当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響による厳しい状況も徐々に緩和されつつあることから、概ね回復基調となりました。
我が国の経済においても、新型コロナウイルスのワクチン接種も進み、厳しい状況は緩和されつつあり、個人消費、設備投資、生産、企業収益等では、概ね持ち直しの動きが見られました。
このような状況下、当社グループでは、コストダウン、製品の拡販及び品質向上等経営体質の強化に取り組んでまいりました。
当連結会計年度では、世界経済の持ち直しを背景として、全般的に炭素製品市場の需要は、回復傾向となりました。為替レートについては、円安に推移し、輸出の売上高において追い風となりました。その結果、売上高は229億1千9百万円となり、前年同期に比べて7.6%の増収となりました。
損益面に関しましては、製品原価に占める原料費の高止まりによるコストアップ要因はあったものの、販売数量の増加や為替レートが円安に推移したことによる輸出の収益性改善により、増益となりました。その結果、営業利益は32億2千2百万円(前年同期比4.6%増)、円安による為替差益を計上し、経常利益は37億7千9百万円(前年同期比8.2%増)、繰延税金資産を追加計上するとともに、法人税等調整額(益)を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は30億3千9百万円(前年同期比21.8%増)となりました。
なお、当社グループは炭素製品の製造・販売を主な事業とする単一セグメントでありますが、当連結会計年度における製品別の売上高については、次のとおりであります。
・アルミニウム製錬用カソードブロック
世界的な港湾混雑、輸送遅延の状況は継続しているものの、LMEアルミ価格の上昇を背景に、アルミニウム製錬会社の更新需要は回復傾向となり、販売数量は増加しました。その結果、売上高は123億3千2百万円となり、前年同期に比べて4.7%の増収となりました。
・人造黒鉛電極
顧客での在庫調整及び世界的な電炉市況の低迷が著しかった前年同期に比べ、人造黒鉛電極の需要は持ち直しの動きが見られ、販売数量は増加しました。その結果、売上高は66億4百万円となり、前年同期に比べて17.1%の増収となりました。
・特殊炭素製品
特に非鉄金属関連の需要が堅調であり、販売数量が増加しました。その結果、売上高は30億4千万円となり、前年同期に比べて0.2%の増収となりました。
・ファインパウダー及びその他炭素製品
自動車需要の早期回復に伴い、ファインパウダーの販売数量が増加しました。その結果、売上高は9億4千1百万円となり、前年同期に比べて10.7%の増収となりました。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
当社グループは、単一セグメントの下で以下の製品を生産しております。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当社製品は国内、輸出とも一部受注生産をする場合がありますが、製造期間が長いため、基本的にはユーザーの生産動向をベースにした見込生産であります。
当社グループは、単一セグメントの下で以下の製品を販売しております。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
総資産は、前連結会計年度末と比較して38億8千5百万円増加して、626億8百万円となりました。主な増加は、現金及び預金の増加58億1千2百万円および投資有価証券の増加6億6百万円であり、主な減少は、仕掛品の減少16億1千7百万円および未収入金の減少等による流動資産その他の減少7億1千2百万円です。
負債は、前連結会計年度末と比較して12億9千9百万円増加して、65億4千4百万円となりました。主な増加は、買掛金の増加11億8千7百万円および未払法人税等の増加4億7千5百万円であり、主な減少は、設備関係未払金の減少等による流動負債その他の減少1億5千6百万円です。
非支配株主持分を含めた純資産は、前連結会計年度末と比較して25億8千6百万円増加して、560億6千3百万円となりました。主な増加は、利益剰余金の増加22億2千6百万円およびその他有価証券評価差額金の増加3億6千5百万円です。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の91.1%から89.5%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは76億1千5百万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ・フローは9億5千4百万円の支出超過、財務活動によるキャッシュ・フローは8億2千6百万円の支出超過となりました。以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ58億2百万円増加(35.4%増)し、221億8千8百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益37億2千8百万円に、減価償却費12億1百万円、棚卸資産の減少額11億5百万円、仕入債務の増加額11億8千7百万円、法人税等の還付額8億3百万円等を加算し、法人税等の支払額5億1千万円を減算した結果、76億1千5百万円の資金の増加(対前連結会計年度比126.2%増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得に8億6百万円を支出したこと等により、9億5千4百万円の資金の減少(対前連結会計年度比50.9%減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払に8億1千2百万円を支出したこと等により、8億2千6百万円の資金の減少(対前連結会計年度比19.9%減)となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの資金需要のうち主なものは、原材料費等の製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等によるものであります。当社グループの運転資金および設備投資資金は、内部資金または借入により資金調達することとしております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループにおける過去の実績等を踏まえ合理的に見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは以下のとおりであります。
(棚卸資産の評価)
当社グループは、棚卸資産の評価に関する会計基準に従い、収益性の低下により正味売却価額が帳簿価額を下回っている棚卸資産の帳簿価額を、正味売却価額まで切り下げる会計処理を適用しております。
会計処理の適用にあたっては、基本的には決算月における実績の販売価格から直接販売費を控除した正味売却価額と簿価との比較により評価損の金額を計算しておりますが、市況の著しい変化等により期末日以降に販売価格の重要な変動があった場合には、契約書など客観的情報に基づいて正味売却価額に反映させております。
当社グループの製品の生産リードタイムは比較的長く、このため棚卸資産残高は多額となっております。また、製品の販売価格や原材料の購入価格は、景気変動等による市場の需給状況に応じて大きく上下するという特徴があります。特に原材料の市場価格下落局面においては、下落前に仕入れた原材料を使用し製造した製品を販売する時にはすでに販売価格が大きく下降している場合もあり、棚卸資産の評価損が多額になる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定の情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
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