当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ感染症予防のための厳しい行動制限等が緩和される中で持ち直しの動きがみられています。しかし、原油などの国際商品価格はウクライナ情勢を背景に高水準で推移し、国内企業物価も上昇が続き、企業の景況感は多くの業種で低下しています。設備投資は、企業の利益水準に比べて低い水準が続いていましたが、今後の利益改善が積極的な設備投資につながることが期待されます。
このような状況の中、当社工事部門においては、保温断熱工事が電力・石油プラント向けで当初計画を上回る工事量を受注することができ、耐火被覆工事でも物流施設向けを中心に堅調に推移しました。販売部門においては、耐火被覆材、保温断熱材ともに、コロナ禍以前の水準に復するには至らないものの、売上高は前期比で横ばいとなりました。
一方、最近の企業物価上昇による外部原価増の影響で、工事部門や販売部門の営業利益は減少しております。価格転嫁に努めており、その効果は来期以降の業績に寄与すると見込んでおります。
また、前連結会計年度にジェイアイシーベトナム有限会社の減損損失を485,398千円計上していた影響により、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は増加しています。
その結果、当社グループにおける当連結会計年度の売上高は14,118,843千円(前年同期比1.3%減)、営業利益1,861,154千円(前年同期比18.0%減)、経常利益は1,891,105千円(前年同期比14.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,145,692千円(前年同期比12.0%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高が101,042千円増加しておりますが、売上原価においても同額増加しているため、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益に与える影響はありません。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
<建築関連>
工事部門において、耐火被覆工事が物流施設向けを中心に堅調に推移したものの、大型物件の減少などから対前年比で売上高はやや減少となりました。販売部門において、中小の建築案件が下期から回復の傾向にあり、耐火被覆材の需要回復につながりました。また、内装仕上げ材も需要の減少に歯止めがかかりました。
以上の結果、工事及び販売を合わせた建築関連全体の売上高は5,002,320千円(前年同期比3.2%減)となりました。
工事部門において、電力・石油等のプラント向け定期修繕工事、建設工事の需要が堅調に推移し、昨年度の大型工事が一服する中、当初計画を上回る工事量を受注し、前期と同水準の売上を確保することができました。販売部門においては、国内一般顧客のメンテナンス向け製品、海外子会社商品等の需要の低迷が続いていましたが、徐々に出荷が回復し、売上高は前年比で若干減少となったものの、ほぼ前期並みの水準となりました。
以上の結果、工事及び販売を合わせたプラント関連全体の売上高は9,116,522千円(前年同期比0.2%減)となりました。
当連結会計年度末の財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ214,991千円増加し、16,450,730千円となりました。
(流動資産)
流動資産については前連結会計年度末に比べて610,629千円増加し、10,525,386千円となりました。これは主に、電子記録債権が154,377千円、完成工事未収入金が1,525,969千円、有価証券が101,587千円、未成工事支出金が155,560千円減少した一方で、現金及び預金が938,019千円、受取手形及び売掛金が306,991千円、契約資産が1,265,936千円増加したことによるものであります。
固定資産については前連結会計年度末に比べて395,638千円減少し、5,925,344千円となりました。これは主に、機械装置及び運搬具が38,520千円、投資有価証券が40,661千円増加した一方で、建物及び構築物が52,060千円、その他(有形固定資産)が44,956千円、ソフトウエアが46,584千円、建設仮勘定が134,109千円、繰延税金資産が148,464千円減少したことによるものであります。
流動負債については前連結会計年度末に比べて644,555千円減少し、3,093,687千円となりました。これは主に、契約負債が174,392千円増加した一方で、工事未払金が51,757千円、未成工事受入金が359,313千円、未払法人税等が145,984千円、設備関係支払手形が243,678千円減少したことによるものであります。
固定負債については前連結会計年度末に比べ59,863千円増加し、1,276,203千円となりました。これは主に、健康被害補償引当金が18,800千円減少した一方、長期借入金が14,452千円、役員退職慰労引当金が14,580千円、再評価に係る繰延税金負債が52,278千円増加したことによるものであります。
純資産については前連結会計年度末に比べて799,684千円増加し、12,080,839千円となりました。これは主に、土地再評価差額金が52,278千円減少した一方で、利益剰余金が841,550千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末と比較して920,017千円増加し、2,502,654千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動により得られた資金は、1,523,664千円(前年同期は1,461,474千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,889,773千円、減価償却費351,937千円、売上債権及び契約資産の減少額108,700千円、未成工事支出金の減少額155,560千円、契約負債の増加額174,392千円により増加した一方で、未成工事受入金の減少額359,313千円、法人税等の支払額743,839千円により減少したことによるものであります。
投資活動により支出した資金は、307,914千円(前年同期は403,293千円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入114,200千円により増加した一方で、有形固定資産の取得による支出389,499千円により減少したことによるものであります。
