業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルスに対するワクチン接種が進み景気回復の動きが見られました。一方で、世界的な半導体供給不足によるサプライチェーンの混乱や原材料価格の高騰などが続いており、さらには期末にかけてはウクライナ情勢の緊迫化もあり世界経済の下振れ懸念が高まりました。

このような状況のもと、当社グループにおきましては、エネルギーインフラ事業では、がいし製品の価格改定が寄与したものの、電力貯蔵用NAS®電池(ナトリウム/硫黄電池)の出荷は低調に推移しました。セラミックス事業では、世界的な自動車市況の回復を受け、自動車関連製品の出荷が大幅に増加しました。エレクトロニクス事業では、双信電機株式会社グループを連結範囲から除外した影響により全体では減収となったものの、金属関連製品やハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーター、セラミックパッケージの需要が好調に推移しました。プロセステクノロジー事業では、好調な半導体市況を背景に半導体製造装置用製品の需要が大幅に増加しました。これらの結果、当連結会計年度における売上高合計は、前期比12.9%増5,104億39百万円となりました。

利益面では、セラミックス事業や半導体関連製品の売上高の増加や為替円安効果などにより、営業利益は前期比64.3%増835億27百万円となりました。経常利益は同62.7%増862億48百万円、親会社株主に帰属する当期純利益については、法人税等還付税額の計上や補助金収入が増加したことなどから前期比84.0%増708億51百万円となりました。

当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本効率を重視した経営を推進しております。関連性の高い投下資本利益率(NGK版ROIC)を管理指標に採用し、投下資本の代わりに事業資産(売掛債権、棚卸資産、固定資産)、税引後利益の代わりに事業部門の営業利益を用いることにより、事業部門が自ら目標管理できるようにしております。中長期の観点でROE10%以上の水準を意識し、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合した資本政策を展開します。

当連結会計年度におけるROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が増加したこと等から12.9%(前年同期比5.0ポイント改善)となり、目標である10%以上の水準に回復しましたが、引き続き当該指標の維持・向上に取り組んでまいります。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

〔エネルギーインフラ事業〕

 当事業の売上高は、412億47百万円と前期に比して3.2%減少いたしました。

がいしは、製品の価格改定が寄与しましたが、国内電力会社や鉄道会社の設備投資抑制が継続したことなどにより出荷が減少しました。NAS®電池は、国内外ともに大口案件の出荷が無く低調に推移しました。

利益面では、がいしが6年ぶりに黒字化したことにより、前期39億78百万円の営業損失から27億18百万円の営業損失に赤字が縮小しました。

 

〔セラミックス事業〕

 当事業の売上高は、 2,926億88百万円 と前期に比して 17.6%増加 いたしました。

世界の自動車市場は半導体供給不足の影響を受けたものの、各国の排ガス規制強化や自動車市況回復に伴う販売台数の増加により自動車関連製品の出荷が増加しました。

営業利益は、出荷物量の増加などから前期比58.1%増650億60百万円となりました。

 

〔エレクトロニクス事業〕

 当事業の売上高は、534億10百万円と前期に比して1.3%減少いたしました。

ベリリウム銅展伸材やハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーター、セラミックパッケージの需要は好調に推移したものの、双信電機株式会社グループを連結範囲から除外した影響により減収となりました。

営業利益は、製品構成の変化などにより前期比105.7%増56億96百万円となりました。

 

〔プロセステクノロジー事業〕

 当事業の売上高は、1,262億56百万円と前期に比して15.8%増加いたしました。

半導体製造装置用製品は、好調な半導体市況に支えられ物量が増加しました。産業機器関連製品につきましては、低レベル放射性廃棄物処理装置の出荷が減少した一方、リチウムイオン電池正極材用の加熱装置が増加し、前期並みとなりました。

営業利益は、半導体製造装置用製品の出荷物量の増加などから前期比42.6%増154億81百万円となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自  2021年4月1日
    至  2022年3月31日

