庁における発注業務が停滞し、採用されている案件の「ライン導水ブロック」及び「ヒュームセプター」の発注遅れや工期延長が発生したことから、同事業の売上高、セグメント利益ともに前年同期を下回る結果となりました。
②建築設備機器関連事業
建築設備機器関連事業の売上高は10億37百万円(前事業年度比28.9%増)、セグメント利益は34百万円(前事業年度はセグメント損失31百万円)となりました。
中・大型の公共事業案件を中心に堅調に受注したことから、同事業の売上高、セグメント利益ともに前年同期を上回る結果となりました。
③不動産関連事業
不動産関連事業の売上高は1億1百万円(前事業年度比10.1%増)、セグメント利益は38百万円(同10.8%増)となりました。
安定的な利益確保の目的により、前事業年度から当事業年度にかけて、新たに収益不動産物件(事業用店舗)を購入したことから不動産賃料収入が増加し、売上高、セグメント利益ともに前年同期を上回る結果となりました。
セグメント情報の詳細は(セグメント情報等)をご覧ください。
当事業年度における財政状態の概況は次のとおりであります。
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当事業年度末の流動資産は26億23百万円となり、前事業年度末に比べ72百万円増加しました。
完成工事未収入金の増加2億88百万円、現金及び預金の減少2億10百万円、売掛金の減少97百万円、商品及び製品の増加80百万円、受取手形の減少61百万円、立替金の増加などによるその他流動資産の増加59百万円、原材料及び貯蔵品の増加19百万円、電子記録債権の減少5百万円が主な理由であります。
当事業年度末の固定資産は29億95百万円となり、前事業年度末に比べ92百万円増加しました。
有形固定資産の増加79百万円、無形固定資産の増加10百万円、投資有価証券の減少9百万円、投資その他の資産その他の増加14百万円が主な理由であります。
この結果、総資産は56億19百万円となり、前事業年度末に比べ1億65百万円増加しました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は17億9百万円となり、前事業年度末に比べ3億92百万円増加しました。
短期借入金の増加3億円、未払法人税等の増加1億3百万円、工事未払金の増加34百万円、賞与引当金の減少17百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少16百万円、未払消費税の減少などによるその他流動負債の減少10百万円が主な理由であります。
当事業年度末の固定負債は7億13百万円となり、前事業年度末に比べ4億68百万円減少しました。
長期借入金の減少4億41百万円、資産除去債務の減少49百万円、退職給付引当金の増加14百万円、長期未払金の減少12百万円、役員退職慰労引当金の増加11百万円、リース債務の増加9百万円が主な理由であります。
この結果、負債合計は24億22百万円となり、前事業年度末に比べ75百万円減少しました。
(純資産)
当事業年度末の純資産は31億96百万円となり、前事業年度末に比べ2億41百万円増加しました。
繰越利益剰余金の増加2億87百万円、自己株式の増加36百万円、その他有価証券評価差額金の減少7百万円が主な理由であります。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ2億10百万円減少し、5億72百万円となりました。
当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減理由は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、1億11百万円(前年同期1億59百万円の資金獲得)となりました。
収入の主な内訳は、税引前当期純利益4億27百万円、減価償却費80百万円、仕入債務の増加58百万円、支出の主な内訳は、固定資産売却益3億23百万円、売上債権の増加1億22百万円、棚卸資産の増加99百万円、その他流動資産の増加58百万円、資産除去債務戻入益48百万円、賞与引当金の減少17百万円、未払消費税等の減少10百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、1億38百万円(前年同期4億69百万円の資金使用)となりました。
収入の主な内訳は、有形固定資産の売却による収入4億9百万円、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出2億56百万円、保険積立金の積立による支出10百万円、有形固定資産の除却による支出2百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2億37百万円(前年同期3億35百万円の資金獲得)となりました。
収入の主な内訳は、短期借入れによる収入5億円、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出4億58百万円、短期借入金の返済による支出2億円、自己株式の取得による支出36百万円、配当金の支払額による支出32百万円であります。
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格により記載しております。
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格により記載しております。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格により記載しております。
当社の売上高は、季節変動があり、事業年度の上半期と下半期との間に著しい相違があります。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。特に以下の重要な会計方針が、当社の判断と見積りに重要な影響を及ぼすと考えております。
