業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による不振から持ち直す動きが見られた一方で、変異株を主とした感染の継続に加え、ウクライナ情勢等による資源価格の上昇や供給面での制約、金融資本市場や外国為替市場の変動など、先行きが不透明な状況が続きました。日本経済につきましても、個人消費や企業の設備投資・生産活動に持ち直しの動きが見え始めましたが、株式市場の不安定化や円安の進行など世界経済と同様に不透明感が続く状況で推移しました。耐火物業界の最大の需要先である鉄鋼業界におきましては、通期の国内粗鋼生産量は、鉄鋼需要の回復により、前年同期比15.5%増加し、9,564万トンとなりました。

このような状況の中、当社グループは第5次中期経営計画(2021年度~2023年度)の初年度にあたる2021年度において、今中期の主要課題である「不定形商品の更なる競争力強化」に向けた西日本地区の不定形耐火物製造拠点の集約に着手し新工場の建設を進めると共に、子会社・帝国窯業株式会社の吸収合併(効力発生日2022年4月1日)を行いました。2024年3月の新工場稼働に向け、着実に準備を進めてまいります。

また、近い将来におけるカーボンニュートラルの達成が全世界的な目標となるなか、CO排出量の削減等多くの環境課題への対応を背景とした事業環境の大変革期の到来が予想されております。

こうした事業環境の変化は企業にとって大きな経営リスクとなり得ますが、一方で環境変化に対応するリソースを整え、大胆な意思決定を迅速に行えるグループ経営体制を構築することにより、リスクを大きなビジネスチャンスに転換することが可能となります。

そのため、2022年3月31日をもってイソライト工業株式会社を完全子会社とし、耐火物と断熱材に関する両社の技術の融合及び人材や生産販売拠点の相互連携強化をこれまで以上に進め、カーボンニュートラルの実現等お客様の多様化するニーズへの対応と課題解決に貢献することで、ビジネスの拡大を図ってまいります。

 

当連結会計年度の経営成績は、国内粗鋼生産量の増加に伴う耐火物販売数量の増加を主要因として、売上高1,107億84百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益101億7百万円(前年同期比38.7%増)、経常利益107億16百万円(前年同期比30.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は53億8百万円(前年同期比151.1%増)となりました。

なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。詳細につきましては、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご覧下さい。

 

次にセグメントの概況をご報告申し上げます。

<耐火物及び関連製品>

耐火物及び関連製品事業につきましては、粗鋼生産量増加に伴う耐火物販売数量の増加等により、当連結会計年度の売上高は849億1百万円と82億52百万円(10.8%)の増収、セグメント利益は94億51百万円と27億37百万円(40.8%)の増益となりました。

<エンジニアリング>

エンジニアリング事業につきましては、製鉄所構内工事の増加等により、当連結会計年度の売上高は248億98百万円と33億92百万円(15.8%)の増収、セグメント利益は18億25百万円と9億円(97.4%)の増益となりました。

<不動産>

不動産事業につきましては、一部物件の賃貸契約が終了したこと等により、当連結会計年度の売上高は9億84百万円と8億30百万円(45.8%)の減収、セグメント利益は4億39百万円と5億39百万円(55.1%)の減益となりました。なお、レジャー等事業としてスーパー銭湯の経営を行っておりましたが、2021年3月31日付で営業を終了したため、当連結会計年度よりセグメント名称を「不動産・レジャー等」から「不動産」に変更しております。

 

②財政状態の状況

<資産>

当連結会計年度末の総資産は、「現金及び預金」と「受取手形、売掛金及び契約資産」の増加を主たる要因として前連結会計年度末に比べ95億4百万円増加し、1,197億10百万円となりました。

<負債>

負債は、「長期借入金」の増加を主たる要因として、前連結会計年度末に比べ165億98百万円増加し、564億70百万円となりました。

<純資産>

純資産は、「資本剰余金」と「非支配株主持分」の減少を主たる要因として前連結会計年度末に比べ70億94百万円減少し、632億39百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比11億98百万円増加し、167億63百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動の結果得られた資金は94億94百万円(前年同期比1.8%増)となりました。これは主に「税金等調整前当期純利益」94億13百万円等によるものであります。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動の結果使用した資金は51億66百万円(前年同期比28.9%増)となりました。これは主に「有形固定資産の取得による支出」△32億8百万円、「預り保証金の返還による支出」△15億9百万円等によるものであります。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動の結果使用した資金は33億48百万円(前年同期比38.8%増)となりました。これは主に「長期借入れによる収入」124億円、「連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出」△104億8百万円、「長期借入金の返済による支出」△27億99百万円、「配当金の支払額」△14億95百万円等によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の状況

(a)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

耐火物及び関連製品(百万円)

54,282

107.4

(注)金額は製造原価によっております。

 

(b)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

耐火物及び関連製品

87,874

116.8

21,001

116.5

エンジニアリング

21,710

91.2

1,712

34.9

合計

109,584

110.7

22,714

99.1

(注)金額は販売価格によっております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

耐火物及び関連製品(百万円)

84,901

110.8

エンジニアリング(百万円)

24,898

115.8

不動産(百万円)

984

54.2

合計

110,784

110.8

(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

JFEスチール㈱

37,487

37.5

48,379

43.7

㈱神戸製鋼所

14,280

14.3

10,737

9.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の連結成績につきましては、鉄鋼需要の回復により国内粗鋼生産量が増加したことで、耐火物販売数量や製鉄所構内のメンテナンス作業売上が増加し、売上高は前連結会計年度に比べ108億15百万円の増収となりました。

また、利益に関しては、耐火物販売数量の増加により、前連結会計年度に比べ「営業利益」は28億21百万円、「経常利益」は24億95百万円のそれぞれ増益となりました。また、「親会社株主に帰属する当期純利益」は「経常利益」の増加に加えて、前期に愛知県名古屋市の賃貸物件を主とした固定資産減損損失33億84百万円を計上したこと等から、31億94百万円の増益となりました。この結果ROSは前連結会計年度の8.2%から9.7%に、ROEは同3.6%から8.8%にそれぞれ上昇しました。

財政状態につきましては、売上高の増加に伴い「現金及び預金」並びに「受取手形及び売掛金」が増加したことにより「流動資産合計」は787億40百万円となりました。また積極的な設備投資により「有形固定資産合計」が増加したことから「固定資産合計」は409億69百万円に増加しました。それにより、「総資産」は前連結会計年度末に比べて95億4百万円増加の1,197億10百万円となりました。

一方で、当社の連結子会社であるイソライト工業の普通株式の公開買付け及び株式売渡請求資金を目的とした「長期借入金」の増加等によって「負債合計」は前連結会計年度末に比べ165億98百万円増加し564億70百万円となりました。「資本剰余金」並びに「非支配株主持分」の減少等によって「純資産」が前連結会計年度末に比べて70億94百万円減少し632億39百万円となりました。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の55.1%から50.3%に低下しました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況につきましては、前連結会計年度に比べて「税金等調整前当期純利益」が大幅に増加したこと等により「営業活動によるキャッシュ・フロー」は94億94百万円となり、「有形固定資産の取得による支出」32億8百万円等「投資活動によるキャッシュ・フロー」の支出増加を含めても「現金及び現金同等物」の期末残高は、11億98百万円の増加となりました。

③資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金の調達については、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金や長期運転資金の調達については、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金にリース債務を加えた有利子負債の残高は、228億56百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、167億63百万円となっております。

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたって、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルスの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

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