業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

①当連結会計年度の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた一年になりました。

 このような事業環境の中、当社グループは新共通価値創造戦略「TOTO WILL2030」を実現していくための最初の3年間の経営課題である、中期経営課題(WILL2030 STAGE1)に基づき、「日本住設事業」「中国・アジア住設事業」「米州・欧州住設事業」の3つの事業で構成される「グローバル住設事業」と「セラミック事業」で構成される「新領域事業」の2つの事業軸で活動を推進しました。

 当社は、「きれいと快適」「環境」を両立するTOTOらしい商品を「サスティナブルプロダクツ」と位置付け、これらの商品をグローバルで普及させることにより、地球環境に配慮した、豊かで快適な社会の実現に貢献しています。

 その結果、当連結会計年度の業績は、売上高が6,452億7千3百万円(前期比11.7%増)、営業利益が521億8千万円(前期比31.6%増)、経常利益が568億7千万円(前期比38.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が401億3千1百万円(前期比48.8%増)となりました。

 なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、遡及処理後の数値で比較分析を行っています。

 

 セグメントごとの業績は、次のとおりです。なお、セグメントごとの売上高については、外部顧客への売上高を記載しています。

 

②セグメントの状況

■グローバル住設事業

 当連結会計年度の業績は、売上高が6,149億7百万円(前期比10.3%増)、営業利益が457億8千2百万円(前期比13.0%増)となりました。

 

a.日本住設事業

 当連結会計年度の業績は、売上高が4,409億2千6百万円(前期比5.0%増)、営業利益が228億5千4百万円(前期比0.2%増)となりました。

 

 当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点で、ショールームについては完全予約制をとりつつ、オンライン接客などによりお客様のニーズに対応しています。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響などで、一部商品の供給が滞り厳しい状況が続いているものの、衛生性に対する意識の高まりで「タッチレス商品」である自動水栓などの販売が好調であることに加え、在宅時間の増加などで家への関心が高まり、システムバス、システムキッチンなどが大きく伸長し、売上高はリモデル・新築共に前年を上回りました。

 TOTO、DAIKEN、YKK APでは、これからも安心して暮らせる、人と地球にやさしい家づくりの視点「グリーンリモデル」に基づいて、新しい生活様式に対応した提案とお客様の様々な暮らしの想いをかなえるライフスタイルの提案「十人十家」を推進しています。

 当社グループが創り出した清潔なトイレ文化を世界へ発信していくことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえ、衛生的な空間と新しい生活様式に対応した商品の提案・開発を強化しています。

 

b.中国・アジア住設事業

<中国大陸事業>

 当連結会計年度の業績は、売上高が924億8百万円(前期比32.9%増)、営業利益が157億7千万円(前期比35.9%増)となりました。

 

 足元では不動産市況の変動による影響が一部残っていますが、市場環境や消費者の購買行動の変化などに注視しつつ、引き続き事業活動を推進しています。また、中国大陸の長期的な市場成長による需要の増加に対応するため、効率的な生産と最適な供給体制の構築を進めています。加えて、高級ブランドとしての強みを活かし、「ウォシュレット」のプロモーション強化を通じて普及拡大に努めています。

 

<アジア・オセアニア事業>

 当連結会計年度の業績は、売上高が324億8千1百万円(前期比15.2%増)、営業利益が53億5百万円(前期比15.6%増)となりました。

 当社グループにおいては、一部地域では新型コロナウイルス感染症拡大により、事業活動への制約がありましたが、世界の供給基地としてベトナム、タイでの生産体制を充実させると共に、新興国市場での販売力を強化しています。また、日本発の高級ブランドとしての認知を活かした事業活動を推進しています。

 各地域の市場成長に合わせて、5スターホテルや高級コンドミニアムなどの著名物件及び個別散在物件の受注強化のため、販売網の強化や積極的なプロモーション展開による「ウォシュレット」の普及、アフターサービス体制の整備に取り組んでいます。

 

c.米州・欧州住設事業

<米州事業>

 当連結会計年度の業績は、売上高が443億3千5百万円(前期比23.2%増)、営業利益が29億1千1百万円(前期比17.3%増)となりました。

 

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響からはほぼ回復し、温水洗浄便座認知層の拡大もあわせて「ネオレスト」「ウォシュレット」は好調な実績を維持しています。また、中古住宅市場の堅調な推移により「トルネード洗浄大便器」の販売も好調に推移しています。

 当社グループにおいては、中高級市場において清潔機能を中心に価値伝達を強化し、商品優位性によってブランド価値を高め、競合他社との差別化を図っており、「ウォシュレット」をはじめ、高い節水性能(洗浄水量3.8L)を有する節水便器、快適性、デザイン性がお客様に評価されている「ネオレスト」などの採用が増加しています。