貸倒引当金については、債権の貸倒れによる損失に備えるために、一般債権は貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権は個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。従って、取引先の財務状態が悪化し、その回収可能性が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
棚卸資産については、市場状況及び生産経過年数に基づく収益性の低下の見積り額について、棚卸資産評価損の計上を行っております。実際の市場状況等が当社の見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
ハ 繰延税金資産
繰延税金資産については、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するため、評価性引当金を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を検討するに当たっては、将来の課税所得見積り等に基づき判断いたしますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、その判断を行った事業年度において回収不能と見込まれる額の評価性引当金を計上し、繰延税金資産の取崩しを行っております。
ニ 固定資産の減損処理
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。この回収可能価額の算定には、将来キャッシュ・フローを直近の実績や事業計画等の意思決定に基づいて合理的に見積りを行うほか、不動産等の時価のある資産については必要に応じ鑑定等の外部評価に基づく適正な価額を用い、帳簿価額の回収可否について判定を行っております。また当社は管理会計上、コンクリート関連事業、建築設備機器関連事業、不動産関連事業の各収益不動産物件を単位として資産をグルーピングし、損益状況の把握を行っております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
ホ 工事売上高の計上及び工事原価総額の見積り
当社は、工事売上高の計上について、一定の期間にわたり充足される履行義務は、金額的重要性が乏しい工事契約を除き、履行義務の充足に係る進捗率を見積り、当該進捗率に基づき一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗率の見積りの方法として発生原価に基づくインプット法、すなわち、工事原価総額に対する発生した工事原価の割合により計算しております。
工事原価総額は、契約ごとの実行予算として見積ります。実行予算の策定にあたっては、個々の工事における作業内容及び工数を見積りますが、これには工事に対する専門的な知識と施工経験を有する工事現場責任者による一定の仮定と判断を伴います。また、その後の工事期間において、顧客との合意による作業内容の変更や想定外の事象の発生により、工期の延長や追加的な工数が生じることがあります。この場合、工事契約の変更等に関する情報を収集し、追加的に生じる作業内容及びそれに対応する工数の見積りを再度実施することにより実行予算を適時・適切に見直すことが必要となります。これらの見積りには一定の不確実性が伴うため、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度の売上高は29億34百万円(前事業年度比3.8%減)となりました。損益面につきましては、営業利益は62百万円(同45.2%減)、経常利益は58百万円(同42.0%減)、当期純利益は3億17百万円(同266.9%増)となりました。
当事業年度の業績等の概況は「(経営成績等の状況の概要)(1)業績」にセグメント別に記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の主要な資金需要は、製品製造及び建築設備工事のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用ならびに設備新設、改修等に係る投資であります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、銀行借入による資金調達にて対応していくこととしております。
当社の当事業年度末における現金及び現金同等物は、5億72百万円であり、流動比率も153.5%であることから財務の健全性は保たれており、次期の設備投資においても自己資金で賄う予定であります。
なお、当社は、当事業年度末においても、自己資本比率は56.9%と依然として高く、財務体質は極めて健全であります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社は、主に成長性、収益性の指標として売上高及び営業利益を重視しております。また、株主資本の効率的活用による株主利益重視の観点から、ROE(自己資本当期純利益率)を重要経営指標とする基本方針を堅持しております。
当事業年度の売上高は29億34百万円となり、当初計画である28億50百万円を上回る結果となりました。営業利益は62百万円となり、当初計画である85百万円を下回る結果となりました。
当事業年度の業績等の概況は「(経営成績等の状況の概要)(1)業績」に記載しております。
当事業年度末におけるROEは10.3%となっております。ROEにつきましては具体的な数値目標は定めておりませんが、今後は、必要な成長投資を強化し、収益を確保することや資本効率を高めること等によりROEの向上に努めてまいります。
キャッシュ・フローの状況に関する分析は、「(経営成績等の状況の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。
※ キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
また、利払いについてはキャッシュ・フロー計算書の支払利息を利用しております。
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