財務活動により支出した資金は、312,147千円(前年同期は721,797千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金による収入450,000千円により増加した一方で、長期借入金の返済による支出458,005千円、配当金の支払額304,142千円により減少したことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は、工事原価、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に占める割合が10%以上である販売先は、該当ありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表に影響を及ぼします。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。
アスベスト(石綿)健康被害を受けた元従業員等に対する支払に備えるため、将来発生すると見込まれる補償額を計上しております。
対象者が増加した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗に基づく収益を計上しております。なお、進捗度の見積りの方法は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合(インプット法)で算定しております。想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価が影響を受け、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
当社グループは、長期的かつ戦略的な取引関係維持を目的に特定の取引先の株式を所有しております。これら株式には上場株式と非上場株式が存在します。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、減損処理を行っております。上場株式については、時価が取得原価の50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。非上場株式及び関係会社株式については、実質価額が取得原価の50%以上下落した場合に、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。将来、株式市場の悪化または投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、収益性が著しく低下した場合は、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
売上高については、プラント事業の工事、建築事業の販売が増収、建築事業の工事及びプラント事業の販売が減収となり、全体としては当社グループの売上高は前年同期と比較して182,395千円減少し、14,118,843千円となりました。
売上原価については、前年同期と比較して140,487千円増加し、10,169,644千円となりました。これは主にプラント事業での新規建設工事の利益率低下によるものであります。
この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前年同期と比較して322,883千円減少し、3,949,199千円となりました。
販売費及び一般管理費については、海外取引での物流費上昇などで、製品・商品発送費が増加したことなどにより、前年同期と比較して86,479千円増加し、2,088,044千円となりました。これにより営業利益については、前年同期と比較して409,362千円減少し、1,861,154千円となりました。
営業外収益については、為替差益が発生したことなどにより、前年同期と比較して31,457千円増加し、72,543千円となりました。営業外費用については、健康被害補償引当金繰入額が減少したことなどにより、前年同期と比較して48,837千円減少し、42,591千円となりました。
これにより経常利益については、前年同期と比較して329,067千円減少し、1,891,105千円となりました。
特別利益については、投資有価証券売却益12,264千円を計上しました。特別損失については、減損損失13,597千円を計上しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期と比較して122,376千円増加し、1,145,692千円となりました。
また、セグメントごとの経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産は、堅調に収益が確保できたことなどにより前連結会計年度末と比較して214,991千円増加の16,450,730千円となりました。
当連結会計年度末における負債は、未成工事受入金が359,313千円、設備関係支払手形が243,678千円減少したことなどにより、前連結会計年度末と比較して584,692千円減少の4,369,891千円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金が841,550千円増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して799,684千円増加の12,080,839千円となりました。
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2.資金需要について
運転資金のうち主なものは、当社グループの製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いによるものです。
設備投資資金のうち主なものは、不燃内装材の生産設備増設等のための支払いであります。
3.財務政策について
運転資金として必要な資金は、営業活動により得られるキャッシュ・フローにより賄い、設備投資については、自己資金及び資本市場から得られた資金により実施しております。なお、設備資金及び長期運転資金として金融機関から調達した長期借入金につきましては、約定通りの返済を行い、金融機関との関係維持の為に一定の借入を実施する予定です。
また、金融上のリスクに対応するために取引金融機関との間で当座貸越契約を締結することで、手元流動性を確保しております。当座貸越契約とその借入実行残高(短期借入金)の状況は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結貸借対照表関係)3」に記載のとおりであります。
当社グループは、2022年3月期を初年度とする中期経営計画(2021~2023年度)を策定し、以下に掲げる方針の下、サステナビリティ(持続可能な)経営の推進に取り組んでまいりました。
①脱炭素社会の実現への貢献
②レジリエントな社会実現への貢献
③ステークホルダーとのエンゲージメント深化
④ガバナンスの高度化
⑤顧客ニーズ対応・信頼性向上を通じた顧客との関係強化等
⑥R&D・M&Aの取り組み強化
経営上の目標の達成状況につきましては、「売上高」、「営業利益」、「配当性向」の指標で判断しており、目標として、売上高及び営業利益前期比100%以上、配当性向30%以上を目指しております。
以上の結果、2022年3月期における売上高の前期比は98.7%、営業利益の前期比は82.0%、配当性向は28.1%となりました。
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