前年同期比(%)

エネルギーインフラ事業(百万円)

42,400

101.1

セラミックス事業(百万円)

326,594

135.3

エレクトロニクス事業(百万円)

54,866

100.2

プロセステクノロジー事業(百万円)

126,962

115.1

           合計(百万円)

550,824

122.8

 

(注)  1.購入品仕入実績については区分して記載することが困難なため、生産実績に含めて記載しております。

2.上記は、販売価格をもって表示しております。

3.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

②受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比(%)

エネルギーインフラ事業

44,852

114.0

18,583

133.8

セラミックス事業

292,891

117.6

3,201

107.4

エレクトロニクス事業

63,128

112.6

21,394

187.4

プロセステクノロジー事業

152,394

131.7

99,321

154.6

合計

553,267

120.2

142,501

154.0

 

(注)  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自  2021年4月1日
    至  2022年3月31日

前年同期比(%)

エネルギーインフラ事業(百万円)

40,594

96.7

セラミックス事業(百万円)

292,670

117.6

エレクトロニクス事業(百万円)

53,406

98.7

プロセステクノロジー事業(百万円)

123,767

115.6

           合計(百万円)

510,439

112.9

 

(注)  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比し8.1%増加9,828億33百万円となりました。

流動資産は、棚卸資産や有価証券などが増加したことから、前期比15.2%増5,273億94百万円となりました。固定資産は、前期比1.0%増4,554億38百万円となりました。

流動負債は、未払法人税等や1年内返済予定の長期借入金などが増加したことから、前期比11.6%増1,517億90百万円となりました。固定負債は、長期借入金などが減少したことなどにより、前期比5.3%減2,414億48百万円となりました。

純資産は、利益剰余金が増加したほか、為替換算調整勘定が増加したことなどから、前期比13.8%増5,895億94百万円となりました。

これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は59.3%(前連結会計年度末56.3%)となり、1株当たり純資産は1,871.22円と、前期を253.88円上回りました。

 

 

セグメントごとの資産は、次のとおりであります。

〔エネルギーインフラ事業〕

当事業の総資産は、資金が増加したことなどにより前期比 4.4%増加564億83百万円となりました。

〔セラミックス事業〕

当事業の総資産は、自動車関連製品の棚卸資産が増加したことなどにより、前期比3.4%増加4,750億50百万円となりました。

〔エレクトロニクス事業〕

当事業の総資産は、資金が増加したことなどにより前期比10.2%増加705億36百万円となりました。

〔プロセステクノロジー事業〕

当事業の総資産は、半導体製造装置用製品の物量増に伴い売掛債権や棚卸資産が増加したほか、増産投資により有形固定資産が増加したことなどから前期比8.5%増加1,519億9百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による948億31百万円の収入、投資活動による462億91百万円の支出、及び財務活動による452億63百万円の支出などにより、前期末に比し88億23百万円増加し、当期末残高は1,548億55百万円となりました。

 

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、棚 卸資産が増加しましたが、 税金等調整前当期純利益 908億19百万円 に減価償却費を加え、合計では 948億31百万円の収入 となりました。前期との比較では、 91億89百万円の収入増となりました。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、 自動車関連製品を中心とした設備投資に加え、定期預金の増加による支出もあり、 合計で 462億91百万円の支出 となりました。前期との比較では、 54億32百万円の支出減 となりました。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、将来の設備投資やカーボンニュートラルへの取り組みなどへ充当するため長期借入れ及び社債の発行を実施した一方、長期借入金の返済や配当金の支払いなどによる支出から、合計で 452億63百万円の支出 となりました。前期との比較では、 575億14百万円の支出増 となりました。

 

資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費用、労務費等の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の調達について、調達手段の多様化を図ることで、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。また、グループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、国内外でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 [連結財務諸表等](1)[連結財務諸表] [注記事項] (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響については「第5 経理の状況 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](追加情報)」に記載しております。

 

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