 ショールーム展示の拡充やホームページの充実、eコマースの整備など、お客様接点の強化や効率的な供給体制づくりを推進しています。

 

<欧州事業>

 当連結会計年度の業績は、売上高が47億5千5百万円(前期比19.2%増)、営業損失が10億6千万円(前連結会計年度は営業損失9億5千1百万円)となりました。

 

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響による事業活動への制約に加え、ドイツにおける国策影響(省エネ改修支援政策)により、一時的に水まわり需要の減少が見られましたが、当社グループにおいては、引き続き欧州のお客様の嗜好に沿うデザイン性の高い商品の販売、ショールーム展示を通じてお客様への価値訴求を強化しています。

 ドイツ、フランス、イギリスを中心に、販売チャネルの構築及び著名物件の獲得を進めており、販売代理店におけるショールーム展示の質の向上や、施工店の開拓・拡大に注力しています。「ウォシュレット」や「ネオレスト」など差別化商品の認知が向上し、ホテルなどの高級現場における商品の採用が進んでいます。

 

■新領域事業

<セラミック事業>

 当連結会計年度の業績は、売上高が301億2千8百万円(前期比50.0%増)、営業利益が93億3千4百万円(前期比405.0%増)となりました。

 

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響は限定的であり、半導体需要が増加したことで、それらの製造装置に採用されている当社セラミック製品の売上も増加しました。

 世界的な半導体需要の高まりに対して、強固なサプライチェーンと次世代もの創りを確立し、アフターコロナにおけるニューノーマル及びDX(デジタルトランスフォーメーション)による社会変革を支えていきます。

 

 

■その他

<社外からの評価について>

・デザインへの評価

国際的に権威のあるデザイン賞である「レッドドット・デザイン賞2022」において、プロダクトデザインのカテゴリーで「ネオレストLS」「ネオレストRS」「スティックリモコン」「マットブラック表面仕上げ(水栓他)」の4商品が受賞しました。当社のレッドドット・デザイン賞受賞は10年連続となります。

当社グループは引き続きデザインとテクノロジーの融合を追求し、お客様へより良い暮らしを提供していきます。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は896億1百万円となり、前連結会計年度末の1,414億1千9百万円に比べ、518億1千8百万円の資金減少となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により493億5千6百万円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益578億6千7百万円、減価償却費269億3千9百万円、仕入債務の増加額60億2千9百万円等の収入と、棚卸資産の増加額219億3千5百万円、法人税等の支払額138億3千1百万円等の支出によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により318億9千3百万円の支出となりました。これは、定期預金の払戻による収入23億5千2百万円等の収入と、有形固定資産の取得による支出301億2千1百万円、無形固定資産の取得による支出49億8千万円等の支出によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により757億7千2百万円の支出となりました。これは、コマーシャル・ペーパーの発行による収入132億円の収入と、コマーシャル・ペーパーの償還による支出406億円、短期借入金の減少326億円、配当金の支払額144億6百万円等の支出によるものです。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要は、運転資金と設備投資があります。

運転資金としては、製品製造にかかる原材料等の購入費や管理費等があります。

設備投資としては、生産設備への投資、生産工場への投資や、ショールーム投資、情報化投資等があります。

配当性向につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の40%を目処とし、業績に連動した利益還元を目指しつつ、安定的な配当の維持に努めてまいります。

当社グループの資金調達は、設備投資に必要な資金及びその他の所要資金には手元資金を充当することを基本方針とし、その他ではグループ内ファイナンスを有効に活用することにより、効率的な資金調達をしています。

当連結会計年度は、前連結会計年度に新型コロナウイルス感染症拡大による経済環境の悪化に備えて十分な手元流動性を確保すべく調達した資金を返済いたしました。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本住設事業

380,702

7.3

中国大陸事業

108,641

30.8

アジア・オセアニア事業

69,168

9.8

米州事業

48,522

44.2

欧州事業

4,962

61.1

グローバル住設事業計

611,997

13.9

セラミック事業

24,658

52.4

新領域事業計

24,658

52.4

報告セグメント計

636,655

15.0

その他

合計

636,655

15.0

(注)金額は、売価換算値で表示しています。

 

(2)受注実績

当社グループは概ね見込生産方式を採っていますので、受注の実績については記載を省略しています。

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本住設事業

457,686

5.8

中国大陸事業

108,221

28.6

アジア・オセアニア事業

66,541

15.9

米州事業

44,350

23.2

欧州事業

4,890

20.1

グローバル住設事業計

681,690

11.0

セラミック事業

30,128

50.0

新領域事業計

30,128

50.0

報告セグメント計

711,818

12.2

その他

287

△9.2

内部売上消去等

△66,832

合計

645,273

11.7

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

前連結会計年度、当連結会計年度共に販売実績が総販売実績の100分の10以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得